デンカ 「アビガン錠」原料供給プロジェクトムービーを公開

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2021年1月20日

 デンカはこのほど、新型コロナウイルス感染症治療薬として期待される抗ウイルス剤「アビガン錠」の原料であるマロン酸ジエチル供給プロジェクトのムービー「マロン酸ジエチル生産再開への軌跡」(約8分)を同社ウェブサイトに公開した。社員が一丸となり、政府の要請から約6週間で、3年間停止していた設備を再稼働し供給に至るまでのストーリーを、臨場感あふれる動画で伝えている。

 同社は「マロン酸ジエチル」の国内唯一のメーカーで、「アビガン錠」の備蓄量拡大に必要な原料を迅速に供給し、新型コロナウイルス感染症の流行に際し医療物資の増産に取り組み国民生活の安定に大きく貢献した企業として、昨年末に経済産業大臣より感謝状を授与された。

 同社は新型コロナウイルス対策を社会的責務と捉え、新型コロナウイルス抗原迅速診断キットも開発し、昨年8月の発売以降全国の医療機関に供給し、検査体制の拡充に貢献している。今後も様々な角度から研究開発を進め、医療現場のニーズに応えるために予防・検査体制の拡充を通じて人々のQOL向上に貢献し、「真に社会に必要とされる企業」を目指す考えだ。

 

デンカ がん治療用ウイルスの製造販売承認を申請

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2021年1月19日

 デンカはこのほど、商用製剤生産技術の開発を進めてきたがん治療用ウイルス「G47Δ(デルタ)」が第13共により再生医療等製品製造販売承認申請されたと発表した。厚生労働省に製造販売が承認された後は、デンカが製造を行う予定だ。

 G47Δは、東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授が開発した単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)を遺伝子改変したがん治療用ウイルスで、全く新しいがん治療薬として期待される。膠芽腫(悪性脳腫瘍の一種)を対象とした第Ⅱ相臨床試験(医師主導治験)は、有効中止(臨床試験の途中で有効性が証明)という良好な成績で終了した。G47Δはウイルスそのものを製剤化するため、商用生産には大規模なウイルス製造方法や試験方法の確立が必要で、特別な技術と経験が必要だ。旧デンカ生研時代を含め、長年にわたりワクチンとウイルス検査試薬の開発・製造を行ってきた同社が、藤堂教授の委託を受けて製造技術開発を進めてきたもの。2016年には医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品として先駆け審査指定制度の指定を受け、申請後早期に再生医療等製品として承認されることが期待される。

 同社は、経営計画「Denka Value-Up」でヘルスケア領域を重点分野と位置づけ、インフルエンザワクチンや各種ウイルス抗原迅速診断キットなどの感染症領域に加え、がん領域でも様々な新規事業に取り組んでいる。G47Δをはじめ400以上のがん遺伝子に着目し、遺伝子変異を解析するパネル検査「CANCERPLEX」の国内事業化に向けた準備を進めている。今後も予防・診断・治療の各領域での製品の開発と製造を通じて、世界の人々のQOL向上に貢献していく考えだ。

富士フイルム バイオ医薬品CDMO事業、米に製造拠点を新設

2021年1月12日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託の事業成長を一段と加速させるため、米国にバイオ医薬品の大型製造拠点を新設すると発表した。投資規模は2000億円超になる。新拠点は、原薬の大量製造に加えて、拠点内で原薬製造に続く製剤化・包装までを一貫して受託できる「ワンサイト・ワンストップ」の体制を整備。2025年春に、バイオ医薬品CDMO(開発製造受託)の中核会社FDBの拠点として稼働する予定だ。

 バイオ医薬品の製造には、高度な生産技術と設備が必要とされるため、CDMOにプロセス開発や製造を委託するケースが増加している。同社は、FDBの米国(ノースカロライナ州・テキサス州)、英国、デンマークの4拠点で、バイオ医薬品の生産能力増強や高効率・高生産性技術開発の投資を積極的に行ってきた。

