ダウなど3社 医療従事者用防護マスクの提供に向け提携

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2020年6月3日

 ダウはこのほど、ワールプール・コーポレーションおよびレイノルズ・コンシューマー・プロダクツと提携し、COVID‐19(新型コロナウイルス感染症)流行の最前線で立ち向かう、勇気ある医療従事者が待望する防護マスクを提供すると発表した。

 この共同プロジェクトでは、ワールプールの100%子会社であるWINヘルスラボを通じてヘアキャップやマスクなどの保護具を製造・販売し、初期生産分は病院に寄付される。

 共同チームにより制作された個人保護具(PPE)は、電動ファン付き呼吸用保護具またはPAPRと呼ばれ、従来の医療用マスクとバイザーに代わる役割を果たす。取り換え可能なポリエチレン樹脂製のフェイスシールドが特長で、この透明なシールドは、柔軟で着け心地がよく、別の患者を診る際に素早く取り換えることが可能だ。

 今回の連携は、3社が、それぞれの支援の方法を探している中で誕生した。ワールプールは、ヘッドセットの設計、製造、組み立てを担当。ダウがポリエチレン樹脂をフェイスシールド用に提供し、「Hefty」ブランドのレイノルズが、使い捨てフェイスシールドを設計、製造した。また、フォルクスワーゲン・オブ・アメリカが、素材とサプライチェーンに関わる業者を仲介し、重要な部品を調達している。

 ワールプールとダウが操業している地域にある病院と、PPEを必要とする他の病院に寄付するため、第1段階では2000ユニットを製造。必要とされるPPEをなるべく多くの医療機関に届けるため、「Hefty」のチームが最初のフェイスシールド100万個を寄付している。

 レイノルズのランス・ミッチェルCEOは、「安全で効果的なPPEを提供する取り組みに貢献できてうれしく思う。複数の企業が知見を持ち寄ることで、最も必要なときに新しいシールドを届けることができた」とコメントしている。

東洋紡 飲料用ペットボトルから高機能樹脂フィルムを再生

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2020年6月3日

 東洋紡はこのほど、飲料用ペットボトルからリサイクルされた原料を使用したフィルム製品群について、「Bevarage Bottles to Film‐BB2F」の商標の下、環境に配慮した高機能製品のラインアップを拡充し、グローバル市場への展開に注力すると発表した。

サイクルクリーン
サイクルクリーン

 世界的に環境意識が高まる中、消費者によって使用されたプラスチックをリサイクルした(PCR)原料を使ったフィルム製品の需要が増している。

 同社は2012年、業界最高レベルのリサイクル原料使用率80%と、業界最薄の12㎚を実現した包装用フィルム「サイクルクリーン」を業界に先駆けて上市した。プラ製造時の端材や不良品は一切使わず、飲料用として使用されたペットボトル由来のリサイクル原料のみを使用するため、使用済み廃プラの削減にも貢献。環境に配慮した製品として、ペットボトル用ラベルなどに広く採用されてきた。

 今後、「サイクルクリーン」に加えて、薄肉タイプのシュリンク(収縮)フィルム「スペースクリーン」や、高バリア性能フィルム「エコシアール」についても、リサイクル原料に飲料用ペットボトル由来のPCR原料だけを使用した新製品の開発を加速し、ラインアップを拡充していく。

 同社は、これらの「BB2F」ブランドを通じて、環境に配慮した高機能フィルムとしてグローバル市場へ積極的に展開し、軟包装分野での循環型経済の実現に貢献していく考えだ。

 

AGC 製造受託のコロナ治療薬候補、米で臨床試験を進行

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2020年6月3日

 AGCはこのほど、CDMO事業子会社である米AGCバイオロジックス社が原薬製造を受託している、米CytoDyn社の開発した新型コロナウイルス向け治療薬候補「レロンリマブ」について、FDAが第Ⅱb/Ⅲ相臨床試験実施を承認したと発表した。

 CytoDyn社の開発した「レロンリマブ」は、HIVや乳癌の患者向けに開発されている治療薬。同治療薬を新型コロナウイルスの患者に投与することで、サイトカインストーム(血中サイトカインの異常上昇が起こり、多臓器不全にまで進行する状態)を抑制する効果などがあり得ると考えられている。

