ダウ カーボンパートナーシップ、CO2を510万t削減

,

2020年12月7日

 ダウはこのほど、2020年度カーボンパートナーシップレポートを発表した。オリンピックムーブメントの一環として行われた、12カ国以上での20を超えるCO2削減プロジェクトの結果を明らかにしている。

 これらのプロジェクトは、2014年のソチ、2016年のリオ、それぞれのオリンピック組織委員会および国際オリンピック委員会(IOC)とのパートナーシップからなるもので、CO2排出量削減への取り組みとして、IOCとオリンピック競技大会の歴史上、最も包括的なコラボレーションの1つとなっている。

 これらのカーボンパートナーシップは、CO2換算量で累計510万t以上の排出量削減(第3者機関で検証済み)を実現。今回のレポートでは、低炭素社会を築く技術を促進し実行に移すために、ダウとオリンピックムーブメントとのパートナーシップが通常のビジネスの枠を超えて、主要なバリューチェーン全体に新たな基準の科学、イノベーション、コラボレーションをどのようにもたらすかについて概説している。

 気候変動への対策は、環境や社会、ビジネス上の課題だ。材料科学の知見を備えた世界的リーダーであり、低炭素技術の製造者、エネルギーの大口利用者でもあるダウは、サステナビリティにコミットしている。行動を起こすことの責任を認識し、顧客やサプライヤー、バリューチェーンパートナーと協力して、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げた。

 これらのスポーツという舞台とともに実施されるプログラムは、ダウの科学に基づくソリューションとコラボレーションが、バリューチェーン全体を通じたCO2低減へのカギを握っていることを示している。

ダウ 韓国化粧品メーカーの包装材に高精度PEが採用

, , ,

2020年11月25日

 ダウはこのほど、韓国の化粧品メーカーであるアモーレパシフィック社が、新しいリサイクル可能な包装用の素材として、ダウのテンターフレーム二軸延伸用(TF-BOPE)「INNATE TF」高精度ポリエチレン樹脂を採用したと発表した。

 TF-BOPEフィルムの商用化は、サステナブルなパッケージの未来にとって画期的であり、高性能、商品棚でのアピール力、プラスチック使用量の低減、リサイクル性を実現。大手ブランドオーナーが、マテリアルリサイクル(MR)可能なパッケージを導入することを可能にする。これは、包装用製品の全製品を2035年までに再利用またはリサイクル可能にするというダウの新たなサステナビリティゴールに沿うもの。

 ダウ、アモーレパシフィック社、フレア・パッケージング社の3社間での提携により、ラグジュアリー化粧品ブランドである「Sulwhasoo」、クリーンビューティーブランドの「primera」、肌美容ブランドの「illiyoon」の液体製品用に、オールポリエチレン(PE単一素材)製でMR可能なスタンドアップパウチが採用。

 フレア・パッケージングが設計および製造するスタンドアップパウチで使用されるダウの「INNATE TF」樹脂は、優れた耐久性、美しさ、優れた耐ピンホール性、製造効率とともに、既存のMR工程でリサイクルが可能である点が評価された。

ダウ 中国社とPE単一素材の洗剤用パッケージを商品化

, , ,

2020年11月24日

 ダウはこのほど、テンターフレーム二軸延伸用「INNATE TFポリエチレン樹脂(TF‐BOPE)」が、中国の大手洗剤ブランドである立白(Liby)の、タブレット洗剤のパッケージに採用されたと発表した。ダウは、2035年までに包装用製品の100%を再利用またはリサイクル可能にする、という新たなサステナビリティゴールの達成に向けた取り組みを推進しているが、この提携により加速することになる。

「INNATETMTF-BOPE」を使用した洗剤パッケージ
「INNATETMTF-BOPE」を使用した洗剤パッケージ

 タブレット洗剤用のパッケージのマテリアルリサイクル(MR)を可能にする取り組みは、ダウ、立白およびFujian Kaida社との協力により実現。「TF-BOPE」は、既存のMRの工程で再利用可能な、単一素材(オールPE)の素材であること、輸送中の漏れを低減する高靭性など優れた物性や、商品棚でのアピール力や手触りの良さを実現する光学特性を備えていることが評価されて選択された。大手包装メーカーであるFujian Kaidaが、立白のタブレット洗剤用のパッケージを製造する。