 こうした中、今回、世界最大のバイオ医薬品市場である米国のFDB拠点の近郊に大規模投資を行い、バイオ医薬品の大型製造拠点を建設する。新拠点には、FDBの米国内拠点として最大となる2万ℓ動物細胞培養タンクを8基導入。さらに今後、同サイズの培養タンクを最大32基まで拡張できる拠点とし、受注の増加にも対応していく。また、大型の製剤製造ラインや包装ラインを設置。年間3000万本以上の充填が可能な最新鋭の全自動型製剤製造システム、薬液が充填されたシリンジ(注射器)を多品種のオートインジェクターへ組み立て可能な装置、汎用性の高い自動ラベル貼付・梱包設備などを導入し、幅広い顧客ニーズに応えていく。

 同社は、バイオ医薬品市場で大きなシェアを占める米国・欧州で、「ワンサイト・ワンストップ」の受託体制を備えた大型製造拠点を構築し、2024年度にバイオCDMO事業で2000億円の売上を目指す。さらに、今回の設備投資が寄与する2025年度以降も、市場成長を大幅に上回る年率20%の成長率で事業を拡大していく。同社は、今後も高品質な医薬品の安定供給を通じて、医薬品産業のさらなる発展に貢献していく考えだ。

 

 

大日本住友製薬 米ファイザーと抗がん剤で共同開発を提携

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2021年1月7日

 大日本住友製薬はこのほど、米・連結子会社マイオバント・サイエンシズが、米ファイザー社との間で、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体阻害剤レルゴリクスについて、がん領域と婦人科領域における北米(米国、カナダ)での共同開発と共同販売に関する契約を締結したと発表した。マイオバント社はファイザー社に対し、がん領域について北米と一部のアジアを除く地域でのレルゴリクスの販売に関する独占的なオプション権を許諾する。

 同契約締結の対価として、マイオバント社はファイザー社より、契約一時金として6億5000万ドル(約670億円)を受領。さらに、配合剤の米国承認時マイルストンとして2億ドル(約210億円)、レルゴリクスの前立腺がんに係る売上収益、子宮筋腫と子宮内膜症に係る売上収益のそれぞれが25億ドルに達するまで段階的に支払われる販売マイルストンを加え、総額で最大42億ドル(約4350億円)を受け取る可能性がある。

 また、ファイザー社ががん領域での北米と一部のアジアを除く地域でレルゴリクスの販売に関するオプション権を行使した場合、マイオバント社はファイザー社から5000万ドル(約50億円)を受領し、売上収益に対して2桁台のロイヤリティを受領する。

宇部興産 抗血小板剤の効能追加、一部変更承認を国内申請

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2020年12月16日

 宇部興産は15日、第13共との共同研究開発により創製した抗血小板剤「プラスグレル塩酸塩」について、第13共が脳梗塞再発抑制の効能追加に係る国内での医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表した。同申請は、血栓性脳梗塞患者を対象とした国内第3相臨床試験(PRASTRO-Ⅲ試験)の結果および虚血性脳血管障害患者を対象とした国内第3相臨床試験(PRASTRO-Ⅰ、PRASTRO-Ⅱ試験)などの結果に基づくもの。

 「プラスグレル」は、両社が創製した経口抗血小板剤であり、経皮的冠動脈形成術が適用される虚血性心疾患患者に対し、早期から維持期にかけて安定した抗血小板作用と、優れた心血管イベント抑制効果を示すことが国内および海外の臨床試験で確認されている。また、日本国内では両社が共同開発し、2014年に虚血性心疾患患者に対する適応を取得。

 一方、海外については、2009年に欧米での経皮的冠動脈形成術を施行した急性冠症候群患者の、アテローム血栓性イベント抑制を適応症として承認を取得し、世界各国で発売されている。両社は、脳梗塞患者へ新たな治療の選択肢を提供できるよう取り組んでいく考えだ。

JSR 米国内にKBIのバイオ医薬品製造施設を新設

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2020年12月7日

 JSRの米グループ企業であるJSR Life Sciences(カリフォルニア州)はこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託を行うグループ企業のKBIバイオファーマが、米国ノースカロライナ州のリサーチ・トライアングル・パーク(RTP)に最先端のバイオ医薬品の商用生産施設を建設すると発表した。

