東洋紡など 使用済みプラ再資源化で共同出資会社を設立

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2020年7月8日

 東洋紡をはじめ、プラスチックのバリューチェーンを構成する12社はこのほど、使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む共同出資会社「アールプラスジャパン」(横井恒彦社長、東京都港区)を設立し、先月から事業を開始した。

アールプラスジャパンのロゴ
アールプラスジャパンのロゴ

 東洋紡のほか、サントリーMONOZUKURIエキスパート、レンゴー、東洋製罐グループホールディングス、J&T環境、アサヒグループホールディングス、岩谷産業、大日本印刷、凸版印刷、フジシール、北海製罐、吉野工業所が参画している。具体的には、ペットボトルを含むその他一般のプラスチックを、直接原料(ベンゼン・トルエン・キシレン・エチレン・プロピレンなど)に戻すケミカルリサイクル技術を推進。油化(熱分解)工程を経由せずにCO2排出量とエネルギー消費を抑えた再資源化プロセスの実用化に挑む。

 東洋紡グループは、創業者・渋沢栄一の精神を受け継いだ企業理念「順理則裕」(じゅんりそくゆう:なすべきことをなし、ゆたかにする)の下、創業以来一貫して社会課題の解決に寄与する事業活動を旨とし、様々な製品・技術を提供してきた。主力のプラスチック製品では、リサイクル樹脂や植物由来原料の使用比率向上に注力するとともに、高い機能性を保持するバイオ樹脂の実用化に取り組むなど、環境負荷を低減する製品・技術の積極的な展開を通じて、持続可能な社会実現への貢献を目指している。

 同社は、米国バイオ化学ベンチャー企業・アネロテック社が開発を進める、木材からポリエステル原料を作る技術に注目。2017年からは、アネロテック社がサントリーグループを中心とした国内外各社とともに実施中の、植物由来原料100%使用ペットボトルの開発プロジェクトに参画した。このプロジェクトで生まれた技術を応用することで、使用済みプラを効率的に再資源化できる可能性が見出だされており、幅広いプラスチックの循環利用に役立つ画期的な手法として普及への期待度が高い。

 今回設立した「アールプラスジャパン」は、アネロテック社とともに、この環境負荷の少ない効率的な使用済みプラの再資源化技術開発を進める。世界で共通となっているプラスチック課題解決に貢献するため、回収プラスチックの選別処理、モノマー製造、ポリマー製造、包装容器製造、商社、飲料メーカーなど業界を超えた連携により、2027年の実用化を目指していく。また、同新会社は今後も広く出資を募る予定で、現在、住友化学なども出資への検討を進めている。

油化(熱分解)工程を省いた新技術による再資源化に挑む
油化(熱分解)工程を省いた新技術による再資源化に挑む

NEDOと福島県 低炭素水素の利活用拡大の協定を締結

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2020年7月7日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と福島県はこのほど、「低炭素水素の利活用拡大に関する連携・協力に関する基本協定」を締結した。

 福島県浪江町で再生可能エネルギー(再エネ)を使った水素製造実証に取り組むNEDOと、「再生可能エネルギー先駆けの地」の実現に向けて再エネの導入拡大と関連産業の育成・集積を進めている福島県が包括的な協定を締結することで、①再エネ由来水素の活用およびそれを通じた再エネ導入の推進と研究開発に向けた相互協力、②再エネ由来水素および福島県内の再エネの広報・啓発活動、を連携・協力して進めていく。

 なお、期間は6月19日から2022年3月末まで。すでに、福島県が設置した、あづま総合運動公園(福島市)とJヴィレッジ(楢葉町)にある純水素型燃料電池に、今年3月に開所した世界最大級の再エネ水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」から水素を供給し、施設内の一部電力供給を開始している。

コベストロ CEOが欧州プラスチック工業会の新会長に就任

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2020年7月7日

 コベストロはこのほど、マーカス・スタイレマンCEOが、欧州のプラスチック産業団体であるプラスチック・ヨーロッパの新会長に就任したと発表した。同団体の抜本的な構造改革を主導したダウ・ケミカルのハビエル・コンスタンテ氏の後任となり、任期は3年間。

 スタイレマンCEOは「世界が多くの課題に直面している中で、プラスチックは、持続可能な世界を作り上げるために必要不可欠であり、サーキュラーエコノミーを世界の新しい基本理念とするためにも必要だ。そして、使用済み原料と廃棄物を別の製品の材料として再利用することが重要であり、いかなる状況であっても、プラスチックを地球環境に流出し続けるべきではない。また、できる限り多くの分野で、プラスチックをサステナブルな資源として使用する必要がある。このようにプラスチックを使用することで、プラスチック産業は欧州のサステナブルな発展に寄与することができる」と述べている。

 スタイレマンCEOは、今年3月にドイツ化学工業協会(VCI)の副会長に選任。また、欧州化学工業評議会(Cefic)の一員でもある。さらに、欧州での産業界主導の組織・取組みの1つである「持続可能な化学のための欧州テクノロジー・プラットフォーム」(SusChem)の会長も務めている。

 

三洋化成社会貢献財団 コロナ支援で医療機関へ寄付

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2020年7月7日

 三洋化成工業が昨年設立した三洋化成社会貢献財団(京都市東山区)はこのほど、新型コロナウイルス感染症の治療と感染拡大防止活動を最前線で行っている医療従事者に心からの感謝と敬意を表し、地域の医療支援に役立ててもらうため、2つの医療機関への寄付を行った。三洋化成の事業所近隣の中核病院である京都第一赤十字病院(同東山区)に200万円、京都桂病院(同西京区)に100万円を寄付した。

