昭和電工 次世代記録技術に対応したHDメディアを開発

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2021年12月13日

 昭和電工は10日、東芝研究開発センターと東芝デバイス&ストレージの提唱する新記録原理に基づいた次世代記録技術MAS‐MAMR(強磁性共鳴型マイクロ波アシスト磁気記録)に対応したハードディスクドライブ(HDD)用のHDメディアを開発したと発表した。

 MAS‐MAMRは、現在最先端の記録技術であるMAMRにおける記録トラック幅を強磁性共鳴効果(MAS効果)により大幅に微細化し、HDDの一層の大容量化を実現する次世代の記録方式。昭和電工はこの新記録原理を実現するため、東芝とヘッドメーカーであるTDKとともに、3社で協力して同技術の開発を進めてきた。

 今回の開発において、TDKが開発した双発振型スピントルク発振子を組み込んだ記録ヘッドと、昭和電工が開発した新規磁性層を搭載したHDメディアを組み合わせることで、MAS効果を発現させて記録容量を大幅に増大できることを世界で初めて実証した。

 昭和電工は、今年からMAMRを用いた東芝のデータセンター(DC)向け18TBのニアラインHDDに対応したHDメディアを供給しているが、技術開発の成果をもとに、東芝が実用化を目指すMAMR第2世代となるMAS‐MAMRを使用した30TBを超える大容量ニアラインHDDの実現に向け、HDメディアの開発を加速する。

 リモートワークや5G、IoTなどの普及に伴うDXの進展により、データ生成量や流通量が急増する中、大量のデータを記録、保管するDC向けの大容量ニアラインHDDの開発が強く求められている。昭和電工はこうした記録容量増大の強い要請に対応するため、今後も〝ベスト・イン・クラス〟をモットーに、MAS‐MAMRとともにHAMR(熱アシスト磁気記録)にも対応する二軸開発を加速させ、世界最高クラスの製品開発に努めていく。

出光など カーボンリサイクルのビジネスモデル検討開始

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2020年12月3日

 出光興産など6社は2日、東芝研究開発センターが開発したCO2を一酸化炭素(CO)に電気分解する技術を活用するP2Cプロセスにより、排ガスなどからのCO2を「持続可能なジェット燃料(SAF)」に再利用する、カーボンリサイクルのビジネスモデル検討を開始することに合意したと発表した。

 今回、検討に参加したのは、出光興産、東芝エネルギーシステムズ、東芝、東洋エンジニアリング、全日本空輸、日本CCS調査の6社。今後、各社がもつ知見・技術、プラント設備などを生かし、SAFを供給するサプライチェーンの課題抽出や将来のビジネスモデルの検討を共同で実施する。

 具体的には、産業設備の排出ガスなどから分離回収したCO2を原料として、再生可能エネルギーと水素を利用しSAFを製造、フライトまでの供給サプライチェーンの上流から下流まで、一気通貫した検討を行う。

 日本ではパリ協定に対するNDC(国が決定する貢献)で示したCO2排出削減目標の達成に向け、CO2の分離貯留や資源化、再生可能エネルギーの主力電力化や水素利用の拡大、燃料の脱炭素化などの環境イノベーションが期待されている。

 また、航空業界ではICAO(国際民間航空機関)がCORSIA(国際航空のためのカーボンオフセットおよび削減スキーム)の中でCO2排出削減目標を定めており、効果的な削減手法の1つであるSAFを使用する運航に向け、その安定的製造・供給が強く求められている。高いCO2排出削減能力をもつP2Cプロセスは、CO2を原材料としてSAFを製造する次世代技術として期待が高い。

 各社は、持続可能な社会の実現を目指し、SAFサプライチェーンの将来ビジネスモデルについて共同で検討を進めていく。