 今回の施設には、大手製薬会社の出資が決定しており、KBIは同大手製薬会社のバイオ医薬品の製造を支援する。それと同時に、KBIの既存および新規顧客向けの製造拠点としても活用される。

 新施設の面積は14万平方フィートで、1億5000万ドルが投資され、2022年第1四半期中に稼働を開始する予定。今回の事業拡大により、受託製造と品質保証業務での200人以上の技術者の雇用創出が見込まれている。

 新施設には、最大6基の2000リットルシングルユース培養槽と、それに付随する回収および精製装置が含まれ、年間百以上の商用バッチの製造が可能になる。KBIは、製造事業と並行して、高度な分析サービスを採用することで、顧客の商用製品の特性評価や出荷試験までをトータルサービスとして提供し、市販製品の発売や供給をサポートする。なお、今回の新施設は10月にKBIが発表したスイス・ジュネーブに新設される製造施設に続く大規模な施設拡張となる。

 

帝人ファーマ A型ボツリヌス毒素製剤の販売を開始

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2020年12月7日

 帝人ファーマは4日、脳卒中の後遺症の1つである上肢痙縮の治療薬としてA型ボツリヌス毒素製剤「ゼオマイン筋注用 50単位、100単位、200単位」(一般名:インコボツリヌストキシンA)の販売を開始すると発表した。

 同社は、これまで骨粗鬆症治療剤などの医薬品や、超音波骨折治療器などにより、筋骨格系疾患に対するソリューションを提供し、また、脳卒中後遺症などによる運動機能障害の改善を支援するリハビリ用として、歩行神経筋電気刺激装置や上肢用ロボット型運動訓練装置などの製品を展開してきた。こうした中、2017年に独・メルツ社から、同剤の日本国内での共同開発・独占販売権を取得し、上肢痙縮の新たな治療選択肢を目指して開発を推進。そして、今年6月に製造販売承認を取得し、11月に薬価収載となり、今回の販売開始に至った。

 適応症である上肢痙縮は、主に脳卒中の後遺症として、上肢の筋緊張の増加や伸張反射の興奮性亢進により生じる上位運動ニューロン症候群の1つ。主な症状は、運動麻痺、屈筋反射亢進、病的反射出現、知覚障害などで、患者が日常生活をする上で動作の妨げとなる。

 上肢痙縮の治療には、リハビリテーション、経口筋弛緩剤、A型ボツリヌス毒素製剤療法を含む神経ブロック療法などある。「ゼオマイン筋注用」は、末梢のコリン作動性神経終末に作用し、神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を阻害することで随意筋の筋力を弱め、筋緊張状態を緩和する。特徴として、ボツリヌス菌により産生されるA型ボツリヌス毒素から複合タンパク質を取り除き、神経毒素のみを有効成分としていることで、中和抗体の産生により効果が減弱する可能性の低下が期待される。国内第Ⅲ相臨床試験では、手関節の屈曲のMASスコアに有意な改善が認められている。

 同社は今後も、アンメットニーズの高い疾患に対して新たな治療選択肢を提供することにより、患者のQOL向上に貢献していく。

 

東ソー 新型コロナウイルス抗体検出試薬の販売を開始

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2020年12月3日

 東ソーは2日、同社の全自動化学発光酵素免疫測定装置「AIA-CL2400」および同等機種向けの専用試薬として、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のヌクレオカプシドタンパク質に対する抗体を検出できる研究用試薬「NP-Total抗体試薬」「NP-IgG抗体試薬」2種の販売を始めたと発表した。

抗体検出試薬「NP-IgG」
抗体検出試薬「NP-IgG」

 両試薬とも試薬調製が不要なため、15分という短時間で結果報告が可能であることから、同社では「新型コロナウイルス感染症の基礎的、臨床的研究に貢献できる」との期待感を寄せている。

