大王製紙 耐水・耐油性高密度厚紙で食品容器用プラ代替

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2020年7月8日

 大王製紙はこのほど、プラスチック代替可能な高密度厚紙に耐水・耐油性を付与した「エリプラ+(プラス)」を開発し、先月より原紙(巻取・平判)の販売を開始した。

 同社は、海洋プラスチックごみ問題に対応し、プラスチック代替素材として必要な剛性を持ち、生分解性があり、食品・添加物基準に適合する、蛍光染料の溶出のない「エリプラペーパー」を昨年上市した。

 「エリプラ+(プラス)」は、プラスチックフィルムを使わずに耐水・耐油性をプラスしたもの。耐水性は、吸水量(コッブ法)が従来品に比べ18g/㎡と約3割改善。耐油性も、耐油度(キット法)が1未満から8~10程度へと大幅に改善された。揚げ物、炒め物、スープなど水分や油分を多く含む食品のテイクアウト容器や、アウトドア用の紙皿、ボウル、スプーンなどにも使いやすい剛性があり、電子レンジ加熱にも対応している。米坪380~1000g/㎡、厚み0.42~1.30mm、密度0.76~0.90g/㎠の6種のラインアップで、幅広い用途への展開も可能だ。

 「エリプラペーパー」は、「Eliminate Plastic(脱プラ)」の頭文字を冠した地球環境に配慮した製品として展開。今回、耐水・耐油性を付与した「エリプラ+(プラス)」により用途展開を広げ、「脱プラ」の環境配慮型製品の開発を通じて地球環境への取り組みを強化していく考えだ。

 

DSM クラリアントの3Dプリンティング材料事業を統合

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2020年7月8日

 DSMは7日、クラリアントの3Dプリンティング事業を部分的に引き継ぐことで合意したと発表した。今回の合意により、DSMは、顧客の多様なアプリケーションニーズに対し、より多くのフィラメント・ペレットによるラピッドプロトタイピング(高速試作)・製品開発ソリューションを提供できるようになる。

 工業製品の生産でアディティブ・マニュファクチャリング(積層造形、3Dプリンティング)技術の導入事例が急激に増加している中、既存の製品ポートフォリオや製造プロセスと整合する材料を使用したい、というニーズも増えてきている。DSMのフィラメントおよびペレットに関する優れた技術や実績に、クラリアントが培ってきた3Dプリンティング材料に関する知見を加えることで、市場ニーズに基づいた高性能なフィラメントとペレットを、顧客のニーズに即応できる形で提供が可能となった。

 今後、両社技術の統合により、DSMはエンジニアリンググレードのフィラメント、ペレット、およびパウダーの製品ポートフォリオを強化する。また、独自のコンパウンド生産方法により、フレキシブルかつスピーディーな市場主導型製品開発を進めてきたクラリアントチームの知見を生かすことで、顧客のアプリケーションニーズに合わせたより迅速な製品改良が可能となる。

 今回の取引には、クラリアントの3Dプリンティングチームの一部、選別されたエンジニアリンググレードのフィラメント・ペレット材料ポートフォリオ、開発パイプライン、顧客、パウダー開発の知見、少量バッチ生産の迅速な立ち上げのための小規模生産ラインが含まれている。

岩谷産業 バイオ3Dプリンティングで業務資本提携を締結

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2020年7月8日

 岩谷産業は7日、細胞を立体的に積層する独自のバイオ3Dプリンティング技術を活用し革新的な再生医療製品の実用化を目指すサイフューズ(東京都文京区)と、再生・細胞医療分野での業務資本提携を締結したと発表した。

サイフューズの細胞製人工血管
サイフューズの細胞製人工血管

 サイフューズは、独創的なバイオ3Dプリンティング技術を血管再生や骨軟骨再生、神経再生などの再生医療に応用するこれまでにない3D細胞製品の開発に取り組んでいる。現在、サイフューズでは、この新たな治療選択肢を1日でも早く多くの患者へ届けることを目指し、細胞のみで作製した細胞製人工血管の臨床試験を開始するなど、3D細胞製品の実用化に向けた開発を進めている。

 今回の業務資本提携を通じて、再生医療などへ向けた製品の実用化を目的として、岩谷産業が培ってきた製造・保管・輸送インフラの技術・知見・ノウハウを最大限に生かし、サイフューズが開発を進める3D細胞製品の事業化を加速していく。

