ユニチカ 包装用フィルム製品を値上げ、原料高騰に対応

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2021年3月3日

 ユニチカは2日、包装用2軸延伸ナイロンフィルムおよびポリエステルフィルムについて、4月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は「エンブレム」(ナイロンフィルム:15㎛換算)「エンブロン」(複層ナイロンバリアフィルム:15㎛換算)「セービックス」(ナイロンバリアフィルム:15㎛換算)が「連600円」、「エンブレット」(ポリエステルフィルム:12㎛換算)「セービックス」(ポリエステルバリアフィルム:12㎛換算)「セービックス」(バリアOPPフィルム:20㎛換算)が「連300円」となっている。

 昨今の原油価格の上昇を受け、主要原料の価格高騰が続いている。さらに物流費、ユーティリティー費用なども上昇の一途にある。こうした環境下、同社は様々な合理化と省力化策を推進してきたが、これらのコスト上昇は自助努力による範囲を超えており、安定供給を維持するため今回の値上げを決定した。

ユニチカ PVA系繊維を値上げ、コスト増に対応

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2021年2月26日

 ユニチカは25日、衣料用ポリビニルアルコール(PVA)系繊維(ビニロン繊維)の「紡績糸・織物・編物」(難燃繊維含む)について、4月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は「10~25%」。

 昨年からのPVA系繊維の原材料価格の上昇、近年の織物・編物の染色加工に使用する染料や薬剤・助剤といった価格の高止まり、さらに物流費などの高騰によるコスト増が、自助努力により吸収できる範囲を超えている。同社は、製品の安定供給を確保するため、今回の値上げを決定した。

ユニチカ 人事(2021年1月1日)

2020年12月7日

[ユニチカ・人事](2021年1月1日)▽高分子事業本部フィルム事業部事業部長付荻野敏広▽同事業本部同事業部工業フィルム営業部長政井卓爾▽同事業本部同事業部フィルム業務室室長代理兼同事業本部同事業部同室グループ長西豪紀▽同事業本部樹脂事業部樹脂業務室長兼同事業本部高分子企画管理部マネージャー片平新一郎▽転籍ユニチカテクノス社長就任予定山根直樹▽機能資材事業本部不織布事業部スパンボンド営業部長神ノ門英明。

 

ユニチカと名古屋大学 血液適合性ポリマーの高靭性化に成功

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2020年11月16日

 ユニチカと名古屋大学はこのほど、共同で血液適合性ポリマーPMEA=ポリ(2‐メトキシエチルアクリレート)=に直径約100㎚の球状シリカ微粒子を高濃度で配合して力学的に高靭性化し、3Dプリンターで様々な形状に加工できることに成功したと発表した。

本研究のイメージ図
本研究のイメージ図

 低水溶性の次世代血液適合性ポリマーのPMEAは、ECMO(体外式膜型人工肺)をはじめ血液と接触する医療器具に広く利用されているが、柔らかく粘着質のため(ガラス転移温度はマイナス30℃以下)、成形加工が難しく、コーティング材料としての使用が主だ。

 今回、球状シリカ微粒子を充填して高靭性なPMEA‐シリカ複合エラストマーを得た。シリカ充填量を増すと強度は増加し、破壊エネルギーは15倍に向上。一軸伸長時の応力‐歪み関係は生体軟組織に似た非線形性を示し、繰り返し変形による突発的破壊を起こしにくい。血液適合性を示す血小板粘着試験では、PMEAと遜色なくPETより優れていた。

 現在人工血管に使用されるPETやフッ素系ポリマーは直径5~6mm未満では血栓による閉塞が起こるが、PMEA‐シリカ複合エラストマーで、小径人工血管の実現が期待できる。さらに、光造形(SLA)式3Dプリンターで任意形状に加工することにも成功。高度な加工技術、高価な製造装置を使わず安全で迅速に成形体が得られる。

 今後、より詳しい血液適合性の評価など詳細な検討が必要だが、優れた力学物性と高い加工性により、人工血管など血液適合性が必要な医療器具に有用な材料になることが期待される。

