三井化学 歯科材事業を拡充、入れ歯をクラウドでデザイン

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2020年11月19日

 三井化学はこのほど、グループ会社のクルツァージャパンが、今月から歯科用3Dプリンターで作製するデンチャー(入れ歯)のデザインを行える、クラウドベースのプラットフォームサービスの販売を開始したと発表した。

DENTCAのデザインシステムを使ったデンチャー(入れ歯)のデザイン
DENTCAのデザインシステムを使ったデンチャー(入れ歯)のデザイン

 同サービスは、三井化学の米国子会社DENTCA(カリフォルニア州)が米国を中心に展開していたもので、このほどクルツァージャパンが日本でのサービスを開始した。同社はまた、先月から三井化学の高分子・合成技術を生かした、今年5製品目となる3Dプリンター用ソフトスプリント(=マウスピース)向けの新規レジンインクの販売も始めており、3Dプリンターを活用した歯科材料事業の拡充を進めている。今回開始したクラウドベースのデザインプラットフォームサービスにより、歯科技工士の省力化や熟練した歯科技工士の人手不足解消、患者の負担軽減などに貢献していく考えだ。

 従来は、歯科技工士が模型を使い歯列や歯肉のデザインを手作業で行っていたが、同サービスでは、クラウドベースのソフトウェア上で全てデザインできるようになる。そのデザインをもとに、薬事認証を取得した歯と歯肉造形用のレジンインクを使い3Dプリンターでデンチャーを作製する。これにより、これまで歯科技工士が長時間かけて作成していた作業時間を10分の1程度に短縮するほか、患者はデンチャー作製のための通院を従来の最低5回から3回程度まで減らすことが可能になる。

 三井化学グループの歯科材料事業は、長年のビジネスで現場のニーズを知り抜いたドイツのクルツァー、先進的なデザインシステムの提供により安定した品質の歯科技工をサポートするDENTCA、そして歯科に特化した3Dプリンターを開発し、安定した品質で機器を供給する米国B9Creations、さらに三井化学のポリマーテクノロジーを組み合わせて、顧客に最適なソリューションを提供することで事業拡大を図っている。

 今後もデジタル化を推進し、歯科医療従事者と患者のQOL向上に貢献していく考えだ。

三井化学 マスク用の形状保持プラスチック線材、増設完了

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2020年11月19日

 三井化学は18日、主にマスク用ノーズクランプに使用される形状保持プラスチック線材「テクノロート」の生産設備の増設が先月15日に完工し、今月から商業運転を開始したと発表した。

:「テクノーラ」をノーズクランプで使用
ノーズクランプで使用

 同社は、コロナ禍での旺盛なマスク需要拡大に対応するため、今年6月から100%子会社サンレックス工業(三重県四日市市)での増設工事を進めていた。今回の増設により、同社グループのマスク用ノーズクランプ生産能力は、年産マスク30億枚相当となる。

:「テクノーラ」他用途例 包装材(ビニタイ)
「テクノーラ」他用途例 包装材(ビニタイ)

 「テクノロート」は、人の手で簡単に折り曲げたり、ひねったりでき、また変形後の形状保持性にも優れている。同用途の針金と比べても、軽量で使用時に引っかき傷やつき刺し傷を発生させにくい、焼却処理が容易、非金属であるため食品・医療用途での金属探知機での異物混入検査を妨げない、といった特長がある。

 同社は今後も、拡大するマスク需要への対応や他用途への展開も図ることで、「テクノロート」のさらなる能力増強も検討していく予定だ。

 

総合化学大手 4-9月期業績、各社2桁減益に

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2020年11月16日

足元需要は回復傾向も、コロナ再拡大が懸念材料

 総合化学大手5社(三菱ケミカルホールディングス、住友化学、三井化学、旭化成、東ソー)の上期(4-9月期)業績は、新型コロナによる需要減少の影響が4-6月期を中心に強く表れたことから、前年同期比で厳しい結果となった。

 各社の利益を見ると、コア営業利益(IFRS)では、三菱ケミHDは前年同期比58%減の546億円、住友化学は同36%減の541億円、三井化学は同53%減の186億円となり、営業利益では旭化成が同25%減の768億円、東ソーが同56%減の176億円と、揃って2桁の減益率となった。中でも石化事業は、原油・ナフサ価格の下落に伴い製品市況が低迷し、コロナ影響で販売数量も大きく減少。三菱ケミカルのMMA、旭化成のアクリロニトリル(AN)、東ソーのMDIなど市況製品の交易条件が大幅に悪化した。また、4-6月期の国産ナフサ価格は2万5000円と、1―3月期に比べ2万円近く下落しており、在庫の受払い差や評価損が発生したことも収益の下押し要因となっている。

