石化協 新体制スタート、3つの重点項目に注力

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2020年7月6日

コロナ禍での安定供給、新常態への対応も課題に

 石油化学工業協会は、定時総会において選任された和賀昌之新会長(三菱ケミカル社長)を中心とする新体制がスタート。コロナ禍で先行き不透明感が強まる中、3つの重点項目である①保安・安全の確保、②事業環境の基盤整備、③グローバル化対応の強化に引き続き取り組み、石化産業と社会の持続的成長を目指していく方針だ。なお、副会長には、住友化学の岩田圭一社長、出光興産の松下敬副社長、東ソーの山本寿宣社長の3名が選任されている。

和賀昌之会長
和賀昌之会長

 2日に開催されたオンラインによる就任会見の中で和賀新会長は、「足元の世界経済は、新型コロナの感染拡大により深刻な影響を受け急速に悪化している。各国で段階的に経済活動の再開が進められているが、

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東ソーなど 東大に次世代ジルコニア関連の講座を開設

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2020年7月3日

 東ソー、東京大学大学院工学系研究科、ファインセラミックスセンター(JFCC)、ワールドラボの4者はこのほど、東京大学に「次世代ジルコニア創出社会連携講座」を設置したと発表した。なお、設置期間は5年間(2020年7月1日~2025年6月末)で、費用は7億1800万円を見込んでいる。

 最先端ナノ構造解析と新規焼結体開発を担う東京大学と、粉末開発製造を行う東ソーに加え、卓越したセラミックス計算材料科学技術を持つJFCC、高度なセラミックス組織制御技術を有するワールドラボとの協業により、従来のセラミックス素材の概念を覆す、ジルコニアセラミックスの飛躍的な特性向上実現と、その技術分野を支える人材育成を目指す。

 ジルコニアは様々な分野で実用化されているが、その機能発現のメカニズムには未解明点が多く残されており、材料特性を決める因子を解明し、原子レベルから組織を制御することで飛躍的に機能が向上する可能性がある。この社会連携講座では、最先端の電子顕微鏡・計算材料科学・焼結技術を駆使してジルコニアの本質を理解し、その知識を応用して機能を極限にまで高める研究を行う。

 具体的にはジルコニアの持つ強くてしなやかな力学特性、柔軟な加工性、固体でありながら酸素イオンを通すイオン伝導性、高い屈折率から生まれる高透光性の4つの特性を追求。これにより金属並みの力学特性と加工性、新たなクリーンエネルギーのための超高速イオン伝導性、新たな光学材料開発のための高透光性を実現させ、加えてそれらの機能を融合させることでジルコニアの新展開を狙う。同時に、高度な材料開発研究が推進できる有能な人材の育成・輩出により、社会の諸課題の解決に向けた技術開発を加速し、持続可能型未来社会の実現に貢献していく考えだ。

 東ソーは、世界で初めて高純度ジルコニア粉末を工業化し、各種構造部材、審美性に優れる歯科材料など様々な用途への利用を進めることで、ジルコニア市場形成進展に寄与してきた。また、東京大学と東ソーは、過去20年にも及ぶ共同研究を実施し、ジルコニアの本質である結晶相変態機構の解明、画期的な超高耐久性ジルコニア焼結体の開発など世界に先駆けて多くの成果を挙げている。

東ソー 次世代ジルコニア

 

 

宇部興産 日立子会社から化学機器事業の承継が完了

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2020年7月3日

 宇部興産はこのほど、同社グループ機械事業の中核会社・宇部興産機械が、日立プラントメカニクスから産業プラント用機器事業のうち、化学機器の製品・アフターサービス事業の承継を完了したと発表した。

反応器(化学反応を行わせるための装置
反応器(化学反応を行わせるための装置

 以前より製作協力関係があった日立プラントメカニクスが、産業プラント用機器事業の中核であるクレーン事業の拡大に経営資源を集中したことにより、宇部興産機械は、その反応器、熱交換器、薄膜蒸発器などの化学機器製品・アフターサービス事業を承継した。

熱交換器(温度の高い流体から低い流体へ熱を移動させる機器)
熱交換器(温度の高い流体から低い流体へ熱を移動させる機器)

宇部興産機械は、化学プラント向けの圧力容器をはじめ、自動車業界向けのダイカストマシン・射出成形機、電力会社向けの大型搬送設備など、様々な産業機械の開発・製造・アフターサービスを手掛けている。今回、日立プラントメカニクスの一部事業を承継し、その技術・設備・人員を引き継ぐことで、より一層進化した製品・サービスを国内外の顧客に提供していく。

薄膜蒸発器(処理液から水や溶媒を蒸発させ、留分を濃縮する装置)
薄膜蒸発器(処理液から水や溶媒を蒸発させ、留分を濃縮する装置)

 

出光興産 SOMPOサステナビリティ・インデックスに選定

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2020年7月3日

 出光興産は2日、SOMPOアセットマネジメントが設定する「SOMPOサステナビリティ・インデックス」で2020年の構成銘柄に選定されたと発表した。これで同社は9年連続での選定となる。

