ちとせグループ カマタマーレ讃岐と腸内フローラ共同研究

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2021年9月13日

選手の筋肉強化を通じ、三豊市の健康増進も視野

 バイオベンチャー企業群・ちとせグループは9日、香川県高松市や三豊(みとよ)市などを練習拠点に活動するサッカーJ3のカマタマーレ讃岐との間で、同クラブ選手の筋力強化を目的に共同研究契約を締結した。腸内フローラ視点での選手の体質分類モデル作成と、管理栄養士やフィジカルコーチ・トレーナーによる選手の体質改善支援を通じて、選手のパフォーマンス向上への貢献を目指す。

カマタマーレ讃岐の池内秀樹社長(左)と、リモートで参加したちとせグループの藤田朋宏CEO。記者会見にて
カマタマーレ讃岐の池内秀樹社長(左)と、リモートで参加したちとせグループの藤田朋宏CEO。記者会見にて

 両者は同日に高松市内で合同記者会見を開催。オンラインで参加したちとせグループの藤田朋宏CEOは、「腸内フローラを改善することで、筋肉の改善が見込まれ、同じトレーニングをしても怪我をしにくくなる、回復力が向上するといったことが分かってきている」と説明する。

 近年の世界的な研究・進歩は目覚ましく、腸内フローラと体質などの関連性が急速に明らかになっているという。国が進める腸内フローラのデータベース作成にも長く携わっている同社。蓄積した知見やデータを生かすことで、「選手の皆さんの競技能力の向上につなげてもらいたい」(藤田CEO)考えだ。

 腸内フローラは腸内細菌叢(そう)、マイクロバイオームなどとも呼ばれる、人の腸内環境に生息する微生物群のこと。様々なアスリートに特徴的な腸内フローラが存在することが報告されており、腸内フローラ視点の食品摂取により、運動のパフォーマンスが上がるという研究も知られている。また一般の人についても、腸内フローラと太りやすさ、高齢者の骨の強さなどとの関係を示唆する研究報告も多い。

 今回の取り組みでは、ちとせグループの知見に基づき、西日本を中心にフィットネスや外食事業を展開するヤマウチ(高松市)の管理栄養士主導で、カマタマーレ讃岐の選手の身体情報や生活習慣、食習慣、様々な食品と腸内環境との相性などの聞き取り調査を行い、選手の体質ごとに、腸内フローラ視点の食材を含めた食事指導やトレーニング支援を提案していく。さらに、一定期間の食事指導の後には、カマタマーレ讃岐のフィジカルコーチ・トレーナーの指導の下でトレーニングを実施し、筋力向上の効果を確認する、といったサイクルを回していく。

 カマタマーレ讃岐の池内秀樹社長は、「腸内フローラの改善は長期的な取り組みになるが、この取り組みを通じ、選手が自己管理や自分のパフォーマンスに対して最高の準備をするという意識が高まれば、短期的にもしっかりと成果が出せる」と期待を寄せた。

 ちとせグループは、今回の取り組みを三豊市と進める健康増進プログラムの先行事例と位置づける。同社は今年5月、同市と「データ駆動型の農業・ヘルスケアに関する包括連携協定」を締結。同市民に対する腸内フローラ視点でのヘルスケアサービスの構築を予定している。カマタマーレ讃岐の選手を対象とした共同研究の成果をロールモデルとし、今後の同市民へのヘルスケアサービスに横展開していく考えだ。

 一方、同市では2023年に向けた「三豊市宝山湖(ほうざんこ)ボールパーク構想」を推進中だ。現存の宝山湖公園を改修することで既存グランドのプロ仕様化と多目的化を行い、カマタマーレ讃岐のJ1昇格を後押しする。また、スポーツを軸にした民間企業とのパートナーシップの下、人と人との交流イベントや健康づくりの拠点とすることを目指している。今回の取り組みは、その一翼を担う。

 

