《化学企業トップ年頭所感》三菱ケミカルホールディングス 越智仁社長

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2021年1月6日

 昨年は、新型コロナウイルス感染症によりリーマンショックを上回るダメージが生じた。世界経済の本格的な回復は2022~2023年まで遅れるという見方も強い。コロナ感染症の影響で最も変化が実感されたのは「働き方」だ。急速にテレワークの比率が高まり、製造やR&Dにおいても自動化やリモート化が進み出している。コミュニケーションや仕事自体のあり方に本質的な変化が生じている以上、私たち一人ひとりが満足いく仕事をできているか、充実感を得るためにはどうしたらいいかが、いっそう深く問われていると強く感じている。

 KAITEKI健康経営は、個人の健康と働き方改革を車の両輪とする取り組みだ。コロナ感染症は健康経営の意義をあらためて際立たせており、変化を奇貨として、さらに推進をしていく。

 三菱ケミカルでは4月から新人事制度が始まる。従来の制度を、独自の「ジョブ型」制度に変革していくが、欧米型の制度とは一線を画し、従業員の向上心と仕事への満足度を高めていくことを主眼としている。健康経営と相まって、一人ひとりの多様性を生かし、活力ある職場をつくりあげてほしい。

 世界を見ると、環境問題や社会問題は深刻さを増し続けている。地球温暖化、食糧・水、社会保障の持続可能性、経済的格差、文化的断絶といった難問が山積しており、早急な対処が求められている。一方で、デジタル、通信、バイオ、医療分野など、科学技術の急速な進化が、大きな変革を呼び起こしている。

 当社は、2030年にあるべき姿を見定めた中長期的な経営基本戦略「KAITEKI Vision30(KV30)」を策定した。KV30を基盤として、新たな中期経営計画(2021~2025年度)の策定を進めているが、最初の2年間はコロナ感染症がもたらした事象に即応しつつ、集中的なダメージからの回復と経営基盤の強化、事業成長施策の実行に重点を置く考えだ。

 私たちを取り巻く環境は、常に先行き不透明なため、当社の企業理念「人、社会、そして地球の心地よさが続いていくことをめざし、Sustainability、Health、Comfortを価値基準として、グローバルにイノベーション力を結集し、ソリューションを提供していくこと」を達成するという強固な意思が、より重要になる。4月からジョンマーク・ギルソン新社長の下で、三菱ケミカルホールディングスグループがますます成長していくことを期待している。

三菱ケミカルホールディングス ESG投資DJSI銘柄に4年連続で選定

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2020年12月16日

 三菱ケミカルホールディングスはこのほど、ESG投資の世界的な指数であるダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)の「DJSI World Index」の構成銘柄に4年連続で選定されたと発表した。また同時に、DJSI Asia Pacific Indexの構成銘柄にも、昨年に引き続いて選定されている。

 DJSIは、米国のS&Pグローバル社のサステナビリティ株式指数で、企業の経済・環境・社会面の評価に基づき、持続可能性に優れた企業を構成銘柄として選定するもの。今年度のWorld Indexには、全世界の主要企業2470社から323社が構成銘柄として選定されている。

 三菱ケミカルHDは、同社グループがビジョンに据えて推進しているKAITEKI実現を目指した環境・社会課題解決への貢献や、人材育成・多様性の充実に向けた様々な取り組みが高く評価された。今後も同社グループは、持続的な社会の実現のため、人・社会・地球が抱える課題解決に向けてグループの総合力でソリューションを提案し、社会に価値を提供する企業グループを目指していく。

三菱ケミカルホールディングス シンガポールに子会社を設立、アジアのガバナンスを強化

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2020年12月3日

 三菱ケミカルホールディングスはこのほど、アジア・パシフィック地域のさらなるガバナンス強化のため、シンガポールに全額出資子会社「三菱ケミカルホールディングスアジアパシフィック社」を設立したと発表した。事業開始は来年1月を予定している。

 三菱ケミカルホールディングスは、中長期経営基本計画「KAITEKI Vision30」で掲げるグローバルマネジメントの深化に向けて、各国・地域での内部統制やコンプライアンスなどの管理体制構築を進めている。米州、中国、欧州では、各国・地域に同社としての代表機能、リスク管理およびコンプライアンスの確保を担う統括会社をすでに設立している。

 今回、シンガポールに新会社を設立することで、アジア・パシフィック地域でのガバナンスの整備・強化を図る考えだ。

 

三菱ケミカルホールディングス 米・支援会社とKAITEKIチャレンジ発足

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2020年11月24日

 三菱ケミカルホールディングスはこのほど、北米最大のインキュベーターであるグリーンタウン・ラボ(GL)と共同で、アクセラレータープログラム「KAITEKIチャレンジ」を立ち上げたと発表した。GLは、気候変動に関するソリューション(Climate Tech)に取り組むスタートアップを支援している。

 両者は、このプログラムを通じ、代替タンパク質、プラスチックリサイクル、および食品ロスの削減など、日常生活の持続可能な消費を可能とする技術やビジネスモデルをもつスタートアップをグローバルに募集し、選定したスタートアップを支援する。同時に、三菱ケミカルHDグループ企業との協業推進、ライセンス契約、投資を含め、事業化に向けたパートナーシップを深めていく。

 地球温暖化をはじめとする環境問題や社会問題が叫ばれる中、両者は三菱ケミHDの経営理念「KAITEKI」と呼応する今回のプログラムにより、サーキュラーエコノミーに関するイノベーションを加速させ、環境・社会課題の解決に積極的に取り組んでいく。

