宇部興産 抗血小板剤の効能追加、一部変更承認を国内申請

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2020年12月16日

 宇部興産は15日、第13共との共同研究開発により創製した抗血小板剤「プラスグレル塩酸塩」について、第13共が脳梗塞再発抑制の効能追加に係る国内での医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表した。同申請は、血栓性脳梗塞患者を対象とした国内第3相臨床試験(PRASTRO-Ⅲ試験)の結果および虚血性脳血管障害患者を対象とした国内第3相臨床試験(PRASTRO-Ⅰ、PRASTRO-Ⅱ試験)などの結果に基づくもの。

 「プラスグレル」は、両社が創製した経口抗血小板剤であり、経皮的冠動脈形成術が適用される虚血性心疾患患者に対し、早期から維持期にかけて安定した抗血小板作用と、優れた心血管イベント抑制効果を示すことが国内および海外の臨床試験で確認されている。また、日本国内では両社が共同開発し、2014年に虚血性心疾患患者に対する適応を取得。

 一方、海外については、2009年に欧米での経皮的冠動脈形成術を施行した急性冠症候群患者の、アテローム血栓性イベント抑制を適応症として承認を取得し、世界各国で発売されている。両社は、脳梗塞患者へ新たな治療の選択肢を提供できるよう取り組んでいく考えだ。

JSR 米国内にKBIのバイオ医薬品製造施設を新設

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2020年12月7日

 JSRの米グループ企業であるJSR Life Sciences(カリフォルニア州)はこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託を行うグループ企業のKBIバイオファーマが、米国ノースカロライナ州のリサーチ・トライアングル・パーク(RTP)に最先端のバイオ医薬品の商用生産施設を建設すると発表した。

 今回の施設には、大手製薬会社の出資が決定しており、KBIは同大手製薬会社のバイオ医薬品の製造を支援する。それと同時に、KBIの既存および新規顧客向けの製造拠点としても活用される。

 新施設の面積は14万平方フィートで、1億5000万ドルが投資され、2022年第1四半期中に稼働を開始する予定。今回の事業拡大により、受託製造と品質保証業務での200人以上の技術者の雇用創出が見込まれている。

 新施設には、最大6基の2000リットルシングルユース培養槽と、それに付随する回収および精製装置が含まれ、年間百以上の商用バッチの製造が可能になる。KBIは、製造事業と並行して、高度な分析サービスを採用することで、顧客の商用製品の特性評価や出荷試験までをトータルサービスとして提供し、市販製品の発売や供給をサポートする。なお、今回の新施設は10月にKBIが発表したスイス・ジュネーブに新設される製造施設に続く大規模な施設拡張となる。

 

帝人ファーマ A型ボツリヌス毒素製剤の販売を開始

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2020年12月7日

 帝人ファーマは4日、脳卒中の後遺症の1つである上肢痙縮の治療薬としてA型ボツリヌス毒素製剤「ゼオマイン筋注用 50単位、100単位、200単位」(一般名:インコボツリヌストキシンA)の販売を開始すると発表した。

 同社は、これまで骨粗鬆症治療剤などの医薬品や、超音波骨折治療器などにより、筋骨格系疾患に対するソリューションを提供し、また、脳卒中後遺症などによる運動機能障害の改善を支援するリハビリ用として、歩行神経筋電気刺激装置や上肢用ロボット型運動訓練装置などの製品を展開してきた。こうした中、2017年に独・メルツ社から、同剤の日本国内での共同開発・独占販売権を取得し、上肢痙縮の新たな治療選択肢を目指して開発を推進。そして、今年6月に製造販売承認を取得し、11月に薬価収載となり、今回の販売開始に至った。

 適応症である上肢痙縮は、主に脳卒中の後遺症として、上肢の筋緊張の増加や伸張反射の興奮性亢進により生じる上位運動ニューロン症候群の1つ。主な症状は、運動麻痺、屈筋反射亢進、病的反射出現、知覚障害などで、患者が日常生活をする上で動作の妨げとなる。

