宇部興産 気候関連財務情報開示タスクフォースに賛同

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2020年4月20日

 宇部興産はこのほど、金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言について賛同を表明すると発表した。同提言に基づき、気候変動が事業に与えるリスクや機会の分析を行い、積極的な情報開示を進め、持続可能な社会への貢献を目指す。

 同社グループは、昨年度スタートした中期経営計画「Vision UBE 2025~Prime Phase~」で「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」を基本方針の1つに掲げている。UBEグループ全体として、プロセス改善や省エネ活動を通じ、2021年度までに温室効果ガス(GHG)を15%削減する目標を立て、対応を行っている。

 今後も引き続きGHG削減に取り組むとともに、環境貢献型製品・技術を育成、伸長させることで、製品のライフサイクル全体を通じたGHG排出削減を実現し、脱炭素社会に貢献していく。また、今回の賛同表明を踏まえ、気候変動への対応を含めた環境問題への取り組みを一層充実させるとともに、TCFDの提言に基づいた情報開示を積極的に行っていく考えだ。

 

JXTGエネルギー サウジアラビアでENB製造装置の新設を検討

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2020年4月20日

 JXTGエネルギーは17日、サウジアラビアでENB製造装置新設の事業化可能性調査(FS)を開始したと発表した。ENBは、自動車の窓枠やラジエターホースなどに使用される合成ゴム(EPDM)の製造に欠かせない成分。中長期的に見込まれる世界的な自動車生産の増加に伴い、同成分の需要も堅調に拡大すると見込まれている。

 同社グループは1979年の日本での生産開始以来、日米で生産体制を増強し、現在日本(1系列)、米国(2系列)の両拠点で世界最大となる年産6万8000tの生産能力を持つ。北米・欧州・アジアのタンクターミナルからなる供給ネットワークを通じて、世界で事業展開している。

 今回、FSを開始したサウジアラビアでは、Saudi Arabian CompanyとTotal Raffinage Chimieが出資する石油化学計画「AMIRALプロジェクト」の原料供給を背景に、継続的な成長が見込まれるENB需要に対する生産体制の構築が可能となる。同社は、日米に次ぐ第3の拠点として、同地の既存顧客はもとより、世界の全顧客へ向けた供給体制を盤石とするために、ENB製造装置新設の検討を開始した。

 JXTGエネルギーは、2040年JXTGグループ長期ビジョンに掲げる、付加価値の高い誘導品事業への進出・海外展開などを通じて、顧客の多様なニーズに対応し、アジアを代表するエネルギー・素材企業を目指す。

積水化学 ごみをエタノールにする技術を事業化へ

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2020年4月20日

INCJと合弁、持続可能な社会の創生に貢献

 積水化学工業は、ESG経営を最重要課題に掲げ、社会・環境問題の解決に注力している。中でも、廃プラスチックを含む可燃性ごみを都市油田に変える「ごみの資源化」を重要なテーマの1つとして取り組んでおり、次世代に豊かな社会を引き継ぐため、化石資源に頼らない究極の資源循環社会システムの創生を目指している。

 2017年には、米ベンチャー企業ランザテック社と共同開発した、世界初の革新的生産技術「BR(バイオリファイナリー)エタノール技術」を確立。生ごみ、衣類、プラ、紙・木材などの可燃性ごみを、分別することなくガス化し、熱・圧力を用いることなく微生物によりエタノールに変換することができる。

 同社は、同技術の実用化と事業化に向け、環境省委託事業(二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業)などを活用し、各自治体や関連企業などのパートナー募集やビジネスモデルの検討を進めてきた。

 こうした中、今月16日に、BRエタノール技術の実証事業の実施や事業展開を行うことを目的に、経済産業省が所管とする官民ファンド「INCJ」と合弁会社「積水バイオリファイナリー」の設立を発表。岩手県久慈市に実証プラントを新設し、2021年度末に稼働させ実証事業(エタノール供給)をスタートする。

 まず標準的規模のごみ処理施設の処理量の10分の1程度のごみ(1日約20t)の提供を受け、エタノールを生産。そして自治体、ごみ処理関連企業、プラントメーカーなどのパートナーを広く募り、生産したエタノールを様々な製品・事業へ活用する検証を行い、2025年度には本格事業化を目指していく計画だ。

 日本で排出される可燃性ごみは年間約6000万tと見られている。国内でのプラスチック生産に用いられる化石資源のほぼ2倍に及ぶが、ほとんどが再利用されず焼却・埋め立て処分されている状況。また、プラスチックは、私たちの生活には欠かせないものの、海洋プラスチック問題などがクローズアップされており、使用済みプラスチックの再活用が求められている。

