旭化成 臓器移植を対象に阻害薬のライセンス契約を締結

, , , ,

2021年4月28日

 旭化成は27日、米子会社ベロキシス社が、仏OSE社のもつCD28阻害薬「FR104」の臓器移植領域を対象としたグローバルでの開発、製造、販売に関する独占的ライセンス契約を締結したと発表した。

 ベロキシス社は、米国で独自のドラッグデリバリー技術を活用した、腎移植手術後の免疫反応に対する治療薬「エンバーサスXR」を販売し、アンメットニーズを満たす製品として着実な成長を続けている。今回の契約により、臓器移植領域のパイプラインを強化するとともに、ベロキシス社の臓器移植領域での強みを生かすことで「FR104」の開発を加速させ、臓器移植患者の新たな治療薬として貢献できることを期待している。

 OSE社は、がん免疫・自己免疫疾患領域に関して高い研究開発力を誇るバイオテクノロジー企業。同社の「FR104」は、T細胞シグナル伝達経路で必須の役割を果たしているCD28を標的としたモノクローナル抗体であり、Fab領域にポリエチレングリコールを結合させたCD28阻害剤。CD28シグナル伝達は、エフェクターT細胞(免疫系を活性化する細胞)の増殖と制御性T細胞(自己に対する免疫応答の抑制〈免疫寛容〉をつかさどる細胞)の不活性化に必要な経路であり、「FR104」はCD28シグナル伝達を阻害することにより、エフェクターT細胞の機能を抑制し、制御性T細胞の機能は維持することで免疫調節機能を発揮する。また、非臨床試験を通じて、「FR104」の薬理学的な効果が確認されており、OSE社が実施した第Ⅰ相試験では良好な安全性プロファイルが確認されている。

 旭化成は、ベロキシス社の買収により米国医薬品市場に対する事業基盤を獲得。ヘルスケア領域でのさらなる成長を目指し、持続的な企業価値向上に取り組んでいる。今後は、臓器移植領域でのさらなるプレゼンス向上を目指すとともに、グローバル展開を加速させ、アンメットニーズが高い領域での新たな治療薬の開発や、M&Aなどによる事業拡大に取り組んでいく。

三井化学 日本IBMとBC技術でプラの追跡実用化へ

, , ,

2021年4月27日

 三井化学は26日、循環経済の実現に向けて課題となっているプラスチック素材のトレーサビリティ(追跡可能性)の実用化を目指すため、ブロックチェーン(BC)技術を活用した資源循環プラットフォーム構築に向け、日本IBMと協働を開始すると発表した。

両社は、循環経済の実現に向けて、プラスチック素材のトレーサビリティーシステム実用化を目指す
両社は、循環経済の実現に向けて、プラスチック素材のトレーサビリティーシステム実用化を目指す

 BC技術とは、全履歴を連続的に記録する「不可逆」なデータベース技術。全ての関係者がアクセス可能であり、データ改ざんが不可能であることから、その原材料、製品などが「いつ、どこで、だれの手を渡って来たのか」を追跡可能にする。

 三井化学のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進室を指揮する三瓶雅夫執行役員は、「当社は気候変動とプラ問題を重点的に取り組むべき重要な社会課題と捉えている。これらの課題解決には、資源を消費して廃棄する一方通行の経済から、資源を回収して再生・再利用する循環型経済への転換が必須だ」と強調する。三井化学が培ってきたモノマーやポリマーに関する豊富な知見やスキルをはじめ、現在開発を進めているリサイクルを含む環境対応技術やノウハウを生かし、BCに代表されるDX関連技術を積極的に取り入れることで、「素材トレーサビリティシステムである資源循環プラットフォームを構築し、循環経済の実現に寄与していく」(三瓶執行役員)考えだ。

 一方、日本IBMは、様々な企業のDXに取り組んできた豊富な知見やスキルを活用し、今回のBC技術を活用したデジタルプラットフォームの構築を検証する。BC技術により、中立性や公平性が担保され、高度なセキュリティを確保できるほか、スピーディーな構築や柔軟性を特長とするクラウドを活用し、既存システムと連携したハイブリッドクラウドの構築やAIの活用も検討していく。世界的にプラスチックの需要が拡大する一方で廃プラ問題が顕在化する中、これまで以上に資源循環型経済の実現が求められているが、リサイクル原料の使用では、含有物質の明確化などトレーサビリティの担保が課題となっている。

