[三菱ケミカル・人事](1日)▽シニア・エグゼクティブ・フェロー石井菜穂子。
三菱ケミカル 人事(1日)
2020年8月7日
2020年8月7日
2020年8月3日
三菱ケミカルと宇部興産は31日、リチウムイオン二次電池(LIB)用電解液事業に関し、新設する合弁会社にそれぞれのLIB用をはじめとする電解液事業を承継させることについて共同新設分割計画書に合意したと発表した。
今年10月1日に設立される合弁新社は「MUアイオニックソリューションズ」(出資比率は三菱ケミカル80%、宇部興産20%)。LIB用電解液の生産能力は合計3万6000t(三菱ケミカル四日市事業所の1万6000t、宇部興産堺事業所の1万t、中国常熟1万t)となる。
両社は、2018年より合弁形態で運営している常熟宇菱電池材料を通じて、中国で同事業を共同で行ってきた。今回、提携をさらに拡大し、相乗効果による製品開発力の向上ならびに購買、生産、販売体制の効率化による経営基盤の強化を図るとともに、研究開発を統合し、両社の持つ知的財産・技術開発力を一体化することで、国内外の競争力をさらに高め、同事業の長期的な発展を図ることで合意した。
具体的には、日本で合弁新社を設立し、日本の製造拠点をはじめとして両社の同事業に関わる資産を合弁新社に承継し、統合運営する。また、常熟宇菱電池材料は、合弁新社の100%子会社となる。
なお、三菱ケミカルの100%子会社の英・MC Ionic Solutions UK、100%孫会社の米・MC Ionic Solutions USは、今回の統合の対象外となっている。
2020年7月31日
三菱ケミカルは30日、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進に向けた取り組みの一環として、ドイツにある炭素繊維リサイクル事業を手掛けるCFK Valley Stade Recycling(CFK)、およびcarboNXT(cNXT)を、スイスのグループ会社を通して買収することを決定したと発表した。来月8月上旬をめどに買収を完了させる予定。
今回買収するCFKは、炭素繊維を使用したプリプレグなどの中間材を加工する際に発生する端材を、モビリティを中心とした顧客から回収するネットワークや、回収した端材をリサイクルする技術をもち、cNXTはそのリサイクル製品の販売を行っている。
三菱ケミカルは今年、炭素繊維プリプレグメーカーであるドイツのc‐m‐p社、エンジニアリングプラスチックリサイクルを手掛けるスイスのMingerグループを買収。日本ではグループ会社「新菱」が炭素繊維リサイクル事業を手掛けているが、今回の買収により欧州についても、炭素繊維および炭素繊維コンポジットの製造から製品回収、リサイクルまでのチェーンを確立する。今後はリサイクルした製品を再度原料として同社グループで利用することにより、顧客に対して製品のリサイクルも含めたトータルソリューションを提案していく。
三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる中長期経営基本戦略「KV 30」の下、サーキュラーエコノミーの推進をKAITEKI実現のキーエレメントと位置づけ、製品のリサイクルはその重要な取り組みの1つと捉えている。
今後も、炭素繊維コンポジット業界のフロントランナーとしてユーザーへのソリューション提案力を強化し続けるとともに、循環型社会の実現に向けて貢献していく考えだ。
2020年7月27日
三菱ケミカルは22日、グループ会社で浄水器の製造販売を行う三菱ケミカル・クリンスイが、8月1日にオープンする日本初上陸の体験型店舗「b8ta Tokyo‐Yurakucho」に「和食のためのクリンスイ」シリーズの3製品を出品すると発表した。
「b8ta」は2015年に米国サンフランシスコ近郊のパロアルトで誕生した体験型店舗。有楽町と新宿に同時にオープンし、最新のガジェット類や雑貨から、日本の職人技や素材の特性を生かした商品など、幅広いラインアップが登場する。
クリンスイ社はかねてより米国「b8ta」のビジネスモデルである「サービスとしての小売り(RaaS:リテール・アズ・ア・サービス)」という新業態に注目し、2019年より「b8ta」での商品展開を開始していた。米国での商品展開を経て、さらに直販オリジナル製品の販売拡大や新たなマーケティングのため、日本初上陸の有楽町店にも出品することを決定した。
