ハイケム エコプロ出展、生分解性プラ製品を多数提案

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2021年12月2日

モデルルームに見立てたブース。PLAやPHBVの生分解性プラで作った製品を展示

 ハイケムは12月8~10日に東京ビッグサイトで開催される「エコプロ2021」に、近未来をコンセプトとするモデルルームに見立てたブースを出現させる。

 生分解性プラスチックが既存のプラスチックに置き換わった未来の生活様式を表現。「脱プラ」「サステナブルファッション」などの取り組みに着目し、トウモロコシから生成されるポリ乳酸(PLA)と、トウモロコシやキャッサバを原料にした海洋生分解性をもつポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の一種、PHBVといったバイオマス樹脂を原料に作られたプラ製品を出展する。

PLAを100%使用したTシャツが生分解される様子

 会場内にリビングやダイニング、ベッドルーム、バスルームを再現し、その海洋生分解性によりマイクロプラ問題の解決に寄与するPHBV製のカップやカトラリー、メイク用品、フェイスパウダー、自社開発したPLA繊維で作るベッドカバーやクッションなどを展示。また、日本の伝統的なテキスタイル技術を投入し、サステナブルかつ上質なPLA繊維によるアパレル製品についても複数の紹介を予定する。

 そのほか、PLA繊維を100%使用したTシャツが生分解されていく3日目、6日目の様子や、PLA原料のトウモロコシ、PLAの様々な形態(ペレット、綿、糸)の展示も見どころだ。ブース番号は2‐034(東2ホール)。

ハイケムと日興リカ マイクロプラ解決に向け戦略提携

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2021年10月21日

日興リカが開発した、生分解性バイオマスプラPHBV樹脂を使用した化粧品粉末(特許出願予定)

 ハイケムと素材を化学する日興リカ(東京都千代田区)は20日、海洋生分解性をもつバイオマス樹脂、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の一種であるPHBV樹脂製品の化粧品用途開発について戦略的提携基本契約を締結したと発表した。これにより、ハイケムが中国から輸入するPHBV樹脂を日興リカの技術力で化粧品用途として高機能化し、深刻化する海洋マイクロプラスチック問題への解決策の1つとして消費者に受け入れられるような市場展開を図っていく考えだ。

 化粧品基材や医薬品基材などを手掛ける日興リカは、素材の特徴を生かし、化粧品に適した加工を施す独自の粉体加工技術をもつ。一方、ハイケムは中国との強力なパイプを武器に日中の化学業界の架け橋として、中国最大の生分解性樹脂メーカーと提携するなど、中国からの樹脂輸入に取り組み、生分解性材料の日本市場開拓を行っている。

 両社はこのほど、協業によりPHBV樹脂を使用した化粧品粉末(特許出願予定)を開発。今後は戦略的提携に基づく強力なタッグにより、化粧品業界が直面するマイクロプラ問題の解決を目指す。

 ハイケムが中国から輸入するPHVB樹脂は、原料を中国で栽培されるトウモロコシやキャッサバとする100%植物由来のバイマス樹脂であり、海洋生分解性も併せもつ。毒性もなく、環境にやさしいプラスチックの条件を満たす。そのため、化粧品の機能性を損なうことなく、海洋マイクロプラ問題の解決に貢献できることが期待されている。

 化粧下地やファンデーション、アイシャドウ、チークなど、様々な化粧品の基材として微小のプラスチック粒子が使われている。化粧品の感触をよくし、光拡散効果を高めるなど、高い機能性を求める消費者ニーズに対応してきた。しかし、これらの微小プラスチックが洗面所などから流れ出すと、下水処理のフィルターを通り抜け河川から海洋に流れ出てしまうことになり、海洋に流出した微小なプラスチックはマイクロプラスチックと呼ばれ、海洋プラ汚染の元凶の1つとなっている。

ハイケム 中国・北方エリアに地域統括会社を設立

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2021年10月4日

 

ハイケム・北方本部のオープニングセレモニーの様子。同社の高潮(たか・うしお)社長(写真手前右)、楡林市市長(手前左)らが参加し、8月20日に開催された
ハイケム・北方本部のオープニングセレモニーの様子。同社の高潮(たか・うしお)社長(写真手前右)、楡林市市長(手前左)らが参加し、8月20日に開催された

 ハイケムは1日、中国の陝西(せんせい)省楡林(ゆりん)市に8月に設立した北方エリアを統括する地域統括会社「高化学(陝西)管理」(北方本部)が、同日から営業を開始すると発表した。

