グンゼ 静脈用血管再生基材が米国で臨床試験開始

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2020年10月16日

 グンゼはこのほど、ネーションワイド・チルドレンズ病院(NCH、米国オハイオ州コロンバス市)に提供している静脈用血管再生基材を使用した小児心臓血管手術が病院主導による治験試験に入ったと発表した。

「静脈用血管再生基材」外観
「静脈用血管再生基材」外観

 先天的な病気「単心室症」には非吸収性人工血管を使用したバイパス手術が行われるが、生体部分の成長に追随せず数度の人工血管交換の開胸手術を必要とする上、人工血管の詰り防止のために抗凝固薬を飲む必要があり、患者への負担と小児が思う存分遊べないなど、クオリティーオブライフ(QOL)に課題がある。

 その解決に向け、NCHの新岡俊治博士とクリストファーブリューワー博士は同社の吸収性医療機器製造技術を活用した「自己細胞を使った再生血管(TEVG)」を開発し、FDAの治験承認を昨年受けた。単心室症は希少疾患であり商業化は困難であるが、同社CSV経営のマテリアリティ(重要課題)「QOLの向上への貢献」に従い、同病院主導の治験により実用化を目指すことを決定した。

 静脈用血管再生基材は同社の「生体内吸収性材料」と「縫製技術」による筒状物で、そこに患者の骨髄細胞を転移させて人工血管を形成。心臓血管バイパスとして埋め込んだ後約6カ月で血管再生基材は吸収され、患者自身の組織で血管として再生する。先行試験で、再生血管は患者の成長に追随することを確認。その後の手術の回避や日常生活の制約は減り、QOL向上につながった。

 今後、同臨床試験で安全性・有効性の確立・確認を進めるとともに、販売体制の確立に努め、年間売上高4億円を目指す。また「生体内吸収性材料」「繊維・高分子加工技術」の強みを生かし、生体の能力を生かした医療機器、低侵襲治療に対応する医療機器、再生医療用基材など、QOL向上に資する製品の研究開発を進める考えだ。

中外製薬 コロナ肺炎患者、アクテムラが人工呼吸器率を低下

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2020年10月15日

 中外製薬はこのほど、親会社であるロシュ社が第Ⅲ相EMPACTA試験で主要評価項目を達成したと発表した。

 新型コロナウイルス感染症関連肺炎患者について、「アクテムラ(トシリズマブ)」と標準的な医療措置を受けた患者では、プラセボと標準的医療措置を受けた患者と比較し、人工呼吸器の使用または死亡に至る可能性が44%低下したことを示した。投与開始28日目までに人工呼吸器の使用まで進行、または死亡した患者の割合は、アクテムラ投与群で12.2%、プラセボ群では19.3%だった。

 EMPACTA試験では、「アクテムラ」に対する新たな安全性シグナルは確認されなかった。同試験は、通常、臨床試験に組み入れられず、新型コロナ感染症パンデミックによる影響を不平等に受けている患者集団を中心に組み入れた、初の新型コロナ感染症を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験。登録された389人の患者の約85%は少数派の人種・民族から構成され、大多数がヒスパニック系で、アメリカ先住民と黒人が大半を占めている。試験は、米国、南アフリカ、ケニア、ブラジル、メキシコ、ペルーで実施された。

 EMPACTA試験は、医療サービスを十分に受けられていない人種や民族集団に対する臨床研究の障壁への対応を支援するため、ロシュ社が米国で組織横断的に取り組む「Advancing Inclusive Research」に基づいている。

 

ダイセル エクオール含有機能性食品素材、QOLを改善

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2020年10月15日

 ダイセルはこのほど、エクオールを含有する機能性食品素材「フラボセル EQ‐5」の摂取により、女性ホルモンの減少による心身の不調をもつ女性のQOLが改善する研究成果を報告した。同社は今回の研究成果について、9月25日に開催された「第20回日本抗加齢医学会総会」で発表している。