 両社が検討する資源循環プラットフォームでは、モノマー・ポリマーといった原材料から製品の製造・販売・使用、およびその後に回収から解体・破砕を経てリサイクル原料となり製品製造に再利用されるまでの、資源のライフサイクル全体を追跡していく。また、リサイクル原料の製造工程や検査工程、物性情報や品質情報なども併せて可視化することで円滑な流通支援を目指す。

旭化成 UNDP主導BCtAに2製品の承認が継続

, ,

2021年4月27日

 旭化成は26日、今年2月に、再生セルロース繊維(キュプラ繊維)「ベンベルグ」とポリフッ化ビニリデン(PVDF)中空糸膜「マイクローザ」のインドでの事業展開が、国連開発計画(UNDP)が主導するビジネス行動要請「ビジネス・コール・トゥ・アクション(BCtA)」に承認継続されたと発表した。

  同社は2016年よりBCtAに承認されているが、今回、インドでの原料調達から最終製品に関わるステークホルダーへの支援および産学連携の取り組みが、商業活動と持続可能な開発活動を両立するビジネスモデルとして再度高く評価された。

 インドでの繊維産業に対する新たな労働機会の創出、ファッション業界の発展に向けた若者の育成活動を継続するとともに、今回より地球環境に配慮した繊維産業の持続的発展に欠かせない産業用水の排水浄化システムの整備も新たに進めていく計画だ。

 同社はインドで展開する事業を通じ、「ベンベルグ」の原料調達から最終製品までの企業活動に直接・間接に関与し、技術の向上、安定した収入の確保や新たな仕事の創出など技術開発や人財育成に貢献。原料のコットンリンター(綿実の周りの産毛)の多くをインドから購入しており、数社の原料メーカーにコットンリンター採取設備を無償貸与し、同社の技術者が生産向上のための指導や技術サポートを行っている。

 日本へ輸出されたコットンリンターは「ベンベルグ」原糸に加工されたのち、インドに輸出され機織りメーカーへ販売。また、生地生産段階での製織や染色などの技術指導を継続している。加えて将来インドの繊維業界、ファッション業界を担う若者・学生への教育にも注力しており、能力向上を目的に数校の大学に教育サポートを行い人財育成にも貢献している。

インド 「マイクローザ」を適用したプラント
インド 「マイクローザ」を適用したプラント

 一方、新たな取り組みとして、生地染色時に発生する排水処理に「マイクローザ」の適用を顧客へ提案し、染色工場のゼロ排水実現を進めている。これにより、工場周辺の環境保全と、水の再利用による貴重な天然水資源の節約に貢献している。

SEMI 2020年の半導体製造装置販売額、過去最高額に

, , ,

2021年4月26日

 SEMIはこのほど、2020年(暦年)の半導体製造装置(新品)の世界総販売額が、2019年の598億ドルから19%急増し、712億ドルとなったと発表した。

 地域別では、中国が初めて半導体製造装置の最大市場となり、前年比39%増の187.2億ドルとなった。第2位となった台湾の販売額は、大きく成長した2019年から横バイの171.5億ドル。韓国は61%増の160.8億ドルと3位を維持した。2019年に市場が縮小した日本と欧州はいずれも2020年に回復傾向となり、日本は21%増の75.8億ドルの4位、欧州は16%増の26.4億ドルの6位だった。3年連続でプラス成長を果たしてきた北米は、20%減少の65.3億ドルと5位に順位を落としている。

 一方、装置分類別では、ウェーハプロセス用処理装置の販売額が19%上昇し、その他前工程装置は4%増となった。組み立ておよびパッケージング装置とテスト装置の販売額は、全ての地域で大きく成長し、2020年は34%増となった。中でもテスト装置の販売額はトータルで20%増となっている。

帝人ファーマ うつ病治療補助システム開発、VR会社と契約

, , , ,

2021年4月26日

 帝人ファーマは23日、ジョリーグッドと、バーチャルリアリティ(VR)を活用したうつ病の認知行動療法(CBT)を補助するシステム(CBT-VR)の共同開発契約を締結したと発表した。今後、両社はCBT-VRの薬事承認を目指し、その有効性や安全性を確認するために共同で開発に取り組む。

:「CBT-VR」のイメージ
「CBT-VR」のイメージ

 今回、契約締結に至った経緯として、帝人ファーマが昨年12月に実施した在宅医療分野の公募型事業共創プログラムで、ジョリーグッドが受賞したことが契機となった。その際に提案された「精神疾患を対象にした認知行動療法VRの開発」というテーマについて、両社の強みや事業領域を踏まえて具体的に検討を進めた結果、帝人ファーマがもつ知見や技術に、ジョリーグッドのVR技術を組み合わせることで、医療者をサポートし、患者のQOL向上に貢献できるとの確信に至った。

