出光興産 変動料金制を活用したEV充電サービスの実証開始

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2021年8月20日

 出光興産は19日、日産自動車、100%子会社であるソーラーフロンティアとともに、独自のダイナミックプライシング(変動料金制)を活用したEV充電サービスの実証事業を開始すると発表した。期間は今年11月~来年1月まで。同実証事業は経済産業省の採択を受けている。

 3社は、EVやPHVなどの電動車の普及がさらに進む将来に向け、電力負荷の低減や平準化を目的として同実証に取り組む。

 再生可能エネルギーを効果的にEV充電に活用することや、電力需要が高まる時間帯を避けた充電を可能にする仕組みを検証し、カーボンニュートラルの達成と持続可能な電力インフラの実現に貢献することを目指す。

 実証概要として、EV「日産リーフ」ならびにEV充電設備をもつ実証参加者を対象に、電力料金の割引額をスマホのアプリ上に提示。再エネの主力電源である太陽光パネルが発電する昼間や、電力需要の低い深夜などにEV充電を促す。

 推奨する時間帯に充電した際には、あらかじめ提示した割引額を電気料金から控除する。これにより、実証参加者の行動変容を分析するとともに、実証参加者へアンケートを実施し、仕組みの実効性とサービスとしての実現可能性を検証する。

 各社の役割として、出光興産は実証事業全体の運営、電気料金メニューの提供、実績集計・分析、日産自動車は実証参加者の募集協力、テレマティクスを使ったEVデータの提供、ソーラーフロンティアは、機器システム構築、機器選定・調達を担う。対象参加者は、東京電力管内のうち、出光興産が指定する工事可能エリアに居住し「日産リーフ」とEV充電設備をもつ個人50人を予定。なお、参加するためには出光興産が提供する電気プランへの切り替えが必要となる。

出光興産 PVモジュールリサイクル技術、NEDO事業に

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2020年8月28日

 出光興産はこのほど、NEDOが実施する「太陽光発電主力電源化推進技術開発/太陽光発電の長期安定電源化技術開発」事業について、100%子会社のソーラーフロンティアが提案する「結晶シリコン及びCIS太陽電池モジュールの低環境負荷マテリアルリサイクル技術実証」が共同研究事業として採択されたと発表した。

パネルセパレータ処理後のCIS薄膜太陽電池モジュール
パネルセパレータ処理後のCIS薄膜太陽電池モジュール

 使用済み太陽電池(PV)モジュールは、2030年代から急激に増加することが予想されている。こうした背景から、ソーラーフロンティアでは、低コストかつ環境負荷の低いリサイクル技術の確立が重要であると捉え、継続的にCIS薄膜太陽電池モジュールのリサイクル技術開発を進めてきた。

 昨年度に取り組んだ、NEDOとの共同研究事業では、これまでの研究開発や技術実証で確立した低コスト分解処理技術をベースとして、CIS薄膜太陽電池モジュールの全ての部材に関するリサイクル用途を明確にし、マテリアルリサイクル(MR)率を約90%まで向上させるめどをつけた。

 今回、採択されたNEDOとの共同研究事業では、昨年度の研究開発で確立した技術を、より低コストで環境負荷の低いリサイクル技術へと進化させていく。

 具体的には、4年間(2020~2023年度)で、CIS薄膜太陽電池に加えて、結晶シリコン系太陽電池のリサイクル技術開発にも取り組み、分離処理コストをCIS薄膜太陽電池、結晶シリコン系太陽電池を問わず3円/W以下、MR率を90%以上とすることを目指す。

 同社の生産拠点である国富工場(宮崎県)に、市販サイズのモジュールを処理する実証プラントを構築し、最終年度までには目標としたリサイクル技術を連続運転により実証する予定。同研究開発では宮崎県工業技術センターや宮崎大学とも協働することで、リサイクル技術の開発をさらに加速させる。

 出光興産は中期経営計画の中で、重点課題の1つである「次世代事業の創出」の主な取り組みにサーキュラービジネスを掲げ、その一環としてPVモジュールのリサイクル技術開発を推進している。この計画の下、ソーラーフロンティアはリサイクル市場の拡大に備え、より低コストかつ環境負荷の低いリサイクル技術開発を行い、主力電源としての太陽光発電のさらなる普及拡大と持続可能な社会の実現に向けて貢献していく考えだ。

ソーラーフロンティア NEDO実証事業の概要
ソーラーフロンティア NEDO実証事業の概要