【新年特集】わが国化学産業、2024年は事業環境の改善に期待

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2024年1月5日

新たな収益源の創出に注力、石化再編の機運も上昇

 わが国化学産業は、汎用分野、高付加価値分野とも厳しい状況が続いている。国内では、インバウンドやサービス需要が戻りつつあるものの、原燃料価格の高止まりや円安進行が物価高を引き起こしており、消費者の買い控えが続いている。海外では、中国の景気低迷の影響によりアジア全体の石化製品の需要が盛り上がらないことに加え、金利引き上げが欧米経済の重荷になっている。対面市場では、自動車分野は生産台数の増加に伴い、関連製品が回復傾向にあるのに対し、半導体はデバイスの落ち込みを背景に、メモリを中心に在庫調整が続いている。今年は事業環境の改善が期待されているものの、各社にとって新たな収益源となる事業の創出が大きなテーマになりそうだ。一方、カーボンニュートラル実現に向けて、脱炭素化に向けた動きが加速している。バリューチェーン全体でCO2排出削減への取り組みが進むとともに、原燃料のバイオマスへの転換や、プラスチックのケミカルリサイクルといった実証事業が活発化する。

 こうした中、石化事業は、中国の能力増強計画による輸出環境の悪化に加え、環境対策も重荷となり、コンビナートの構造改革が求められている。センター各社の間でも再編の機運が高まっており、今年は何らかの方向性が打ち出されることが想定される。今回の新年特集号では、化学業界を代表する首脳の方々に、生き残っていくための戦略について話を聞いた。

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◇特集インタビュー◇

旭化成 代表取締役社長 工藤幸四郎氏
 ▽変化への対応と自らの変革がテーマ、成長基盤を構築

三井化学 代表取締役社長 橋本 修氏
 ▽2万人のリソースをフル活用、変革に粘り強くチャレンジ

積水化学工業 代表取締役社長 加藤慶太氏
 ▽長期ビジョン実現に向け成長を加速、挑戦する姿勢が重要

東ソー 代表取締役社長 桒田 守氏
 ▽スペシャリティの利益拡大に注力、安全対策も重要課題

JSR 代表取締役CEO兼社長 E・ジョンソン氏                       
 ▽半導体材料業界の競争優位性に一石、非公開化で成長強化                     

東亞合成 代表取締役社長 髙村美己志氏
 ▽川崎新研究所を事業創出拠点に、研究と営業の垣根なくす

 

 

 

【新年特集】旭化成 代表取締役社長 工藤幸四郎氏

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2024年1月5日

変化への対応と自らの変革がテーマ、成長基盤を構築

 ━社長就任から厳しい環境が続いています。

  私が社長に就任した2022年は、現在の中期経営計画がスタートするとともに、創業100周年という節目の年でもあった。しかし、厳しい経営環境となり2022年度の業績が大きく打たれる結果となった。2023年度に入り、下期からは回復基調が期待されたものの、不確定要素が多く、見通しを立てにくい状況が続いている。こうした中、

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【新年特集】三井化学 代表取締役社長 橋本 修氏

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2024年1月5日

三井化学の2024年展望

2万人のリソースをフル活用、変革に粘り強くチャレンジ

 三井化学は、長期経営計画「VISION 2030」に沿い、事業ポートフォリオ変革やソリューション型ビジネスモデルの構築、サーキュラーエコノミーへの対応強化を進める。昨年は、石化・基礎化を中心とする「ベーシック&グリーン・マテリアルズ(B&GM)」は、海外市況の悪化や国内外の需要低迷の影響を大きく受け2023年度の業績は大幅な減益を見込む。その一方で、

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【新年特集】積水化学工業 代表取締役社長 加藤敬太氏

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2024年1月5日

長期ビジョン実現に向け成長を加速、挑戦する姿勢が重要

 ━2023年を振り返ってください。

  昨年3月、前中期計画の最終年度を締めた。2030年の長期ビジョンに向けた1回目の中期3年間として、成長にドライブをかけることを目指した。コロナ禍やウクライナ問題などの想定外の事態が発生したため当初計画が大きく狂ったが、高付加価値製品へのシフト、

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【新年特集】東ソー 代表取締役社長 桒田 守氏

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2024年1月5日

スペシャリティの利益拡大に注力、安全対策も重要課題

 ━昨年を振り返って。

  2023年はコロナ禍が明けてくる中、経済が回復してくると期待していたが、完全に裏切られるかたちとなった。ロシアによるウクライナ侵攻を契機とした石炭価格など原燃料価格の高騰は収まったが、塩ビやウレタン原料といったコモディティ製品の市況低迷が続き、また半導体関連も

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【新年特集】JSR 代表取締役CEO兼社長 エリック ジョンソン氏

