三菱ガス化学の4-9月期 販売数量の増加で増収増益に

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2021年11月11日

 三菱ガス化学はこのほど、2022年3月期第2四半期(4-9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比26%増の3359億円、営業利益109%増の300億円、経常利益134%増の388億円、純利益98%増の282億円と増収増益となった。コロナ禍からの需要回復と半導体向け製品の数量増加が光学樹脂ポリマーの数量減少をカバーし、また為替要因と汎用製品の市況上昇が原燃料価格上昇を上回った。

 セグメント別では、基礎化学品は増収増益。メタノールは市況が大幅に上昇し、メタノール・アンモニア系化学品ではネオペンチルグリコールの市況も上昇した。ハイパフォーマンスプロダクツは、メタキシレンジアミンの需要回復と顧客在庫の積み増しにより、販売数量が大幅に増加した。

 機能化学品は増収増益。無機化学品は半導体向け薬液の数量が増加。エンジニアリングプラスチックスは自動車分野を中心に数量が回復し価格も上昇した。光学材料は、顧客の在庫調整局面の長期化などで光学樹脂ポリマーの数量が減少。電子材料は幅広い分野で使用される汎用材料の数量が増加し、メモリーや5Gスマホ向けも堅調に推移した。

 なお、通期連結業績予想については、売上高6900億円(前回予想比300億円増)、営業利益530億円(同30億円増)、経常利益680億円(同70億円増)に上方修正している。原燃料価格の上昇や光学樹脂ポリマーの販売数量の下振れといったマイナス要因に対し、基礎化学品事業を中心とした上振れに加え、メタノール市況の見直しや円安傾向などを織り込んだ。

三菱ガス化学 BioPQQのウイルス抑制作用、特許出願

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2021年10月27日

 三菱ガス化学はこのほど、「BioPQQ」(ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩)のもつネココロナウイルスの増殖抑制作用に基づく特許を出願したと発表した。ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩は生物界に広く存在し、ビタミンやラジカルスキャベンジャーとしての機能をはじめ多くの生理活性が明らかにされている。

 同社ではこれまで「BioPQQ」の様々な可能性を追求してきたが、ウイルスの感染予防効果をもつ化合物を探索する中で、動物細胞を用いた実験で「BioPQQ」によるネココロナウイルスの増殖阻害作用を確認し、この作用に基づく考案について特許出願を行った。今後、学会での発表を予定している。

 同社は、独自の培養技術により、2008年にピロロキノリンキノン二ナトリウム塩を食品向けとして世界に先駆けて開発し、「BioPQQ」のブランド名で機能性食品素材として販売。米国に次いで日本でも2014年に機能性食品素材として認められ、また、2018年には欧州委員会よりNovel Foodとしての指定を受けたことで、欧州でも食品素材としての流通が正式に認められた。

 昨年3月には国際的なアンチドーピング認証である「インフォームドチョイス」の認証を受けた。これはアスリート向け食品の原材料として使用できることに加え、全ロット製品について第三者による品質評価がなされた安心・信頼のブランドとしての国際認証の取得であり、今後多くの人々の健康の維持・増進に役立つ素材としての活用が期待される。

 同社は、食品素材として様々な可能性をもつ「BioPQQ」の拡販をすすめるとともに、今後進むべき新たな事業領域の1つに定める〝医・食〟領域の拡大を図っていく。

三菱ガス化学 四日市工場のホルマリン生産、来年8月停止

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2021年10月19日

 三菱ガス化学はこのほど、四日市工場におけるホルマリンの生産について、来年8月末をめどに停止すると発表した。

 ホルマリンは、メタノールから作られる化学品で、住宅建材、樹脂原料などの多種多様な用途に幅広く使用されている。同社は現在、四日市工場のほか、新潟工場、水島工場、合弁会社、関係協力先を含め8カ所の生産拠点を保有している。その中でも四日市工場は、1968年以来、50年にわたってホルマリンを生産しており、設備の老朽化が進んでいる。

 同社は、中期経営計画に掲げる事業ポートフォリオ改革の一環として、生産拠点の集約を図るために同工場の生産終了を決定した。なお、四日市工場品を使用している顧客に対しては、他拠点での生産品に切り替えを要請していく。

三菱ガス化学 オランダにMXDA製造子会社を設立

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2021年10月13日

 三菱ガス化学はこのほど、メタキシレンジアミン(MXDA)の製造子会社「MGC Specialty Chemicals Netherlands」を、オランダ・ロッテルダムに設立すると発表した。生産能力は年産2万5000tで、2024年7月の稼働を予定している。

