クラレの12月期 タイ拠点の減価償却・定修で増収減益

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2024年2月9日

 クラレは8日、2023年12月期の連結業績を発表した。売上高は前年比3%増の7809億円、営業利益13%減の755億円、経常利益18%減の690億円、純利益22%減の424億円の増収減益となった。

 決算会見で川原仁社長は「欧州・中国での需要鈍化で数量は減ったが、高付加価値化や価格改定により増収した。一方、在庫評価差額や減価償却費と販管費などの増加で減益となった」と総括した。

 セグメント別では、ビニルアセテート事業は増収増益。ポバール樹脂は高付加価値品へのシフトが進むが、欧米などの需要減退で数量減。光学用フィルムは、液晶パネル向けが段階的に回復した。高機能中間膜は、PVBフィルムは建築用途の需要減に対し、自動車用途が堅調に推移した。水溶性ポバールフィルムは後半に回復の兆しが見られた。EVOH樹脂は、堅調な自動車用途に対し、食品包装用途の一時的な需要下落で数量減。

 イソプレンは増収営業損失。イソプレンケミカルとエラストマーは、需要低迷に加え競争激化の影響を受けた。耐熱性ポリアミド樹脂は回復基調の自動車用途に対し、電気・電子用途はデバイスの回復が遅れた。機能材料は増収増益。メタアクリルは、電気・電子用デバイスの需要回復の遅れと原燃料価格の上昇が影響。メディカルは、審美治療用歯科材料が欧米などで好調だった。環境ソリューションは、欧州の景気減速の一方、北米の飲料水用途などの需要増で活性炭が堅調だった。

 繊維は減収減益。人工皮革は自動車やスポーツ用途で回復が進むが、ラグジュアリー用途などの需要減退で出荷が減少。繊維資材でビニロンは、欧州は低調だが米国の自動車用途では回復の兆しだ。生活資材は、外食産業需要が低調だった。

 2024年度の通期業績予想は、売上高6%増の8300億円、営業利益10%増の830億円、経常利益12%増の770億円、純利益11%増の470億円の増収増益を見込む。川原社長は「年後半に期待される需要回復により数量が増し、売価調整や原燃料価格、為替要因を上回り増益となる」と説明した。