 認知行動療法は、ものの考え方や受け取り方といった認知のあり方が気分や行動に影響を与えることから、患者と医療者との対話の中で認知の偏りを修正し、問題解決を手助けする精神療法で、薬物療法以外の選択肢の1つとして取り入れられている。共同開発するCBT-VRは、認知行動療法の際に医療者と患者との対話にVRを組み合わせることで、感情喚起のサポートや症状の評価などをVRが補助し、治療効果を高め、医療者と患者の負担を低減することを目指す。

 今後、帝人ファーマはCBT-VRの薬事承認を目指し、ジョリーグッドとともにCBT-VRに使うシステムやコンテンツの開発、有効性と安全性を確認するための治験などを実施していく。帝人ファーマは、今回の共開発をきっかけとして、うつ病治療に対する未充足の医療ニーズを踏まえた先進的なサービス開発に取り組み、社会への貢献を目指していく。

 

日本触媒 抗ウイルス効果の化粧品素材、コロナ不活化を確認

, , , ,

2021年4月26日

 日本触媒は23日、化粧品素材として開発した機能性ポリマーに新型コロナウイルスの不活化効果があることを確認したと発表した。この機能性ポリマーを配合した化粧品は、肌や毛髪を潤すとともに、菌やウイルスによるダメージから守ることが期待される。

 同社が開発した機能性ポリマーは親水性モノマーと疎水性モノマーで構成され、水分保持機能と被膜形成機能を両立した新しいポリマー。これまでに細菌への抗菌作用やエンベロープ(膜状の構造)ウイルス類であるインフルエンザウイルスに対する不活化効果を示すことを確認していた。

 同社では、抗菌・抗ウイルス機能をさらに検証するため、新型コロナ感染症を引き起こすSARSコロナウイルス2に対する効能評価を実施。今回の評価では、ポリマー濃度0.1%の試験条件下で、ウイルスの不活化効果は処理時間60分で約99%、120分で約99.9%であることが判明。ポリマー濃度0.1%、60分以上の接触により十分な効果が発揮される。

 同社は、今後も詳細データの取得を行い、SARSコロナウイルス2に対するポリマー濃度の影響なども明らかにしていく。なお、今回の成果の一部は「CITE JAPAN 2021」(第10回化粧品産業技術展)で発表される予定。

ENEOS 新構造の脂環式エポキシモノマーを販売開始

, , ,

2021年4月26日

 ENEOSは23日、電子機器周辺材料で代表的なエポキシ樹脂の原料となる脂環式エポキシモノマー「EPOCHALIC(エポカリック)」について、新たな分子構造の商品を世界で初めて商用化し販売を開始したと発表した。

『エポカリック DE-102』の分子構造
「エポカリック DE-102」の分子構造

 新構造の「エポカリック」は、脂環の連結と、かご型骨格(ノルボルナン骨格)の分子構造に特徴があり、その構造からエポキシ樹脂に高い耐熱性と強度(高剛性)をもたらす。

かご型骨格の立体図
かご型骨格の立体図

 開発に当たっては、同社の独自技術により世界トップクラスのシェアを誇る、自動車部材向け合成ゴム添加剤用途のENB(エチリデン・ノルボルネン)事業で培ったノウハウを活用した分子設計をエポキシ樹脂の製造に応用した。流動性に優れる「DE-102」と、耐熱性の向上効果が大きい「DE-103」の2種類をラインアップし、幅広い顧客ニーズに対応していく考えだ。

 近年、次世代通信技術の発展により半導体部品では小型化が進む一方で、通信量の増加と高速処理に伴い、電子機器周辺の発熱量が増大している。電子機器に使用される樹脂には、高温下で使用する際に機能を正常に維持することが不可欠であり、これまで以上に高い耐熱性・強度が必要とされることから、両機能性に対応する「エポカリック」の開発を進めていた。

 ENEOSグループは2040年長期ビジョンの中で、機能材事業を技術力の発展的強化を図る成長事業に位置づけている。今後も社会の発展につながる革新的な製品の提供を通じて、SDGs(持続可能な開発目標)のゴールの1つである、「強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進とイノベーションの推進を図る」ことに貢献していく。