 上肢痙縮の治療には、リハビリテーション、経口筋弛緩剤、A型ボツリヌス毒素製剤療法を含む神経ブロック療法などある。「ゼオマイン筋注用」は、末梢のコリン作動性神経終末に作用し、神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を阻害することで随意筋の筋力を弱め、筋緊張状態を緩和する。特徴として、ボツリヌス菌により産生されるA型ボツリヌス毒素から複合タンパク質を取り除き、神経毒素のみを有効成分としていることで、中和抗体の産生により効果が減弱する可能性の低下が期待される。国内第Ⅲ相臨床試験では、手関節の屈曲のMASスコアに有意な改善が認められている。

 同社は今後も、アンメットニーズの高い疾患に対して新たな治療選択肢を提供することにより、患者のQOL向上に貢献していく。

 

東ソー 新型コロナウイルス抗体検出試薬の販売を開始

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2020年12月3日

 東ソーは2日、同社の全自動化学発光酵素免疫測定装置「AIA-CL2400」および同等機種向けの専用試薬として、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のヌクレオカプシドタンパク質に対する抗体を検出できる研究用試薬「NP-Total抗体試薬」「NP-IgG抗体試薬」2種の販売を始めたと発表した。

抗体検出試薬「NP-IgG」
抗体検出試薬「NP-IgG」

 両試薬とも試薬調製が不要なため、15分という短時間で結果報告が可能であることから、同社では「新型コロナウイルス感染症の基礎的、臨床的研究に貢献できる」との期待感を寄せている。

 同研究用試薬の開発は、日本医療研究開発機構(AMED)の令和2年度ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究支援)の補助を受け、横浜市立大学、関東化学と共同で実施した。東ソーは現在、横浜市大をはじめ外部機関の協力を得て、「AIA-CL」装置向けの新型コロナウイルス抗原検査試薬の開発にも取り組んでおり、今後も研究現場と医療現場への貢献を目指していく。

富士フイルム 新型コロナ感染症向け抗体医薬原薬の製造を受託

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2020年11月12日

 富士フイルムはこのほど、子会社のバイオ医薬品開発・製造受託会社(CDMO)フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)が米国イーライ・リリー社開発の新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)向け抗体医薬品の原薬製造を受託したと発表した。来年4月よりデンマーク拠点で製造を開始し、低中所得国への抗体医薬品の普及に貢献する。

 FDBは30年以上の受託実績と高度な生産技術・最新設備をもつバイオ医薬品CDMOで、ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセスを開発し、少量生産から大量生産、原薬から製剤・包装までの製造受託に対応する。

 同社はビル&メリンダ・ゲイツ財団がウェルカム財団やMastercardとともに4月に立ち上げたCOVID-19治療推進プロジェクトが開発・製造を支援するCOVID-19治療薬のグローバル供給のパートナーとして、デンマーク拠点の一定の製造能力を確保。今回、同プロジェクトとイーライ・リリー社間の抗体医薬品の開発・製造支援合意に従い、FDBは同医薬品の商業生産に必要な原薬の製造を開始する。

 FDBのデンマーク拠点は、20kl動物細胞培養タンク6基などの大量生産設備に加え、約1000億円をかけて大型培養タンクの増設、製剤ラインの新設、包装ラインの拡張で原薬の生産能力を倍増する。

 同社はCOVID-19ワクチンや治療薬の開発が進展する中、顧客ニーズに合った高品質なバイオ医薬品を迅速かつグローバルに供給し、COVID-19の感染拡大の抑止や流行の終息に貢献していく考えだ。

 

富士フイルム 英拠点に遺伝子治療薬専用の開発・製造施設新設

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2020年11月4日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託事業(CDMO)をさらに拡大するため、バイオ医薬品CDMOの中核会社フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)の英国拠点に設備投資を行い、遺伝子治療薬専用のプロセス開発・原薬製造施設を新設すると発表した。来年春に生産プロセス開発、同年秋に原薬製造の受託を開始する予定。遺伝子治療分野の受託ビジネスを米国市場から欧州市場にも拡大し、事業成長を加速させる考えだ。