 同研究用試薬の開発は、日本医療研究開発機構(AMED)の令和2年度ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究支援)の補助を受け、横浜市立大学、関東化学と共同で実施した。東ソーは現在、横浜市大をはじめ外部機関の協力を得て、「AIA-CL」装置向けの新型コロナウイルス抗原検査試薬の開発にも取り組んでおり、今後も研究現場と医療現場への貢献を目指していく。

富士フイルム 新型コロナ感染症向け抗体医薬原薬の製造を受託

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2020年11月12日

 富士フイルムはこのほど、子会社のバイオ医薬品開発・製造受託会社(CDMO)フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)が米国イーライ・リリー社開発の新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)向け抗体医薬品の原薬製造を受託したと発表した。来年4月よりデンマーク拠点で製造を開始し、低中所得国への抗体医薬品の普及に貢献する。

 FDBは30年以上の受託実績と高度な生産技術・最新設備をもつバイオ医薬品CDMOで、ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセスを開発し、少量生産から大量生産、原薬から製剤・包装までの製造受託に対応する。

 同社はビル&メリンダ・ゲイツ財団がウェルカム財団やMastercardとともに4月に立ち上げたCOVID-19治療推進プロジェクトが開発・製造を支援するCOVID-19治療薬のグローバル供給のパートナーとして、デンマーク拠点の一定の製造能力を確保。今回、同プロジェクトとイーライ・リリー社間の抗体医薬品の開発・製造支援合意に従い、FDBは同医薬品の商業生産に必要な原薬の製造を開始する。

 FDBのデンマーク拠点は、20kl動物細胞培養タンク6基などの大量生産設備に加え、約1000億円をかけて大型培養タンクの増設、製剤ラインの新設、包装ラインの拡張で原薬の生産能力を倍増する。

 同社はCOVID-19ワクチンや治療薬の開発が進展する中、顧客ニーズに合った高品質なバイオ医薬品を迅速かつグローバルに供給し、COVID-19の感染拡大の抑止や流行の終息に貢献していく考えだ。

 

富士フイルム 英拠点に遺伝子治療薬専用の開発・製造施設新設

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2020年11月4日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託事業(CDMO)をさらに拡大するため、バイオ医薬品CDMOの中核会社フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)の英国拠点に設備投資を行い、遺伝子治療薬専用のプロセス開発・原薬製造施設を新設すると発表した。来年春に生産プロセス開発、同年秋に原薬製造の受託を開始する予定。遺伝子治療分野の受託ビジネスを米国市場から欧州市場にも拡大し、事業成長を加速させる考えだ。

 遺伝子治療薬は、疾患原因となる遺伝子をもつ患者にウイルスなどを利用して外部から正常な遺伝子を導入して治療する、最先端のバイオ医薬品。製造には複数の遺伝子を細胞に導入する高度なバイオテクノロジーやウイルスの封じ込め技術・設備、製造に最適なプロセス開発が必要になる。優れた技術・設備をもつCDMOに遺伝子治療薬の生産プロセス開発と製造の一括委託のニーズが高まり、需要も伸びている。

 富士フイルムは2014年に米国市場で遺伝子治療薬のプロセス開発・製造受託ビジネスを開始。ビジネス拡大のためFDBの米国テキサス拠点に遺伝子治療薬専用のプロセス開発棟新設と製造設備増強を進め、来年には生産プロセス開発から原薬製造、製剤化までをワンストップで受託できる体制が整う。

 今回、欧州市場への展開のため、FDBの英国拠点に専用のプロセス開発・原薬製造の施設を新設する。細胞培養・精製のプロセス条件の実験・分析機器や細胞培養タンクなどの導入と、FDBテキサス拠点の遺伝子治療薬のプロセス開発ノウハウや製造技術も投入。生産プロセス開発から初期臨床試験用治験薬の原薬製造まで、顧客の新薬の早期開発を支援する。さらに、現地の受託要請や顧客の新薬開発の進展に応じて大量生産に必要な原薬製造設備の増強も検討していく。

 今後、富士フイルムはFDBの英国とテキサス両拠点の設備を活用し、遺伝子治療薬の開発・製造受託ビジネスを拡大していく考えだ。