ブルーイノベーション ドローンの屋内自動飛行可能に

,

2019年7月9日

 ドローンを活用したサービスを展開するブルーイノベーションはこのほど、屋内で自動飛行・手動飛行が行えるインドアフライトプラットフォーム「エイミー」を開発した。

 用途に合わせて自由にソリューションを選択するカスタマイズが可能で、ゲーム感覚の操作しやすいユーザインタフェースになっている。天井または床面にマーカーを貼るだけで、室内のどこでも自動飛行できる。

 アプリではゲーム感覚のインタフェースで簡単に操作でき、業界ナンバーワンの正確・高精度な自己位置精度(プラスマイナス1cm)を実現した。

 時刻設定による自動離陸が可能で、飛行エリアと飛行ルートは、専門的な知識がなくてもアプリから簡単に設定できる。自動飛行をさせたいタイミングは時間や日付、曜日など、さまざまなパラメータで指定でき、自動飛行時にエラーが発生した場合は緊急停止する。

 リアルタイムで映像確認・位置確認・フライトログ(飛行経路)を取得できるため、過去のフライトログから映像と位置情報の同時確認が行える。機体が着陸すると同時に、撮影動画を自動でサーバーにアップロードする。空撮や測量、農業などの分野でドローンの実用化が進み、作業効率を飛躍的に向上させている。

 一方、今後は、特に屋内での点検・警備・物流におけるドローン活用に注目が集まっている。しかし、GPSの援用を受け、屋外で自動飛行する従来のドローンが屋内で自動飛行するには、GPS以外のセンサによる自己位置推定技術が必要だ。

 同社では、スイスのフライアビリティ社と連携し、手動飛行によるドローン「エリオス」を活用した屋内点検サービスを提供したり、大成・NTT東日本と共同で、マーカーや電波を使い、自動飛行を実現した屋内警備用ドローンのサービス「Tフレンド」を開発し提供したりしてきた。

 一方で、「エリオス」「Tフレンド」は特化したソリューションで、倉庫内の在庫管理や棚卸、倉庫内・工場内・商業施設内の警備といったソリューションには適用できない課題があった。

 そこで、新たにインドアフライトのプラットフォーム「エイミー」を開発した。

 

コベストロ 社内アイデアから新規事業、最終選考に6件

,

2019年7月9日

 コベストロが社内のアイデアから新規事業を創出する、2019年「スタートアップ・チャレンジ」が佳境を迎えている。

 グローバルで募集した新規事業のアイデアの上位6件が選ばれ、各チームは最終選考に向けて準備を進めている。6チームのアイデアは、サーキュラー・エコノミーのさらなる発展と強化にポイントを置く。

 事業アイデアの1つに、プラスチック廃棄物を利用して発電するものがある。これは、海洋プラスチック汚染対策であると同時に、発展途上国の多くの人々が電力を利用できるようにするアイデアだ。また、清潔な飲料水と安全な衛生施設を提供する、持続可能な方法についての研究もある。この研究では、革新的なポリウレタン技術を使い、水汚染を防止することが考えられている。

 その他のアイデアは、リサイクル可能な輸送用梱包材、CO2を主成分とすることでより分解しやすく、より持続可能な洗浄剤など、資源効率をテーマとして扱っている。

 優勝者は10月にデュッセルドルフで開催される「K2019(国際プラスチック・ゴム産業展)」で選出される予定。優勝チームには最長1年間の専念期間が与えられ、社内ベンチャーを立ち上げるための開業資金として、最高100万ユーロが支給される。

 第1回の優勝チームは、アイデアを実現するために必要な体制とリソースをすでに確保している。この「ゴー・クリア」プロジェクトは、塗料・接着剤・スペシャリティーズ事業の研究部門とは切り離された社内ベンチャー。

 その目的は、清潔で安全、効率性の高い自動車用塗装の新技術を開発し、関連するプロセスの時間を短縮することで、塗装工場での時間と費用を削減すること。現在は技術開発段階で、目的達成に向け様々な原料と生産工程の試験を行っている。年末にはパイロットカスタマーによる技術試験を実施する予定だ。

 コベストロはスタートアップ・チャレンジを通じて、約1万7000人の社員の創造性を高め、起業家精神の向上と、素晴らしい事業アイデアを発掘することを目指している。

豊田通商 タイで自動車のリサイクル実証事業を受託

, ,

2019年7月9日

 豊田通商はこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「アジア省エネルギー型資源循環制度導入実証事業」のテーマの1つとして「タイ王国で発生する使用済自動車の効率的かつ適正な資源循環システム構築」に対し、6月12日に、NEDOより正式に受託した。同実証事業は、NEDOとタイ工業省(MOI)、工業団地公社(IEAT)の間で2月にMOUが締結されている。

