WTI価格 8日ぶり反発で65ドル台を回復

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2021年8月25日

ワクチン承認で景気回復期待も、先行きは不透明

 世界の原油相場では、米国において新型コロナワクチンが正式に承認されたことで投資家心理が改善、市場に資金が流れ込み23日のWTIの終値は65.64ドルでの取引となった。コロナ変異株の感染拡大がマイナス材料となりWTIは8月12日から7営業日連続で下落していたが、前日比3.5ドルも反発する結果となっている。

 米国食品医薬品局(FDA)が、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンを正式承認。これによりワクチン接種が義務化され、経済回復が加速することへの期待が高まっている。とはいえ、新型コロナは新たな変異株も出るなど収束が難しく、世界経済の重荷であることに変わりはない。

 原油相場はコロナ禍から世界経済が回復基調になる中、

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アジア石化市況 エチレンは990ドルに上昇

2021年8月24日

ベンゼンは再び反発、SM上昇も上値が重い展開

 アジア地域の7月第3週の石化市況では、エチレンは前週比15ドル高の990ドル/tでの取引となった。原油・ナフサ価格が上昇傾向となる中、わずか4週間で125ドルも上昇している。ただ、誘導品の採算が悪化していることや、新規設備が稼働してくることもあり、市場に先安観も出ている。スプレッドについては、

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東ソー、塩酸を値上げ 安定供給継続のため採算改善図る

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2021年8月24日

 東ソーは23日、塩酸について9月16日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は「5円/kg以上」。

 同社は、生産や物流コスト削減・効率化に継続して取り組み、安定供給に努めてきた。しかし、物流費、設備の維持・補修費などの高騰により、事業採算は悪化し、自助努力のみでの吸収は困難な状況にある。同社は、今後も安定供給を継続するために、今回、値上げの実施を決定した。

 

宇部興産 CPLの8月契約価格、4カ月連続ステイ

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2021年8月23日

ベンゼン市況が調整局面、誘導品需要も弱含みに

 宇部興産は、ナイロン原料であるカプロラクタム(CPL)について、8月(上旬決め)の韓国・台湾大手向け契約価格を前月と同額の2070ドルで決着した。これで5月から4カ月連続でステイとなっている。

 同社は、8月のベンゼンACPが一段高で決着したため、値上げを前提に交渉を進めていた。しかし8月に入ってからベンゼン市況が大幅に下落し、CPLのスポット市況にも先安観が出始めた。値下げ要求が強まったものの、粘り強く交渉した結果、前月の価格水準を維持したようだ。

 スプレッドについては、ベンゼン市況が上昇したため1005ドルに悪化。3月以降は1000ドル以上を確保できており、輸出環境は良好と言えるものの、9月以降もこのレベルを維持できるかが注目される。

 CPLのアジア市場は、繊維用途は夏場が衣料向けの不需要期に当たることに加え、エンプラ用途でも中国で自動車生産が落ち込むなど需要に力強さが見られていない。こうした中、中国メーカーは余剰となったナイロンチップを安値で輸出する動きを強めており、需給にタイト感がなくなりつつある。台湾大手メーカーは一部グレードで減産しているようだが、足元のスポット価格は2000ドルを割り込むケースも出てきているようだ。

 一方、中国・SINOPECは、7月(下旬決め)の契約価格について、前月比130ドル高(1000人民元高)の1871ドル(1万4900人民元)で決着した。需給の悪化から価格が落ち込んだ6月の1741ドル(1万3900人民元)に比べ大幅な値上げとなったが、これまでのベンゼン価格の上昇分を転嫁したと見られる。ただ、中国内でもベンゼン価格が弱含んできたため、8月の仮価格は、25ドル安(200人民元安)の1846ドル(1万4700人民元)で打ち出した。

 需給バランスが悪化している中国では、減産で価格の下落幅を抑えている。8月初旬の稼働率を見ると、CPLは75~76%となった。減産を強化した7月初旬(63%)からは上昇したが、7月の平均値(78%)からは弱含んでいる。ナイロンチップも65%(7月初旬66%)に下げており、特に汎用品は58%と低稼働が継続している。ヤーン(紡糸)は85%(同87%)と比較的高稼働だが、不需要期ということもあり低下傾向にある状況だ。

 9月のCPL価格については、調整局面になるとの見方が強い。ベンゼン価格が弱含んでいることに加え、需要面では懸念材料が出てきている。衣料向けでは、コロナ変異株の感染拡大によりナイロンチェーンの混乱が想定され、季節性がなくなる可能性もある。またエンプラ向けでは、先日、トヨタ自動車が減産を発表。生産計画は据え置くとしたが、自動車部品などに影響が拡大するとの指摘もある。いずれにせよ、今後の市場動向を注視していく必要がある。

 なお、宇部興産の各工場については、宇部工場のトラブルはすでに解消。タイとスペインを合わせ3工場はすべてフル稼働を継続している。

 

クラレ EVOH製品を再値上げ、採算改善し安定供給へ

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2021年8月23日

 クラレは20日、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)製品「エバール」、回収助剤「GFシリーズ」、パージング材「ETC-103」について、9月1日出荷分から値上げすると発表した。同3製品の値上げは、2月に続く今年2回目。改定幅は、国内向けの標準銘柄が「50円/kg」、特殊銘柄が「70円/kg」、アジアパシフィック・北南米向けの標準銘柄が「0.50USドル/kg」、特殊銘柄が「0.70USドル/kg」、欧州向けの標準銘柄が「0.42ユーロ/kg」、特殊銘柄が「0.60ユーロ/kg」。

 対象製品の主要原料価格の高騰に加え、ユーティリティコストや物流費など各種コストが上昇しており、同社の自助努力によるコスト吸収の範囲を超えるものとなっている。こうした中、採算改善を行い、安定供給を維持するために、価格改定の実施を決めた。

昭和電工 クロロプレンゴムを値上げ、コスト高に対応

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2021年8月23日

 昭和電工は20日、合成樹脂の一種であるクロロプレンゴム「ショウプレン」について、9月10日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は「42円/kg以上」。

 同製品を取り巻く環境は、需要が急回復し世界的に供給が不足しているだけでなく、各種原材料や電力などのユーティリティ、物流費や設備維持費の高騰などにより急激に悪化している。同社は、製品の安定供給を維持していくためには、自助努力によるコスト削減に加えて、顧客にコストアップ分の一部の負担を要請せざるを得ないと判断した。