田辺三菱 加・子会社が新型コロナのワクチンの開発に着手

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2020年3月16日

  田辺三菱製薬はこのほど、子会社であるメディカゴ社(カナダ・ケベック市)が、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)に対応したウイルスの植物由来ウイルス様粒子(VLP)の作製に成功したと発表した。

 COVID‐19のVLP作製は、ワクチンを開発するための第一歩であり、メディカゴ社は安全性と有効性に関する非臨床試験を実施している。今回の非臨床試験が順調に進めば、ヒトでの臨床試験を今年8月までに開始するため、当局機関と協議したい意向を示している。

 また、メディカゴ社はSARS‐CoV‐2(COVID‐19の原因ウイルス)に対する抗体に関しても、自らの技術基盤を活用し、同国のラヴァル大学感染症研究センターと協力して研究を行っている。

 なお、この研究は、CIHR(カナダ健康研究所)から一部資金提供を受けている。

 

J&J 新型ウイルスの脅威に対し多角的な取り組みを開始

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2020年2月7日

 ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)はこのほど、ヤンセンにリソースを結集し、新型コロナウイルス感染症の流行に対する多角的な取り組みを開始すると発表した。その一環として、J&Jはワクチン候補の開発に着手するとともに、他の機関と幅広く連携して抗ウイルス療法のライブラリのスクリーニングを行う。

 新型ウイルスに対して抗ウイルス活性を持つ化合物を特定することが、解決策として有効であると考えられている。J&J執行委員会副議長兼最高科学責任者のポール・ストッフェルズ医学博士は「今回の新たな病原体の流行を受け、世界の潜在的なパンデミックの脅威に確実に対応できるよう、準備や調査、対応に投資することの重要性が一層高まった」と述べている。

 ワクチンプログラムでは、最適なワクチン候補の迅速な生産拡大を可能にするヤンセンの「AdVac」および「PER.C6」テクノロジーを活用。これらは、エボラ治験ワクチンの開発と製造に用いられ、J&Jによるジカウイルス感染症、RSウイルス感染症、HIV感染症に対する予防ワクチン候補の創製でも使用されている。

 このほかの多角的なアプローチとしては、既存の医薬品が使用可能であるかを判断するため、コロナウイルスの病態生理での既知のパスウェイを再調査する取り組みが挙げられる。

 ヤンセンはまた、研究の取り組みを支援するため、HIV感染症治療薬「プレジコビックス」配合錠300箱を上海市公共衛生臨床センターと武漢大学中南病院に、さらに、実験室での薬剤スクリーニング研究用として、中国疾病予防管理センターに50箱を寄付した。

 今回の要請は、同治療薬のプロテアーゼ阻害剤成分ダルナビルを含む、潜在的に有効な30の化合物の調査に関する上海マテリアメディカ研究所および中国科学院の勧告に沿って行われたもの。事例報告によれば、プロテアーゼ阻害剤は過去に、コロナウイルスに伴う重症急性呼吸器症候群(SARS)に対して潜在的に良好な臨床反応を示したことが判明している。

 新型ウイルスは、呼吸器系を攻撃するコロナウイルスと呼ばれるウイルスのグループ分類名に由来。同治療薬は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV‐1)感染症の治療に際し、中国をはじめ多くの国々で承認されている処方薬。新型コロナウイルス感染症の治療に関する同治療薬の安全性と有効性は証明されておらず、さらなる研究を行う必要がある。

大日本住友 AI活用の新薬候補でフェーズ1試験を開始

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2020年2月3日

 大日本住友製薬は英国のExscientia(エクセンシア)との共同研究を通じ、人工知能(AI)を活用して創製した「DSP‐1181」のフェーズ1試験を日本で開始した。今後、大日本住友製薬は強迫性障害を予定適応症として同剤の開発を進める予定。

 同剤は大日本住友製薬のモノアミンGPCR創薬での創薬経験・知識と、エクセンシア独自のAI創薬プラットフォームの融合による共同研究を通じて見出だされた。その高い相乗効果により、業界平均4年半を要するとされる探索研究を、12カ月未満で完了した。