 同本部は、技術の研究開発や技術ライセンス事業、国際貿易、投資管理の統括を担う。同社が長年培ってきた中国での貿易事業とC1ケミカル技術の開発、ライセンス事業の機能を統括することで、新規の技術開発と投資機会の創出を図る。

 同社は、上海支店をはじめ中国に11拠点を構え、連結売上高(2020年度570億円)に占める中国の売上高比率は6割(340億円超)を占める。新たに北方エリアの機能集約によるシナジー効果を最大限に発揮することで、楡林の地の利を生かした日中の架け橋事業を強化していく考えだ。

 陝西省は河南(かなん)、四川(しせん)など人口が多い省に隣接し、自動車、包装、建築、紡績などの産業を含めて、原料立地とマーケット立地の両方の優位性をもつ。また、楡林市は巨大な石炭化学コンビナートから製造される価格競争力の高い化学品や、石炭から化学品を生成する過程で得られる副生の水素にも恵まれている。

大手石炭開発企業である陝西煤業化工集団のコンビナート=中国・陝西省楡林市
大手石炭開発企業である陝西煤業化工集団のコンビナート=中国・陝西省楡林市

 ハイケムは現在、同市で進められている、中国の大手石炭開発企業である陝西煤業化工集団が行う2兆円規模の石炭化学工業コンビナート建設事業の主要プロジェクトの1つに参画。石炭をクリーン活用し、副生ガスからポリエステル原料のエチレングリコール(EG)を製造する世界最大規模となる、年産180万tのプラントへの「SEG技術」のライセンスと事業投資を行っている。同プラントは今年中には生産を開始する予定だ。

 さらに広大な工業団地と豊富な資源を活用し、石炭に限らず多様な炭素源を素材に転化できる「SEG技術」をベースに、CO2やバイオマスを原料としたEGの開発をはじめとする様々なグリーン技術の開発にも着手していく。

 なお「SEG技術」とは、合成ガスを原料とし、非石油由来でポリエステル製造原料の一種のEGを製造する技術。宇部興産がもつ技術を基にハイケムの触媒技術を組み合わせて独自に開発し、中国企業へのライセンスビジネスを展開している。

ハイケム C1と生分解を中核に東京研究所が稼働

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2021年8月27日

環境課題解決に向け、技術・製品開発の中心地に

 ハイケムが新たに整備した「ハイケム東京研究所」(千葉県柏市)が本格稼働している。5月末に竣工した新研究所は鉄骨造3階建て。東葛テクノプラザと東大柏ベンチャープラザで行ってきた研究開発機能を集約するとともに、延べ床面積を7倍に拡張し、施設面からも研究開発体制の強化を図った。

ハイケム東京研究所の外観。1階のシャッター部分奥(写真右下)が「セランダー」製造拠点
ハイケム東京研究所の外観。1階のシャッター部分奥(写真右下)が「セランダー」製造拠点

 蝉しぐれが降り注ぐ7月21日、記者向けの見学会を開催。サステナベーション本部の高裕一副本部長は「当社は今、環境問題やSDGsに精力的に取り組んでいる。カーボンニュートラルや海の豊かさの保全を考え、東京研究所ではそれをどう実現していくのかを大きなテーマとしている」と説明した。

 同研究所の主要テーマは2つ、COやCO2を出発原料とするC1ケミカルのプロセス・触媒の研究開発と、生分解性材料の研究開発になる。C1ケミカルの中核となるのは「SEG(シンガス・トゥー・エチレングリコール)技術」だ。合成ガスを原料に非石油由来でエチレングリコール(EG)を製造する技術であり、中国企業へのライセンスビジネスを展開。昨年8月には中国・山西省の沃能(よくのう)社で、製鉄所からの副生ガスを原料に年産30万tのEGを生産するプラントが立ち上がったが、同設備により年間56万tのCO2削減を見込む。

203研究室(各種機器導入前 )の様子。C1ケミカルのカギとなる貴金属触媒の開発を行う
203研究室(各種機器導入前 )の様子。C1ケミカルのカギとなる貴金属触媒の開発を行う

 東京研究所では高圧反応装置などを導入し、「SEG技術」に必要な貴金属触媒(パラジウム、金、プラチナなど)と非貴金属触媒(銅、亜鉛、マンガンなど)の性能向上や新規触媒の開発を担う。また、NEDOの共同委託事業で行うCO2を原料としたパラキシレン(PX)製造の実用化に向けた触媒開発などにも取り組んでいる。

 一方でハイケムは独自に、中国の南通研究所ではCO2からEGを生産するプロセス・触媒開発も進めており、両技術を組み合わせることでCO2を利活用したポリエステル生産の早期商業化を目指している。生分解性材料では、合成法と高機能化の2チーム体制で研究を推進していく。