ちとせ 三豊市と健康増進・農業活性化で包括連携

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2021年6月9日

 バイオベンチャー企業群・ちとせグループはこのほど、香川県三豊市との間で、データ駆動型による健康増進と農業活性化の推進に向けた包括連携協定を締結したと発表した。両者は今後、ちとせグループのもつバイオの知見と技術を生かし、同市の持続的で高品質な農業の推進や市民一人ひとりの健康増進に取り組んでいく。ちとせグループが自治体と同様な連携を結ぶのは、昨年末の山梨県北杜市に続く2例目となる。

ちとせグループの藤田朋宏CEO(左)と三豊市の山下昭史市長。協定締結式で
ちとせグループの藤田朋宏CEO(左)と三豊市の山下昭史市長。協定締結式で

 ちとせグループは、千年先まで続く豊かな世界の実現への貢献を目指し、化石資源中心の消費型社会からバイオマス資源基点の循環型社会に近づけるための研究開発や事業開発を推進している。微生物や藻類、動物細胞などの「小さな生き物」を活用する技術に強みをもち、国内のみならず、マレーシアやシンガポールなどの東南アジア諸国で農業や食品、エネルギーといった幅広い分野で事業を展開。また、腸内環境に起因する健康増進をデータ駆動で実現するための新たな事業領域についても、行政と連携を取りながら同テーマの産業化を牽引している。

 一方、三豊市はデジタルファーストを宣言し、先端のデジタル技術を活用する施策を展開。同市の基幹産業である農業分野では、高い収益性を確保した生産体制・流通の仕組みを構築するとともに、新しい技術を積極的に導入することで、暮らしの安定や豊かさを実現できる魅力とやりがいのある農業を目指している。また市民の関心が高い健康分野についても、心と体の健康づくりを促し、生涯を通じて健康でいきいきと暮らせるまちづくりを進めている。

 両者は連携を深めながら、市内生産地の土壌データや市民の腸内環境データといったバイオデータの活用を通じ、農産物のブランド化、生活習慣病の予防など、健康・農業の両面から三豊市の地域活性化に取り組んでいく。

 

ちとせ 北杜市と循環型社会を目指し包括連携協定締結

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2021年1月15日

 バイオベンチャー企業群のちとせグループはこのほど、山梨県北杜市との間で、同市の地域資源を活用した「循環型社会の実現」に向けた包括連携協定を締結したと発表した。同協定に基づき、北杜市の地域資源を活用した持続的で高品質な農業の推進やヘルスケアの向上に、ちとせグループがもつバイオの知見と技術を生かすことで、同市での循環型社会の構築を目指していく。

ちとせグループの藤田朋宏CEO(右)と北杜市の上村英司市長
ちとせグループの藤田朋宏CEO(右)と北杜市の上村英司市長

 北杜市は、全国有数の日照時間の長さ、ミネラルを多く含む水、豊かな土壌などの自然環境に恵まれており、米や農産物などの地域資源による地産地消の促進や、市民の健康向上をはじめとした様々な取り組みを行っている。また、昨年12月に就任した上村英司市長の下では、「北杜新時代・幸せ実感・チャレンジ北杜」をスローガンに新たな施策を進めている。

 一方、ちとせグループは、千年先まで続く豊かな世界の実現への貢献を目指し、化石資源中心の消費型社会からバイオマス資源基点の循環型社会に近づけるための研究開発や事業開発を推進している。微生物、藻類、動物細胞などの〝小さな生き物〟を活用する技術に強みをもち、国内のみならず、マレーシア、シンガポールなどの東南アジアで農業や食品、エネルギーなどの幅広い分野で事業を展開。その一環として、昨年には日本での「千年農業」を開始し、農地の生態系を維持することで、美味しく栄養価が高い作物を持続的に作り続ける農業を広げる活動を行っている。

 両者はこれまで、北杜市内で生産された野菜を、ちとせグループが東南アジア市場へ紹介する取り組みを行うなど、同市の生産者との5年以上にわたる交流を通じて関係を構築してきた。今後は同協定の下、農業をはじめヘルスケアの分野でも連携を強めていく考えだ。