 すでに米国の新型コロナウイルス重症患者に実際に投与され、効果が確認されたことから、今回の臨床試験進行の承認が行われた。

 AGCグループは、製薬会社の新型コロナウイルスワクチンや治療薬の製造を担い、新型コロナウイルスの感染拡大の抑止や流行の終息に貢献していく。

旭化成ファーマ 排尿障害改善剤が中国で新薬の承認取得

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2020年6月3日

  旭化成ファーマは2日、排尿障害改善剤「フリバス」(中国名:「福列」、一般名:ナフトピジル)が、先月20日に中国での新薬承認を取得したと発表した。同剤は、前立腺肥大症に伴う排尿障害治療専門のα1受容体遮断薬で、日本では1999年2月から販売を行っている。

 前立腺肥大症は、膀胱の下にある尿道を取り囲む男性特有の臓器である前立腺が肥大する疾患。男性高齢者に多く発症し、尿道が圧迫される際に現れる、尿が出にくい、夜間頻尿などの不快な症状が「前立腺肥大症に伴う排尿障害」と呼ばれている。

 近年、中国では高齢化の進展に伴い前立腺肥大症による排尿障害患者数が増加しており、患者のQOL(生活の質)向上の観点から、排尿障害治療の重要性が高まっている。

 同社は、同剤の販売を通じ、中国での排尿障害の治療に新たな選択肢を提供していく。

富士フイルム 新型コロナ肺炎のAI診断技術開発を開始

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2020年6月2日

 富士フイルムはこのほど、人工知能(AI)技術を用いた新型コロナウイルス肺炎の診断支援技術の開発を開始した。同社と京都大学(大学院医学系研究科呼吸器内科学 平井豊博教授)が共同開発した間質性肺炎の病変を定量化する技術を応用し、新型コロナ肺炎患者の経過評価や治療効果判定などをサポートする診断支援技術の開発を目指す。

 今回の開発は、新型コロナ肺炎患者を受け入れている国内の医療機関と共同で推進。まず神奈川県立循環器呼吸器病センター(横浜市)とスタートし、その後複数の国内医療機関に拡大していく予定だ。

 新型コロナ感染症については、医師が行った様々な治療の有効性の判断基準は未だに明確ではない。新型コロナ肺炎は、間質性肺炎と同様の画像所見を示し、病変パターンが多岐にわたるとされる。肺炎の進行や治療効果の確認には、徐々に変化する病変の性状の目視確認が必要であるが、1患者あたり数百枚にも及ぶ胸部CT画像の読影は専門医でも非常な負担になる。

 同社の「間質性肺炎定量化技術」は、AI技術で設計したソフトウエアで、CT画像から肺野(はいや)内の気管支、血管、正常肺および網状影やすりガラス影、蜂巣肺(ほうそうはい)など肺の7種類の病変性状を識別し、自動で分類・測定を行い、間質性肺炎の病変を定量化する。

 さらに、病変の分布と進行状態を詳細に確認できるよう、肺野を12領域に分割し、領域ごとに病変の容積と割合を表示する。同技術は、京都大学との共同研究によるもので、同社開発の間質性肺炎の病変分類・定量化AI技術を、京都大学保有の症例データで学習させて高精度な識別性能を実現した。

 今回この「間質性肺炎定量化技術」を活用し、新型コロナウイルス肺炎患者の経過評価と、治療効果判定を支援する技術開発を開始。治療薬の効果判定にも利用できる技術を確立することで、新型コロナ肺炎の治療薬の開発・評価の加速も期待できる。

 同社は、医療画像診断支援、医療現場のワークフロー支援、そして医療機器の保守サービスに活用できるAI技術の開発を進め、「REiLI(レイリ)」というブランドで展開。今後も、医師の画像診断支援やワークフローの効率を目指したソリューション開発をスピーディに進めていく考えだ。

