富士フイルム バイオ医薬品CDMO事業、米に製造拠点を新設

2021年1月12日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託の事業成長を一段と加速させるため、米国にバイオ医薬品の大型製造拠点を新設すると発表した。投資規模は2000億円超になる。新拠点は、原薬の大量製造に加えて、拠点内で原薬製造に続く製剤化・包装までを一貫して受託できる「ワンサイト・ワンストップ」の体制を整備。2025年春に、バイオ医薬品CDMO(開発製造受託)の中核会社FDBの拠点として稼働する予定だ。

 バイオ医薬品の製造には、高度な生産技術と設備が必要とされるため、CDMOにプロセス開発や製造を委託するケースが増加している。同社は、FDBの米国(ノースカロライナ州・テキサス州)、英国、デンマークの4拠点で、バイオ医薬品の生産能力増強や高効率・高生産性技術開発の投資を積極的に行ってきた。

 こうした中、今回、世界最大のバイオ医薬品市場である米国のFDB拠点の近郊に大規模投資を行い、バイオ医薬品の大型製造拠点を建設する。新拠点には、FDBの米国内拠点として最大となる2万ℓ動物細胞培養タンクを8基導入。さらに今後、同サイズの培養タンクを最大32基まで拡張できる拠点とし、受注の増加にも対応していく。また、大型の製剤製造ラインや包装ラインを設置。年間3000万本以上の充填が可能な最新鋭の全自動型製剤製造システム、薬液が充填されたシリンジ(注射器)を多品種のオートインジェクターへ組み立て可能な装置、汎用性の高い自動ラベル貼付・梱包設備などを導入し、幅広い顧客ニーズに応えていく。

 同社は、バイオ医薬品市場で大きなシェアを占める米国・欧州で、「ワンサイト・ワンストップ」の受託体制を備えた大型製造拠点を構築し、2024年度にバイオCDMO事業で2000億円の売上を目指す。さらに、今回の設備投資が寄与する2025年度以降も、市場成長を大幅に上回る年率20%の成長率で事業を拡大していく。同社は、今後も高品質な医薬品の安定供給を通じて、医薬品産業のさらなる発展に貢献していく考えだ。