 同剤は長時間にわたりセロトニン5‐HT1A受容体に作用する強力なアゴニスト。大日本住友製薬は研究重点3領域の1つである精神神経領域で、アンメット・メディカル・ニーズに応える開発パイプラインを拡充することができた。

 大日本住友製薬の木村徹取締役常務執行役員シニアリサーチディレクターは「この研究で、非常に短期間に新薬候補化合物を生み出した成果にとても満足している。エクセンシアの優れたAI技術と、当社のモノアミンGPCR創薬に関する深い経験値が、相乗的に働いた大きな成果と言える」と話している。

積水化学 マスク専用アレル物質除去スプレーを発売

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2020年1月22日

ナウケア Rapidezアレル物質除去スプレー
ナウケア Rapidezアレル物質除去スプレー

 積水化学工業の100%子会社である積水マテリアルソリューションズはこのほど、マスク専用アレル物質除去スプレー「ナウケア(NOWCARE)Rapidez(ラピデ)」を「ナウケア」シリーズ第3弾として2月3日に発売すると発表した。

 「ナウケア・ラピデ」は積水マテリアルソリューションズ独自の抗アレル物質加工剤「アレルバスター」の数種のうち、特に即効性とアレル物質低減効果の高いフェノール系ポリマーのものを配合。マスクにスプレーすることでアレル物質と接触し、その働きを低減させる。

 なお、「アレルバスター」はこれまでに、床材・壁材、カーテン・ふとん、カーシート、空調機器フィルターなどの製品への採用実績がある。

 効果については、①マスクにスプレー後、スギ花粉由来のアレル物質を一分で99%低減し24時間後も効果が持続、②スギ花粉のほか、ブタクサなどの花粉、ダニの糞・死骸、ネコ・イヌの毛などのアレル物質でも一定の低減効果、を外部試験機関や自社による評価試験で確認した。

 一方、安全性については、生体安全性の指標の1つである厚生労働省監修評価試験法とOECDガイドラインに基づく国際的な評価試験法に準拠した安全性試験に加え、「化粧品・医薬部外品製造販売ガイドブック2017」を参考に、第三者実施機関にて安全性評価試験を実施し各種安全性を確認している。

 製品の内容量50㎖で、希望小売価格は2300円(消費税抜)。メディア(ネットなど)媒体や代理店経由店頭を通じ、一般消費者様向けに販売する予定。今後、積水マテリアルソリューションズでは、〝セルフケア〟をコンセプトとした製品の開発を進め、「ナウケアシリーズ」として事業展開していき、2020年度に売上高5億円を目指していく。

カネカ くも膜下出血治療用の脳動脈瘤塞栓コイルを発売

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2019年12月4日

 カネカはこのほど、血管内治療に用いる医療機器である脳動脈瘤塞栓コイルの新製品「i‐EDコイル」を開発し、先月から日本での販売を開始したと発表した。同製品は、カテーテルの中を通して動脈瘤内に送り込み、動脈瘤に血液が入らないようにする。

塞栓コイル(i-EDコイル) 
塞栓コイル(i-EDコイル)

 脳動脈瘤とは脳の動脈に発生するこぶで、破裂すると、致死率が高く極めて危険なくも膜下出血を発症する。治療方法としては、開頭して金属製のクリップで破裂した動脈瘤を挟み込むことで再出血を防ぐ外科治療や、カテーテルを使って血管の内側から破裂した動脈瘤内に塞栓コイルを詰める血管内治療がある。

 最近では、体への負担が少ないことから塞栓コイルを使う血管内治療の割合が年々高まり、くも膜下出血治療の第一の選択肢になりつつある。

 また、画像診断技術の発達により、未破裂の動脈瘤がくも膜下出血発症前に発見される事例が増えており、こうした未破裂の動脈瘤の破裂を予防するために、塞栓コイルを使う血管内治療が行われる割合も高まっている。