 遺伝子治療薬は、疾患原因となる遺伝子をもつ患者にウイルスなどを利用して外部から正常な遺伝子を導入して治療する、最先端のバイオ医薬品。製造には複数の遺伝子を細胞に導入する高度なバイオテクノロジーやウイルスの封じ込め技術・設備、製造に最適なプロセス開発が必要になる。優れた技術・設備をもつCDMOに遺伝子治療薬の生産プロセス開発と製造の一括委託のニーズが高まり、需要も伸びている。

 富士フイルムは2014年に米国市場で遺伝子治療薬のプロセス開発・製造受託ビジネスを開始。ビジネス拡大のためFDBの米国テキサス拠点に遺伝子治療薬専用のプロセス開発棟新設と製造設備増強を進め、来年には生産プロセス開発から原薬製造、製剤化までをワンストップで受託できる体制が整う。

 今回、欧州市場への展開のため、FDBの英国拠点に専用のプロセス開発・原薬製造の施設を新設する。細胞培養・精製のプロセス条件の実験・分析機器や細胞培養タンクなどの導入と、FDBテキサス拠点の遺伝子治療薬のプロセス開発ノウハウや製造技術も投入。生産プロセス開発から初期臨床試験用治験薬の原薬製造まで、顧客の新薬の早期開発を支援する。さらに、現地の受託要請や顧客の新薬開発の進展に応じて大量生産に必要な原薬製造設備の増強も検討していく。

 今後、富士フイルムはFDBの英国とテキサス両拠点の設備を活用し、遺伝子治療薬の開発・製造受託ビジネスを拡大していく考えだ。

デンカ 診断キットの変更承認、ウイルスを同時に診断

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2020年11月2日

 デンカは30日、インフルエンザウイルス抗原診断キット「クイックナビ‐Flu2」の製造販売承認事項一部変更承認を厚生労働省より同日付で受けたと発表した。

 今回の承認により、日本感染症学会からの提言で推奨されている新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時検査を行う際に、鼻腔ぬぐい液も共用できることが明確化され、一般の医療機関での検査体制拡充が期待される。

 また、鼻腔ぬぐい液については、「クイックナビ‐Flu2」についても、「クイックナビ‐COVID19 Ag」と同様に、医療従事者の管理の下、受診者による検体採取が可能となった。これにより、医療従事者の感染リスクがさらに低減され、受診者の負担も軽減される。これら一部変更承認は販売提携先の大塚製薬から販売される製品にも適用される。

 デンカは感染症への対策を社会的責務と捉え、今後も関係官庁や公的機関、国内外の研究機関の協力と支援により、様々な角度から研究開発を進め、医療現場のニーズに応える予防・検査体制の拡充に貢献することで、人々のQOL向上に寄与していく考えだ。

インフルエンザウイルス抗原迅速診断キット 一部変更承認
インフルエンザウイルス抗原迅速診断キット 一部変更承認

 

富士フイルム 新型コロナワクチン候補の製造受託契約を締結

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2020年10月30日

 富士フイルムはこのほど、バイオテクノロジー企業VLPセラピューティクスジャパン(京都市中京区)と同社開発の新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)ワクチン製剤の製造受託契約を締結したと発表した。

 VLPセラピューティクスジャパンの親会社VLPセラピューティクス(米国メリーランド州)は、有効な治療法のない感染症予防のための次世代ワクチン開発に取り組み、自己増殖RNA(レプリコン)を用いた少量接種で高効果、副作用リスクの低減、一部遺伝子変異にも対応する次世代COVID‐19ワクチンの研究を進めている。

 日本でのワクチン開発に向け、日本医療研究開発機構が公募した令和2年度「COVID‐19に対するワクチン開発」に採択。国立国際医療研究センター、医薬基盤・健康・栄養研究所、大分大学および大阪市立大学と共同で、同ワクチンの臨床開発を行う予定だ。富士フイルムは脂質ナノ粒子製剤の製造設備・インフラを生かし、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術である脂質ナノ粒子を使った、有効成分レプリコンを内包する製剤のプロセス開発と治験薬製造を行う。

