旭硝子 ジャレド・ダイアモンド教授ら2人にブループラネット賞

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2019年7月11日

 旭硝子財団は10日、ブループラネット賞(地球環境国際賞)の2019年の受賞者に、エリック・ランバン教授とジャレド・ダイアモンド教授を決定したと発表した。

 同賞は地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992年に設立され、今年で28回目となる。地球環境問題の解決に関して、社会科学、自然科学/技術、応用の面で著しい貢献をした、個人または組織の業績を称える国際的な賞。今回は国内500人、海外788人のノミネーターから150件の受賞候補者が推薦され、その中から2人が選ばれた。

 受賞者のうち、エリック・ランバン教授はベルギー出身で、スタンフォード大学教授・学部長。世界的規模での土地利用の変化、その生態系への影響や土地利用政策の有効性を、衛星リモートセンシング技術と独自の時系列解析手法を用いて、土地利用の変化が地球の自然システムへ悪影響を及ぼしていることを早くから指摘した。さらに、 社会経済データと結び付けて経済活動との関係も明らかにした。

 ジャレド・ダイアモンド教授は米国出身で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校地理学部教授、歴史家、作家。代表的な著作である、「銃・病原菌・鉄」「文明崩壊」「昨日までの世界」の3部作を通じて提示された論考は、並外れた知的探求の結果生み出された文明論、組織論、社会論を包含し、非常に広範な視野から今日の環境問題の根源を深く洞察し、人類文明史における環境問題の意義を独自の視点から解き明かした。

 表彰式は12月11日に東京都千代田区のパレスホテル東京で行われ、賞状とトロフィー、副賞5000万円が贈られる。その後、12日に東京大学、14日に京都大学で受賞者による記念講演会が開催される。

旭硝子財団 2018年ブループラネット賞表彰式開催

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2018年10月12日

 旭硝子財団は10日、都内のホテルで第27回ブループラネット賞の表彰式典と祝賀パーティーを開催した。秋篠宮同妃両殿下が臨席されたほか、受賞者両国(オーストラリア、スウェーデン)の駐日大使館代表者など、国内外から関係者約300人が参列した。

 同賞は、旭硝子財団が地球サミット開催を機に、1992年に創設。人類にとって深刻な地球環境問題の解決に顕著な業績を上げた人を表彰している。

 石村和彦理事長(AGC会長)は「21世紀に入り地球環境問題の重要性は大きくなる一方だ。私は『私たちはこの星の持ち主ではなく、住まわせていただいているだけだ』と心に留める必要があると考えている。この星を安全で美しく素晴らしい星として次の世代に引き渡さなければならない」とし、「この賞が地球環境問題解決に少しでも貢献できれば、当財団にとってこれに比する喜びはない。受賞者の方々には地球環境問題解決に向けた大きな貢献に対し改めてお礼を申し上げるとともに、世界の研究者、技術者、専門家の方々にも感謝をささげたい」との思いを語った。

 今年はオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)名誉フェローのブライアン・ウォーカー教授(オーストリア)と、ストックホルム・レジリエンスセンター上級研究員のマリン・ファルケンマーク教授(スウェーデン)が選出され、石村理事長から賞状・トロフィーと副賞(賞金5000万円)が贈呈された。

 秋篠宮殿下は「受賞者がご自身の理論を築き上げるとともに、長年にわたり卓越した行動力と強い信念によって国際社会に警鐘を鳴らし、今後の人々の活動の在り方に道筋を示してこられたことは、大変意義深いことであります。人類の英知を結集して持続可能な地球環境と、より良い人々の生活が実現されることを願っております」と、お言葉を述べられた。

 続いて、来賓を代表し安倍晋三総理大臣の祝辞が代読され、各国駐日大使館の代表者が祝辞を述べた。受賞者のあいさつでは、ウォーカー教授が変動する環境下で社会が持続するには高いレジリエンス(復元力)が必要であると訴え、行政などと協力しながら行動に移すべきとした。ファンケルマーク教授は「Green /Blue Waterの概念」(地下水や河川の水だけでなく、土壌に染み込む水)などを紹介し、水問題の重要性を示した。