 一方、4-9月期の各社の売上高営業利益率(ROS)を見ると、コア営業利益では、三菱ケミHDが3.6%(前年同期比3.6ポイント減)、住友化学が5.2%(同2.4ポイント減)、三井化学が3.5%(同2.4ポイント減)となり、営業利益では旭化成が7.8%(同1.7ポイント減)、東ソーが5.5%(同4.7ポイント減)となった。

 三菱ケミHDはケミカルズセグメント(MMA、石油化学、炭素)、住友化学は石化事業、三井化学は基盤素材、旭化成は基盤マテリアルズ(AN)とパフォーマンスプロダクツ(合成ゴムやエンジニアリングプラスチックス)、東ソーは石化とクロル・アルカリ(MDI)、での収益悪化がROS低下につながった。コロナ影響によりロックダウンが導入されたことで世界経済が停滞し、汎用品を中心に需要が減少したことが伺える。

 今後については、4―6月期を底に需要が回復傾向となっており、下期もこの傾向が続くとの見方が強まっている。特に中国では、自動車や家電などの生産活動が活発化し、石化製品の需要が拡大していることや、半導体関連製品もリモート化や5Gの進展で好調さ継続している。

 こうした状況を受け、通期業績見通しでは、住友化学と三井化学はコア営業利益の上方修正を行い、旭化成はレンジで示していた営業利益からの上積みを見込むなど、各社の収益の上振れが期待される。とはいえ、足元でコロナ感染が再拡大の様相を見せていることや、米国大統領選の結果を受け世界情勢が不安定化していることが懸念材料。この先、世界経済が変調する可能性もあり、事業環境はこの先も予断を許さない状況が続きそうだ。

 

 

 

三井化学 人事(12月1日)

2020年11月13日

[三井化学・人事](12月1日)▽Mitsui Chemicals do Brasil Comercio Ltda社長渡辺弘樹▽関係会社支援部田中慶太郎▽三井化学複合塑料(中山)有限公司総経理児玉和幸▽プライムポリマー村岡道治。

 

三井化学 市原工場で炭化水素系合成油の新プラント完成

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2020年11月13日

 三井化学は12日、市原工場(千葉県市原市)内に炭化水素系合成油「ルーカント」の新プラントが完成し、同日に竣工式を行ったと発表した。生産能力は年産約2万t。現在同製品の生産を行う岩国大竹工場(山口県和木町)と合わせて、生産能力はほぼ倍増することになり、2拠点体制の下、世界の旺盛な需要への対応とBCPの強化を図っていく。営業運転は来年4月の開始を予定する。

竣工式にて。佐藤常務執行役員・モビリティ事業本部長(手前)と細見市原工場長
竣工式にて。佐藤常務執行役員・モビリティ事業本部長(手前)と細見市原工場長

 「ルーカント」は、同社が世界で初めて商品化した高性能炭化水素系合成油であり、粘度の温度依存性が小さく、剪断安定性・熱化学的安定性に優れているなどの特長をもつ。そのため、極めて高品質が求められる自動車ドライブラインのギア油をはじめ、工業用潤滑油・グリースなどの粘度調整剤として採用されており、主要な自動車メーカーや潤滑油メーカーに認証されている。「ルーカント」は、低環境負荷ニーズの高まりの中、省燃費や長寿命に貢献するものとして世界的に需要の増大が見込まれている。

 三井化学は、潤滑油添加剤パッケージ最大手のルーブリゾール社(The Lubrizol Corporation)との戦略提携を行っており、両社で潤滑油市場での「ルーカント」事業のさらなる拡大・成長を図っていく。同時に、三井化学独自の取り組みとして、エラストマー、エンプラ改質用途など、機能性液状ポリマーとしての積極的な市場・用途開発に取り組んでいく考えだ。

三井化学 減収減益も下期需要回復見込み通期を上方修正

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2020年11月12日

 三井化学が11日に発表した、2021年3月期第2四半期(4-9月期)の連結決算(IFRS)は、売上収益は前年同期比21%減の5370億円、コア営業利益は53%減の186億円、最終利益は53%減の96億円だった。

