東ソーは5日、2024年3月期第3四半期(4―12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比6%減の7479億円、営業利益1%増の596億円、経常利益5%減の687億円、純利益11%減の414億円と減収増益だった。為替影響を上回る数量減と価格低下で減収、固定費要因を上回る交易条件の改善で増益となった。
セグメント別では、石油化学事業は減収減益。エチレンはプラントトラブルにより生産量は減少したが、プロピレンはコンビナート内需要の増加、キュメンは非定修年のため、出荷は増加。販売価格は、ナフサ価格と市況の下落で低下した。PE樹脂は需要が低迷し、市況悪化で輸出価格は下落。クロロプレンゴムは、国内外の需要は低迷したが、交易条件と為替影響で価格は上昇した。
クロル・アルカリ事業は減収増益。カセイソーダは定修で出荷量が減少。国内は価格是正したが、海外は市況下落が影響した。塩ビモノマーは定修で出荷減少。塩ビ樹脂の輸出は増加したが、市況悪化で塩ビ製品の海外価格は下落した。セメントは需要低調で出荷減少したが、国内価格は上昇。MDIの出荷は前年並みだが、市況は回復せず価格は下落した。HDI系硬化剤は、需要低迷による市況下落で価格が低下した。
機能商品事業は減収減益。エチレンアミンは、世界的な需要減少と市況下落が影響。臭素は海外で拡販したが、市況影響で価格は下落した。計測関連は米国と中国で液体クロマト用充填剤が減少。診断関連は国内外で自動ヘモグロビン分析装置・試薬が伸びたが、国内向け遺伝子検査試薬は減少。ハイシリカゼオライトは自動車用途で出荷が増加し、円安で価格上昇した。ジルコニアは装飾・歯科用途、石英ガラスは半導体で、需要が減速した。電解二酸化マンガンは欧州・アジアで出荷増。いずれも円安と価格是正で販売価格は上昇した。
エンジニアリング事業は増収増益。水処理は電子産業分野の国内外大型案件の工事が順調で、メンテナンスや設備保有型サービスなども好調。建設子会社の売上も伸びた。
なお、通期の連結業績予想は、11月公表値を据え置いた。