 同財団は、「同感染症の拡大防止の一助となることを願うとともに、1日も早く終息することを心よりお祈り申し上げる」とコメント。今後も様々な活動を通して地域・社会への貢献活動を行っていく考えだ。同財団は、三洋化成が昨年11月に創立70周年を迎えるに当たり、社業の基礎となる化学を中心とした学術やそれを担う人材の育成に加え、環境保全、芸術・文化などの分野での社会貢献に資することを目的に、同年9月に設立された。

ブリヂストン 英社の鉱山車輌メンテ・運行支援事業を買収

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2020年7月6日

 ブリヂストンはこのほど、英国のTransense Technologies社(トランセンス社)が持つ「iTrackソリューション事業」を買収したと発表した。

 同事業は、鉱山事業者へのタイヤメンテナンスや車両運行オペレーションの効率化・最適化のためのソリューションの提供で、世界的に高く評価されている。鉱山車両用タイヤの空気圧モニタリングシステムによるタイヤの温度と空気圧データとともに、車両位置や走行速度などのデータを統合して把握し、鉱山事業者の生産性と収益性向上のためのオペレーションの効率化・最適化に貢献している。

 同社G‐MAAソリューション事業管掌の草野智弘常務執行役員は、「足元のタイヤ・ゴム事業のさらなる強化とともに、タイヤデータやモビリティデータによる新たな『価値』を創造・提供するソリューション事業を進化させていく。モビリティ領域でのサステナブルで先進的なソリューションを提供するという戦略を加速させる、確かな一歩だ」と述べている。

 同社とトランセンス社は昨年業務提携し、iTrackソリューション事業のサービス紹介を開始。高い評価を得ていることから、引き続きさらに多くの鉱山事業者に提供していく考えだ。また、事業買収によるトランセンス社からの全従業員は、今後はブリヂストンの一員として、進化するモビリティ社会を支えていく。

石化協 新体制スタート、3つの重点項目に注力

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2020年7月6日

コロナ禍での安定供給、新常態への対応も課題に

 石油化学工業協会は、定時総会において選任された和賀昌之新会長(三菱ケミカル社長)を中心とする新体制がスタート。コロナ禍で先行き不透明感が強まる中、3つの重点項目である①保安・安全の確保、②事業環境の基盤整備、③グローバル化対応の強化に引き続き取り組み、石化産業と社会の持続的成長を目指していく方針だ。なお、副会長には、住友化学の岩田圭一社長、出光興産の松下敬副社長、東ソーの山本寿宣社長の3名が選任されている。

和賀昌之会長
和賀昌之会長

 2日に開催されたオンラインによる就任会見の中で和賀新会長は、「足元の世界経済は、新型コロナの感染拡大により深刻な影響を受け急速に悪化している。各国で段階的に経済活動の再開が進められているが、

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日本ゼオン 人事(1日)

2020年7月3日

[日本ゼオン・人事](1日)▽部材品質保証部長村中豊▽高機能樹脂販売部長和智謙一郎▽オプテス代表取締役井上俊弘▽RIMTEC社長中山高志。

出光興産 人事(6月17日)

2020年7月3日

[出光興産・人事](6月17日)▽三重石商事社長高篠和弘(6月23日)▽若松ガス社長小山征弘(6月25日)▽新潟石油共同備蓄取締役総括部長兼総務部長樋口靖▽同社環境安全部長兼環境安全課長久保靖(6月26日)▽ソーラーフロンティア監査役谷口雅春。

東ソーなど 東大に次世代ジルコニア関連の講座を開設

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2020年7月3日

 東ソー、東京大学大学院工学系研究科、ファインセラミックスセンター(JFCC)、ワールドラボの4者はこのほど、東京大学に「次世代ジルコニア創出社会連携講座」を設置したと発表した。なお、設置期間は5年間(2020年7月1日~2025年6月末)で、費用は7億1800万円を見込んでいる。

 最先端ナノ構造解析と新規焼結体開発を担う東京大学と、粉末開発製造を行う東ソーに加え、卓越したセラミックス計算材料科学技術を持つJFCC、高度なセラミックス組織制御技術を有するワールドラボとの協業により、従来のセラミックス素材の概念を覆す、ジルコニアセラミックスの飛躍的な特性向上実現と、その技術分野を支える人材育成を目指す。

 ジルコニアは様々な分野で実用化されているが、その機能発現のメカニズムには未解明点が多く残されており、材料特性を決める因子を解明し、原子レベルから組織を制御することで飛躍的に機能が向上する可能性がある。この社会連携講座では、最先端の電子顕微鏡・計算材料科学・焼結技術を駆使してジルコニアの本質を理解し、その知識を応用して機能を極限にまで高める研究を行う。

 具体的にはジルコニアの持つ強くてしなやかな力学特性、柔軟な加工性、固体でありながら酸素イオンを通すイオン伝導性、高い屈折率から生まれる高透光性の4つの特性を追求。これにより金属並みの力学特性と加工性、新たなクリーンエネルギーのための超高速イオン伝導性、新たな光学材料開発のための高透光性を実現させ、加えてそれらの機能を融合させることでジルコニアの新展開を狙う。同時に、高度な材料開発研究が推進できる有能な人材の育成・輩出により、社会の諸課題の解決に向けた技術開発を加速し、持続可能型未来社会の実現に貢献していく考えだ。

 東ソーは、世界で初めて高純度ジルコニア粉末を工業化し、各種構造部材、審美性に優れる歯科材料など様々な用途への利用を進めることで、ジルコニア市場形成進展に寄与してきた。また、東京大学と東ソーは、過去20年にも及ぶ共同研究を実施し、ジルコニアの本質である結晶相変態機構の解明、画期的な超高耐久性ジルコニア焼結体の開発など世界に先駆けて多くの成果を挙げている。

東ソー 次世代ジルコニア