出品する製品は、クリンスイの公式サイトを中心に販売している「和食のためのクリンスイ」シリーズから、お米をおいしくするためのポット型浄水器「クリンスイ JP407‐R」、お茶をおいしくするためのポット型浄水器「クリンスイ JP407‐T」、出汁をおいしくするためのポット型浄水器「クリンスイ JP407‐D」の3製品となっている。
2020年7月2日
2020年6月16日
三菱ケミカルは15日、3Dプリンティング用樹脂パウダーを製造販売するAM Polymers社(AMP社:ドイツ・ヴィリッヒ市)と、PBT(ポリブチレンテレフタレート)パウダーの共同開発と販売に関する独占的な業務提携に合意したと発表した。これにより、三菱ケミカルは、3Dプリンティング用樹脂パウダーの製造販売事業に初進出する。
一方、AMP社は、3Dプリンティングの製法の1つである粉末造形法に使用される樹脂パウダーを専門に取り扱う。3Dプリンタの市場が拡大している欧州を中心に顧客基盤を確立しており、ポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂を粉末化する過程で、3Dプリンティング用に造形性・物性を強化する技術に優れる。
同提携に基づき、三菱ケミカルでは、PBTを組成段階から3Dプリンティング用にカスタマイズし、難燃性などの物性を付与できるパウダーを共同開発。開発品のPBTは、樹脂パウダーとして主流となっているPA12(ナイロン12)に比べて吸水性が低いため、造形時の取り扱いが容易といった特長がある。近日中に顧客評価のための試作品を欧州で順次提供していく予定だ。粉末造形法による3Dリンティングは、パウダーから造形するため複雑な形状が可能で、造形時間も短いため、量産性が必要とされる自動車や航空機部品への採用が期待されている。
三菱ケミカルは、今回の提携を通じて3Dプリンティング用の樹脂パウダーの開発と販売ネットワークを強化し、積極的に事業を展開していく。
2020年6月15日
三菱ケミカルは12日、ポリエステル長繊維「ソルーナ」の販売について今年12月をめどに終了すると発表した。
同社は、「ソルーナ」の原糸生産を2009年よりユニチカグループ(ユニチカ、ユニチカトレーディング、日本エステル)に委託し、原糸・加工糸・テキスタイルの販売を継続して行ってきた。しかし、衣料品の国内市場が縮小するとともに、輸入品が増加する中で、同事業の採算性は急速に悪化している。
このような状況下、三菱ケミカルは、原糸の差異化や機能素材に集約した販売などの経営努力を重ねてきたが、現状と今後の事業環境を精査した結果、同事業を継続することは困難であると判断し、同製品の販売を終了することを決定した。8月末日で原糸生産委託を終了し、12月末日で販売を終了する予定。
同社は、三菱ケミカルホールディングスグループの中期経営計画「APTSIS 20」に基づくポートフォリオマネジメントに取り組んでいる。今後も、成長市場で技術開発や用途開拓を進めることで、高機能成形材料事業の強化を図っていく考えだ。
2020年6月12日
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と、三菱ケミカルや三井化学などが参画する人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)はこのほど、紫外光領域ながら世界で初めて100%に近い量子収率(光子の利用効率)で水を水素と酸素に分解する粉末状の半導体光触媒を開発した。信州大学、山口大学、東京大学、産業技術総合研究所(産総研)との共同研究によるもの。これまでの光触媒では量子収率が50%に達するものはほとんどなく、画期的な成果といえる。
ソーラー水素の実用化に向けた大幅なコスト削減には、太陽光エネルギーの変換効率向上が必要だ。そこには、利用光の波長範囲を広げることと、各波長での量子収率を高めることの2つの要素がある。前者は光触媒のバンドギャップ(電子励起に必要なエネルギー)の幅がカギになり、後者は触媒調製法や助触媒との組み合わせで決まる。今回は後者に注力し、ほぼ100%の量子収率を達成するとともに、触媒の構造・機能・調製方法などを明らかにした。
