【2020年 夏季特集】 トップインタビュー

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2020年8月10日

コロナ影響拡大で先行き不透明
戦略の見直しが課題、新常態でも成長戦略を模索

 わが国化学産業は、新型コロナウイルスの感染拡大により需要が低迷したこと、さらに原油価格の暴落により製品市況が悪化したことで深刻なダメージを受けている。経済活動の再開により下期からの回復が期待されているものの、先行き不透明感が強まっており、今年度は各社にとって正念場の年となりそうだ。

 対面業界では、明暗が分かれている。これまで市場をけん引してきた自動車産業は、生産台数が大幅に落ち込んでおり、回復までには時間を要するとの見方が強い。長期的にみればCASEなど新たな需要が期待されるものの、投資計画を見直す動きも出始めている。

 また各社がこれまでコスト重視で効率化を図ってきたサプライチェーンも、ロックダウンによって寸断された。近年では自国ファーストも進んでおり、今後は地産地消を含めた再構築を迫られそうだ。

 一方、テレワークが一気に整備されたように、5GやIoTといった半導体分野の需要が急速に拡大。また、コロナ禍で健康意識が高まったことを背景に、ヘルスケア分野への各企業の取り組みが加速している。ニューノーマル(新常態)においても、これらの分野は成長が期待されることから、今後、各社間の競争が激しくなりそうだ。

 今回の「夏季特集号」では、化学業界を代表する首脳の方々に、コロナ禍による現下の危機をいかに成長の機会に変換し生き残りを図っていくのか、その戦略と方針を聞いた。

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信越化学工業 金川千尋会長/▽コロナ禍を成長の機会に、「谷深し」でも活路は必ずある

三菱ケミカル 和賀昌之社長/▽循環型経済の実現に向け、共同歩調で取り組み加速

旭化成  小堀秀毅社長/▽新常態の変化を事業機会と捉え、ヘルスケア領域を第3の柱に

三井化学 橋本修社長/ ▽新事業開発センターが始動、新体制で事業創出を加速

東ソー  山本寿宣社長/ ▽コロナ禍でも中計方針を徹底、ハイブリッドカンパニーを追求

昭和電工 森川宏平社長/▽顧客体験を最大化、統合で〝先端材料パートナー〟を目指す

【2019年 夏季特集】 トップインタビュー 事業環境悪化も持続的成長を模索 

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2019年8月19日

 海洋プラごみ問題など、環境貢献も需要なテーマ

 日本の化学産業は米中貿易摩擦の深刻化による中国経済減速の影響により、逆風が吹き始めている。世界経済のバランスが崩れてきたことで、サプライチェーンの分断化が懸念されており、生産・供給体制の見直しや、地産地消といったローカル戦略が重要となってきた。

 これまで各社は、高付加価値品へのシフト、成長分野への進出、M&Aなど事業ポートフォリオ変革に注力し、変動への耐性を高めている。その真価が試される中、持続的成長を模索する動きが強まりそうだ。

 また、急速に進むグローバル化やデジタル化に対応した、社内基盤の整備も大きなテーマとなっている。プロフェッショナル人材の確保や育成、また海外拠点の増加に伴うガバナンス体制の強化も図っていく必要がある。

 一方、海洋プラスチックごみ問題や地球温暖化問題がクローズアップされ、世界的に環境意識が高まっており、素材産業にも厳しい目が注がれている。ESGやSGDsといった視点に立ち、持続可能な社会の構築にいかに貢献できるかが、今後ますます問われてくるだろう。

 国内の化学産業は「令和」という新時代に、企業価値の向上や環境問題にどう取り組み、持続的成長を果たしていくのか。その戦略と方針について、業界を代表する首脳の方々に聞いた。

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 信越化学工業会長 金川千尋氏/▽さまざまな事態への備えが重要、安定的な収益確保を目指す

 三菱ケミカル社長 和賀昌之氏/▽安全が第一、安全・安心を担保できない事業はやめる覚悟

 旭化成社長 小堀秀毅氏/▽サステナビリティへの貢献を軸に、製品・用途開発を推進

 三井化学社長 淡輪敏氏/▽増設・増強でナフサクラッカー強化、下流の競争力を向上

 東ソー社長 山本寿宣氏/▽スペシャリティで相次ぎ能増、新中計で成長図る

 昭和電工社長 森川宏平氏/▽創立80周年を迎え、さらなる収益力向上のサイクルを回す

 JSR社長兼COO 川橋信夫氏/▽ポートフォリオを拡充、新体制でグローバル化に対応

 PSジャパン社長 佐藤公氏/▽新中計では目標を「見える化」、実力のさらなる向上を目指す