 同技術の事業化や事業拡大、社会への普及のためには、原料となる廃棄物関連の行政を所管する自治体や、民間企業などのパートナーとの強固な連携が欠かせない。積水化学は、INCJの協力を得て、自治体やごみ処理関連企業、プラントメーカー、エタノールを利用する企業などと強い協力関係を構築するとともに、関連省庁との協議や連携なども円滑に進めることを期待している。

 両社は、合弁会社「積水バイオリファイナリー」を通じて、日本各地の地方貢献や、カーボンリサイクルを通じたサーキュラーエコノミーの実現により社会課題解決に寄与するとともに、持続可能な社会の創生に貢献していく考えだ。

積水化学

 

東洋紡 尿沈渣検査を自動化する分析器の新製品を上市

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2020年4月17日

 東洋紡はこのほど、尿中有形成分分析装置の新製品「USCANNER premio」の国内販売を開始した。同装置は腎臓や泌尿器の疾患を診断する際などに、尿中の赤血球や白血球といった有形成分を調べる尿沈渣(にょうちんさ)検査の工程を自動化したもの。今年2月から大学病院や医療機関向けに販売を始めた。

新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」
新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」

 新製品は、撮影画像の解像度を従来機種より向上させるとともに、オートフォーカス機能を改良し、尿中の有形成分をより鮮明に表示できるようになった。また、オプションの「操作用増設端末」を使用することで、複数の検査者により異なる検体の画像を同時に観察することも可能に。検体を効率的に分析できるため、診断結果を得るまでの時間短縮に寄与する。

 尿中有形成分分析装置「USCANNER」シリーズは、尿沈渣検査で検査者が実施する、染色、標本作成、カラー染色画像の撮像、成分の分類・計測という一連の作業を全て自動化した臨床検査装置。2001年に最初の製品を上市して以来、改良を重ねながら、全国の大学病院などへ導入を進めている。検査者の煩雑な手作業の負担を軽減するだけでなく、解析プログラムを活用した画像判定機能により、ばらつきのない安定した測定を行えるのが特徴だ。

尿中有形成分分析装置「USCANNER premio」
尿中有形成分分析装置「USCANNER premio」

 同社は、臨床検査分野では尿中有形成分分析装置に加え、核酸の抽出から増幅(PCR)・検出まで全て自動で行うことが可能な、全自動遺伝子分析装置「GENECUBE」の販売も手掛ける。

 今後も引き続き、医療現場の臨床検査作業の効率化や高精度化に貢献していく。

デンカ エボラウイルス診断キットの国内製販承認を申請

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2020年4月17日

 デンカはこのほど、北海道大学の髙田礼人教授(人獣共通感染症リサーチセンター)と共同開発したエボラウイルス迅速診断キットの国内製造販売承認を今月10日に申請したと発表した。

 同キットは診断結果を約10分で迅速に判定できる。また特別な器具や装置を必要としないことから、医療施設が十分に整っていない地域でも使用することが可能だ。同社はこれまでコンゴ民主共和国に2017年から複数回にわたりJICA(国際協力機構)を通じて試作品を無償提供してきた。

 今回の申請を行うにあたっては、同国の医学生物研究所にて同キットを使用した臨床試験を実施し、優れた有用性があることが確認されている。エボラウイルス感染症の制御には継続的な医療体制の維持整備が必要とされており、同社は国際的に認められている日本の薬事承認を得ることで、同キットがアフリカ諸国の医療システムへの正式採用につながるものと考えている。さらに、承認後はWHO緊急承認プログラムの承認取得を目指していく考えだ。

 デンカは経営計画「Denka Value‐Up」の中で、ヘルスケア事業を重点分野の1つと位置づけている。今後も感染症の予防と早期診断を通じて世界の医療の課題解決に取り組み、人々のQOL向上に貢献していく。

P&Gジャパン 滋賀工場でマスク生産、6月上旬より開始

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2020年4月17日

 P&Gジャパンはこのほど、新型コロナウイルス感染拡大対策の一環として、スキンケアブランド「SK-Ⅱ」の生産工場である滋賀工場を使用し6月上旬よりマスクの生産を行うと発表した。

 生産したマスクは、同社社員の健康と安全を守るとともに、日常生活で必要とされる同社製品群(洗剤、紙おむつ、ヘアケア製品など)を安定して生産・供給するために使用する。また行政などと協議の上、日本国内でマスクを必要とされる組織に無償でマスクを供給する。現時点では、一般販売を予定していない。