「千年農業」で持続可能な農業を推進し、地域を活性化
「千年農業」で持続可能な農業を推進し、地域を活性化

 具体的には、同市で「千年農業」を広げることで、①豊かな農地を守りながら基幹産業である農業を活性化②「水の山循環農法」の確立③学校給食を通じた農畜産物の地産地消の推進④同市の豊かな環境や魅力を再認識し、子どもたちが一生涯暮らし続けたいと思う心を育む活動⑤データ駆動型のヘルスケアプロジェクトの展開⑥地域企業との協働による循環型経済圏の構築⑦持続可能な開発目標(SDGs)に定める「すべての人に健康と福祉を」「陸の豊かさを守ろう」の達成に向けた取り組みなどを行っていく。

ちとせ 〝土は生き物〟「千年農業」で長岡市と協業

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2020年11月11日

 バイオベンチャー企業群・ちとせグループは、農業のコンセプトに掲げる「千年農業」を拡げる活動の日本第1弾として、新潟県長岡市と協業を開始した。 

長岡産の「千年農業」金匠米
長岡産の「千年農業」金匠米

 同社は、人類が千年先まで農業を続けるためのカギは、農地と作物を取り巻く生態系の豊かさを維持することにあるという考えの下、美味しく栄養価が高い作物を持続的に作り続ける「千年農業」を拡げる活動を行っており、これまで東南アジアでの活動を進めてきた。

 今回、「千年農業」の取り組みを日本で展開していくための第1弾として、国内2位の水稲作付面積を誇り、バイオエコノミーに対して積極的に取り組んでいる長岡市と一体となった活動を始めた。

 作物に適した健全な土壌を維持するためには、土壌中の微生物の活性度合いを把握することが重要になる。ちとせグループではバイオテクノロジーの視点から、匠の土作りの見える化に成功、〝土は生き物〟だと捉え、土壌中の多種多様な微生物の動態を定量的に解析することで〝土壌の健全さ〟を科学的に評価している。

 同社は「千年農業」の取り組みの一環として、長岡市農水産政策課とともに市内の米農家を回り、土壌環境の調査を実施。その結果、すべての圃場(ほじょう)について生態系を豊かにし、その維持にまで配慮された土壌であることが確認されたため、同圃場で生産する同市のブランド米「金匠米」を日本で初めて「千年農業」と認証し、7日から販売を開始した。

 長岡市では今後、金匠米だけでなく有機栽培米や特別栽培米、枝豆など市内で生産する作物についても「千年農業」の太鼓判を活用しながら、新たな販路開拓や新たな視点でのブランド化を目指していく。

 一方、ちとせグループは今回の取り組みを皮切りに、様々な地域との協議を進めながら国内外に「千年農業」を拡げることで、持続可能な農業の実現に貢献していく考えだ。

 なお、「金匠米」は、2009年より毎年開催されている「長岡うまい米コンテスト」で、上位約20人の金匠を獲得した最高峰の匠の技をもつ生産者によって作られる長岡産コシヒカリ。今年度の金匠米は、昨年のコンテストで金匠を獲得した生産者の新米コシヒカリのみで製品化を行った。

ちとせ バイオジェット燃料の技術開発がNEDO事業に

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2020年10月6日

 ちとせグループの中核企業であるちとせ研究所は5日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募したバイオジェット燃料生産関連の技術開発事業に、「微細藻類由来の純バイオジェット燃料の製造に向けた藻類の長期大規模培養技術の確立」を目指すテーマが採択されたと発表した。

 ちとせ研究所は、マレーシア・サラワク州の州立研究機関であるサラワク生物多様性センターや、サラワク州政府系の電力会社サラワク・エナジーらと共同で研究開発に取り組み、火力発電所の排気ガスを利用した藻類の長期大規模培養技術の確立を目指す。

 光合成により二酸化炭素を吸収する微細藻類由来バイオジェット燃料の普及に向けては、十分な供給量の確保と生産コスト削減の観点から、数千㏊規模での藻類の大量培養が必要になる。今回の実証事業では、事業化を目指す上で最小単位となる5㏊規模での実証を行っていく。