 今年3月に脂質ナノ粒子製造装置の開発・製造・販売のリーディングカンパニーPrecision NanoSystems社(カナダ、PNI)と戦略的パートナーシップ契約を締結し、富士フイルム富山化学の最新鋭「701工場」にPNI社製の脂質ナノ粒子製造装置を導入した。PNI社の強固な顧客基盤などを組み合わせて、次世代医薬品として期待される核酸医薬品、RNAなどを有効成分にした次世代ワクチンのプロセス開発・製造受託ビジネスを推進。開発した生産プロセスを利用して治験薬を製造する。

 富士フイルムは、アンメットメディカルニーズに応える新薬開発を進めるとともに、DDS技術や製造設備・インフラなどを活用した医薬品創出の支援を通じて、医薬品産業のさらなる発展に貢献していく考えだ。

グンゼ 静脈用血管再生基材が米国で臨床試験開始

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2020年10月16日

 グンゼはこのほど、ネーションワイド・チルドレンズ病院(NCH、米国オハイオ州コロンバス市)に提供している静脈用血管再生基材を使用した小児心臓血管手術が病院主導による治験試験に入ったと発表した。

「静脈用血管再生基材」外観
「静脈用血管再生基材」外観

 先天的な病気「単心室症」には非吸収性人工血管を使用したバイパス手術が行われるが、生体部分の成長に追随せず数度の人工血管交換の開胸手術を必要とする上、人工血管の詰り防止のために抗凝固薬を飲む必要があり、患者への負担と小児が思う存分遊べないなど、クオリティーオブライフ(QOL)に課題がある。

 その解決に向け、NCHの新岡俊治博士とクリストファーブリューワー博士は同社の吸収性医療機器製造技術を活用した「自己細胞を使った再生血管(TEVG)」を開発し、FDAの治験承認を昨年受けた。単心室症は希少疾患であり商業化は困難であるが、同社CSV経営のマテリアリティ(重要課題)「QOLの向上への貢献」に従い、同病院主導の治験により実用化を目指すことを決定した。

 静脈用血管再生基材は同社の「生体内吸収性材料」と「縫製技術」による筒状物で、そこに患者の骨髄細胞を転移させて人工血管を形成。心臓血管バイパスとして埋め込んだ後約6カ月で血管再生基材は吸収され、患者自身の組織で血管として再生する。先行試験で、再生血管は患者の成長に追随することを確認。その後の手術の回避や日常生活の制約は減り、QOL向上につながった。

 今後、同臨床試験で安全性・有効性の確立・確認を進めるとともに、販売体制の確立に努め、年間売上高4億円を目指す。また「生体内吸収性材料」「繊維・高分子加工技術」の強みを生かし、生体の能力を生かした医療機器、低侵襲治療に対応する医療機器、再生医療用基材など、QOL向上に資する製品の研究開発を進める考えだ。

中外製薬 コロナ肺炎患者、アクテムラが人工呼吸器率を低下

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2020年10月15日

 中外製薬はこのほど、親会社であるロシュ社が第Ⅲ相EMPACTA試験で主要評価項目を達成したと発表した。

 新型コロナウイルス感染症関連肺炎患者について、「アクテムラ(トシリズマブ)」と標準的な医療措置を受けた患者では、プラセボと標準的医療措置を受けた患者と比較し、人工呼吸器の使用または死亡に至る可能性が44%低下したことを示した。投与開始28日目までに人工呼吸器の使用まで進行、または死亡した患者の割合は、アクテムラ投与群で12.2%、プラセボ群では19.3%だった。

 EMPACTA試験では、「アクテムラ」に対する新たな安全性シグナルは確認されなかった。同試験は、通常、臨床試験に組み入れられず、新型コロナ感染症パンデミックによる影響を不平等に受けている患者集団を中心に組み入れた、初の新型コロナ感染症を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験。登録された389人の患者の約85%は少数派の人種・民族から構成され、大多数がヒスパニック系で、アメリカ先住民と黒人が大半を占めている。試験は、米国、南アフリカ、ケニア、ブラジル、メキシコ、ペルーで実施された。

 EMPACTA試験は、医療サービスを十分に受けられていない人種や民族集団に対する臨床研究の障壁への対応を支援するため、ロシュ社が米国で組織横断的に取り組む「Advancing Inclusive Research」に基づいている。