 ダウは今年7月初め、「TF-BOPE」フィルム用のPE樹脂を「INNATE」高精度樹脂シリーズに加える、革新的かつ画期的なブランド拡張を発表。「TF-BOPE」は、高性能で使いやすく、MR可能な包装材料に対する世界的な業界ニーズに対応するための製品。「INNATE TF」は、「リサイクル可能なデザイン」ソリューションとして認知されており、ブランドオーナーが開発初期段階からパッケージのリサイクル性を考慮できるようにする。

 ダウは、2025年サステナビリティゴールの一環として、バリューチェーン全体の主要なステークホルダーと協力し、革新的で持続可能なパッケージ用のソリューションを促進することで、プラスチック業界の健全かつダイナミックな発展の推進に取り組んでいる。「TF-BOPE」樹脂は、加工業者、ブランドオーナー、小売業者に、MR可能であると同時に必要とされる特性をもつ革新的なパッケージ用のソリューションだ。これは、従来のPE製品と比較して、優れた物性を備える同樹脂特有の分子構造により可能となった。

ダウ 「R&D100アワード」を5つ受賞、イノベーション評価

, ,

2020年10月23日

 ダウはこのほど、R&Dマガジン誌が主催する権威あるプログラム「R&D100アワード」で5つ賞を受賞したと発表した。同アワードは、過去1年間で発表された画期的な100の技術を評価するもので、イノベーションの先駆者やその人物の科学技術分野への貢献を称えるものであり、イノベーション関連では最も名誉ある賞とされている。R&D100のリストにダウの製品が選ばれるのは、今回の受賞で9年連続、また、7年連続で最多受賞数企業となった。

 受賞したのは、①導電性接着剤「DOWSIL EC-6601」、②プライマーレスシリコーン封止剤「DOWSIL EI-2888」、③ポリオレフィンエラストマー「ENGAGE 11000」、④エマルション「NEOSEED NR-8800」、⑤紙バリアコーティング用ポリオレフィン分散剤「RHOBARR 320」の5つの製品技術。

ダウ リサイクル可能な装飾メディアを凸版印刷と開発

, ,

2020年8月24日

 ダウは21日、再生可能な美しい装飾メディア「ecocracy(エコクラシー)」を凸版印刷と共同で開発したと発表した。オリンピックの公式化学会社であるダウは、東京2020大会に向け、凸版印刷と協力しイベントの成功に貢献する装飾メディア作りに取り組んでいる。

リサイクルされたバナーから再生されたベンチ、植木鉢など
リサイクルされたバナーから再生されたベンチ、植木鉢など

 こうした中、ダウの優れた光学適性と加工性をもつポリオレフィン(PO)樹脂「バーシファイ」が、凸版印刷に採用された。

ダウ・オリンピック&スポーツ・ソリューションズ事業部のグローバル・サステイナビリティ&テクノロジー担当ディレクターであるニコレッタ・ピッコルロヴァッツィ氏は、「ダウは、使用後のプラスチックに第2の活躍の舞台を与えるというニーズの拡大に応え、特別に東京2020大会のため、凸版印刷と密接に協力して、このPOベースの幕(バナー)材料を開発した」とコメントしている。

 従来、競技会やイベントなどで使用される防水シート(ターポリン)は、塩化ビニルなど複数のプラスチックを使用していたためリサイクルが困難であった。それに対し「ecocracy」は、プラスチック部分(幕、網、小穴、糸など)がすべてPO製と単一の素材で作られているため、再生樹脂としてリサイクル性が向上している。

 両社は、イベントで使用したサインやバナーを回収し、再生樹脂としてリペレット化。木材廃棄物に含まれる材料と混合することで、ベンチや床などに使われる木とプラスチックの複合材を生産する。さらに、「ecocracy」は、優れた光学適性をもつため、素晴らしい鮮明さと来場者の注目を集める「輝き」を提供するディスプレイ面を実現することができる。

 凸版印刷の情報コミュニケーション事業本部技術戦略・開発部の新商材開発技術チーム課長、古谷誠士氏は、「当社は、ダウとの共同プロジェクトにより、製品の従来の使用と寿命に関する限界を超えることができた。東京2020でのバナーのリサイクルは、当社がいかにして使い捨てプラスチックの使用を縮小し、焼却や埋め立てられることになる材料を減らし、全く新しいものを生み出すことができるかを証明するだろう」と述べている。

 

 

ダウ 高精度PE樹脂の新製品、オールPE構造が可能

, ,

2020年8月7日

 ダウはこのほど、高性能、消費者の利便性、リサイクル性を求める業界のニーズに応え、「INNATE 高精度ポリエチレン樹脂」製品群のブランドを拡張した革新的な新製品を発表した。