ユニチカ 有機溶剤回収の省エネ化開発がNEDOに採択

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2020年7月21日

 ユニチカはこのほど、長瀬産業と共同提案した「有機溶剤回収の省エネルギー化を目指した耐溶剤性分離膜プロセスの開発」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2020年度「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/実用化開発」の助成事業に採択されたと発表した。実施期間は、2020年7月~2023年2月。両社のほかに、神戸大学とナガセテクノエンジニアリングが参画し、ユニチカが開発したナイロン中空糸ナノろ過膜「WINSEP NF」の実用化を目指す。

中空糸ナノろ過膜「WINSEP NF」モジュール
中空糸ナノろ過膜「WINSEP NF」モジュール

 有機溶剤の分離・濃縮に多用される蒸留法は、エネルギー消費の大きいプロセスのため、蒸留に由来するCO2排出量は国内化学産業のCO2排出量の40%に達し、日本のCO2排出量の約4%を占めている。蒸留に使うエネルギーを低減させる方法として、熱交換器による熱回収などがあるが、所要エネルギーを数割減らす程度で、抜本的な解決には至っていない。

 一方、膜分離法は相変化を伴わない分離法であり、蒸留法と比べ100分の1~1000分の1もの大幅な省エネ化が可能になる。しかし、海水淡水化などの水処理分野では広く実用化されているものの、水処理用の膜は耐溶剤性がなく、有機溶剤分離には利用できなかった。

中空糸膜分離の断面電子顕微鏡画像(左)と、表面緻密層の拡大
中空糸膜分離の断面電子顕微鏡画像(左)と、表面緻密層の拡大

 こうした中、ユニチカは耐溶剤性が高いナイロンに着目。研究を進めた結果、幅広い有機溶剤に耐性をもつナイロン中空糸ナノろ過膜「WINSEP NF」の開発に成功した。

 今回の助成事業では、同開発品の実用化へ向けて、長瀬産業らとの共同開発を進めていく。「WINSEP NF」の特長は、①均質かつ緻密な孔形成により高い強度をもつ②溶液中に溶解した分子量1000程度の物質も分離する③フェノール類、含ハロゲン系溶媒を除く幅広い有機溶剤に使用可能で、トルエン、酢酸エチル、メタノールなどの溶剤系で安定的に膜分離できる―ことが挙げられる。

 同開発品は、例えば電子産業、化学産業の分野で多量に排出される有機溶剤の回収再利用や、医薬・農薬産業の分野で生理活性物質を熱により失活させることなく濃縮したいといったニーズに応えられる可能性がある。幅広い有機溶剤で使用できることから、NEDO助成事業では具体的な用途を想定し、様々な分野での実用化に向けた研究開発を進めていく考えだ。

ユニチカ 長期ビジョンと新中計を策定、「3つのG」に注力

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2020年6月1日

 ユニチカはこのほど、2030年近傍を見据え、長期ビジョン「G‐STEP30(ジーステップ・サーティ)」と、3カ年の新中期経営計画「G‐STEP30 1st(ジーステップ・サーティ ~ファースト)」を策定した。

 長期ビジョン「G‐STEP30」は、前中期経営計画で掲げた「3つのG:Growth(事業成長戦略の推進)、Global(グローバル事業展開の強化・推進)、Governance(グループガバナンスの強化)」を継続的なテーマとして、長期展望に立ちステップを踏みながら実現していく。数値目標として2030年度に売上高2000億円、営業利益200億円(利益率10%)、海外売上高比率35%などを目指す。

 一方、新中計「G‐STEP30 1st」(2020~22年度)は、長期ビジョンのスタートとして位置づけた。経営基盤の強化に向けて「3つのG」をさらに進めるとともに持続可能な社会の実現に向けた活動も継続していく。骨子として、強固な事業ポートフォリオの構築、グローバル事業展開の推進、社内風土・意識改革を掲げている。

 また、セグメント別の主要施策として、①高分子セグメントでは、フィルムは包装用途・工業用途向けとも高付加価値品の拡販を行い、また海外向けバリアフィルムの拡販に努める。樹脂は用途拡大や、海外展開強化による独自素材(Uポリマー、環境配慮型素材など)の拡販を図る。