 岩谷産業は、再生・細胞医療分野の基幹インフラを構築することで、新産業の創出と市場発展に貢献していく考えだ。

サイフューズのバイオ3Dプリンタ
サイフューズのバイオ3Dプリンタ

 

 

エア・ウォーター 歯髄幹細胞による再生医療事業に参入

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2020年7月7日

 エア・ウォーターはこのほど、歯髄関連事業を企画・推進するグループ会社のアエラスバイオ社(兵庫県神戸市)は、同社と連携する「RD歯科クリニック」の再生医療等提供計画が厚生労働省で受理されたことに伴い、歯髄幹細胞を用いた再生医療を開始したと発表した。

 歯髄再生治療は、自らの不用歯の歯髄幹細胞を培養増殖し、虫歯で神経を喪失した歯に移植して歯髄を再生する治療で、世界初の実用化となる。現在、ひどい虫歯には抜髄治療が施され、国内で年間600万症例ほど行われているが、歯が折れやすくなり、細菌防御反応や歯髄組織の修復機能も失う可能性が高まる。こうした中、同再生治療で神経や血管を再生し健康な歯を取り戻せるため、QOL向上や健康寿命の延伸が期待される。

 同社医療関連事業は、医療用ガスや病院設備などの「高度医療分野」の強化に加え、歯科や衛生材料などの「くらしの医療分野」への拡大にも注力。2011年に歯科関連事業に参入、18年にアエラスバイオ社を設立して歯髄再生治療の事業化に着手、昨年「エア・ウォーター国際くらしの医療館・神戸」内に歯髄幹細胞の培養・加工・保存設備を整え、安全性や有効性の検証を進めてきた。

 今回一連の治療システムが完成し、歯髄再生治療が可能となった。「RD歯科クリニック」での治療は抜歯~培養~移植~検査から成り、1回の費用は50~70万円程度、期間は約1年である。

 今後アエラスバイオ社は、エア・ウォーター関連会社の歯愛メディカルの歯科医院向け通信販売ネットワークを活用して同治療の普及を進め、医師向けの講習会や技術支援を行う予定。

 今秋には、培養した歯髄幹細胞を長期間冷凍保存する「歯髄幹細胞バンク事業」も立ち上げ、これら関連事業も合せて3年後には年間売上高10億円規模を目指す。また、乳歯や二親等以内の親族の歯から採取した幹細胞による治療も実現も目指す。さらに、歯髄幹細胞は血管や神経組織への誘導能力が高いことから、脳梗塞、脊髄損傷、血管障害など歯科関連以外の再生医療への適用も視野に入れ、引き続き研究・開発に取り組んでいく考えだ。

DIC コバルトフリー乾燥促進剤で塗料乾燥時間を半減

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2020年7月7日

 DICはこのほど、塗料や印刷インキなどに用いる速乾性能に優れた酸化重合型樹脂の乾燥促進剤(ドライヤー)を開発し、「DICNATE(ディックネート)」シリーズとして上市、サンプルワークを開始した。

乾燥促進剤(イメージ) 
乾燥促進剤(イメージ)

 塗料や印刷インキの硬化や乾燥促進には、ドライヤーと呼ばれる金属石鹸が用いられる。金属石鹸は金属塩と脂肪酸が結合したもので、通常は有機溶剤に溶解するが水には不溶。硬化・乾燥促進には一般的にコバルト(Co)石鹸を用いるが、Coは環境負荷やコストなどの課題がある。

 今回上市した非Co系のドライヤーを使用すると、アルキド塗料の完全硬化に要した時間は、従来のCoドライヤーの約半分であった。同時にコスト削減や環境負荷低減も期待できる。さらに、溶剤系だけではなく水系にも使用できることから、様々なニーズに対応可能である。

 今後アジアや中東、欧米地域などの塗料・印刷インキ業界を視野に、2025年までに売上高10億円を目指す考えだ。

出光興産 AI技術による配船計画最適化の実証実験を完了

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2020年7月7日

 出光興産とテクノロジーベンチャー企業のグリッドはこのほど、三井物産と深層強化学習などのAI技術を活用した「内航船による海上輸送(配船)計画の最適化」の第1弾となる実証実験が完了したと発表した。