代表的な酸化物光触媒SrTiO3(Alドープ)を、フラックス法により2種の結晶面を持つ粒子にすると、光で励起された電子と正孔が各結晶面に選択的に移動する異方的電荷移動という現象が起こる。この特性を利用して、各結晶面に水素生成助触媒(Rh/Cr2O3)と酸素生成助触媒(CoOOH)を光電着法により選択的に担持した。
その結果、光励起した電子と正孔は再結合せずに各助触媒に選択的に移動するため、吸収光のほぼ全てを水分解反応に利用することに成功した。光励起された電子と正孔の一方通行移動は植物の光合成で行われているが、複雑なタンパク質構造によるため、人工的な再現は非現実的だった。今回の光触媒の構造は簡易であり、高活性光触媒の設計指針となる。
今回は紫外光しか吸収しないため、降り注ぐ太陽光エネルギーの一部しか利用できない。可視光を吸収するバンドギャップの小さな光触媒に応用することで、太陽エネルギーの利用度は上がる。バンドギャップの小さな化合物での水分解にはさらに高度な触媒性能が求められるが、今回の触媒設計指針を応用することにより、製造プラントの省スペース化や製造コストの低減が期待される。
NEDOらは、引き続き光エネルギー変換効率の向上を進め、人工光合成技術の早期実現を目指していく考えだ。
2020年6月11日
三菱ケミカルは10日、グループ会社である三菱ケミカルフーズが、新型コロナウイルス感染症対策の支援として、食品向け抗菌・鮮度保持シート「ワサオーロ」の無償提供を開始すると発表した。無償提供の対象は、感染者受け入れ先へ弁当などを提供する事業者、および営業自粛により弁当販売を開始した飲食店。
「ワサオーロ」は、ワサビやカラシの辛味主成分であるアリルカラシ油(AIT:アリルイソチオシアネート)を主剤とした抗菌・鮮度保持シートで、消費期限の短い弁当や持ち帰り食品の品質保持に適している。菌やカビ・酵母の増殖を抑える特性があり、食品にシートをかぶせて蓋をすることで、速やかに抗菌効果を発揮する。また、電子レンジでの加熱に対応したタイプもある。
「ワサオーロ」の無償提供の申し込みや詳細については、三菱ケミカルフーズのウェブサイト(https://www.mfc.co.jp/)に掲載している。
同社グループは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」実現に向け、総合化学メーカーとして、世の中に貢献する製品を提供していく考えだ。
2020年6月10日
三菱ケミカルと日本製紙は9日、生分解性樹脂「BioPBS」と紙製バリア素材「シールドプラス」という、共に再生可能な原料から製造される生分解素材を用いた循環型包装材を共同開発したと発表した。
「BioPBS」は、三菱ケミカルが開発し基本特許を持つ植物由来の生分解性樹脂で、タイのPTT MCC Biochem(PTT GC社と折半出資)で製造されている。自然界の微生物によって水とCO2に分解されるため、自然環境への負荷が少なく、他の生分解性樹脂に比べ、低温ヒートシール性・耐熱性・柔軟性などで優れた性能を発揮する。
一方、「シールドプラス」は、日本製紙が長年培ってきた紙の製造技術と塗工技術を応用した再生可能な循環型素材。生分解性を持つ「紙」に酸素・香りのバリア性を付与しており環境に優しい。バリア機能により、主に食品など内容物の品質を維持し、外からのにおい移りを抑えることができる。また、「紙製」なので、フィルムとは異なる紙独特の風合いがあるのも特徴だ。
近年、プラスチックごみ問題への対策が求められていることを背景に、菓子のパッケージやストローなどで従来のプラスチック製から生分解性のある樹脂や紙製への代替需要が高まっている。
今回開発した包装材は、再生可能な原料を用いた生分解性のある循環型の製品でありながら、「BioPBS」のヒートシール性と「シールドプラス」のバリア性により内容物の品質劣化を防止する高い機能性を付与。今後は菓子やコーヒー豆などの食品をはじめとしたパッケージ用途に展開していく。
三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、今後も「BioPBS」をはじめとする生分解性樹脂や植物由来樹脂の研究開発・用途展開を加速させ、サーキュラーエコノミー(循環型社会)の構築やSDGsの達成に貢献していく考えだ。