 日本と東南アジア全11社で活動するバイオベンチャー企業群のちとせグループは、これまで国内外の様々な環境下で、様々な藻類種、様々な藻類培養技術を応用し、多くの共同事業者と共に、複数の屋外実証プロジェクトを実施、その一部を商業化している。

 これらの知見を生かし今回、5㏊の新規大規模藻類培養設備を構築し、熱帯気候の屋外環境下での純バイオジェット燃料製造に最適な微細藻類を選定することで、同微細藻類種を含む複数の微細藻類種を使って火力発電所排気ガスを利用した大規模藻類培養の実証を行う。また、実証データを基にバイオジェット燃料の社会実装を見据えたTEA(技術経済分析)、LCA(ライフサイクルアセスメント)を実施していく予定だ。

バイオジェット燃料普及に向け、火力発電所の排気ガスを利用した大規模藻類培養の実証を開始
バイオジェット燃料普及に向け、火力発電所の排気ガスを利用した大規模藻類培養の実証を開始

JXTGホールディングス バイオ分野で協業、光合成で低炭素社会に貢献

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2020年6月17日

 JXTGホールディングスはこのほど、CHITOSE BIO EVOLUTIONと、藻類バイオマスを広く活用する社会の構築に向けて、藻類バイオマスの培養規模拡大と藻由来の製品開発について協業に関する契約を締結したと発表した。これを機に、JXTGグループとちとせグループは、光合成を活用した低炭素・循環型社会の実現のため様々なバイオ分野で協業していく方針だ。なお、今回の協業に先立ち今年3月末、JXTGはJXTGイノベーションパートナーズを通じ、ちとせに資本参画している。

 JXTGグループは、「2040年長期ビジョン」で掲げた「低炭素・循環型社会への貢献」の実現に向けた取り組みを推進。2040年には、自社のCO2排出をカーボンニュートラルにすることを目指し、環境配慮型商品の開発に積極的に取り組んでいる。

 一方、ちとせグループは、太陽エネルギーの光合成利用を最大限活用した藻類の大規模培養技術をはじめ、微生物、藻類、動物細胞などの微細な生き物を活用する技術に強みを持つバイオベンチャー。国内のみならず、マレーシア、シンガポールなどの東南アジアで農業や食品、エネルギーなどの幅広い分野で事業を展開している。ただ、藻類バイオマスを広く社会で活用するためには、藻類バイオマスを大規模に安定的に生産し、そのバイオマスを原料とした様々な製品を開発することが大きな課題となっている。

 今回の協業では、太陽エネルギーが豊富な赤道直下の東南アジアに位置するマレーシアで、藻類培養の規模拡大に取り組むとともに、そこで生産した藻類を由来とする燃料、ケミカル、飼料、機能性素材などの多様な製品の開発に取り組み、事業化を目指していく。

 両社は今後、光合成を活用した低炭素・循環型社会の実現に向けて、藻類事業だけでなく様々なバイオ分野での協業を検討し、社会の発展と活力のある未来づくりに貢献していく。

タベルモ ブルネイにスピルリナ生産新工場、能力10倍に

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2019年10月24日

 バイオベンチャー企業群・ちとせグループにあるタベルモはこのほど、ブルネイ現地子会社のタベルモ バイオファームと共に、生スピルリナを生産する新工場を建設したと発表した。

タベルモ 写真1 ブルネイの新工場
ブルネイの新工場

 たんぱく質の含有量が豊富なスピルリナで、将来のたんばく質需要増大に対応するため、生産能力の大幅な拡張を図る。世界的な人口増加と新興国の経済発展による食生活の変化にともない、世界のたんぱく質需要は今後大幅に増加することが見込まれている。

 また、需要の成長スピードに供給が追いつかず、2030年頃には需給バランスが崩れるとの予測もある。今回、1haの敷地に、総面積3500㎡の建屋や培養設備などを建設。ブルネイは1年を通じて日照量が豊富で安定した温暖な気候のため、スピルリナ栽培に必要な光合成に最適な環境にあり、生産能力は、タベルモが現在、静岡県掛川にもつ協力工場の10倍以上に相当する年産約1000tとなる。