 同社は今回、塞栓コイルの原材料になる金属線の太さの最適化や構造の工夫などにより、コイルの柔軟性を世界最高レベルに高めた製品を開発した。同製品の使用により、動脈瘤内にコイルをより高密度に詰められるだけでなく、動脈瘤の壁の一部が突出したような不規則な形状の動脈瘤にも対応できることから、動脈瘤の破裂のリスクを低減できる。

 高齢化の進行、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の増加により、患者数はさらに増えることが予想される中、脳動脈瘤に対する治療効果の向上が期待されている。

 同社は今後も、塞栓コイルをはじめとする脳血管疾患用の血管内治療製品のラインアップ拡充を進めるだけでなく、診断や予防といった治療以外の領域に対するソリューションを提供することで、脳血管疾患への様々な課題の解決に貢献していく考えだ。

 なお同製品は、米国食品医薬品局(FDA)に申請中で、承認を取得後は米国でも販売を開始する予定。2023年にはグローバルでの売上高100億円を目指す。

旭化成ファーマ 骨粗鬆症治療剤の新剤形が薬価収載、来月11日から発売

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2019年11月28日

 旭化成ファーマは27日、骨粗鬆症治療剤「テリボン」の新剤形である「テリボン皮下注28.2㎍オートインジェクター」(一般名:テリパラチド酢酸塩)が、同日に薬価収載されたと発表した。薬価は6,018円。発売は来月11日を予定する。

 今回の発売により、従来の用時溶解バイアル製剤「テリボン皮下注用56.5㎍」に加え、在宅自己注射が可能なオートインジェクター製剤が新たにラインアップされる。

 同新剤は、高齢の患者でも簡便に自己注射できるように配慮したオートインジェクター製剤で、キャップを外し、オートインジェクターの先端を投与部位に押し当てるツーステップ操作で注射が完了するもの。注射針が針カバーに隠れていることから、自己注射に対する不安の軽減も期待されている。

 1回使い切りのため、注射針を付け替える必要がなく衛生的であり、さらに、注射後は針カバーをロックする機構を採用し、針刺し事故の防止対策を工夫した。

 同社は、骨粗鬆症患者に、安心・安全で簡便に自己注射ができるオートインジェクター製剤を新たな治療選択肢として提供し、今後も骨粗鬆症の治療に貢献していく考えだ。

宇部興産 ノボ社に脂肪肝炎治療薬の独占的ライセンスを供与

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2019年11月11日

 宇部興産はこのほど、デンマークのノボ ノルディスク社(ノボ社)に、宇部興産が創出した前臨床段階の候補化合物「UD‐014」について、全世界における独占的ライセンスを供与したと発表した。

 同化合物は、SSAO/VAP‐1選択的阻害薬(低分子化合物)。前臨床試験で内皮細胞に対する抗炎症作用と抗酸化作用について、期待できる有効性を示したことから、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療に使用される可能性がある。

 NASHは、肝臓内の脂肪蓄積と炎症を特徴とする慢性進行性肝疾患で、肝線維症や肝機能障害を引き起こす可能性がある。また、放置すると末期肝疾患、肝がん、肝移植が必要な状態など、患者が深刻な事態に直面することがあり、肝関連死亡のリスクが著しく上昇する。今回の契約により、ノボ社は同化合物に関して、今後の開発、製造及び販売に関する権利を獲得する。

 宇部興産執行役員で化学カンパニー医薬事業部の舩山陽一部長は「当社は、複雑な疾患であるNASHについて、より多くの治療選択肢が提供されることを願っており、その選択肢としてUD‐014が有力な潜在的候補になると考える。この重要なプロジェクトの移転により糖尿病や代謝性疾患に関して幅広い知識を持つノボ社のチームと共に作業できることが楽しみだ。このプロジェクトは、NASHの治療を受けていない多くの患者に変化をもたらす可能性がある」とコメントしている。

帝人ファーマ 関節リウマチ治療薬バイオ後続品の販売を開始

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2019年11月1日

 帝人ファーマは31日、関節リウマチと多関節に活動性を持つ、若年性特発性関節炎治療薬のバイオ後続品「エタネルセプトBS皮下注『TY』」の販売を、11月1日から開始すると発表した。

