宇部興産 CPLの8月契約価格、4カ月連続ステイ

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2021年8月23日

ベンゼン市況が調整局面、誘導品需要も弱含みに

 宇部興産は、ナイロン原料であるカプロラクタム(CPL)について、8月(上旬決め)の韓国・台湾大手向け契約価格を前月と同額の2070ドルで決着した。これで5月から4カ月連続でステイとなっている。

 同社は、8月のベンゼンACPが一段高で決着したため、値上げを前提に交渉を進めていた。しかし8月に入ってからベンゼン市況が大幅に下落し、CPLのスポット市況にも先安観が出始めた。値下げ要求が強まったものの、粘り強く交渉した結果、前月の価格水準を維持したようだ。

 スプレッドについては、ベンゼン市況が上昇したため1005ドルに悪化。3月以降は1000ドル以上を確保できており、輸出環境は良好と言えるものの、9月以降もこのレベルを維持できるかが注目される。

 CPLのアジア市場は、繊維用途は夏場が衣料向けの不需要期に当たることに加え、エンプラ用途でも中国で自動車生産が落ち込むなど需要に力強さが見られていない。こうした中、中国メーカーは余剰となったナイロンチップを安値で輸出する動きを強めており、需給にタイト感がなくなりつつある。台湾大手メーカーは一部グレードで減産しているようだが、足元のスポット価格は2000ドルを割り込むケースも出てきているようだ。

 一方、中国・SINOPECは、7月(下旬決め)の契約価格について、前月比130ドル高(1000人民元高)の1871ドル(1万4900人民元)で決着した。需給の悪化から価格が落ち込んだ6月の1741ドル(1万3900人民元)に比べ大幅な値上げとなったが、これまでのベンゼン価格の上昇分を転嫁したと見られる。ただ、中国内でもベンゼン価格が弱含んできたため、8月の仮価格は、25ドル安(200人民元安)の1846ドル(1万4700人民元)で打ち出した。

 需給バランスが悪化している中国では、減産で価格の下落幅を抑えている。8月初旬の稼働率を見ると、CPLは75~76%となった。減産を強化した7月初旬(63%)からは上昇したが、7月の平均値(78%)からは弱含んでいる。ナイロンチップも65%(7月初旬66%)に下げており、特に汎用品は58%と低稼働が継続している。ヤーン(紡糸)は85%(同87%)と比較的高稼働だが、不需要期ということもあり低下傾向にある状況だ。

 9月のCPL価格については、調整局面になるとの見方が強い。ベンゼン価格が弱含んでいることに加え、需要面では懸念材料が出てきている。衣料向けでは、コロナ変異株の感染拡大によりナイロンチェーンの混乱が想定され、季節性がなくなる可能性もある。またエンプラ向けでは、先日、トヨタ自動車が減産を発表。生産計画は据え置くとしたが、自動車部品などに影響が拡大するとの指摘もある。いずれにせよ、今後の市場動向を注視していく必要がある。

 なお、宇部興産の各工場については、宇部工場のトラブルはすでに解消。タイとスペインを合わせ3工場はすべてフル稼働を継続している。

 

アジア石化市況 エチレンはナフサ高で上昇基調

2021年8月19日

ベンゼン4週ぶり反落、スチレンモノマーも軟化

 アジア地域の7月第2週の石化市況では、エチレンは前週比25ドル高の975ドル/tでの取引となった。前週に62ドル高と急騰した流れが継続しており、1000ドルが目前に迫っている。ただ、アジア地域では、センター各社の定修が明けてくることや新規プラントが稼働を開始したこともあり、上値が重くなる可能性もある。スプレッドについては、

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アジア石化市況 エチレン3週ぶり900ドル台回復

2021年8月3日

ベンゼンは上昇基調、スチレンモノマーも連れ高

 アジア地域の7月第1週の石化市況では、エチレンは前週比62ドル高の950ドル/tでの取引となった。2週連続の上昇となり、3週ぶりに900ドル台を回復している。誘導品の採算が改善しエチレン需要が戻ってくる中、定修やプラントトラブルなどにより供給が絞られ、需給にタイト感が出ている。原油・ナフサ価格が上昇基調を強めていることもあり、前週から急騰する結果となった。