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2024年1月5日

半導体材料業界の競争優位性に一石、非公開化で成長強化

 ━2023年を振り返って。

  当社にとって最も大きかったのは、産業革新投資機構(JIC)の認可ファンドであるJICキャピタル(JICC)との戦略的パートナーシップの下で、株式公開買い付け(TOB)を受け入れ、非公開化することを公表したことだ。

 半導体業界は、コロナ禍で電子部品関連の経済活動が非常に活発だったことの反動に加え、

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【新年特集】東亞合成 代表取締役社長 髙村美己志氏

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2024年1月5日

川崎新研究所を事業創出拠点に、研究と営業の垣根なくす

 ━2023年の振り返りと2024年の見通しについて。

 業界別に見ても2023年はまだら模様となった。高付加価値製品など進捗したところがある一方、ベーシックなケミカル、特に石化関係は苦戦が続いた。振り返ると、コロナ禍によって2020年から様々な産業の需要が低下した。2021年に急回復したものの、2022年下期以降から2023年上期にかけて悪化への振れ幅が大きくなったが、徐々にその影響が小さくなっている状況だ。当社も第3四半期の業績は堅調さを取り戻した。数量はまだ期待ほど出ていないが、値上げや合理化策の

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【特集】次世代エネルギーの普及、需要創出とコスト低下が課題

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2023年11月17日

社会実装へ技術開発加速、行政の支援と環境整備が重要

 次世代エネルギーとして、再生可能エネルギーや水素に注目が集まる。日本はFIT制度でメガソーラーが拡大し、太陽光発電導入量は世界3位を誇る。ただ住宅屋根に採用が進まず、都は2025年から新築物件への設置を義務化する。また、設置問題を解決するペロブスカイト太陽電池も実証が進んでおり、政府も日本発の技術として事業化に力を注ぐ。

 一方、水素はコスト高が課題。普及拡大には、需要創出、供給量増加、コスト低下といったサイクルを回す必要がある。燃料分野でも、合成燃料、合成ガス、メタン、SAFなどの開発が進むが、企業にとって技術開発や実証設備への投資が負担になる。政府は先行投資を支援するGX移行債の発行を計画しており、資金を活用することで社会実装に向けて技術開発が加速することが期待される。今回の特集では、次世代エネルギーの課題や進捗について、経済産業省や東京都、団体、企業などを取材した。
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◇インタビュー◇
経済産業省 製造産業局素材産業課長 土屋 博史氏
 ▽原燃料転換を中核にGX推進、「連携」深め国際競争力を強化

【東京都の挑戦】~ゼロエミに向け、再エネと水素の取り組み強化
東京都産業労働局産業・エネルギー政策部 池上佐知氏/村野哲寛氏
 ▽水素の普及拡大に注力、都内でグリーン水素SCの構築目指す      

水素バリューチェーン推進協議会 事務局長 福島 洋氏
 ▽水素普及には需要創出とコスト低下がカギ、支援策も重要

【リファイナリー】
ENEOS
 ▽次世代エネルギー戦略 SAF、合成燃料、CO2フリー水素

出光興産 CNX戦略室 大沼安志氏/鹿野祐介氏/木村達郎氏
 ▽バイオ・合成燃料のSCを構築、元売りの供給責任果たす

【各社の取り組み】
積水化学工業 PVプロジェクト 副ヘッド 森田健晴氏
 ▽PSCで国産エネとCNに貢献、日本モデルで海外に展開

大阪ガス 企画部カーボンニュートラル推進室長 桒原洋介氏
 ▽既存インフラを最大活用、e‐メタンで都市ガスを脱炭素化

ユーグレナ 執行役員エネルギーカンパニー長 尾立維博氏
 ▽バイオ燃料の商業プラントを計画、ユーグレナの量産急ぐ

【次世代エネルギーの展望】経済産業省

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2023年11月17日

製造産業局素材産業課長 土屋博史氏

原燃料転換を中核にGX推進、「連携」深め国際競争力を強化

 

 ━GX(グリーントランフォーメーション)や脱炭素化の取り組みが加速する中、日本の化学産業の現状をどう捉えていますか。

 日本の化学産業は、ナフサ分解によりエチレンなどの基礎化学品を製造・供給することにより、自動車や電気・電子産業など、

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【次世代エネルギーの展望】東京都

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2023年11月17日

東京都の挑戦 ゼロエミッションに向け、再エネと水素の取り組み強化

 東京都は2019年、気温上昇を1.5℃に抑制し、2050年までに世界のCO2排出実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」を打ち出した。2030年までにGHG排出量を2000年比で半減する「カーボンハーフ」を表明し、エネルギー消費量の半減、再エネ電力の利用割合の5割程度への伸長、都内太陽光発電導入量200万㎾以上を目指す。実現には

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