大陽日酸 米子会社がHyCO事業と関連資産を買収

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2018年12月14日

 大陽日酸は13日、100%子会社のMatheson Tri‐Gas(Matheson、米国テキサス州)を通じて、ドイツのLinde Aktiengesellschaft(Linde AG)の子会社であるLinde Gas North America(Linde America)が米国で行っている、HyCO事業の一部と関連資産を買収する契約を同日締結したと発表した。

 同事業は、天然ガスなどから水蒸気改質装置(SMR)などで分離される水素(H2)・一酸化炭素(CO)を、石油精製・石油化学産業などにパイプラインを通じて大規模供給するもの。

 取得対象資産はSMR式HyCOプラント5カ所とパイプライン、遠隔監視システム。取得価額は約468億円。取得完了日に取得価額を現金で支払う。支払い時点では短期のブリッジローンで調達し、取得完了後、速やかに長期借入に借り換える。米国連邦取引委員会の承認が得られれば取得完了となる。

 大陽日酸は中期経営計画「Ortus Stage 2」での戦略として、M&Aを活用したガステクノロジーの領域拡大を目指しており、製品ラインアップ拡充による提案力強化の観点から、HyCO事業への本格的参入を検討していた。

 今回の買収によりこれが実現し、同社グループとして、①H2・COのオンサイト供給による中長期での安定的な収益の獲得②HyCO事業の効率的な運営を可能とするリソース(人・技術)の獲得③米国での新規オンサイト需要(石油精製や石油化学など)での提案力強化が期待できる。

 今回の買収は、昨年6月1日付で、Linde Americaの親会社であるLinde AGが、Praxairと合併することで合意したことに始まる。今年10月22日に、米国連邦取引委員会が、Linde AGが同社の米国事業の一部(HyCO事業の一部を含む)を第三者に譲渡することを条件に、合併を承認した。これを受けてMathesonは、今回の買収契約をLinde Americaと締結した。

大陽日酸 米社の欧州ガス関連事業を取得し子会社化

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2018年12月5日

 大陽日酸はこのほど、米国Praxair社がもつ欧州事業の一部を運営する法人の、株式を取得する手続きを完了したと発表した。

 大陽日酸は、今年7月にPraxair社との間で、Praxair社の欧州事業の一部(ドイツ・スペイン・ポルトガル・イタリア・ノルウェー・デンマーク・スウェーデン・オランダ・ベルギーの産業ガス事業、英国・アイルランド・オランダ・フランスの炭酸ガス事業と、ヘリウムに関連する事業)を運営する法人の、株式を取得する株式売買契約を締結した。

 同契約に基づき、同社が欧州に設立した子会社、TNSC Euro‐Holding(スペイン)、TNSC Germany(ドイツ)などを通じて、今月3日に対象事業を取得した。取得価格は49億1300万ユーロ(約6347億円)。

 大陽日酸は、業界再編が進む中でグローバル競争力を高め、確固たる地位を確立するために、長期経営ビジョンとして売上収益1兆円、営業利益率10%、ROCE10%以上、海外売上収益50%以上の実現を掲げている。

 今回の買収は同ビジョンの実現に向けて大きく前進する手段で、戦略的な意義を併せもつ投資となった。欧州の産業ガス市場は北米に次いで大きく、競争環境も安定しているという。

 同社は、未参入であった当該地域で一定シェアの事業を獲得することで、グローバル化を大きく進めることになる。また、収益性の高い事業を一定の規模・ネットワーク(製造拠点など)とともに取得したことに加え、現在のトップマネジメント層を含む有為な人材や事業プラットフォームも併せて獲得した。

 大陽日酸は、こうした事業基盤を背景に、同社がもつ環境規制対応などの製品を展開していくとともに、グローバル企業向けのマーケティング機能拡張など、グループの横串機能を強化していく方針だ。

大陽日酸 ベトナムで空気分離装置の新設契約を締結

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2018年9月27日

 大陽日酸はこのほど、ベトナム南部バリア・ブンタウ省ロンソン島で、ロンソン・ペトロケミカルズ(LSP)向けに、新たに空気分離装置を建設し、窒素ガスを供給する契約を締結したと発表した。2021年に稼働を開始する予定。

 LSPはタイのサイアム・セメント・グループ(SCG)のグループ会社。SCGの主導により、ロンソン石油化学コンプレックスプロジェクトが進められており、LSPは石油化学工場の建設を決定した。

 大陽日酸はLSPに窒素ガスをパイピング供給する契約を締結し、ベトナム子会社のベトナム・ジャパン・ガス(VJG)を通して、空気分離装置と付帯ガス供給設備を建設し、併産される液化ガスを近隣工業団地の顧客に販売していく計画だ。

 ベトナムでは高い経済成長率を背景に、外資を積極的に誘致しており、産業ガス需要も拡大している。

 大陽日酸グループはベトナムで、VJGを通じて産業ガス事業を展開。ハノイ周辺の北部地域と、ホーチミンを中心とする南部地域で、本社工場を含め、5つのガス生産工場と3つの営業所で産業ガス事業を行っている。

 来年中頃にはバリア・ブンタウ省のフーミー第3工業団地で、VJG新工場の完成も予定されており、ベトナム全土でさらなるプレゼンスの向上を図っている。

大陽日酸 国際基準に対応した高純度ガスなど販売開始

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2018年9月27日

 大陽日酸はこのほど、100%子会社で特殊ガスの製造を行うジャパン・ファイン・プロダクツ(JFP)が、乗用車の排出ガスや燃費試験法に導入される国際基準に適合した高純度ガス・標準ガスを開発し、大陽日酸で販売を開始したと発表した。

 「乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法」(WLTP)で規定される排出ガス測定に使用する高純度ガス・標準ガスのうち、高純度窒素・高純度空気・高純度水素(ヘリウムベース)については、厳しい不純物保証が求められている。JFPはWLTP規格に適合した製品「GW」を開発した。

 今回販売を開始する新製品は①純窒素(GW)②純空気(GW)③He+H2 40%(GW)④純窒素(GW)または純空気(GW)をベースガスに使用した標準ガス(スパンガス)の4製品。なおGWは、WLTPのみならず重量車排出ガス試験の国際基準であるWHDCにも適合している。

 安全で環境性能の高い自動車を普及させるために、自動車の安全・環境基準を国際的に調和することや、各国での認証の相互承認を推進することを目的とする国連自動車基準調和世界フォーラム(WP28)では、2014年3月に開催された第162回会合で、WLTPを世界統一技術規則とすることを決定した。

 これを受け、日本国内では「乗用車の排出ガスおよび燃費試験法」にWLTPが導入される。今年10月以降に販売される新車から、WLTPに規定される測定方法の採用が開始され、2020年に全面的に移行することが決まっている。