 スピルリナは、35億年前に誕生した藻の一種。マヤ文明時代から貴重な栄養源の1つとして食されており、人類による食経験が長い。一般的なスピルリナは、60種類以上の豊富な栄養素を持ち、たんぱく質含有量が乾燥重量ベースで65%と、主なたんぱく質源である大豆や肉よりも高いことが特長だ。

タベルモ 写真2 スピルリナの栽培設備
スピルリナの栽培設備

 藻体を乾燥し、粉末や錠剤にして健康食品として食されることが多く、海外を中心に「スーパーフードの王様」として広く知られている。

 タベルモは、ちとせグループが2014年に設立したバイオベンチャー。無味無臭で栄養価の高いスピルリナの特長を最大限に生かした生スピルリナを、「タベルモ」の製品名で生産・販売。ちとせグループが蓄積してきた、微生物・藻・動物細胞といった生き物を育種・培養する技術に加え、スピルリナを効率的に大量栽培・加工する技術により、加熱・乾燥させない新鮮な生スピルリナの商品化を世界で初めて実現した。

 同社が扱うスピルリナは、タンパク質含有量が70%と一般的なものと比べ圧倒的に高く、ビタミンやミネラル、食物繊維などを豊富に含む栄養価の高さで注目を浴びている。新工場で生産した製品は、今年末をめどに日本市場での販売開始を予定する。

ちとせグループ 大規模化を可能にする藻類培養設備を開発

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2019年8月23日

 バイオベンチャー企業群のちとせグループ(藤田朋宏CEO)はこのほど、マレーシアのサラワク州で、世界最大級となる藻類培養設備(1000㎡)の設計と監修を行ったと発表した。

マレーシア・サラワク州に設立した世界最大級の藻類培養設備
マレーシア・サラワク州に設立した世界最大級の藻類培養設備(1000平方メートル)設備の高さは1メートル強。年間5~6tの藻類ができる

 同設備は、三菱商事とサラワク州の州立研究機関であるサラワク生物多様性センター(SBC)が共同で同地に設立したもの。両者は2012年10月から、現地の有用な藻類の収集と実用化を目指したプロジェクトを開始した。ちとせグループは、三菱商事の技術アドバイザーとして参画し、2013年から現場での同プロジェクト運営やSBC研究員への技術指導を行っている。

 今回、ちとせグループが設計・監修を行った藻類培養設備は、熱帯環境下での効率的な藻類の培養と大規模化を叶える3次元型(=縦型)の培養設備。吊り下げた薄型で透明な袋の中に淡水を入れ、藻類を培養する形だ。

 縦型培養設備の利点は、省スペースかつ設備の両側面から太陽光を取り入れられることにある。また、大規模化が容易な構造にし、建設コストも大幅に抑えられる設計になっている。

 同設備は昨年11月に竣工。その後に継続的な培養試験を行うなどして商業化を図り、現在は、培養した藻類をエビの養殖・孵化場へ提供し、飼料や水質調整剤としての活用も開始した。今回の設備規模では、年間5~6t(乾燥重量)の藻類が収穫でき、大豆に比較すると単位面積あたり約20倍の生産性になるという。

 ちとせグループは、主に日本と東南アジアに全11社を展開するバイオベンチャー企業群。「経済的合理性を常に視野に入れながら進めるバイオ分野の技術開発力」と、「バイオ技術の本質と限界を理解した上で事業化への道筋を引く事業開発力」を武器に、農業・医療・食品・エネルギー・化学などの領域に新たな価値を生み出す活動を行っている。昨年は、三井化学との協業でバイオベンチャーを2社設立し、持ち寄った両社の技術シーズを基に早期事業化を推進中だ。