 タイでは、2010年頃からの急激な自動車の販売台数増加に伴い、使用済自動車(ELV)の急増が予測されている。しかしELVを適正に処理するインフラが整備されていないため、フロンの大気放出による地球温暖化や廃油・廃液による土壌汚染・水質汚濁といった環境被害が懸念されている。

 また、タイでは日本の「自動車リサイクル法」のようなELVに特化した規制、許可に関する法制度が整備されておらず、本格的にELVが発生する前に、制度・技術の両面でELVを適正に処理するためのインフラ整備など、対策を講じることが大きな課題となっている。

 豊田通商は、実証事業として、タイにおけるELVの適正処理に関する制度設計の検討を行い、①フロン回収などの有害廃棄物に対する環境に配慮した解体工程の確立②日本より解体専用重機を導入し解体作業効率を向上③国内ではリサイクルできない有用金属を日本の技術で資源化することでELV1台当たりの付加価値を上げる、といった技術を導入する。

 田通商は、環境配慮と経済効率性を両立させた資源循環システム構築を実証し、また「トヨタ環境チャレンジ2050」への活動をサポートしていく。

大日本印刷など 電波透過型断熱ボックスを共同開発

, ,

2019年7月9日

 大日本印刷(DNP)はこのほど、独・va‐Q‐tec AG社と、ボックスを開けることなく、中に入っている製品に貼付されたICタグの情報や温度センサーを外から読み取ることで、ボックスの内容物の確認や温度管理ができる電波透過型の断熱ボックスを共同で開発した。両社は2020年に、この電波透過型断熱ボックスを、適切な温度管理が求められる医薬品などの輸送用に発売する。

 医薬品の卸会社などは、卸センターから支店、支店から薬局に製品を輸送する際、内容物の確認を行っている。医薬品などは運搬時に指定温度を確保する必要があるため、断熱性の高い輸送用のボックスを利用するが、従来の断熱ボックスは、水蒸気や酸素などを通しにくいアルミなどの金属を蒸着したフィルムを含む真空断熱パネルを使用しており、その金属が電波を遮断してしまうため、ICタグや温度センサーの無線通信での読取りができなかった。

 そのため、内容物の確認のために断熱ボックスを開けなければならず、内部の温度をいかに維持するかという課題があった。こうした課題を解決するため両社は、DNPがエレクトロニクス分野や産業用途で培った水蒸気や酸素などへの高いバリア性をもつ「DNP透明蒸着フィルムIB‐Film」や真空断熱パネルで培ったノウハウを活用し、va‐Q‐tecが真空断熱ボックス技術を活用することで、電波の透過を可能にして、ICタグや温度センサーの無線通信を利用できる断熱ボックスを開発。

 中に入れる全ての医薬品に貼り付けたICタグの情報を外から読み取ることで、その都度断熱ボックスを開けることなく内容物やボックス内の温度が確認できるため、医薬品の品質安定とすり替えなどの偽薬防止対策に活用できる。

 今後、両社は、医薬品卸会社など輸送時に適切な温度管理を必要とする用途向けに電波透過型断熱ボックスを販売し、2020年度に年間で10億円の売上を目指す。

JSR 米国の新工場で最先端半導体向け機能性洗浄剤を増強

,

2019年7月9日

 JSRは8日、米国連結子会社であるJSR Micro,Inc.の最先端半導体向け機能性洗浄剤の製造能力増強のため、米国オレゴン州に新規工場の建設を開始したと発表した。投資金額は約100億円で、2020年の稼働開始を予定している。

 近年、最先端の半導体製造プロセスの複雑化に伴い機能性洗浄剤の重要性が高まり、その需要も増加している。同社は、先進的な機能性洗浄剤による半導体材料事業のポートフォリオ拡大と、顧客満足度の向上という観点から、米国オレゴン州に建設用地を取得し、新規工場を建設する。

 これにより現地生産体制および品質保証体制を拡充し、高品質な製品を提供する。また、最先端半導体材料製造の更なる拡張スペースを有しており、北米製造拠点として位置付けていく。

