三洋化成など 全樹脂電池向け樹脂集電体の量産化で合意

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2021年4月7日

 三洋化成と子会社のAPB、グンゼの3社はこのほど、三洋化成とAPBが開発中の次世代型LIB「全樹脂電池」の樹脂集電体の量産化に向け覚書を締結したと発表した。最適な生産・供給体制の構築を目指す。

 全樹脂電池は、バイポーラ電極構造(板状集電帯に垂直方向に電流が流れる)と高分子樹脂製の基本部材により、高品質、高い異常時信頼性、高エネルギー密度、形状・サイズの自由度、革新的な生産プロセスといった性能・特徴を全て同時に実現する次世代型LIBだ。

 集電体は電気を取り出す端子で、一般には銅やアルミなどの金属が使用される。全樹脂電池の集電体は樹脂被覆した活物質を樹脂集電体に塗布したもので、従来のLIBよりも工程が短く製造コスト・リードタイムが削減できるとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現している。

 バイポーラ積層型は部品点数が少なく樹脂製のため、電極の厚膜化が容易でセルの大型化が可能な上、形状自由度も高いことが特長だ。グンゼのフィルム製造技術をベースに3社で共同開発を進め、これまでに各種評価を通じて全樹脂電池の基本特性を確保し、現在は製品仕様の確定に向けた取り組みを推進している。

 今後は、樹脂集電体の開発に加え、量産化を見据えた協力体制の継続・強化を確認し、同協業事業は新たなステップに入る。再生可能エネルギーの活用やIoT技術による電力インフラの高度化、災害対応など、今まで以上に電池や蓄電システムの重要性が高まる中、全樹脂電池は定置用蓄電池や各種モビリティ用途など様々な用途での展開を通じ、あらゆる生活の場面を豊かにしていく。

 3社は樹脂集電体の生産・供給体制を構築することで全樹脂電池の量産化を促進し、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。

グンゼ 静脈用血管再生基材が米国で臨床試験開始

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2020年10月16日

 グンゼはこのほど、ネーションワイド・チルドレンズ病院(NCH、米国オハイオ州コロンバス市)に提供している静脈用血管再生基材を使用した小児心臓血管手術が病院主導による治験試験に入ったと発表した。

「静脈用血管再生基材」外観
「静脈用血管再生基材」外観

 先天的な病気「単心室症」には非吸収性人工血管を使用したバイパス手術が行われるが、生体部分の成長に追随せず数度の人工血管交換の開胸手術を必要とする上、人工血管の詰り防止のために抗凝固薬を飲む必要があり、患者への負担と小児が思う存分遊べないなど、クオリティーオブライフ(QOL)に課題がある。

 その解決に向け、NCHの新岡俊治博士とクリストファーブリューワー博士は同社の吸収性医療機器製造技術を活用した「自己細胞を使った再生血管(TEVG)」を開発し、FDAの治験承認を昨年受けた。単心室症は希少疾患であり商業化は困難であるが、同社CSV経営のマテリアリティ(重要課題)「QOLの向上への貢献」に従い、同病院主導の治験により実用化を目指すことを決定した。

 静脈用血管再生基材は同社の「生体内吸収性材料」と「縫製技術」による筒状物で、そこに患者の骨髄細胞を転移させて人工血管を形成。心臓血管バイパスとして埋め込んだ後約6カ月で血管再生基材は吸収され、患者自身の組織で血管として再生する。先行試験で、再生血管は患者の成長に追随することを確認。その後の手術の回避や日常生活の制約は減り、QOL向上につながった。

 今後、同臨床試験で安全性・有効性の確立・確認を進めるとともに、販売体制の確立に努め、年間売上高4億円を目指す。また「生体内吸収性材料」「繊維・高分子加工技術」の強みを生かし、生体の能力を生かした医療機器、低侵襲治療に対応する医療機器、再生医療用基材など、QOL向上に資する製品の研究開発を進める考えだ。