 エクオールは、大豆イソフラボンの一種のダイゼインが腸内細菌によって代謝を受けて生成される物質で、ダイゼインと比較して高い女性ホルモン様作用をもち、更年期障害の緩和、骨密度の維持、乳がんや前立腺がんリスクの低減、肌の老化予防、認知症や生活習慣病のリスク低下の効果があることが認知されている。また、エクオール産生能には個人差があり、食生活や生活習慣に影響されることも知られている。

 同社は、エクオールを含有する機能性食品素材である「フラボセル EQ‐5」の摂取が、女性ホルモンの低下による不調をもつ閉経後の女性のQOLに与える影響について研究した。事前アンケートによって、心身の不調を自覚し、分析により女性ホルモンが低下し、エクオール産生能をもたないことを確認した閉経後の女性を抽出。「フラボセル EQ‐5」(エクオールとして5㎎)を含むカプセルを1日2粒、12週間にわたり摂取してもらい、日本抗加齢医学会の「抗加齢QOL共通問診票」に沿いQOLを評価した。

 その結果、「肩こり」の改善といった、更年期障害で見られる項目に加え、「食欲不振」「胃がはる」「便秘」といった消化器官に見られる症状や、「意欲」「幸福感」といった心の症状など、幅広い項目で改善が見られた。これにより、「フラボセル EQ‐5」を摂取することで女性ホルモン低下に伴う自覚症状を改善させ、QOLを改善することが示された。

 同社は、今後もエクオールのような腸内代謝物をはじめとする様々な機能性食品素材の開発を進め、女性のQOL向上にとどまらず、幅広い研究を行っていく考えだ。

J&J ヤンセンファーマの新型コロナワクチン、第Ⅲ相試験開始

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2020年10月14日

 ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)はこのほど、ヤンセンファーマが開発中の新型コロナワクチンの大規模検証試験として、複数国で展開する第Ⅲ相臨床試験(ENSEMBLE試験)を開始したと発表した。ENSEMBLE試験の開始は、第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験の中間解析で得られた結果とFDA(米国食品医薬品局)の話し合いに基づき、3大陸で最大6万人のボランティアを登録し、コロナワクチンとプラセボの比較で有効性を検証する。

 J&Jは、引き続きワクチンの製造能力を拡大しており、毎年10億回分のワクチンを供給するという目標に向けて順調に取り組みを進めている。同社は緊急のパンデミック下での、非営利として、広く購入可能な価格で多くの人々にワクチンを提供することを約束しており、新型コロナワクチンは、その安全性と有効性が確立された場合、来年初頭に緊急使用認可が認められる状況下で利用可能になる見込みだ。

 J&Jは、高い倫理基準と健全な科学的原則に従ってコロナワクチン候補の開発・試験を実施している。同社は、試験実施計画書を含め、第Ⅲ相ENSEMBLE試験に関する情報についても透明性を確保しながら共有するとしている。

デンカ コロナ抗原迅速診断キットの検体採取範囲を拡大

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2020年10月7日

 デンカはこのほど、医療従事者の感染リスク低減と受診者の負担軽減のため、新型コロナウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ‐COVID19 Ag」について検体種を追加する製造販売承認事項一部変更承認を厚生労働省より受けたと発表した。

 今回の承認により、同診断キットは、従来の鼻咽頭ぬぐい液(鼻の奥で採取した検体)に加えて、鼻腔ぬぐい液(鼻孔から2㎝程度スワブを挿入して採取した検体)による検査ができ、さらに、医療従事者の管理下での受診者による検体採取が可能となった。

 これにより、医療従事者の感染リスクが低減され、受診者の負担も軽減される。また、インフルエンザなどの流行に備え、1度の検体採取で同迅速診断キットとインフルエンザ抗原迅速診断キット「クイックナビ‐Flu2」やRSウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ‐RSV2」を同時に検査することが可能となっている。

 同社では抗原検査のさらなる普及に向け、検査感度の向上、判定時間の短縮など「クイックナビ‐COVID19 Ag」の性能や利便性を高めるとともに、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスを同時検出するコンビキットの開発など、より使いやすい検査キットの提供を目指していく。