 同インデックスはESGに優れた約300社によって銘柄が構成され、「SOMPOサステナブル運用」に活用されている。選定銘柄は、SOMPOリスクマネジメントが実施する「ぶなの森 環境アンケート」および、インテグレックスが実施する「インテグレックス調査」の結果に基づいて毎年見直しが行われており、出光興産はESGに対する取り組みが評価された。

 同社は今後も、地球環境・社会との調和を目指し、世界的な環境課題、社会課題に対しグループ全体で解決に注力していく。またガバナンス機能の強化を進め、全てのステークホルダーからの信頼を保持していくことで、ESGの強化と持続可能な社会の発展に貢献していく考えだ。

積水化学 「プラチナキャリア・アワード」最優秀賞を受賞

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2020年7月2日

 積水化学工業はこのほど、第2回「プラチナキャリア・アワード」の最優秀賞を受賞した。プラチナキャリアとは、人生100年時代、働く期間が長くなる中、長期的な視点で、自己の成長や所属する企業の発展、ひいては社会への貢献を目指し、年齢によらず自律的な学び・経験を通じてスキルを磨きながら、得られたスキルを存分に生かして積み上げていくキャリアのこと。同アワードでは、プラチナキャリア形成を支援する企業を選定・表彰している。

 プラチナキャリア・アワード積水化学は、「従業員は社会からお預かりした貴重な財産」との考え方に基づき、従業員が活き活きと働くことができる環境づくりにグループ全体で取り組んでいる。人生100年時代といわれる中、同社では、人材育成の主体は従業員本人自身であり、「自分のキャリアは自分でつくる」ことが重要であると考えている。

 そのために自分自身の志向や持ち味と向き合い、今後のキャリアを自分で考える機会を提供するため、2001年度から年代別キャリアプラン研修を実施。この研修は30、40、50、57歳のキャリアの節目の年の従業員を対象とし、それぞれ年代ごとに合わせたテーマを設定して行っており、これまでに延べ9750名が受講した。また、従業員の活躍を支援するために上司層を対象としたマネジメント研修にも取り組み、毎年約1800名の上司層が受講している。

 同社は、今後も従業員一人ひとりが活き活きと活躍できる風土の醸成に推進していく考えだ。

リモート表彰式の模様.表彰状を授与される取締役常務執行役員人事部長竹友博幸氏。
リモート表彰式の模様。表彰状を授与される取締役常務執行役員人事部長竹友博幸氏。

ENEOSなど 再エネ拡大を目的に長期安定電源ファンドを設立

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2020年7月1日

 ENEOS、リニューアブル・ジャパン、東急不動産、関西電力の4社は30日、再生可能エネルギー(再エネ)電源の拡大・運営を目的とした「合同会社長期安定電源ファンド」を設立したと発表した。各社1億円ずつを出資しており、出資額は4億円となっている。

 近年、ESG投資の広がりやRE100(再エネ100%目標)参画企業の増加などを受け、国内のみならず世界的に再エネの重要性と期待が高まっている。こうした中、再エネ電源の開発を全国で進めてきた4社がファンドを設立し、各社がこれまで培ってきた知見・専門性を活用して、効率的に再エネ電源の拡大に取り組む。同ファンドを通じて4社が投資を進めることで、競争力の高い再エネ電源を拡大し、長期安定的に事業を推進していく。

 なお、取得する再エネ電源の総資産額は4000億円を目標としている。4社は、今後も再生可能エネルギー事業の発展を通じて、低炭素化社会の実現に貢献していく考えだ。

住友化学 プラスチック資源循環に関する基本方針を制定

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2020年6月30日

 住友化学はこのほど、「住友化学グループ プラスチック資源循環に関する基本方針」を制定したと発表した。この方針は、プラスチック資源循環の実現とプラスチック廃棄物問題の解決に向けた同社グループのコミットメントを示したもの。

 プラスチックは、自動車や航空機、電子機器、各種包装材など、様々な用途に用いられ、人々の生活を支える有用な素材。一方、使用後の適切な処理・再利用が十分に行われておらず、海洋プラスチックごみなどの環境問題が世界的な課題になっている。

 同社は、経営として取り組む最重要課題(マテリアリティ)の1つに、プラスチック資源循環への貢献を掲げる。長年にわたり取り組んできた樹脂の薄肉化や詰め替え容器に適したフィルム向け材料など、プラスチックのリデュース、リユースにつながる製品の開発・供給に加え、近年は他企業やアカデミアと共同で複数のケミカルリサイクル技術の開発も推進している。

 また、これらの取り組みを加速させるため、今年4月、環境負荷低減に関する技術開発を行う研究グループを新設し、体制を強化。さらに、「AEPW」をはじめ国内外のアライアンスにも積極的に参画し、個社では対応が困難な課題の解決にも注力している。