 同社は昨年、中国最大のポリ乳酸(PLA)メーカーである、豊原(ほうげん)集団の傘下企業と事業戦略パートナーシップを結ぶなど、各種生分解性材料の取り扱いを強化。今後は耐熱性などの機能性課題に対し改質や応用研究を進め、生分解性材料の高機能化を図っていく。加えて、生分解性材料が石油由来のプラスチックを代替するためには、モノマー単体では不十分なことから、コンパウンドや共重合といった生分解性材料同士の組み合わせの研究開発についても大きなテーマと捉えている。こうした取り組みを通じ、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」に貢献していく考えだ。

 東京研究所のもう1つの役割は、セラミックスバインダー「セランダー」の製造と品質管理になる。今年1月にユケン工業から譲受した同事業の生産拠点を同研究所の1階部分に整備し、自動運転や5G通信に対応したバインダー事業を展開していく。今年中に設備の導入を終え、再び蝉の声を聞く来年8月からの稼働を予定する。

 「日本には応用化されていない多くの技術が眠っている。東京研究所ではそういった技術も掘り起こしていきたい」と高副本部長は語る。サステナビリティの視点に立ち、日本と中国の技術力・開発力を生かすことで、「新たな製品を世界市場に向け発信していく中心地になっていければいい」と新設の東京研究所への期待を寄せた。

ハイケム セラミックスバインダー、初の日本拠点

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2021年6月16日

高社長「5Gなど、新市場への迅速な対応を図る」

 ハイケムはこのほど、昨年1月にユケン工業(愛知県刈谷市)から譲受した「ニューセラミックスバインダー事業」について、来年をめどに製造拠点を、「ハイケム東京研究所」(千葉県柏市)に移管する方針を明らかにした。5月末に竣工した3階建ての同研究所の1階部分に製造設備の整備を進めている。

新開発拠点「ハイケム東京研究所」の外観。1階にセラミックスバインダーの製造設備を整備している
新開発拠点「ハイケム東京研究所」の外観。1階にセラミックスバインダーの製造設備を整備している

 ハイケムの高潮社長は本紙の取材に「当社初の日本での生産拠点となる。安全生産、環境対応、特に品質保証体制を整備し、まずはしっかりとした基礎固めを行う」とし、

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ハイケム 「水素バリューチェーン推進協議会」へ参画

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2021年6月14日

 ハイケムはこのほど、水素分野のグローバルな連携や水素サプライチェーンの形成を推進する「水素バリューチェーン推進協議会」(JH2A)に一般会員として参画したと発表した。

 JH2Aは、水素バリューチェーンの構築を目的に昨年12月に設立。①水素需要創出②スケールアップ・技術革新によるコスト低減③事業者に対する資金供給について、横断的な組織による実現を目指している。参画企業には自動車、エネルギー産業に限らず、化学や鉄鋼などの製造業、金融機関、サービス業まで幅広い業種の企業や団体が名を連ねる。

 一方、日中間でポリ乳酸(PLA)などの化学品の貿易事業を中心に、C1ケミカルのライセンス事業などを手掛けるハイケムは、水素関連事業を注力分野に位置づけている。水素・燃料電池関連商材の販売をはじめ、中国での未利用の副生水素や再生可能エネルギー由来の水素を利活用した水素サプライチェーンの構築を目指し、経済産業省のプロジェクトに取り組む。また、水素を利用しCO2からPETボトルや繊維の主原料であるパラキシレンを製造するNEDOの技術開発プロジェクトにも参画しており、低炭素化社会実現に向けた取り組みを推進する。

 同社は今回のJH2Aへの参画にあたり、これまで培ってきた日中の架け橋としての活動を通じ、志を共有する参画企業とともに、カーボンニュートラル実現に向けた水素の社会実装により一層貢献していく考えだ。

ハイケム 新・東京研究所が竣工、C1や生分解など強化

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2021年5月18日

 ハイケムは17日、千葉県柏市に整備中の新研究所「ハイケム東京研究所」(鉄骨造3階建て)が今月31日に竣工すると発表した。現在、東葛テクノプラザと東大柏ベンチャープラザで行っている同社の研究開発機能を引き継ぐと同時に、延べ床面積を現在の7倍に拡大し、さらなる研究開発体制の強化を図る。 

ハイケム東京研究所(外観イメージ)
ハイケム東京研究所(外観イメージ)