中島取締役常務執行役員CFO
中島取締役常務執行役員CFO

同日に開催した決算説明会で、中島一取締役常務執行役員CFOは、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響による需要鈍化の影響を大きく受けて、多くの製品で販売が減少した。加えて基盤素材事業でのナフサ価格の下落に伴い、在庫評価損の影響を受けた。こうした中で、利益項目はいずれも減益となった」と総括した。

 減収減益となった今期の決算だが、一方では同社が8月に公表した上期業績予想を各利益項目で大きく上回った。その要因について中島CFOは、

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三井化学 本州化学の買収を決定、新事業創出などを加速

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2020年11月12日

 三井化学は11日、三井物産と共同し本州化学工業(東京都中央区)の普通株式を公開買い付け(TOB)により取得することを決定したと発表した。買い付け価格は約97億円、来年5月ごろの買い付け開始を予定する。

 本州化学は、液晶ポリマー(LCP)や特殊ポリカーボネート樹脂、特殊エポキシ樹脂などの高機能樹脂の原料をはじめ、電子材料、医薬品、農薬などの原料となる各種化学品の製造と販売を手掛ける。三井化学は今回の決定により、既存事業・製品の強化、新事業・新製品の創出などを加速していく考えだ。

三井化学 「ゼロエミベイ」に参画、GHG削減を推進

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2020年11月6日

 三井化学は5日、政府の「革新的環境イノベーション戦略」の提言に基づき設立された「東京湾岸ゼロエミッションイノベーション協議会(ゼロエミベイ)」の主旨に賛同し参画を決めたと発表した。ゼロエミベイは東京湾岸エリアを起点に、温室効果ガス(GHG)排出削減に向けたゼロエミッション技術を発信し、世界最大の研究開発と実証・PRの拠点となることを目指している。

ゼロエミベイのロゴマーク
ゼロエミベイのロゴマーク

 三井化学は、地球規模の環境課題解決に向けた取り組みを重要な経営課題と捉え、特に気候変動問題を化学メーカーとして真摯に取り組むべき社会課題の1つと位置づけている。

 具体的には、東京湾岸に位置する袖ケ浦センター(千葉県袖ケ浦市)をはじめとした研究拠点で、バイオマスによる原料転換やプラスチック資源循環、人工光合成、省エネなどに取り組み、様々な技術開発を行っている。今回の参画を契機に、ゼロエミッション技術の研究開発を引き続き推進していく考えだ。ゼロエミベイでは、東京湾岸に位置する多くの電力、ガス、石油、化学、電機、自動車など多様なエネルギーサプライヤー・ユーザーなどの研究所、工場・事業所や研究機関、大学などが連携を図り、ゼロエミッション技術の研究開発や実証を行っていく。

 会員数は118(10月19日現在)。産業技術総合研究所(産総研)内に設立した、吉野彰氏(旭化成名誉フェロー)をセンター長とするゼロエミッション国際共同研究センターが運営を担う。

三井化学 温度依存性新素材がワコール社ブラに採用

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2020年10月28日

 三井化学は27日、同社が開発した、ヒトの体温を感知してカラダをやさしく包み込む新素材「HUMOFIT(ヒューモフィット)」が、ワコールから来月に発売されるマタニティ向け新商品「とろけてバストになじむブラ―産後―」に採用されたと発表した。 

ワコール製「とろけてバストになじむブラ―産後―」の上辺に『HUMOFIT』を採用
ワコール製「とろけてバストになじむブラ―産後―」の上辺に「HUMOFIT」を採用

 三井化学の「HUMOFI」は、常温ではゴムのようにしなやかで、曲げ・折り・ひねり・伸ばしのあとでも緩やかに元の形状に戻る「形状記憶性」をもち、加温すると柔らかく冷やすと硬くなる「温度依存性」を併せもつ。ヒトとモノとの接点をもっとやさしく、「ヒトに寄り添う」発想をベースに、同社グループの素材開発と加工技術開発で実現した新素材だ。そのユニークな特性は、医療・介護、スポーツ、アパレルなど様々な用途で高く評価されている。

 ワコールの「とろけてバストになじむブラ―産後―」は、授乳前後のバストボリュームの変化に対応し、授乳期から卒乳期、さらに卒乳後も長く使える産後用ブラジャーのコンセプトの下、カップ上辺に「HUMOFI」の特殊シートを搭載した。ヒトの体温に反応してカラダになじむ特殊機能により、バスト変化の大きい産後の胸にジャストフィットするマタニティブラジャーとなっている。