三洋化成 全樹脂LIBが国連勧告輸送認証を取得

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2021年5月25日

 三洋化成はこのほど、次世代型リチウムイオン電池(LIB)「全樹脂電池」の開発を行う子会社APB(東京都千代田区)が輸送時の安全維持試験「UN38.3」の認証を取得したと発表した。約400mm×400mm×1.2mmの大型セル40枚を積層した大型全樹脂電池モジュール(約3kWh、約15kg、約400mm×400mm×50mm)での認証取得だ。

 APB社は全樹脂電池(APB)の製造・販売を行うスタートアップ企業。全樹脂電池は両社が共同開発したバイポーラ積層型のLIBで、電極は樹脂集電体に三洋化成開発の樹脂を被覆した活物質を塗布したもの。この独自の製造プロセスは従来プロセスより短く、製造コストとリードタイムを削減でき、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現した。バイポーラ積層型は部品点数が少なく樹脂製電極は厚膜化も容易なため、セルの大型化が可能で、形状の自由度が高いことも特長だ。

 UN38.3試験をクリアしたことで、ターゲットである海外定置用途に向けた航空輸送が可能となった。今回の認証取得を受けて、定置およびモビリティ用途向け蓄電池システムへの展開を進めていく。

三洋化成など 全樹脂電池向け樹脂集電体の量産化で合意

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2021年4月7日

 三洋化成と子会社のAPB、グンゼの3社はこのほど、三洋化成とAPBが開発中の次世代型LIB「全樹脂電池」の樹脂集電体の量産化に向け覚書を締結したと発表した。最適な生産・供給体制の構築を目指す。

 全樹脂電池は、バイポーラ電極構造(板状集電帯に垂直方向に電流が流れる)と高分子樹脂製の基本部材により、高品質、高い異常時信頼性、高エネルギー密度、形状・サイズの自由度、革新的な生産プロセスといった性能・特徴を全て同時に実現する次世代型LIBだ。

 集電体は電気を取り出す端子で、一般には銅やアルミなどの金属が使用される。全樹脂電池の集電体は樹脂被覆した活物質を樹脂集電体に塗布したもので、従来のLIBよりも工程が短く製造コスト・リードタイムが削減できるとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現している。

 バイポーラ積層型は部品点数が少なく樹脂製のため、電極の厚膜化が容易でセルの大型化が可能な上、形状自由度も高いことが特長だ。グンゼのフィルム製造技術をベースに3社で共同開発を進め、これまでに各種評価を通じて全樹脂電池の基本特性を確保し、現在は製品仕様の確定に向けた取り組みを推進している。

 今後は、樹脂集電体の開発に加え、量産化を見据えた協力体制の継続・強化を確認し、同協業事業は新たなステップに入る。再生可能エネルギーの活用やIoT技術による電力インフラの高度化、災害対応など、今まで以上に電池や蓄電システムの重要性が高まる中、全樹脂電池は定置用蓄電池や各種モビリティ用途など様々な用途での展開を通じ、あらゆる生活の場面を豊かにしていく。

 3社は樹脂集電体の生産・供給体制を構築することで全樹脂電池の量産化を促進し、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。

日本触媒と三洋化成 統合会社の大阪と東京のオフィスを選定

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2020年8月17日

 日本触媒および三洋化成はこのほど、2021年4月に設立予定の統合持株会社「Synfomix」の大阪本社および東京本社の新オフィスを選定したと発表した。

 新会社設立当初は、日本触媒の大阪・東京の本社に本社機能を持たせるほか、両社の既存オフィスを継続使用するが、「働く場」の融合による統合シナジーの最大化と統合新社のさらなる発展を企図して、大阪・東京本社の機能を2021~2022年に新オフィスへ移転する予定。

 新オフィスは、大阪本社が大阪梅田ツインタワーズ・サウス(建設中)27・28階で、2022年冬に移転を予定。一方、東京本社は、新橋田村町地区市街地再開発事業(仮称:建設中)24・25階で、移転時期は2021年10月~2022年3月を予定している。

日本触媒・三洋化成 経営統合に関する最終契約を締結

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2019年12月2日

 日本触媒と三洋化成は29日、それぞれの臨時取締役会で、共同株式移転の方式により両社の親会社となる統合持株会社「Synfomix」を設立し、経営統合を行うことを決議、両社間で対等の精神に基づいた最終契約を締結したと発表した。

 両社は今年5月、経営統合の検討に関する基本合意書の締結を発表し、経営統合に向けた詳細な検討と協議を進めていた。株式移転比率は、日本触媒1.225、三洋化成が1となっている。

 今回の経営統合は、国内外の競争当局の承認を前提とするものであり、両社の定時株主総会での、株式移転計画書の承認を受けた上で行われる予定。また、両社は同株式移転の効力発生日の2年後をめどに、統合持株会社および両社の合併を実行することを基本方針としている。

 ただ、具体的な方針については、効力発生日以降に設置する各種委員会などでの協議を踏まえ、事業上の合理性を考慮した上で、今後両社の協議にて決定する。なお同日、三洋化成は、高吸水性樹脂事業を営む連結子会社SDPグローバル(出資比率:三洋化成70%、豊田通商30%)の完全子会社化を発表。経営統合による統合効果の最大化を図るため、豊田通商のすべての株式を取得する。

三洋化成 シンガポールのコンサル会社とアドバイザリー契約

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2019年9月30日

 三洋化成工業はこのほど、シンガポールに本社を置く戦略コンサルティング会社のHafnium Hafawayとアドバイザリー契約を締結したと発表した。同契約を機にスタートアップ企業との事業共創を行い、新規事業の創出と既存事業の強化を目指す。

 Hafnium Hafawayはスペシャリティケミカルズのバリューチェーンを専門に扱うコンサルティング&スタートアップ支援会社。グローバルな拠点をもち、特に東南アジア・欧州・北米のスタートアップ企業を中心に、パートナー企業とのマッチングやスタートアップ企業への投資などを行っている。

 一方、三洋化成は、生活・健康、石油・輸送機、プラスチック・繊維、情報・電気電子、環境・住設産業など幅広い分野で、数多くのパフォーマンス・ケミカルス(機能化学品)を取り扱う。

 Hafnium Hafawayがもつスペシャリティケミカルズの専門知識や、スタートアップを評価できるベンチャーキャピタル機能を活用することで、同社の専門的で幅広い技術や、ビジョン・構想を十分に踏まえた有望なスタートアップ企業を絞り込めると期待している。

 三洋化成は既存事業の強化だけではなく、現在注力しているエネルギー・エレクトロニクス、バイオ・メディカル、化粧品、アグリ・ニュートリション分野での新規事業の創出も視野に、同契約を通して自社の枠を超えた、有望なスタートアップ企業とのイノベーション創出を図る考えだ。