 「ハイケム東京研究所」の主要テーマは「C1ケミカル」。炭素原子が1つのCOやCO2などから化学製品を合成するための触媒と製造プロセスの研究開発を担う。

 同社が2009年から注力する「SEG技術」は、合成ガスを原料に非石油由来でポリエステル原料であるエチレングリコール(EG)を製造するもの。同技術に使用する触媒2種の性能改善やコストダウン検討をはじめ、今後工業化が期待できるエタノールや高級アルコールなどのC1ケミカル誘導品の製造に向け触媒開発への取り組みも加速させていく考えだ。

 また、今回の東京研究所の機能強化により、①CO2を原料とする化学品製造についての研究開発の強化②生分解性材料の応用研究③セラミックバインダー「セランダー」の製造と品質管理などの新たな機能を追加する。

 ハイケムは今年1月に「ニューセラミックスバインダー事業」を事業譲受し、自動車関連材料やスマートフォンなどの材料に使われるセラミックバインダー「セランダー」の製造販売を開始した。同製品は5G市場が本格的に立ち上がる中、その部材としても注目を集めており、中国市場への展開を加速。新しい研究所では来年から製造を開始するとともに、セラミックバインダー開発研究室も設け、国内外の旺盛な新規需要にも対応していく予定だ。

 ハイケムは日中に3つの研究所をもち、約50人の研究員が在籍している。中国の南通研究所では、触媒工場の生産経験を生かし、東京研究所と協力してパイロット・スケールアップを行うほか、触媒の性能評価、触媒用途開発、プロセス技術改良への協力、有機合成なども担う。

 また上海研究所では、プロセス設計やエンジニアリング、生産設備立ち上げ、プロセス技術改良など、工業化の重要な部分を担当している。3拠点での研究開発を通じ、基礎研究から実機レベルの技術検証まで、オールハイケムで産業化を実現していく。

 

◇この人にきく◇ ハイケム サステナベーション本部副本部長 高 裕一氏

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2021年4月23日

C1化学など中核事業括り、成長分野の出口戦略強化へ

 日中間の化学品の貿易事業で創業したハイケム。その後、中国でのOEM受託製造を展開する一方で、独自に行う触媒技術の研究・開発を進め、合成ガスから非石油由来でエチレングリコールを生産する革新的な「SEG技術」のライセンス事業に参入するなど、C1ケミカルを中核として事業領域を大きく拡大させている。

 今年1月1日付で、持続可能性(サステナビリティ)と技術革新(イノベーション)を包括する「サステナベーション本部」を新設。成長の源泉であるC1ケミカル事業や触媒事業を発展させることで、ポリ乳酸(PLA)をはじめとする生分解性材料の普及、カーボンニュートラル社会や水素事業実現に向けた展開を加速していく考えだ。同本部の高裕一副本部長に、今後の取り組みについて聞いた。

━ サステナベーション本部を立ち上げた意図について。

   当社がこれまで展開してきた、炭素の利用効率を上げるC1ケミカルやプラスチック問題に対する生分解性材料への取り組みは、SDGsの17の目標の中でも、CO2削減と海洋マイクロプラスチックの課題にダイレクトに貢献できる事業だと考えている。

 今回、C1ケミカル事業と、生分解性材料など機能性ポリーマーを扱う素材事業部、工業触媒部などを1つの組織「サステナベーション本部」で括った。「サステナベーション」は、地球や社会、会社のサステナビリティと、それを実現するイノベーションを掛け合わせた造語になるが、会社として今後、その2つの要素を1つの本部で統括し推進していく強い意思を明確に打ち出し、社内外へ向けてメッセージを発信するために新設した。

━ 本部新設から4カ月目だが、どのような成果が見えてきたか。

  発足当時はそこでどういった化学変化が起きるのか、まだはっきりとイメージできていない部分もあったが、実際に走り出してみると、組織が1つだからこそできる、ということが多く見えてきた。我々のC1ケミカルは合成ガスを原料として、非石油由来でポリエステル原料のエチレングリコール(EG)を作る「SEG技術」が一番の強みであり、その反応工程で使う触媒も自社で提供している。

 一方、素材事業部は生分解性材料に代表される商材を、

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ハイケム 生分解性プラのCPDに着手、高機能化を展開

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2021年4月9日

 ハイケムは8日、プラスチックの製造、リサイクル企業である髙六商事(東京都荒川区)と生分解性プラスチックのコンパウンド事業について業務提携を行い、同事業に着手すると発表した。これにより、ハイケムが中国から輸入するポリ乳酸(PLA)やポリブチレン・アジペート・テレフタート(PBAT)などの生分解性樹脂を独自のレシピでコンパウンドすることで高機能化し、環境配慮型プラとして様々な分野への用途展開を図る考えだ。

