旭化成は16日、滋賀大学と共同で、教育現場でのCO2濃度と温熱環境の見える化による、より良い教育環境の構築に向けた実証実験を開始したと発表した。
旭化成のマーケティング&イノベーション本部は「市場創造型ビジネスの創出による新たな社会価値の提供」をビジョンとして掲げ、事業化プロジェクトの早期事業化と、各テーマの提供価値向上に取り組んでいる。
1月に新設した環境センシングプロジェクトでは、旭化成エレクトロニクス/革新事業プロジェクトの連続環境モニタリングシステム=写真=を用いた旭化成内外の施設での環境の可視化、そのデータの活用による新たな社会価値を具体化することで、事業化の加速を目指している。
一方、滋賀大では、教育学部の大平雅子准教授が「環境デザインによる未病ケア研究」をテーマに人間の快・不快を評価するバイオマーカーを用いて、環境の変化が人体へ与える影響を明らかにする研究を推進。この研究を発展させ、環境制御によって、人体の心身の状態をより良い方向に導くシステムの構築を目指している。
今回、両者は、教室内のCO2濃度と温熱環境の分布をモニタリングすることにより、教育現場の教室内環境を可視化し、得られたデータの活用によりSDGsで掲げられている「質の高い教育」の実現に向けた産学連携の取り組みを開始。実証実験では、快適性と学習効率の維持が求められる環境として中学校を想定し、滋賀大学教育学部附属中学校の協力の下、一部の教室にてCO2と温熱環境のモニタリングをスタートした。
滋賀大の環境デザインの知見と、旭化成の連続環境モニタリングシステムからリアルタイムに取得・蓄積・表示されるCO2・温熱環境データを活用し、国の将来を担う子どもたちが、快適な環境で授業を受けられるようなより良い教育環境の構築に向けて取り組む。
今後、旭化成は、教室内環境を最適化するシステムの開発や教室でモニタリングすべき追加項目の検討を進めつつ、連続環境モニタリングシステムの将来の商用化を図る。また、滋賀大は、実証試験の成果を健康的で快適な学習環境を維持するための学校環境衛生活動に還元することを目指す。