 同剤は500例を超える関節リウマチ患者を対象とした第Ⅲ相国際共同治験の結果を基に、昨年3月にYLバイオロジクスが厚生労働省に製造販売承認申請を行い、今年3月に承認された。

 同剤はインドの医薬品メーカーであるルピンリミテッドが製造する原薬を基に、陽進堂の100%子会社であるエイワイファーマが日本国内の工場で製剤化している。帝人ファーマと陽進堂は、2018年7月に同剤に関する販売提携契約を締結しており、今後、両社共同で販売していく。

 帝人ファーマでは、注力する「骨・関節領域」の製品ラインアップに同剤を加えることで、関節リウマチ患者のさらなるQOL向上に貢献していく。

三井化学 小児感染症学会に細菌迅速同定用試薬など出展

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2019年10月24日

 三井化学は23日、星野リゾートOMO7旭川(北海道旭川市、旧旭川グランドホテル)で開催される「第51回日本小児感染症学会 総会・学術集会」に出展すると発表した。

 同社は富山大学とともに、血液中に細菌が感染する全身感染症である敗血症の原因菌を迅速に同定する、新たな検査法(Tm mapping法)の製品化に着手しており、今回、研究用試薬として「細菌迅速同定用PCR試薬キット」を展示する。

 近年、がん治療や臓器移植などの医療の高度化に伴い、重篤な感染症のリスクが増えている。入院患者の主な死因は敗血症などの重篤な全身感染症であり、敗血症による死亡率は非常に高く、重篤な感染症患者を救命するためには、患者体内の感染症の起炎菌を迅速に検出・同定することが臨床上重要となっている。

 現在行われている検査法では、検体提出から起炎菌の同定まで通常2~3日を要しているのが現状だ。同キットは、採血から5時間程度で未知の起炎菌を同定する新たな遺伝子検査法のため、感染症早期に同定結果に基づいた適切な抗菌薬選択が可能となる。

 同展示では、「細菌DNA抽出キット」「Yeast‐made Taq Polymeraseキット」といった周辺の試薬など、ユニークな技術や製品も併せて紹介する。展示会期は今月26~27日。

帝人ファーマ 開発医薬品が米国で主要評価項目を達成

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2019年9月25日

 帝人ファーマはこのほど、開発医薬品(開発コード:「TMX‐049」)が、米国で実施している第Ⅱ相臨床試験(TMX‐049DN‐201試験)の有効性に関して、主要評価項目を達成したと発表した。

 この医薬品は2型糖尿病の糖尿病性腎臓病を対象疾患として開発を進めている。糖尿病性腎臓病は糖尿病を合併して発症する進行性の慢性腎臓病。症状が進行して末期腎不全になると、透析や腎移植などの治療が必要となり、透析導入の原因疾患として最も多いことが報告されている。

 透析が導入されると、患者のQOLが著しく低下するだけでなく、医療費の社会的負担が大きくなる。このため、糖尿病性腎臓病をはじめとする慢性腎臓病を改善し、末期腎不全への移行を抑制する治療に対するニーズが高まっている。

 「TMX‐049」は帝人ファーマが創製した、新規非プリン型キサンチンオキシダーゼ阻害薬で、生体内でキサンチンオキシダーゼという酵素に対して選択的に阻害活性を示すことにより、尿酸生成を強力に抑制するのが特徴。今回の第Ⅱ相臨床試験は、アルブミン尿を有する2型糖尿病患者を対象とした、プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験である。

 「TMX‐049」を1日1回、12週間反復経口投与した時の安全性と有効性を評価している。主要評価項目は腎障害の指標である尿アルブミン/クレアチニン比の変化量(対数変換値)とした。

 その結果、同剤にプラセボと比較して、統計学的に有意な改善が認められ、主要評価項目を達成した。また、同剤の安全性について新たな懸念は認められなかった。帝人ファーマでは、「TMX‐049」が新規の糖尿病性腎臓病治療薬として、慢性腎臓病の患者の治療とQOL向上に貢献することを目指し、早期上市に向けて今後も開発を進めていく。