ポリ乳酸(PLA)作られた製品
ポリ乳酸(PLA)作られた製品

 ハイケムは、中国で拡大する生分解性プラ市場を背景に、中国製樹脂の輸入に取り組み、生分解性材料の日本市場開拓に注力。昨年8月にはPLAの中国最大メーカーである豊原(ほうげん)集団の傘下企業と戦略的事業パートナーシップ契約を締結したほか、中国で生産が急増するPBATといった生分解性材料の取り扱いを強化している。

 一方、プラスチックの専門商社である髙六商事は、着色やコンパウンド樹脂を得意とする生産メーカー。独自の開発技術による自社製品の開発やリサイクルプラのコンパウンドによる高機能化を行っている。

 今回、両社がタッグを組むことで、中国から輸入する豊富な生分解性材料に植物由来の改質剤などで加工し、ニートレジンでは達成できなかった高機能分野への用途展開・拡大を図る。具体的には、生分解性樹脂のコンパウンドによる耐熱性、透明性、耐衝撃性などの高機能化や、機能性の高いABS樹脂やPC樹脂などとのアロイなどを実現させ、電化製品やアミューズメント製品などの分野に展開していく。なお、初年度は1000tの取り扱いを目指す計画だ。

 中国ではプラ全体の5%が生分解性に置き換わるという予測が発表されるなど、生分解性プラ市場の急拡大が想定され、各社の増産計画が進む。PLAでは、豊原集団が現在の年産5万tから2023年までに年産70万tに増強する計画を打ち出した。また、中国各社のPBATやPBSの生産についても、合計で年産124万tの増産計画がある。

 ハイケムは、生分解性材料の取り扱いアイテムと機能を一層強化するとともに、日本のみならず世界のコンパウンダーとの技術提携による独自グレードの開発や、加工法の開発にも注力し、生分解性プラの世界的な普及に貢献していく考えだ。

ハイケム 中国社と生分解性材料で提携、マルチなど展開

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2021年2月16日

 ハイケムは15日、 中国の素材メーカー・華盛グループの傘下企業と総代理販売契約を締結し、ポリブチレンアジペート・テレフタレート(PBAT)を使用した生分解性コンパウンド樹脂「PCO2」および同材料を加工したフィルム成形品の日本での販売を開始すると発表した。生分解性材料の特長を生かし、農業用マルチフィルムをはじめ、レジ袋やごみ袋での展開を予定している。

生分解性をもつ「PCO2」を利用した農業用マルチフィルム
生分解性をもつ「PCO2」を利用した農業用マルチフィルム

 「PCO2」は優れた生分解性をもち、農業用マルチフィルムの実験では、土壌環境にもよるが、約6カ月で土壌への堆肥化が見られた。また、通常は生分解性をもつフィルム成形品はポリエチレン(PE)製に比べると水蒸気バリア性が低いのが一般的だが、「PCO2」はPEに近い高水蒸気バリア性を実現。農業用マルチフィルムなどに使うことで、土壌水分の蒸発を抑える効果も期待でき、土壌温度が緩やかになることで農作物に良好な環境を作り出すことが可能だ。さらに、強度面でもPE製と同様に軽量で薄いフィルムの製造ができることから、高齢化が進む農業従事者にとっては、農業用マルチフィルム廃棄時などの作業負担軽減も期待されている。

 中国では昨年1月にプラスチック製品による環境汚染防止策の通達が発令され、昨年末までに飲食店での非分解性プラスチック製のストローなどの使用を中止する指示が出されるなど、生分解性材料のニーズが急速に高まっている。今回取り扱いを開始した「PCO2」もその優れた特性から、環境放出型の成形品への採用例が多い。また、米国でもBPIなどの国際認可マークを取得しており、より環境規制が厳しい欧米企業での複数の採用実績がある。ハイケムは、「PCO2」の日本でのグリーンプラマーク(日本バイオプラスチック協会認証)の取得に向け、申請手続きを開始する予定だ。

 同社では、生分解性材料こそマイクロプラスチック問題解決の糸口となると考え、ポリ乳酸(PLA)やPBATなどの生分解性材料の取り扱いを強化している。中国で台頭する生分解性材料サプライヤーと緊密な関係を構築し、日本の材料メーカーとの架け橋となり、生分解性プラの世界的な普及に貢献していく考えだ。こうした総合的な取り組みにより「生分解性材料のトータル・ソリューション・カンパニー」となり、世界の海洋プラ問題の解決に取り組んでいく。