BASF プラの循環型ソリューション、共同開発を締結

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2020年6月2日

 BASFはこのほど、セキュリティ・マターズ社(豪州)と、プラスチックのトレーサビリティと循環型のソリューションを開発する共同開発契約を締結した。

 プラスチックは、その特性を生かして適切に使用されると、持続可能な資源効率の良い未来に貢献できる。しかし、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)に転換するには、より多くの廃プラを回収し再利用する必要がある。リサイクルではマテリアルリサイクルが一般的だが、再生品はバージン品と比較して物性と品質が劣っていること、インフラ設備も高価で複雑なため多くの地域で整備されていないことが課題だ。

 両社は共同で、この課題に対するソリューションの提供を目指している。セキュリティ・マターズ社は、クローズド・ループ・リサイクル(同品質材料への再生)での物理的およびデジタル追跡を可能にし、サスティナビリティ認証や廃プラの分別精度を高める技術に貢献。

 同社の追跡・トレースが可能なソリューションは、永久的に変更不能な化学物質ベースの「バーコード」で物体をマークし、デジタルツイン(サイバー空間で再現し連動させる仕組み)に接続するもの。バーコードは、製造やリサイクル工程で変化せず、物体の外観や性能にも影響がない。独自の「リーダー」を使用してバーコードを読み取り、プラスチックに埋め込まれた様々な情報を集めてリサイクルに生かすことができる。

 一方、BASFは、プラスチック添加剤および規制のノウハウといった専門知識や、プラスチック・バリューチェーンの豊富な経験を、このパートナーシップに活用する。また、契約の一環として、両社の研究開発能力とリソースを統合していく。

 BASE欧州パーフォーマンス・ケミカルズ事業部シニア・バイス・プレジデントのアヒム・サイツ氏は、「両社は、ポリマー情報とプラスチックの生産・流通プロセスでの追跡情報を把握できる、革新的な技術を共同で開発している。リサイクル材料を使用して、原材料の価値や、資源の生産性を高めることを望んでいる顧客やバリューチェーンのプレイヤーに、最適な添加剤パッケージを提案していく」とコメントしている。

積水化学 圧力管路用のFRP製離脱防止継手を発売

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2020年6月2日

 積水化学工業は1日、環境・ライフラインカンパニーが、FRPM管用の離脱防止継手「エスロンFTR‐N曲管」を発売したと発表した。 同製品は独自成形法のFRP製曲管継手で、業界初となる強化プラスチック複合管(FRPM管)用の離脱防止継手であり、簡単施工でスラストブロックレス配管を実現する。

 同社は、FRPM管「エスロンRCP」と、同製品用の継手「エスロンFT‐R形異形管」を製造・販売している。金属管などの他管種に比べ、軽量性・施工性・耐腐食性・水理性・経済性などの特徴から、農業用水や小水力発電などの圧力管路に多くの実績を持つ。易施工や軟弱地盤対策などのニーズは益々強まっているが、圧力管路の曲管部には水圧の不均衡などによるスラスト力が発生し、高いスラスト力が作用する場合はスラストブロックが必要となる。ただ、スラストブロックの打設は掘削量が大きくなるため環境負荷が大きく、またコンクリートの型枠組みや養生にも多大な時間を要するといった課題があった。

 そこで同社は、「エスロンRCP」と「エスロンFT‐R形異形管」の特徴をさらに強化するため、スラストブロックレス配管の実現が可能な離脱防止継手の開発に注力し、今回「エスロンFTR‐N曲管」の発売に至った。同製品は、簡単施工で離脱防止処理時間の大幅短縮を実現。従来同様に管を接合した後に、スラストブロックを打設することなく、SUSワイヤを挿入するだけで離脱防止処理が工具不要で簡単に完了する。

 同社は、エスロンFTR‐N曲管」の受注拡大を含め、2022年度にエスロンRCP」関連事業の売上高50億円を目指す考えだ。

積水化学 離脱防止継手と構造

 

 

三井化学 歯科材で松風など3社の業務・資本提携を強化

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2020年6月1日

 三井化学と子会社のサンメディカル、松風の3社は、歯科材料事業に関するさらなる業務・資本提携の強化に合意し、14日に資本業務提携契約を締結した。

 3社は2009年5月に、同事業の業務・資本提携を行い、事業力強化に向けた連携を図ってきた。今回の提携強化により、各社が持つ得意分野を最大限に生かすことで、歯科材料分野の研究開発、販売・マーケティング、生産機能をより強固なものとしていく。歯科材料市場での存在感を高め、企業価値の向上に取り組んでいく方針だ。