 ②機能資材セグメントでは、活性炭繊維は各種浄化用フィルターの高性能化・新商品開発・国内外での拡販、ガラス繊維はICクロス市場のニーズの高度化に対応した高付加価値品の拡販、ガラスビーズは高付加価値品の開発・拡販、不織布では新規用途展開やグローバル販売網の強化による欧米・アジアへの拡販、産業繊維はポリマー・紡糸技術の組み合わせによる高付加価値品の拡販に注力する。

 ③繊維セグメントでは、衣料繊維はエコ、環境配慮型素材の商品開発・拡販を行う。

 新中計の数値目標は、2022年度に売上高1470億円、営業利益110億円(利益率7.5%)、海外売上高比率28%を目指す。また3年間累計の設備投資は234億円(前中計比13%増)、減価償却費182億円(同20%増)、研究開発費111億円(同7%増)となっている。

 

ユニチカ 医療現場向けガウン400万着を緊急供給へ

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2020年5月12日

 ユニチカの子会社であるユニチカトレーディングはこのほど、新型コロナウイルス感染拡大防止に関して医療現場で不足しているアイソレーションガウンを緊急生産するため、防護服メーカーのエイブル山内と連携し、国内と海外の縫製工場との生産体制を確立した。4月から生産をスタートさせており、9月末までに約400万着を関係省庁に供給する計画。

 新型コロナウイルスが広がる現状で、病院での院内感染を防ぐことが喫緊の課題になっている。同社は、医療崩壊を防ぐために、医療現場で不足しているアイソレーションガウン(ディスポーザブルタイプの簡易予防服で、メディカルガウンなどの手術衣とは異なり病院内の様々な場面で使用されるガウン)が少しでも早く医療従事者に届くよう、協力会社とともに取り組んでいる。

 ユニチカグループは国内で「エルベス」や「コットエース」などの差別化された不織布を製造しているが、エイブル山内との共同開発により、優れた感染防止素材を安定供給することが可能となった。

 同社は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府の策定する行動計画に基づき、素材提供だけでなく医療従事者への有効な対策を実行していく方針だ。

【化学企業 入社式訓示⑤】ユニチカ 上埜修司社長

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2020年4月8日

 ユニチカは130年の歴史を持ち、近代産業の誕生と発展の一役を担ってきた。企業理念に「暮らしと技術を結ぶことによって社会に貢献する」を掲げており、機能資材を核とした強靭な企業体に成長し、「顧客に選ばれ続ける企業」「未来の社会に貢献できる企業」となるよう、若い皆さんと共に取り組んでいきたい。

 今年度は新たな中期経営計画のスタートを切る重要な年になるが、新中計のポイントは3つある。1つ目は「事業強化」だ。当社の強みのある商材を核に、成長戦略を加速させていくとともに、不採算や低採算事業の見直しをスピーディに進めることで、収益基盤を固め持続的な成長を目指す。

 2つ目は「グローバル化」の推進だ。海外売上高比率を足元の20%から30%に引き上げることを目標にしている。今秋、インドネシアでナイロンフィルムの製造を開始することに加え、タイのスパンボンド大型機台の拡販を図る。

 3つ目は「環境に優しい商品・技術の拡大」だ。バイオマス、植物由来素材の展開を積極的に進めており、今年には環境配慮型食品包装フィルム開発を公表した。当社はこれからも3Rに貢献できる製品群を充実させ、新たな事業価値の創出を推進する。

 次に、皆さんに期待することを2つ伝える。まず「3ゲン主義」だ。「現場」で「現物」をしっかりと見て「現実」を把握した上で活動すること。壁にぶつかった時にも原点に戻って自身で確かめ考えるという姿勢が役に立つ。

 次に、ラグビーで言われる〝One for all,All for one〟の本当の意味の実践だ。最後の「one」には〝1つの目的〟という説がある。これは会社組織に置き換えても同じだ。多様な「人財」である社員一人ひとりが、組織の目的のために各自の役割を果たすことが重要である。皆さんが組織の中で成長し、重要なキープレーヤーとして活躍してほしい。

 最後に、今後は皆さんの若さと活力でユニチカグループの新しい歴史の糸を紡いでいただくことを期待している。