 今回の実証実験では、これまで石油元売り業界の喫緊の課題であった熟練担当者の経験や職人技に依存した配船計画策定について、AI最適化技術を用いた最適化と自動化を目指してきた。実証実験では、製油所から油槽所へ製品を海上輸送する現実の配船オペレーションを再現するシミュレーター構築とAI配船最適化モデルの構築を行い、AIによる最適な配船計画策定を実現。過去実績データとAI配船結果との比較検証を行った結果、安定供給を実現しつつ輸送効率を最大約20%改善できる配船計画の作成に成功した。

 これにより輸送コスト削減を図るとともに、属人化しがちであった配船計画業務の標準化ができ、さらには燃料消費量の低減による環境負荷軽減にも貢献できる。また、計画立案速度も格段に上がり、これまで計画立案に要していた時間の約60分の1にまで削減し、約1カ月の計画を数分で立案することが可能となった。この成果は、担当者の業務負担を大幅に軽減し、また複数の配船計画を比較し最良の計画を担当者が選択するという業務プロセスの改善も期待できる。

 構築された配船計画モデルは、船舶の運航効率や製品の積み付けバランス、航海時間や荷役時間を含めた船舶稼働時間など様々な制約条件を考慮しており、計画の実行性という観点からも、配船計画担当者や海運会社にとって違和感のない現実的な配船計画を作成できることを確認している。 

 世界的に見ても類を見ない、深層強化学習の社会課題への応用によるAI配船計画最適化の成功は、サプライチェーン全体の最適化への大きな足掛かりとなることが期待される。今後は実運用に向け、製油所・油槽所・船舶の数をさらに増やしたAI配船計画モデル構築の検証を実施するとともに、システム構築のための仕様検討を開始し、2021年のシステム運用開始を目指す。

凸版印刷 レトルト対応のデジタルプリント接着剤を開発

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2020年7月7日

 凸版印刷は6日、軟包装のデジタルプリントを汎用のラミネーション機械で加工でき、レトルト殺菌対応製品に使用可能な接着剤を開発したと発表した。今回開発した接着剤を使用することにより、デジタル印刷パッケージの活用範囲が広がり、消費者の多様化するニーズに対応した高付加価値商品の提供が可能となる。

 軟包材を用いた商品パッケージの製造は、コスト面などから専用の機械を用いた大量生産が一般的。しかし近年、消費者のライフスタイルの多様化などにより、商品に対する市場のニーズが多角化し、店頭で他社の類似商品と差別化するためにも、パッケージに求められる役割が増加している。

 同社は軟包装分野で小ロット・多品種生産に最適なパッケージを提供する「トッパンFP(フレキシブル・パッケージ)デジタルソリューション」を展開。また昨今「巣ごもり」需要の影響で、長期保存可能なレトルト食品の消費は増加しており、レトルト食品用パッケージはさらなる需要増が見込まれる。ただ、デジタルプリントでレトルト殺菌用製品を生産する場合、専用の設備が必要で、汎用のラミネーション機械では加工が行えない課題があった。

 こうした中、同社は、レトルト殺菌が可能で汎用のラミネーション機で加工できる接着剤を開発。これにより汎用ラミネーション設備でレトルト殺菌対応製品が製造可能となり、レトルト対応製品にデジタルプリントの特長である小ロット(最低ロット1000枚から)のオリジナルデザイン印刷が可能となった。

 同製品の特長として、①小ロットでレトルト食品パッケージにオリジナル印刷展開が可能、②最低ロット1千枚から対応が可能で、パッケージおよびラベルの余剰品を削減でき、環境負荷が最小となる包装設計が行える、③製版不要のため、複数デザインのパッケージ製造が可能、④情報加工技術を応用し、グラビア印刷と同等の印刷品質を実現、⑤テストマーケティングや数量限定パッケージなど幅広い用途に活用、などが挙げられる。

 同社は、7月から食品やトイレタリー、化粧品業界などの国内市場向けに同製品の提供を開始し、2021年に約3億円の売上を目指す考えだ。

新開発した接着剤によりレトルト対応が可能になった製品サンプル
新開発した接着剤によりレトルト対応が可能になった製品サンプル

 

 