 同社グループは、中期経営計画において「環境変化に強い収益構造への転換」を目指し、事業ポートフォリオ変革を推進。差異化事業に位置づけているMXDA事業については、今後も長期的な成長が期待される市場を見据え、経営資源を積極的に充当することで、競争優位性をさらに高めることを目指している。MXDAは優れた防食性、耐薬品性といった特長をもつことから、主にインフラ向け塗料、コーティング材用途に使用され、長期的に安定した成長が見込まれている。

 こうした中、既存用途に加え、風力発電用ブレードの補修材用途でも市場が拡大。2024年までに生産能力の増強が必要となっており、MXDAの最大市場である欧州において、オランダ・ロッテルダム工業地帯に100%出資の製造子会社を設立することを決定した。

 同社グループは今回の製造子会社設立により、市場の成長に対してタイムリーな能力増強を行い、さらに拠点の多極化によるBCP(事業継続計画)強化を実現することで、今後も安定的にMXDAを供給していく。

三菱ガス化学 CN達成に向けた取り組み状況を発表

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2021年9月6日

 三菱ガス化学はこのほど、2050年カーボンニュートラル(CN)の目標達成に向けた7つの取り組みの状況を発表した。

 ①次世代エネルギーとしてのアンモニアでは、基礎化学品事業部門基礎化学品第一事業部内に燃料アンモニア事業推進チームを設置し、国内外他社との協業を含めた燃料アンモニア事業化の検討を加速させ、国内への燃料アンモニア供給の早期実現を目指す。また海外ソースの安定確保に向け、パンチャ・アマラ・ウタマ社(インドネシア)のCO2地下貯留への間接出資に次ぐ調査・検討を進めている。

 ②環境循環型メタノール構想では、CO2を原料とするメタノール製造について、新潟工場のメタノールパイロット設備で実証試験を開始した。

 ③新潟エリアを中心とする取り組みでは、石油資源開発と共同でCO2の有効活用検討を始めた。またCCUS(CO2回収・貯留・活用)による「ブルー水素」をメタノール原料とする、水素利活用促進も視野に入れている。

 ④水素キャリアや燃料としてのメタノールは、独自技術で開発したメタノールから水素を製造するプロセスを販売し、分散型、オンサイトでの水素製造・供給方法として一定の地位を築いた。「環境循環型メタノール構想」と組み合わせ、CN実現と温室効果ガス(GHG)削減に向けた水素製造・供給方法として有効だとしている。

 ⑤地熱・LNG・バイオマス発電によるCO2排出抑制では、同社出資のLNG発電を行う福島天然ガス発電所の電力を低GHG排出の移行エネルギーとして活用しつつ、再生可能エネルギー事業の拡大を目指し、建設中の安比地熱発電所に加え、新規地熱発電やバイオマス発電などの検討も進めている。

 ⑥エネルギーとしての水素の実用的利用では、燃料電池(FC)フォークリフトを新潟工場内に順次試験導入。小型の水電解装置で燃料水素を供給するが、再エネ電力の使用も見据えている。

 また、⑦社内での取り組みでは、GHG削減ロードマップに従い使用電力の再エネ化検討を進め、4月からは、投資計画に社内炭素価格制度を導入した。

三菱ガス化学 ガスバリア性接着剤でモノマテリアル包材

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2021年7月15日

 三菱ガス化学はこのほど、ガスバリア性接着剤「マクシーブ」によりモノマテリアル包材の酸素バリア性と耐屈曲性が向上したと発表した。パッケージにおいても、プラスチック使用量削減、賞味期限延長、リサイクルの容易さといった持続可能なソリューションが求められ、従来の異種材料構成に代わりポリプロピレン(PP)系のアルミ蒸着フィルムから成るモノマテリアル包材が着目されている。

 しかし、これらPPモノマテリアル構成ではバリア性は不十分で、屈曲による酸素バリア性の低下も課題である。「マクシーブ」はエポキシ樹脂とアミン系硬化剤からなる二液系エポキシ硬化型のガスバリア性接着剤で、基材フィルムとシーラントフィルムとの接着に使用すると、ラミネートフィルムにガスバリア性を付与できるため、食品向け包材や工業用途などで広く使用されている。

 今回、アルミ蒸着PPフィルムのドライラミネート工程に「マクシーブ」を適用することで、酸素バリア性は従来型接着剤の使用時と比べ100倍以上、かつ屈曲による酸素バリア性低下が著しく抑えられたモノマテリアル包材の実現が可能となった。

 プラスチック使用量削減による環境負荷低減、賞味期限延長による食品ロス削減、リサイクルが容易なモノマテリアル包材への適用といった、持続可能なパッケージ向けソリューションとしての「マクシーブ」の積極的な拡販を通じて市場開発を加速するとともに、経済的価値と社会的価値の両立を目指していく。なお詳細は、日本包装学会第30回年次大会で紹介した。