 同工場は同社のグローバルネットワーク・知見を活用して、工場の一部を改装するとともに従業員を動員してマスクの生産を進める。

 P&Gは、日本国内でのマスクの安定的な供給に貢献し、新型コロナウイルス感染拡大予防の一助となるよう、政府や行政とも連携をとりながら、引き続き必要な支援を続ける考えだ。

富士フイルム 「アビガン」の生産を2.5倍超に拡大

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2020年4月17日

 富士フイルムはこのほど、富士フイルム富山化学にて、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)向けに抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)の増産を開始したと発表した。同社グループ会社の設備増強に加え、国内外の企業との連携により実現したもの。

 「アビガン」は、富士フイルム富山化学が開発し、2014年に抗インフルエンザウイルス薬として国内での製造販売承認を取得した薬剤。ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐというメカニズムを持つことから、インフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても効果が期待される。すでに臨床研究や観察研究の枠組みの中で、COVID-19患者に対する「アビガン」投与が開始されている。

 日本政府は、COVID-19がますます拡大する中、緊急経済対策の1つとして「アビガン」の備蓄量を200万人分まで拡大することを決定。今回、富士フイルム和光純薬にて医薬品中間体の生産設備を増強するとともに、原料メーカーや各生産工程での協力会社など国内外の企業との連携により「アビガン」の増産を推進する。

 今後、段階的に生産能力を向上させて、今年7月には月産約10万人分(生産を開始した3月上旬と比べて約2・5倍)、9月には約30万人分(同約7倍)の生産を実現する方針。さらに、「アビガン」の原薬製造設備も増強し生産能力のさらなる拡大を図り、日本政府の備蓄増や海外からの提供要請に対応するとしている。

島津製作所 1時間で判定、新型コロナ検査キット発売

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2020年4月17日

 島津製作所はこのほど、開発を進めていた「新型コロナウイルス検出試薬キット」を4月20日に発売すると発表した。当面は国内のみの販売だが、5月以降の海外輸出も視野に入れて準備を進めていく。

新型コロナウイルス検出試薬キット
新型コロナウイルス検出試薬キット

 同キットの最大の特長は、煩雑な手作業を省いたことによる検査時間の大幅な短縮にある。また、手作業を行わずに済むため、人為的なミスの防止にもつながる。現状の遺伝子増幅法(PCR法)による新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)の検出では、鼻咽頭拭い液などの試料(検体)からRNAを抽出して精製する煩雑な作業が必要であり、これが多数の試料を迅速に検査する際の妨げになっている。

 同キットではRNAの抽出・精製工程が省けるため、検査に要する人手を大幅に削減でき、かつ2時間以上かかっていたPCR検査の全工程を従来の半分である約1時間に短縮できる。96検体用PCR装置を用いて、96検体を検査した場合でも1時間半以内で行える。

 「新型コロナウイルス検出試薬キット」は、同社独自のAmpdirect技術をベースに国立感染症研究所の「病原体検出マニュアル 2019‐nCoV」に沿って開発。同技術は、生体試料に含まれるたんぱく質や多糖類などのPCR阻害物質の作用を抑制できるため、DNAやRNAを抽出・精製することなく、生体試料をPCRの反応液に直接添加できるもの。

 島津製作所は同技術を用いて、腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌、赤痢菌、ノロウイルスなどの病原体検出試薬を開発・販売しており、これまでに培った技術を応用し新型コロナウイルス検出試薬の開発を行った。誤操作などにより、陽性にもかかわらず遺伝子増幅が起きなかった場合に誤って陰性と判断しないよう、同キットの反応液には、増幅工程が正しく進んだことを確認するための参照成分を添加。これにより、偽陰性が生じる可能性を低減し、検査結果の精度向上が期待されている。

 なお、同キットの使用には、PCR装置や分注ピペット、恒温槽、小型遠心機をはじめとする機材や、試料・遺伝子の取り扱い技術を要するため、ドラッグストアなどの小売店や個人への販売予定はない。価格は、22万5000円(100検体分/キット、税抜き)。月間生産量は10万検体分。

住友化学 コロナ対策を支援、医療用ガウン向けフィルムを提供

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2020年4月17日

 住友化学は16日、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、他用途に提供している同社グループのポリエチレンフィルムの中から医療用ガウン用途に合致するフィルムを緊急かつ優先的に提供することを決定したと発表した。医療従事者が着用するディスポーザブルの医療用ガウンが不足していることに対応した。

 同フィルムはサンテーラ社をはじめ住友化学のグループ会社が加工し、日本政府の指定を受けたガウン縫製企業に供給するもので、縫製されたガウンは医療現場に届けられる。

 同社は、新型コロナウイルス感染拡大の早期終息に向けて、今後も行政ならびに業界団体と連携を図りながら、最大限の支援策を検討していく。