三菱ケミカルグループは15日、2024年3月期の連結業績(IFRS)を発表した。売上高は前年比5%減の4兆3872億円、コア営業利益36%減の2081億円、純利益24%増の1196億円の減収減益となった。
半導体や産業材関連の需要が低調な中、スペシャリティマテリアルズとベーシックマテリアルズの大幅数量減に対し、産業ガスとヘルスケアのALS(筋萎縮性側索硬化症)治療薬は好調を維持し、売買差改善とコスト削減効果により、減収ながらコア営業利益は前期の治療剤ライセンスの収益分を除き4%の増益となった。
セグメント別では、スペシャリティマテリアルズは減収減益。価格是正と為替影響はあったが、ポリマーズ&コンパウンズはバリア包材や塗料・インキ・接着剤用途、フィルムズ&モールディングマテリアルズは炭素繊維や高機能エンジニアリングプラスチック、食品包装用フィルム、ポリエステルフィルムなど、アドバンストソリューションズは半導体関連を中心に、総じて需要が減退し、数量が減少した。
産業ガスは増収増益。国内外で需要は軟調だったが、価格マネジメントや為替影響で売上は増加し、コスト削減効果が利益を押し上げた。ヘルスケアは減収減益。重点品・新製品や米国発売のALS治療薬が順調で、メディカゴ社の事業撤退に伴う研究開発費などは減少したが、国内医療用医薬品の薬価改定、新製品発売に伴う販売費の増加、前年の多発性硬化症治療剤のロイヤリティ収益の剥落で、減益となった。
MMAは減収増益。MMAモノマーなどの市況下落で減収したが、英国キャッセル工場の閉鎖費用と定修影響が縮小し増益となった。
ベーシックマテリアルズは減収減益で営業損失。石化は数量減と価格低下、炭素は原料価格下落と需要低迷によるコークス価格下落が要因。ポリオレフィンなどのスプレッドは拡大したが、コークス市況の下落による売買差の悪化、在庫評価益の縮小、数量減少で、大幅な減益となった。
2025年3月期の通期業績予想は、売上収益5%増の4兆6230億円、コア営業利益20%増の2500億円、純利益57%減の520億円の増収増益を見込む。スペシャリティマテリアルズでの緩やかな需要回復、産業ガスやヘルスケアの好調継続、MMAやベーシックマテリアルズの石化製品やコークスなどの需要回復と市況改善を想定している。