帝人ファーマ 骨粗鬆症剤、厚労省から製造販売承認を取得

, , ,

2021年4月23日

 帝人ファーマはこのほど、「オスタバロ皮下注カートリッジ 3mg」(一般名:アバロパラチド酢酸塩)について、骨折の危険性の高い骨粗鬆症を効能・効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。なお、同剤は、新医薬品の処方日数制限に対応する製剤を開発中であるため、現時点での上市時期は未定となっている。

 同社はこれまで関節領域に関しては、骨粗鬆症治療剤や超音波骨折治療器など、様々なソリューションの提供を通じて、患者のQOL(生活の質)向上に貢献してきた。一方、現在、日本国内の骨粗鬆症の患者数は約1300万人と推定されており、骨粗鬆症に伴い骨折が発生した場合、ADL(日常生活動作)やQOLの低下、生命予後の悪化につながるとされる。そして、特に低骨密度、脆弱性骨折の既往や高齢を伴う「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」には、短期間で骨量を増やし、骨折の発生を抑制できる薬剤が求められている。

 「オスタバロ」は、ヒト副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)のN末端から34個のアミノ酸配列のうち、一部を改変したポリペプチドであるアバロパラチド酢酸塩が有効成分。アバロパラチド酢酸塩は、骨代謝に関わる副甲状腺ホルモン一型受容体を選択的に刺激する作用をもち、1日1回の皮下投与により、骨芽細胞の増加を介して骨形成を促進することで、骨量の増加効果が期待できる。

 同剤は、骨折の危険性の高い骨粗鬆症の患者を対象とした国内および海外の臨床試験により有効性と安全性が確認されたことから、昨年5月に製造販売承認申請していた。また同剤は、ラディウス・ヘルス社(米国マサチューセッツ州)が、骨折の危険性の高い閉経後女性の骨粗鬆症治療薬として、2017年に米国で承認を取得し販売している。

日本板硝子 ガラスへの抗菌・抗ウイルスコーティング開発

, ,

2021年4月23日

 日本板硝子はこのほど、ガラス基板上で高い抗菌・抗ウイルス機能を発揮するコーティング技術の開発に成功したと発表した。

 独自のゾル‐ゲル製法により、ガラスと同じシリカ構造の密着性の高い成膜が行え、そのコーティング膜は強固(鉛筆硬度9H)でガラスとほぼ同等の透過率をもつ。摩擦や薬品などへの耐久性が高く頻繁な接触操作やクロスによる拭き掃除ができ、静電容量式タッチパネルなどにも使える。

 ガラス表面に塗布された銅含有膜が、空気中の水分や酸素などと反応して活性酸素類(H2O2、OHラジカルなど)を発生し、表面に付着したウイルスのエンベロープ膜の破壊や、脂質、タンパク質、遺伝子物質を分解し、細菌やウイルスを不活性化する。

 公的機関による国際規格準拠の評価試験で、99.99%以上のウイルス不活性化効果が確認され、ヒトコロナウイルスや大腸菌への効果も確認された。

 銅の作用で、紫外線(自然光)や可視光(蛍光灯)が当たらない暗所でも抗菌・抗ウイルス効果を継続的に発揮する。スマートフォンやタブレットをはじめ、レジ端末、ATM、エレベーター、医療機器、家電などの各種端末画面や操作ボタンといった人が触れる様々な部位に使え、個人用途に限らず病院や介護施設、飲食店など、衛生的環境が求められる公共の場所へ使用することで、安心・安全な環境の実現に貢献する。今後マーケティング活動を進め、来年3月期中に発売開始する考えだ。

ブリヂストン 乗用車用タイヤのサブスクサービス開始

, , ,

2021年4月23日

 ブリヂストンはこのほど、グループ会社ブリヂストンリテールジャパンが乗用車用タイヤのサブスクリプションサービス「モボックス」の提供をコクピット・タイヤ館で開始したと発表した。

 自動車業界はMaaSやCASE化の波が加速し、消費者の生活スタイルや消費スタイルも変化している。これに対応し、「タイヤに安心感と気軽さを」というコンセプトで同サービスを開始した。

 タイヤとメンテナンスを月額定額で利用できるサービスで、専門知識をもったスタッフによる使用用途に合わせたタイヤの提案、組み替え・脱着に加え、パンク補償、定期的な安全点検や各種メンテナンスなど、安心感のあるサービスを提供する。これを通じて、顧客の安心・安全な移動を支え、タイヤを適切に管理し長く利用してもらうことで資源生産性を向上させ、適正空気圧を保つことで燃費悪化を抑制してCO2排出量削減にもつなげていく考えだ。