抗原迅速診断キット 操作方法
抗原迅速診断キット 操作方法

 

ヤンセンファーマ 新型コロナワクチン、日本で第Ⅰ相試験開始

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2020年9月28日

 ヤンセンファーマ(東京都千代田区)はこのほど、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)を引き起こすウイルス「SARS‐CoV‐2」のワクチン候補「Ad26.CoV2.S」の国内第Ⅰ相臨床試験を開始したと発表した。20~55歳の健康な成人と65歳以上の高齢者の合計250人を対象に、接種時の安全性、反応原性(腫脹や疼痛などワクチン接種に予期される反応)、免疫原性の評価を行う。

 ヤンセンファーマはジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門ヤンセンファーマグループの一員。同ワクチン候補は、風邪ウイルスの一種「アデノウイルス血清型26(Ad26)」を使用した組み換え体ベクターワクチン。非増殖型Ad26に新型コロナウイルスに特徴的なスパイクタンパク質の遺伝子情報を組み込み、接種後に体内で抗体を作る。ワクチン開発と大量生産のためのヤンセンの「AdVac」技術を活用。

 同技術は欧州承認のエボラウイルスワクチン、開発中のジカウイルス、RSウイルス、HIVの各ワクチン候補の臨床試験にも使用され、9万例以上の投与実績をもつ。同ワクチン候補の米国での前臨床試験(サル)で、1回の接種で「中和抗体」などの強力な免疫反応を誘発し、接種後の感染防御を確認した。

 これに基づき第Ⅰ/Ⅱa相試験(ヒト投与)を米国とベルギーで7月から実施、9月には第Ⅲ相試験へ移行予定。オランダ、スペイン、ドイツでも第Ⅱa相試験を予定している。臨床開発と同時に、生産能力拡充に向けたグローバルパートナーとの積極的な協議を進めており、安全性と有効性が確認されれば、海外では来年初頭の緊急時使用許可の取得を目指している。

 同社は「病が過去のものになる未来をつくる」ために科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心をもって癒し希望を与える、という方針を掲げ、がん、免疫疾患、精神・神経疾患、ワクチン・感染症、代謝・循環器疾患、肺高血圧症の分野での貢献のために注力している。

富士フイルム 英向け新型コロナワクチン候補の原薬製造を受託

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2020年9月8日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品CDMO(開発・製造受託)子会社フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)が、英国政府が調達する新型コロナウイルス感染症ワクチン候補の原薬製造を受託したと発表した。

 受託するのは、米国バイオテクノロジー企業ノババックス社が開発する「NVX-CoV2373」で、新型コロナウイルスの遺伝子情報で作った抗原を有効成分とするワクチン候補。臨床第Ⅲ相試験は米国、英国などで今秋より開始予定。英国政府は先月、同ワクチン6000万回分をノババックス社から調達することを決定し、英国での臨床第Ⅲ相試験や生産体制構築への協力を表明している。

 FDBは、原薬製造を来年初めより英国拠点で行い、英国での同ワクチンの迅速・安定供給に貢献していく。なお、英国拠点の原薬製造能力は年最大1億8000万回分の投与量に相当し、英国以外にも供給可能だ。

 同社は30年以上の受託実績と高度な生産技術・最新設備をもち、ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセスを開発し、少量生産から大量生産、原薬から製剤・包装までの製造受託に対応し受託ビジネスを拡大。

 今年7月には、ノババックス社から米国で今秋計画の最大3万人規模の臨床第Ⅲ相試験に向けた同ワクチンの原薬製造を受託し、米国ノースカロライナ拠点で製造を開始した。米国テキサス拠点でも、米国政府が開発支援する同ワクチンをはじめとしたワクチン候補の原薬製造を行う計画だ。

 ワクチン候補の原薬製造のほか、同社デンマーク拠点は新型コロナウイルス感染症治療薬のプロセス開発・製造を「COVID‐19 Therapeutics Accelerator」治療推進プロジェクトから受託した。米国、英国、デンマークの全拠点の製造インフラを活用して、ワクチン・治療薬の開発・製造を支援する。