 同社は今後、今回の方針に沿って、プラスチック資源循環の実現とプラスチック廃棄物問題の解決に向けた取り組みを一層推進していく。住友化学グループは、事業を通じてサステナブルな社会の実現に貢献するとともに、自らの持続的な成長を果たすため、これからもグループ一丸となってプラスチック資源循環などの課題解決を目指していく方針だ。

東レ 炭素繊維複合材料事業、コロナ禍で環境悪化

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2020年6月29日

航空機需要が減少、成長ドライバーで挽回目指す

 東レは、世界シェアの約半分を占める炭素繊維複合材料事業において、コロナ禍の影響により事業環境は厳しい状況にある。今年度からスタートした新中期経営課題では成長ドライバーに注力し、最終年度には事業利益240億円を狙う方針だ。

炭素事業複合材料事業部 吉永稔副本部長
炭素事業複合材料事業部 吉永稔副本部長

 先日開催された事業説明会の中で、複合材料事業の吉永稔副本部長は、「当面は、コロナ問題により航空機需要減の影響が大きいと見ているが、中長期では炭素繊維複合材料事業への期待は大きく変わらない。積極的な戦力投入による成長ドライバー事業の拡大とコスト競争力強化に加え、他用途への拡販で挽回する」と語った。

 新中計では、同事業の基本的な立ち位置を再確認し、長期経営ビジョンを実現するための課題を設定。事業環境は、「今後実現が期待される新モビリティ革命や新エネルギー拡大に新しい事業機会が期待できる。また環境型社会や、気候変動抑制といった社会ニーズへの対応も事業機会をもたらす」との見方を示した。また今後10年間の需要については、「コロナ影響で短期変動はあるが、

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ダイセル エクオール特許権侵害訴訟、控訴審でも勝訴

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2020年6月29日

 ダイセルはこのほど、被控訴人補助参加人として参加していた特許権侵害差止請求訴訟控訴審で、今月24日に知的財産高等裁判所より被控訴人側の勝訴とする判決が言い渡されたと発表した。

 同訴訟は、大塚製薬が、被告企業の製品が原告保有の特許権を侵害するとして、2017年に製品の差し止めを求め東京地方裁判所に提訴したもの。ダイセルは、当該製品の原材料となるエクオール「フラボセル EQ‐5」を被告企業に対して販売していることから、被告補助参加人として同訴訟に第1審より参加してきた。

 第1審では2019年1月に被告側の勝訴とする判決が言い渡されたが、大塚製薬は知財高裁へ控訴。そして、今回の控訴審判決でも、「フラボセル EQ‐5」を含む当該製品が「本件発明の技術的範囲に属さない」とし、大塚製薬の請求が棄却され、ダイセルを含む被控訴人側の勝訴となった。

 ダイセルは従来から、特許権など知的財産を重要な経営資源と位置づけ、知的財産を事業・研究開発活動と密に連携させている。また、知的財産によって自社製品を保護、第3者の知的財産権を尊重するとともに、今後も特許事件に対しては詳細を見極めた上で毅然とした態度で臨んでいく。同社は今後も、顧客に対して製品の安定供給を続けていく方針だ

ENEOS 大田社長「企業理念に立ち戻ることが重要」

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2020年6月29日

 ENEOSホールディングスは26日、新たに就任した大田勝幸社長の社員に向けたメッセージを発表した。なお同社は25日にJXTGホールディングスから商号を変更している。

 大田社長は「新型コロナウイルスによって、予期しなかった変化が世界規模で起きており、経済や社会活動の変化のみならず、新たな秩序、新たな価値観がもたらされる」とした上で、「ありたい姿に向けた取り組みのスピードを大きく加速させ、早く成果を出すことが一層強く求められることは間違いない」と指摘した。同社の使命は「今後もエネルギーや高品質の素材を供給することで社会課題を解決し、明るい未来の創出に貢献し続けることだ」とし、「その価値が利益となり、企業として存続できる」との考えを示した。

 長期ビジョンの足掛かりとなる第2次中計達成に向け、①環境変化に強くバランスの良いポートフォリオをスピーディーに作り上げること②基盤事業を磨き上げて競争力を強化し、顧客にとっての魅力を高めること③経営基盤強化に向けた会社の制度・構造改革、企業風土の変革―をやるべきことに挙げた。さらに心掛けることとして、「変革への挑戦」「スピード重視」「成果へのこだわり」をお願いした。

 最後に、「変化の中にあって、本来大切にすべきこと、軸足とすべきことは、私たちの使命、企業理念に常に立ち戻ることだ。チームとしての軸、力の源泉は、みんなで共有化された「企業理念・行動指針」であり、「長期ビジョン」への強い思いである」と強調。そして「今回、グループ名、エネルギー事業会社名をENEOSに変更した。このブランドを、新たな、さらに魅力ある、世の中に価値を生み出す世界ブランドに育てていこう」と呼び掛けた。