BASF 新ペプチドが皮膚と毛髪を隠れ炎症から保護

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2020年12月2日

 BASFはこのほど、隠れ炎症(慢性的な微小炎症)による毛髪・皮膚のダメージに対し、安全で有効な天然由来成分「PeptAIde4.0」を上市すると発表した。炎症性メディエーターの放出を防ぐペプチドを人工知能により選別し、酵素による加水分解プロセスで有機米タンパク質から取り出して製品化した。

 炎症反応は重要な防御システムの1つだが、不健康な生活習慣で乱される。急性炎症は体の治癒を助け感染症を撃退するが、隠れ炎症は健康な細胞と戦い、病気を引き起こし体調悪化の原因となる。若い人では自覚はないものの、徐々に髪や皮膚に深いダメージを与えていく。

 「PeptAIde4.0」は4つの多機能植物由来のペプチドで、12~17個のアミノ酸で構成される。in silico予測と機械学習プラットフォームで何兆ものデータエントリを評価し、隠れ炎症に最も高い潜在的効果をもつ植物由来ペプチドを同定した。

 「PeptAIde4.0」の有効性は臨床試験で確認した。乾燥・かゆみ・不快症状のある足の皮膚あるいは腹部に28日間毎日2回ローションを塗布した試験では、各々1、2週間で肌の水分量やハリが増加、4週間で9、8割の被験者が肌のしっとり感や滑らかさ、肌の快適さの向上を実感した。

 敏感・かゆみのある頭皮を週3回3週間シャンプーした試験では、頭皮の赤みは9%減少し、頭皮のpHも有意に低下した。「PeptAIde4.0」は乾燥肌や不快感、ハリ不足を防ぎ、フケが出やすい敏感な頭皮の炎症を抑えることが実証された。

富士フイルム ペプチドの開発・製造受託サービスを開始

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2019年10月1日

 富士フイルムはこのほど、ペプチドの開発・製造受託サービスを、10月1日から開始すると発表した。同サービスは、同社が独自に確立した製造手法を使い、ペプチドの生産プロセス開発から製造までを受託するサービスで、今後需要が高まるペプチドの高機能化や高純度化に対応する。

 ペプチドはアミノ酸が2~50個程度結合したタンパク質の断片で、医薬品や機能性食品、化粧品などに使用されている。一般的に生体内に存在する20種類のアミノ酸(天然アミノ酸)を組み合わせて合成されるが、複雑な構造を持ったペプチドの合成は困難であり、またペプチドの純度を高めるための合成後の精製工程に大きな作業負荷が発生するという課題がある。

 さらに最近では、生体との相互作用を活用したバイオマテリアル(生体材料)などの先端研究で、非天然アミノ酸を結合させ新たな機能を付与したペプチドを応用する取り組みが増えており、ペプチド合成の難易度がますます高まっている。

 同社は、少量多品種生産に最適な固相合成法による製造手法を確立し、グループ会社の試薬製品に応用してきた。

 さらに、大量生産に適した液相合成法に精緻な反応制御のための独自材料を組み合わせた新たな製造手法を開発。高純度のペプチドを得られる合成工程を実現し、精製工程の大幅な短縮を可能にした。

 新手法を使い、合成が難しい高機能ペプチドや高純度ペプチドを生産できることを確認。直鎖ペプチドでは98%以上、合成過程で用いる酸に対して分解しやすい特殊環状ペプチドでも90%以上の高純度の生産を、精製作業を行うことなく実現している。

 今回、固相合成法・液相合成法による製造手法を用いて、ペプチドの合成・精製などの生産プロセス開発から製造までを受託するサービスを、富士フイルム和光純薬を通じて開始。合成が困難な高機能ペプチドや高純度ペプチドなどをスピーディーに提供できる強みを生かして、幅広い顧客ニーズに応えていく。

 今後、ペプチドを使った医薬品候補化合物の臨床応用ニーズに対応するためにGMP製造設備の整備も検討し、さらなるサービス拡大を図っていく。富士フイルムは、先進・独自の技術により画期的な高機能材料を開発・提供することで、新分野の研究開発の促進、高付加価値製品の創出などに貢献していく考えだ。