 FDBは今後、新型コロナウイルス感染症ワクチン・治療薬の開発が進展する中、顧客ニーズに合った高品質なバイオ医薬品を迅速かつグローバルに供給し、新型コロナの感染拡大の抑止や流行の終息に貢献していく考えだ。

ユーグレナなど 新型コロナウイルス用標準抗体を作製

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2020年9月8日

 ユーグレナとリバネス(東京都新宿区)、オーダーメードメディカルリサーチ(千葉県柏市)はこのほど、共同開発中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に関する抗体検査系で、被験者の血中の同抗体濃度を推定可能にするキメラ型抗SARS-CoV-2抗体(標準抗体)の作製に成功したと発表した。

 共同開発中のSARS-CoV-2に関する抗体検査系では、被験者の血液中の抗SARS-CoV-2抗体の存否判定をする定性的検査はできたが、抗体の濃度を推定する定量的検査はできなかった。濃度の推定には、濃度既知の抗体を使った同時比較試験が必要になる。

 今回、SARS-CoV-2のタンパク質に反応するモノクローナル抗体を作製し、十分な感度をもつ標準抗体を得ることに成功。すでに抗体検査を行った血液サンプルを評価した結果、標準抗体濃度を基準にして推定することの妥当性が確認できた。これにより、定性的な陽性・陰性判定だけでなく、抗SARS-CoV-2抗体の濃度を推定することが可能となった。

 今後は標準抗体を使って定量化した、信頼性の高い抗体検査系の開発を進める考えだ。

AGC 新型コロナワクチン関連の受託製造規模を拡大

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2020年9月8日

 AGCはこのほど、CDMO事業子会社のAGCバイオロジクス(米国)が、米国ノババックス社からの新型コロナウイルス感染症ワクチン候補「NVX-CoV2373」のアジュバント(性能促進剤)「Matrix-M」の受託規模を従来の約1.5倍に拡大したと発表した。追加受託分は、米国シアトル工場で製造する。

 ノババックス社は、重篤な感染症の次世代ワクチン開発を行うバイオテクノロジー企業で、独自のナノ粒子技術で製造する「NVX-CoV2373」は、新型コロナウイルス感染症ワクチン候補だ。従前からのCEPI(感染症流行対策イノベーション連合)の支援に加え、今年7月には米国政府がワクチン開発の目的で立ち上げた官民連携プロジェクト「Operation Warp Speed」から16億ドルの助成を受け、ワクチンの臨床開発を進めている。

 「Matrix-M」は「NVX-CoV2373」の免疫応答を増強し、中和抗体産生を刺激する、同社占有のアジュバントだ。AGCバイオロジクスは現在、ノババックス社のワクチン供給量の大幅増強に向けて、「Matrix‐M」製造のプロセス最適化の段階から受託し、現在コペンハーゲン工場で実施中。受託拡大分は米国シアトル工場で製造する。

 AGCグループは日米欧に製造拠点をもち、プロセス開発、スケールアップ、治験段階から商用医薬品原薬の製造まで、様々な高付加価値サービスを提供。引き続き、製薬会社の新型コロナウイルス感染症ワクチンや治療薬の製造を担うことで、新型コロナウイルスの感染拡大抑止や流行の終息に貢献していく考えだ。

東洋紡 新型コロナウイルス検出キットが医療保険適用に

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2020年9月4日

 東洋紡はこのほど、新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit〈Multi〉」について、厚生労働省および国立感染症研究所発行の「臨床検体を用いた評価結果が取得された2019-nCoV遺伝子検査方法について」(2020年8月18日版)で、陽性一致率100%、陰性一致率100%である遺伝子検査方法として結果が公表されたと発表した。

 これにより、同キットは国立感染症研究所作成の「病原体検出マニュアル 2019-nCoV」に準じた方法に該当し、公的医療保険適用の対象となった。