 スプレッドについても、

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ENEOS 8月のベンゼンACPは前月比25ドル高

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2021年8月3日

 ENEOSは2日、8月分のベンゼンACP(アジア契約価格)を1065ドル/tで決着したと発表した。7月のアジアベンゼン市況は、堅調な域内需要に支えられ、堅調に推移した。こうした市場環境を反映し、8月ACPは前月比25ドル/t高で決着した。

 なお、国内価格換算想定値は、122.2円/kgとなる。

塩ビ樹脂 8月のインド向け輸出、前月並みで決着

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2021年7月29日

コロナ規制の緩和で需要改善、市場に底打ち感も

 塩ビ樹脂(PVC)の8月分のアジア輸出価格は、インド向けが前月並みのCFR1450ドル/t、中国・その他向けは前月比30ドル安の1210ドル/tで決着した。台湾大手メーカーは、インド向け同60ドル安の1330ドル/t(ボリュームディスカウントなし)、中国向け同30ドル安の1210ドル/t(同なし)で決着している。

 PVCは、設備トラブルや米国寒波による出荷停止などにより、春先まで需給がひっ迫し市況が高騰していたが、トラブル解消に伴い需給バランスが緩和したことで、6月以降は大幅な調整局面となっている。ただ、市況が軟化したことで

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アジア石化市況 エチレン7週ぶり上昇で底打ち感

2021年7月27日

ベンゼンは1000ドル台を回復、SMは下落を継続

 アジア地域の6月第4週の石化市況では、エチレンは前週比23ドル高の888ドル/tでの取引となった。5月第1週以来7週ぶりの上昇となり、市場に底打ち感が出始めている。前週までの6週間で260ドル下落していたため、誘導品の採算が改善しており、需要家の買いが戻ってきたもようだ。スプレッドについても、

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宇部興産 CPLの7月契約価格、3カ月連続ステイ

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2021年7月21日

需給タイトがやや緩和も、ベンゼン市況が再上昇

 宇部興産は、ナイロン原料であるカプロラクタム(CPL)について、7月(上旬決め)の韓国・台湾大手向け契約価格を前月と同額の2070ドル/tで決着した。これで5月から3カ月連続でステイとなっている。これまでアジア市場では、台湾大手メーカーのトラブルや定修により、ひっ迫感が続いていた。こうした中、ようやく台湾メーカーが稼働を再開してきたことで、ややタイトのレベルまで需給バランスが改善している。ただ、

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アジア石化市況 エチレン4カ月ぶり900ドル/t割れ

2021年7月20日

ベンゼンは反発、スチレンモノマーは下落基調に

 アジア地域の6月第3週の石化市況では、エチレンは前週比60ドル安の865ドル/tでの取引となった。これで6週連続の下落となり、2月第3週以来約4カ月ぶりに900ドルを割り込んでいる。誘導品の需要減と新増設による供給増から需給バランスの悪化を見込み、市場に先安観が強まっている。スプレッドについても、

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アジア石化市況 エチレン一段安の925ドル/t

2021年7月13日

ブタジエンは上昇継続、芳香族は3製品とも反落

 アジア地域の6月第2週の石化市況では、エチレンは前週比60ドル安の925ドル/tでの取引となった。5月第1週は1125ドル/tを付けていたが、わずか5週の間に200ドルも下落したことになる。誘導品需要が弱含む中、アジア地域で新たな設備が立ち上がってくることもあり、需給バランスの軟化から先安観が強まっている。ナフサとのスプレッドも

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アジア石化市況 エチレン15週ぶり1000ドル割れ

2021年7月6日

ベンゼンは大きく反発、スチレンモノマーも上昇

 アジア地域の6月第1週の石化市況では、エチレンは前週比30ドル安の985ドル/tでの取引となった。これで4週連続の下落となり、2月第3週以来、15週ぶりに1000ドルを割り込んでいる。中国や韓国で新たな設備が稼働を開始してくることに加え、誘導品の需要が弱含んでいることもあり、需要家の購買意欲が減少していることが背景。スプレッドについても、

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