 松風は、高い研究開発力と充実した販売網を持つ歯科材料・機器の総合メーカー。世界の歯科市場で存在感を高め、〝創造的な企業活動を通じて世界の歯科医療に貢献する〟という経営理念の実現に向けて取り組んでいる。

 一方、三井化学は、素材メーカーとして材料分野の研究開発力を強みに、子会社のサンメディカルや独クルツァーなどを通じて歯科材料事業をグローバルに展開する。

 現時点で3社が想定している業務提携は、①得意分野の技術を生かした新製品開発の促進②製品の補完による製品ラインアップの拡充③国内外販売ネットワークの活用によるシナジーの追求④生産機能の補完・共有などの検討の実施。また、松風とサンメディカル2社間の国内での提携強化、松風と三井化学両社間のグローバルでの歯科材料事業のさらなる提携強化への協議進めていく考えだ。

 資本提携については、松風は新株178万株を第3者割当により三井化学に割り当て、三井化学はこれを引き受ける。これにより、三井化学の松風株の保有株式数は180万株から358万株となり、保有割合は20.01%となる。

 三井化学は3社間での連携を進展させることで、歯科医療従事者が求める革新的な製品・サービスの提供と、歯科医療を通じた人びとの健康とQOL向上への貢献をいっそう拡充させていく。

 

出光興産 再エネ100%の電気を上智学院に供給

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2020年6月1日

 出光興産はこのほど、100%子会社である出光グリーンパワーが、上智学院・四谷キャンパス(ソフィアタワーを含む)に、再生可能エネルギー100%の電力プラン「プレミアムゼロプラン」の供給を6月1日から開始すると発表した。

 今回、同学院が導入する「プレミアムゼロプラン」は、再生可能エネルギー(FIT電気含む)100%の電源構成に、トラッキング付非化石証書を組み合わせることで、供給する電力のCO2排出量が実質ゼロとなるプラン。これにより、同学院四谷キャンパスで使用する年間約2000万kWhの電気が再生可能エネルギー由来となり、約9300tのCO2削減に貢献する。

 なお、同プランは再生可能エネルギー100%の電力使用を目標とする「RE100」加盟企業も利用できる。

 出光グリーンパワーは、出光グループで風力・地熱・バイオマス・太陽光・水力といった多種多様な再生可能エネルギー電源を保有する強みを生かし、再生可能エネルギー由来の電力を、環境に積極的に取り組む企業や団体へ供給している。また、東京都がCO2排出量削減を目標に実施している「東京都キャップ&トレード制度」の低炭素電力の供給事業者に6年連続で認定されている。

 同社グループは、今後も、再生可能エネルギーのさらなる普及・拡大に取り組む考えだ。

電力供給のイメージ図
電力供給のイメージ図

ダウ ミシガン州の水害復興に向けて100万ドルを提供

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2020年6月1日

 ダウはこのほど、本社所在地である米国ミシガン州ミッドランド地域で発生した豪雨やダム決壊による大規模水害からの復興を支援するため、ダウ・カンパニー基金と共に、100万ドルの支援金を提供すると発表した。支援金は、水害関連の緊急支援や長期的復興のために役立てられる。

 ダウのジム・フィッタリング会長兼CEOは、「ミシガン州のグレートレイクスベイ地域は、120年以上にわたるダウの故郷であり、記録的水害からの地域復興や、従業員の支援に向けて、当社は断固とした決意を持って取り組んでいる。従業員やその家族、地域社会の安全は、私たちの一番の優先事項であり、より力強い未来そして復興のために、ダウの同僚や官民パートナーと共に協力していく」と述べている。

 同社は地域パートナーと共に被災者に向けた緊急支援として、①ミッドランド地域コミュニティー基金内のダウ従業員支援ファンドへ25万ドルを寄付し、水害により直接的な被害を受けた従業員を支援、②ユナイテッドウェイのミッドランド郡事務所によるライズトゥギャザーファンドへ25万ドルを寄付し、支援を必要とする数千の家族を支援、③復興段階での支援のため、50万ドルを寄付している。