 JSRグループは、今後も革新的かつ高品質な価値ある製品やサービス、技術を提供し、デジタルソリューション事業の拡大を進めていく考えだ。

NEDO 機能性化学品の生産で連結フロー合成法に着手

,

2019年7月8日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、多品種の機能性化学品生産に対応する、オンデマンド型連続精密生産プロセスの構築に着手した。

 高性能な触媒と省エネルギーな分離精製法について研究開発を進め、大幅な省エネルギーと、廃棄物排出量やコストの削減が見込める革新的生産プロセスを実現するとともに、海外に依存している機能性化学品生産の国内回帰を目指す。

 具体的には、機能性化学品の分野で、従来主流の生産方式であるバッチ法から、日本が強みをもつ不均一系触媒(=固体触媒)の技術を用いた省エネルギーで効率的な連結フロー合成法への転換を図る。

 原料を投入する固体触媒を充填した反応モジュールと、生成物を取り出す分離・精製モジュールを連続的に組み合わせることで、生産プロセスを一連の工程にして自動制御する。必要に応じてモジュールを組み替えれば、多種多様な機能性化学品の製造が可能になる。

 これにより、触媒との分離操作が不要になるなど、分離・精製に要するエネルギーが減少し、オンデマンドで必要な量の製品が無駄なく生産可能となる。

 機能性化学品は、有機化学品や合成樹脂、香料や溶剤といった中間化学品。樹脂・ゴム成形品、化学肥料・農薬、電子材料など、機能性材料の原料となるため、多くの最終化学品や製品の付加価値を高める重要な生産物に位置づけられる。同プロジェクトを通じ、日本の化学産業の競争力強化を推進していく。

 委託予定先は、産業技術総合研究所、東京理化器械、東和薬品、富士フイルムと東京大学。事業期間は2019年度から2025年度。初年度の事業予算は2億円となっている。

 

 

BASF 高純度PESUを英の水処理装置会社が採用

, ,

2019年7月8日

 BASFはこのほど、「ウルトラゾーンE6020P」が、英国ロンドンの水処理装置メーカーのペンテェア社に採用されたと発表した。

 ペンテェア社は同製品を使用して、病院や保健所、ホテルなどの公共施設向けのろ過システム用クロスフロー膜を製造する。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のような、UF(限外ろ過)膜に一般的に使用される他の材料とは対照的に、「ウルトラゾーンE6020P」は、高流量と狭い孔径分布を持つ。

 これにより、UF膜は飲料水の基準に合わせ、寄生虫・細菌・ウィルスまで確実に除去するため、ろ過後に飲料水をさらに過塩素化する必要がなく、深刻な健康問題につながる、水道管内のレジオネラ菌やシュードモナス菌などの病原性水系細菌の汚染を防ぐ。

 「ウルトラゾーンE(ポリエーテルスルホン=PESU)」は、ゲルとオリゴマーの含有量が少ない、安定的な膜製造プロセスを確実にする高純度材料。

 酸や次亜塩素酸ナトリウム、カセイソーダなどに対する耐薬品性に優れているため、汚れにくく洗浄も容易だ。繊細な細孔構造を損なうことなく、過熱蒸気(134℃)、エチレンオキシド、ガンマ線による反復滅菌ができる。劣化することなく、広いpH範囲(0~13)で使用できる。

 米国食品医薬品局(FDA)と欧州の反復使用時の食品接触に関する基準に準拠しており、飲料水向けだけでなく、食品加工用途にも使用可能。幅広い用途に向けて、「E6020P」のほか、「E2020P」「E7020P」などのラインアップを揃えている。

 ペンテェア社は「E6020P」だけでなく、上流から下流までの給水ライン全体、特に公共施設の配水システムに使用されている原水膜や、病院の感染対策用の特定用途向けのフィルターなど、幅広いクロスフロー水処理にBASFの「ウルトラゾーンE」を採用している。

ランクセス ブラジルで高性能プレポリマーの製造を開始

,

2019年7月8日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスはこのほど、ブラジルのポルトフェリース拠点で高性能プレポリマーの製造を開始したと発表した。

ブラジルのウレタン製造拠点
ブラジルのウレタン製造拠点

 同社のウレタンシステムズ(URE)ビジネスユニットは、ブラジルと南米市場への取り組みに注力しており、これによりプレポリマーの製造能力の拡大を図るだけでなく、同拠点の最先端の研究室で用途開発と技術サービスを提供することになる。

