チッソが8日に発表した2019年3月期の第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比1%減の1149億円、営業損失は24億円(前年同期は営業利益14億円)、経常損失は6億円(前年同期は経常利益40億円)。特別損失として水俣病補償損失等(昨年4月1日から12月31日までの水俣病被害者への救済一時金1200万円を含む)24億円、災害による損失9200万円を計上したことで、4半期純損失は48億円となった。
機能材料事業の液晶材料は、液晶ディスプレイ市場でのパネルの供給過多による販売価格の下落、テレビ用途を中心とした大型パネルの生産調整が影響し売上が減少した。
加工品事業の繊維製品は、不織布の販売が価格競争の激化により伸び悩んだ。肥料は米国向け緩効性肥料の輸出が順調に推移したことに加え、春肥の肥料価格改定前に先取り需要が発生したことから売上が増加した。
化学品事業のオキソアルコールは、大型定期修理の影響による出荷の減少や、原料価格の高騰など厳しい事業環境となった。シリコン製品では電子材料・医療用途を中心に販売が増加。ポリプロピレンは国内の需要が堅調に推移し、前期からの製造設備トラブルの影響も解消しつつあり、出荷は回復基調となった。
商事事業では、主力のポリプロピレンは仕入先設備トラブルによる減産の影響が一部に残り出荷が減少。ただ、ナフサ価格の高騰により販売価格が上昇したことで、売上は増加した。
その他の事業のエンジニアリング部門では、既存受注案件の工事が九州地区での豪雨災害の影響を受けた。通期の業績予想については、前回公表の予想からの変更はない。なお、純利益は水俣病関連損失の予想が困難であることから、引き続き未定としている。