 ちとせグループは持続可能な社会の実現には、化石資源中心の消費型社会からバイオマス資源起点の循環型社会へと利用資源を切り替えていくことが必要だと考える。その中で藻類は、他のバイオマス資源と比べ生産性が非常に高く、使用淡水資源も最小限で済むほか、多様な産業分野での用途が期待されていることから、化石資源代替として最大の潜在性を示すバイオマス資源だと位置付ける。

 今後も、大量培養のための設備と培養技術のノウハウを生かし、熱帯環境下での藻類培養設備のさらなる大規模化と培養の効率化・生産コストの削減を追求し、脱化石資源に向けた藻類バイオマス産業の構築を目指していく。

三井化学 M&Aと協業で見えてくる意識改革と人材育成

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2018年11月21日

 淡輪敏社長の回答が印象的だった。先日行われた同社の経営概況説明会の質疑応答で、記者から出された長期経営計画で掲げる2025年度営業利益2000億円の数値目標について、「数値目標ありきではない」とし、数値目標にこだわって焦り、さまざまな弊害が生じるよりは「むしろポートフォリオの転換を、きちっとやり遂げることが大事」だとあらためて強調。構造・意識改革の優先を、社内に向けて発信していることを明らかにした。 

 目先の数字ではなく、まずは将来のあるべき姿を追求していく。モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージング、新事業・次世代事業の4つのターゲット事業領域での構成比率86%を目指す。

 その取り組みが、

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三井化学・ちとせグループ 2つのバイオ技術を共同で事業化

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2018年10月30日

 三井化学とバイオベンチャー企業群の〝ちとせグループ〟は、「事業と人」を同時に育成する新たなオープンイノベーションの取り組みとして、両社の技術シーズを元に共同で事業開発を行う「0to1(ゼロ・トゥ・ワン)プロジェクト」を開始した。

(左から)ティエラポニカ・有富グレディ社長、三井化学・福田伸常務、ちとせグループ・藤田朋宏CEO、植物ルネサンス・秀﨑友則社長
(左から)ティエラポニカ・有富グレディ社長、三井化学・福田伸常務、ちとせグループ・藤田朋宏CEO、植物ルネサンス・秀﨑友則社長

 29日に都内で行われた両社の会見で、三井化学の植物細胞培養技術と、ちとせグループの微生物活躍型栽培技術をそれぞれ事業化するため、両社はバイオ系新会社「植物ルネサンス」(今年6月設立:秀﨑友則社長)と「ティエラポニカ」(同7月設立:有富グレディ社長)を設立したことを公表した。

 両新会社は、三井化学社員を各社の代表として受け入れ、ちとせグループの100%子会社として立ち上げた。ちとせグループは今後、同グループの人材を新社に派遣するなどして、これまでの知見を生かし2つの新社の事業を軌道に乗せることを目指す。

 三井化学・研究開発本部長の福田伸常務執行役員によると、同社に欠けていた「事業化」への取り組みを大きく加速させる狙いがある。「21世紀になって産業の構造が劇的に変化していく中で、次世代の新事業を育成していかなければいけない」(福田常務)とし、素材メーカーという立場からモノを先に作って後から用途を探す、という従来の手法からの転換を図っていきたい考えだ。

 一方、ちとせグループにとっては、同グループが得意とするバイオ関連事業の事業化を、保有する技術や知見を最大限に利用して行うことができる。ちとせグループ・最高経営責任者の藤田朋宏氏が重要視するのは、「事業化のスピード感」だ。新しいアイデアが出れば、すぐに企業に対しプレゼンを行うなど、モノづくりに先行してアイデアを売り込む。

 極端な話、社内での「会議や打ち合わせの時間がもったいない」という藤田氏によれば、アイデアに足りないものは先方と議論の中で補足していく、もしくは条件が合わなければ他社への提案に切り替えるという。なお、2つの新会社で行うプロジェクトは、2021年3月までの3年間を区切りとしている。

 ちとせグループの藤田氏は3年後について、「最低限の目標として『ゼロをイチ』にする。つまり黒字化し事業を継続的に行える状態にし、確実に利益を出すことを目標にやっていく」との見通しを示した。