 UREビジネスユニットは、キャストエラストマーと塗料、接着剤、シーラントの専門知識を持ち、世界のポリウレタン業界に製品を提供するシステムプロバイダー。ポートフォリオには、従来のウレタンプレポリマーと低遊離イソシアネートプレポリマー、特殊水系ポリウレタン分散剤(PUD)が含まれる。

 また、顧客のニーズを満たす完全なシステムを設計するため、キャストエラストマー向けの触媒と硬化剤、塗料、接着剤、シーラント向けの技術を提供している。

 特に溶媒フリー、モノマーフリープレポリマーシステム、使いやすいブロックド架橋剤に重点を置いており、ブラジルや米国、インド、中国、オーストラリア、イタリア、英国などの主要経済地域で、製造施設と用途開発センターを運営している。

大日本印刷 環境配慮パッケージでCO2削減2500tを突破

,

2019年7月8日

 大日本印刷(DNP)は5日、環境配慮パッケージの出荷を通してCO2排出量を2500t以上削減したと発表した。

 同社が開発した「DNP植物由来包材バイオマテック」の、2018年度の1年間の出荷量からCO2削減量を算定したところ、石油由来の包材を使用した場合に比べ、CO2排出量が2500t以上減少したという結果を得た。これは、17万8000本のスギなどの森林が1年間で吸収するCO2量に相当するという。

 同社は、「持続可能な原料調達」「CO2の削減」「リサイクルの推進」という3つの価値を起点に、循環型社会の実現を目指しており、環境負荷の低減につながるパッケージシリーズ「GREEN PACKAGING」を展開している。

 同シリーズの柱の1つが、「DNP植物由来包材バイオマテック」シリーズ。サトウキビから砂糖を精製した際の副産物(廃糖蜜)やトウモロコシなど、植物由来原料を一部に使用することで、石油資源の使用量を削減する。

 植物は生育の過程で、光合成の際にCO2を空気中から取り込むため、パッケージ使用後の焼却時に出るCO2と相殺することが可能(カーボンニュートラル)で、製品のライフサイクル全体でのCO2削減に有効だ。

 同製品は、石油由来のプラスチックフィルムと同等の物性を持ち合わせており、食品や日用品など誰もが手に取る商品に使用できることから、石油由来のプラスチックフィルムと比べて、CO2排出量を製品のライフサイクル全体で約10%以上削減する。

 DNPは、2010年に「バイオマテックPEフィルム」を、2012年に「バイオマテックPETフィルム」を開発するなど、ラインアップを増強している。同シリーズの拡販でさらに環境配慮を進め、2020年度には5000t以上のCO2削減を目指す。

 

 

 

丸紅 再生可能エネルギー売買のためオークションPF開発事業に参入

, ,

2019年7月8日

 丸紅は5日、今月1日に、再生可能エネルギーを売買するためのオークションプラットフォームを開発するWePower UAB社(WePower社)との間で、普通株転換権付融資拠出に関わる契約書を締結したと発表した。

 WePower社は、2017年にリトアニア共和国で設立されたスタートアップ企業。ブロックチェーン技術を活用し、再生可能エネルギーの調達を望む法人消費顧客と、再生可能エネルギー発電事業者をオークション形式でマッチングすることにより、容易に電力売買契約の締結を可能とするプラットフォームを開発している。

 現状は契約締結までにさまざまな手続きを経るため、長い時間と弁護士費用などのコストが発生するが、このプラットフォームにより、法人消費顧客は電力消費量の多寡にかかわらず、短期間で安価な再生可能エネルギーを調達でき、また、将来的な需要変動時に購入した余剰分を売却するなど、より柔軟な電力調達が可能になる。

 一方、発電事業者は、昨今期限終了の動きが進んでいる固定価格買取制度などの再生可能エネルギー振興策に代わる、安定した収入を確保することができる。

 現在、WePower社は、多数の再生可能エネルギー案件の開発が見込まれる豪州での事業化に注力しているが、今後は豪州以外の地域へのビジネス拡大も検討。

 丸紅は、世界各国に有する発電事業や電力小売事業、電力業界・市場に関する知見を活用し、WePower社のビジネスモデルの世界展開を後押しすることで、再生可能エネルギーの普及に貢献していく。近年電力業界でも、WePower社のようなスタートアップ企業が革新的なサービスを創出している。

 今後も丸紅は、スタートアップ企業との連携を積極的に検討し、業界における既存の枠組みを超えて、社会課題の解決につながる新たな価値創造を目指す。