カネカ 医療機器事業を再構築、グループ会社を子会社化

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2020年7月7日

 カネカは6日、グループ会社のリバーセイコーの全株式を取得し、医療機器受託製造を中心とした事業体制から、製造およびR&B機能(製品開発から営業企画)を併せ持つ医療機器事業会社として再構築すると発表した。今後、インターベンショナルな手術に使用する消化器分野、および不整脈を診断・治療する電気生理分野の事業の拡大と強化を図る方針だ。

 今回の完全子会社化に伴い、7月1日よりリバーセイコーの社名を「カネカメディカルテック」に変更。カネカとの連携をさらに強化し、ブランド力を高める。人員、機能の拡充によるマーケティング、研究開発、製造体制の整備、新製品・ソリューションの創出力を向上させることで事業機会の飛躍的拡大を狙い、2024年には同事業領域の売上高100億円を目指す。製品は、従来通りカネカの販売会社・カネカメディックスが担当していく。

 なお、Health Care Solutions Unitの組織「Medical Devices Solutions Vehicle」は、より幅広いソリューションの提供を通じて医療に貢献するため、6月1日より名称を「Medical Solutions Vehicle」に変更している。

 

三井化学 マスク用ノーズクランプを増強、コロナ禍対応で

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2020年7月7日

 三井化学は6日、新型コロナウイルス感染拡大防止のためマスク需要が増加していることから、同社100%子会社のサンレックス工業(三重県四日市市)にて、マスク用ノーズクランプ「テクノロート」の生産設備増設を決定したと発表した。

ノーズクランプ
ノーズクランプ

 1ライン増設することにより、三井化学グループのマスク用ノーズクランプの生産能力は2.5倍(年産マスク30億枚相当)になる。新設備の建設には先月からすでに着工しており、今年10月の完工を予定。今後もマスク需要動向により、さらなる増設を検討していく考えだ。

 同製品は、針金と同様に自由に折り曲げたりひねったりすることができる、形状保持特性を持つプラスチック線材。マスクの鼻の部分に使用することで、マスクを顔に密着させる効果を付与する。耐薬品性に優れ、重量は針金の約6分の1と軽量。また樹脂製のため、それ自体が金属探知機に反応せず、食品・医療用製品での金属混入の確認が容易といった利点も備える、三井化学の樹脂材料技術と延伸加工技術により実現した素材。

サンレックス工業外観
サンレックス工業外観

 同社は、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けて、今回の「テクノロート」のみならず、マスク用不織布「シンテックスMB」、アイソレーションガウン用不織布「PS‐105‐GW」の供給体制を引き続き強化していく。

 

 

NEDO 世界初、水素輸送の国際実証試験を本格開始

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2020年7月6日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、水素社会構築に向けた事業の一環として、次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)とともに、世界初の国際間水素輸送実証試験を、本格的に開始した。

 NEDOは、水素社会での水素の安定供給を目指し、2015年から「水素社会構築技術開発事業」に取り組んできた。今回、未利用エネルギー由来の水素の国際サプライチェーン構築のために、トルエンを水素キャリアとする「有機ケミカルハイドライド法」の国際実証試験を本格的に開始した。

 水素単体では多くの体積を必要とすることから、輸送に課題がある。トルエンと反応させてメチルシクロヘキサン(MCH)に変換することにより体積は500分の1になる上、既製のISOタンクコンテナによる常温・常圧での輸送・貯蔵が可能となる。さらに今回、大規模なMCH脱水素処理技術を開発し、低コスト運用の可能性が開けた。

 昨年11月にブルネイの水素化プラントが完成、12月には製造したMCHが日本に到着した。川崎市内の脱水素プラントが4月に稼働を始め、MCHから分離した水素を東亜石油京浜製油所内の水江発電所のガスタービンに供給している。脱水素後のトルエンはブルネイへ輸送し、6月からトルエンの再水素化処理を開始した。こうして、一連のプロセスからなる水素サプライチェーンが完成し、安定稼働に入った。

 水素供給源はLNGプラントのプロセス発生ガスで、水素輸送能力は年210t(燃料電池自動車フル充填約4万台相当)。今年末まで実証試験を行い、水素化・脱水素化設備の性能検証と課題の抽出、運用技術の確立、国際取引のノウハウ蓄積を図り、海外からの水素輸送と国内の水素発電の大規模な水素利用システム技術を確立し、本格的な水素社会の実現を目指す方針だ。