TF-BOPEフィルムを使用した製品
TF-BOPEフィルムを使用した製品

 テンターフレーム二軸延伸用「INNATE TFポリエチレン樹脂」は、長年にわたり包装業界の目標とされてきたテンターフレーム二軸延伸用ポリエチレン(TF‐BOPE)フィルムの商業用途への拡大を実現。従来のPEフィルムと比較して、「INNATE TFポリエチレン樹脂」製のTF‐BOPEフィルムは、透明性や光沢性などの優れた光学的特性、衝撃強度と引張係数が2倍、突刺強度と引張強度が従来のインフレーションPEフィルムの3倍、低温下でも優れた強靭性、消費者に便利な易カット性といった多くの利点をもつ。

 また、同フィルムは、リサイクル性を改善するオールPE構造が可能であり、持続可能性でも大きな利点を提供。独特な物理的特性を備えていることから、包装材に使用されている材料の代替やフィルム構成の変更のみでなく、フィルム薄肉化が可能となるためパッケージ用材料の使用量を削減することができる。

 パッケージの印刷層に直接使用できるため、PEの機能層を組み合わせてオールPEのフィルム構成が可能となり、パッケージのリサイクル性の改善につながる。

ダウ 日本初のカーボンプロジェクト協定をイオンと締結

, , ,

2020年8月4日

 ダウはこのほど、日本初のプロジェクトとして「カーボンプロジェクト協定」をイオンと締結したと発表した。ダウの技術を使った食品の真空スキンパック包装をイオンの商品に採用し、店舗での食品廃棄物のさらなる削減を目指すとともに、食品廃棄物の削減による温室効果ガス(CO2やメタンなど)の排出削減に取り組む。

真空スキンパック包装を活用した商品
真空スキンパック包装を活用した商品

 今回のプロジェクトは、ダウと国際オリンピック委員会(IOC)との公式カーボンパートナーシップに基づき、世界中で実行されているカーボンプロジェクトの1つ。

 SDGsでは、「小売・消費レベルにおける世界全体の1人あたりの食料の廃棄を半減させる」という目標を定めている。現在の日本の食料自給率はこの25年間では最低水準を記録している一方、本来食べられるのに捨てられてしまう食品ロスの量は、1年間で643万tにも上る。

 こうした中、イオンは、グループの食品廃棄量を2025年までに半減する目標を設定。今回のプロジェクトの下、グループ企業の店舗に、ダウの革新的な素材であるアイオノマー樹脂を使用した真空スキンパック包装を採用し、さらなる食品廃棄物の削減を目指す。

 ダウの真空スキンパック包装は、商品の鮮度保持期間を延ばし、輸送時のダメージから内容物を保護できることから、食品廃棄を削減することが期待される。

 両社のコラボレーションは、持続可能なソリューションの導入による食品ロスの削減を通じ、食品のライフサイクル全体での温室効果ガス排出削減を推進する。また、今回のプロジェクトを通じた気候変動に対する成果は、CO2換算の削減量として第3者検証を受け、IOCの活動に関連したCO2排出量を相殺する、ダウとIOCの公式カーボンパートナーシップへの貢献につながる。

カーボンプロジェクト
カーボンプロジェクト

 

ダウ バイオPE使用のストレッチフィルムをアジア展開

, , ,

2020年7月30日

 ダウはこのほど、マレーシアの包装材メーカーであるトン・グアンと、植物由来ポリエチレン(PE)製品をアジア太平洋地域に導入したと発表した。同地域での再生可能原料由来プラスチック製品の商品化では画期的な事例となり、バリューチェーンを通しCO2排出量削減に貢献することが期待される。

 トン・グアンの新しいストレッチフィルム「ナノ・バイオ」は、ダウの直鎖状低密度PEである「ELITE5230GC R」エンハンスドPE樹脂を使用。この植物由来PE樹脂は、紙パルプの副産物であるトールオイルからのバイオナフサを使って生産されており、一般的な化石由来のPE樹脂と比較してCO2排出量を大幅に削減できる。

 さらに、マス・バランスアプローチをベースとするISCC認証を取得。このアプローチにより、各産業の複雑な製造または生産システム内でのサステナブルな原料調達を支援することで、すべての工程でトレーサビリティ基準が満たされ、各産業の持続可能性に貢献する。

