宇部興産は23日、同社が参画してきた環境省のNCV(Nano Cellulose Vehicle)プロジェクトによるセルロースナノファイバー(CNF)部品を使用したコンセプトカーが完成し、走行シーンのプロモーションビデオを「宇部興産専用道路」(山口県宇部市~美祢市、全長31・94㎞)で撮影したと発表した。
同社は、植物由来のCNFとナイロンによる自動車部品に適した複合材料の組成検討や材料の試作・提供を行っている。
なお、プロモーションビデオは東京モーターショー(東京ビッグサイト:10月24日~11月4日、一般公開は25日より)の環境省ブースで上映されるほか、YouTubeの環境省公式チャンネルでも公開される。
同プロジェクトは2016年に京都大学、産業環境管理協会など20以上の研究機関、企業などが参加して発足。植物由来の素材であり、鋼鉄の5分の1の軽さで、かつ5倍の強度を持つCNFを活用した材料(複合樹脂など)で自動車を軽量化し、CO2排出量を削減することを目標に推進してきた。
自動車へのCNFの自動車部品への応用は日本が世界に誇るフラッグシップ技術。この中で宇部興産はナイロンの国内トップメーカーとしての技術と知見を生かし、車両のインテークマニホールドの材料としてCNFとナイロンの複合材料の組成検討と試作・提供を担当した。
コンセプトカーの走行シーンを撮影した宇部興産専用道路は、「日本一長い私道」として知られるセメント製造設備の一部。映像では、植物由来の材料がふんだんに使われた自動車が緑豊かな風景の中をさっそうと走り抜けるイメージが表現されている。
宇部興産は、今年度から3カ年の中期経営計画「Vision UBE 2025 ~Prime Phase~」の基本方針の1つとして「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」を掲げている。今後も同社は、GHG排出量削減や、環境負荷低減に貢献する新たな技術・製品の創出と拡大を目指していく考えだ。セルロースナノファイバー