 ダウ・パッケージング・アンド・スペシャルティ・プラスティック事業部アジア太平洋コマーシャルバイスプレジデントであるバンバン・キャンドラ氏は、「再生可能原料である植物由来のPE樹脂をアジア太平洋地域に導入することは、サステナビリティ目標を達成する上で重要な一歩だ」と述べている。

 一方、「ナノ・バイオ」は、薄肉化、柔軟性や耐久性の向上を実現する最先端のナノテクノロジーにより生産される。この環境に優しい高性能なストレッチフィルムは、物流用のパレット貨物を安定させ、輸送時の損傷や事故の発生の低減に貢献する。

 トン・グアン・インダストリーズのマネージングディレクターであるダトアング・プーン・チュアン氏は「ダウとの継続的なコラボレーションは、再生可能製品の提供とサステナビリティ推進への私たちの決意を示すものだ。ダウの植物由来のPE樹脂を使用することで、既存製品と同等の高性能を保ちながら化石燃料由来のPE樹脂の使用を削減し、顧客のビジネスとサステナビリティ面でのニーズを満たす」と述べている。

ダウ GHG削減とプラごみ問題根絶、新たな目標を発表

, ,

2020年6月26日

 ダウはこのほど、世界で最もイノベーティブで顧客本位であり、インクルーシブかつ持続可能な素材科学企業になることを目指し、気候変動とプラスチックごみの問題に対処するための新たな目標を発表した。

 2025年サステナビリティゴールに基づく、新たな持続可能性目標として、①気候の保護:2030年までに年間炭素排出量を正味500万t、2020年比15%削減。パリ協定に沿って、2050年までにカーボンニュートラルを達成する、②廃棄物の根絶:2030年までに、100万tのプラスチック回収・再使用・リサイクルを実現する、③循環経済:2035年までに、包装用途の全製品を、再利用可能またはリサイクル可能にする―を設定している。

 同社の取り組みとして、プラごみ問題では、環境への廃棄物の流出を根絶し、循環型経済に向けて材料科学業界をリードするという明確な目標に基づいた投資とコラボレーション活動に注力。これには、廃棄プラスチックをなくすための国際アライアンス「AEPW」への参画や、サーキュレート・キャピタルへの投資が含まれる。

 一方、気候変動の問題では、最終的に世界の温室効果ガス(GHG)排出を削減できる、低炭素製品や技術の開発・商品化を促進。企業がGHG削減の説明責任を果たせるように、主要な大学やNGO、監査専門家、技術パートナー、業界関係者と協力しており、今年後半にはこの協力に関する詳細な情報を提供する予定だ。

 なお、同社は、17年連続となる2019年度「サステナビリティリポート」を発行し、2025年サステナビリティゴールに向けた進捗と結果を報告している。

 

ダウ シュリンクフィルム向け 新処方の再生プラを開発

, ,

2020年6月8日

 ダウはこのほど、アジア太平洋の集積シュリンクフィルム用途向けに設計した、新処方の再生(PCR:Post‐Consumer Recycled)プラスチック樹脂を開発、商品化したと発表した。

ダウ 新処方の再生樹脂
新処方の再生プラスチック樹脂

 この新たな樹脂「XUS 60921・01」は、PCR材料を40%含み、バージン樹脂製品に匹敵する性能のフィルムを製造できるように設計。また、同社の戦略的リサイクリングパートナーを通じて中国国内で回収された再生プラスチックを原料としており、南京にあるダウの委託生産企業で製造されている。

 近年、eコマース需要が伸びることで、サプライチェーンの始まりから終わりまで製品を保護できると同時に、消費者のために廃棄物を最小限に抑えた、耐久性かつ効率性を備えた包装が求められている。

 新処方PCR樹脂は、バージン樹脂由来の集積シュリンクフィルムに匹敵する性能をブランドおよび消費者に提供。製品の安全供給に貢献するとともに、環境に放出されるプラスチック廃棄物の量も削減する。集積シュリンク用途のコア層は、この樹脂を100%使用するように設計されており、リサイクル材料含有率13~24%のフィルムの開発を可能とする。

 新処方のPCR樹脂は、CO2とエネルギーフットプリントを削減し、コンバーター企業やブランドオーナー、小売業者がそれぞれのサステナビリティ目標を達成することに貢献するだけでなく、廃棄物となるかもしれないプラスチックに、新たな最終用途を見出だすものとなる。

 今回の新製品は、リサイクル材料を製品に取り込むことに注力し、プラスチックの循環型経済を発展させる、という同社の包括的戦略の一環となる。