 なお、プログラムの正式名称は「The KAITEKI Challenge‐Reimagining Proteins,Plastics,and Packaging」で、募集期間は来年2月10日(米国東部時間)まで。

総合化学大手 4-9月期業績、各社2桁減益に

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2020年11月16日

足元需要は回復傾向も、コロナ再拡大が懸念材料

 総合化学大手5社(三菱ケミカルホールディングス、住友化学、三井化学、旭化成、東ソー)の上期(4-9月期)業績は、新型コロナによる需要減少の影響が4-6月期を中心に強く表れたことから、前年同期比で厳しい結果となった。

 各社の利益を見ると、コア営業利益(IFRS)では、三菱ケミHDは前年同期比58%減の546億円、住友化学は同36%減の541億円、三井化学は同53%減の186億円となり、営業利益では旭化成が同25%減の768億円、東ソーが同56%減の176億円と、揃って2桁の減益率となった。中でも石化事業は、原油・ナフサ価格の下落に伴い製品市況が低迷し、コロナ影響で販売数量も大きく減少。三菱ケミカルのMMA、旭化成のアクリロニトリル(AN)、東ソーのMDIなど市況製品の交易条件が大幅に悪化した。また、4-6月期の国産ナフサ価格は2万5000円と、1―3月期に比べ2万円近く下落しており、在庫の受払い差や評価損が発生したことも収益の下押し要因となっている。

 一方、4-9月期の各社の売上高営業利益率(ROS)を見ると、コア営業利益では、三菱ケミHDが3.6%(前年同期比3.6ポイント減)、住友化学が5.2%(同2.4ポイント減)、三井化学が3.5%(同2.4ポイント減)となり、営業利益では旭化成が7.8%(同1.7ポイント減)、東ソーが5.5%(同4.7ポイント減)となった。

 三菱ケミHDはケミカルズセグメント(MMA、石油化学、炭素)、住友化学は石化事業、三井化学は基盤素材、旭化成は基盤マテリアルズ(AN)とパフォーマンスプロダクツ(合成ゴムやエンジニアリングプラスチックス)、東ソーは石化とクロル・アルカリ(MDI)、での収益悪化がROS低下につながった。コロナ影響によりロックダウンが導入されたことで世界経済が停滞し、汎用品を中心に需要が減少したことが伺える。

 今後については、4―6月期を底に需要が回復傾向となっており、下期もこの傾向が続くとの見方が強まっている。特に中国では、自動車や家電などの生産活動が活発化し、石化製品の需要が拡大していることや、半導体関連製品もリモート化や5Gの進展で好調さ継続している。

 こうした状況を受け、通期業績見通しでは、住友化学と三井化学はコア営業利益の上方修正を行い、旭化成はレンジで示していた営業利益からの上積みを見込むなど、各社の収益の上振れが期待される。とはいえ、足元でコロナ感染が再拡大の様相を見せていることや、米国大統領選の結果を受け世界情勢が不安定化していることが懸念材料。この先、世界経済が変調する可能性もあり、事業環境はこの先も予断を許さない状況が続きそうだ。

 

 

 

三菱ケミカルホールディングスの4-9月期 ヘルスケアの減損響き損失に

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2020年11月5日

 三菱ケミカルホールディングスは4日、2021年3月期第2四半期(4-9月期)の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年同期比18%減の1兆5048億円、コア営業利益58%減の546億円、営業損失281億円(1587億円の悪化)、純損失497億円(1310億円の悪化)となった。

 同日開催された電話会見の中で、伊達英文執行役常務最高財務責任者は、「売上収益は、コロナ影響により全てのセグメントで販売数量が減少し、素材分野を中心に価格が下落したことで減収となった。コア営業利益は減益となったが、

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三菱ケミカルホールディングス ヘルスケアセグメントで減損損失を計上

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2020年11月5日

 三菱ケミカルホールディングスは4日、ヘルスケアセグメントについて減損損失を計上したと発表した。

 連結子会社であるニューロダーム社(イスラエル)が開発を進めているパーキンソン病の治療薬に関し、事業環境の変化に伴い収益性が低下する見込みとなった。そのため市場調査を踏まえ計画を見直した結果、当該技術に係る無形資産(仕掛研究開発費)について845億円の減損損失を計上した。

三菱ケミカルホールディングス 建設市場向けの新たなサービス事業を開発

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2020年10月30日

 三菱ケミカルホールディングスはこのほど、人手不足・環境対応(省資源や廃棄物対応、温暖化ガス削減)といった建築業界の課題解決に貢献するため、近年急速に普及しつつあるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用し、素材メーカーの着眼点で新たなソフトウェアを開発したと発表した。

 今月より、同社グループで住宅設備、建築資材を取り扱う三菱ケミカルインフラテック(東京都中央区)のサービスの一環として、同ソフトウェアを活用したビル外装にかかわる2つの提案を開始した。

 内容は、①2Dまたは3D図面データを活用した各種シミュレーションモデルと高機能レンダリングとを組み合わせ、クラウド環境下で迅速に施主や設計者などに提供する②個々の工程で必要とされる2Dまたは3D図面データを自動的に生成し、施工会社や加工各社に提供する、となっている。

 国内外を問わず多くの専門事業者が存在する建築市場に対し、同社グループが販売する「アルポリック」をはじめとしたビル外装材に関するサービスを開始することで、将来的には他商材や他領域に同様の取り組みを展開することを視野に入れている。

 チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)の市川奈緒子執行役員は、「当社グループは、建材というモノとソフトウェアサービスを融合する新たな事業展開をスタートする。川上の素材を多くもつ当社グループの技術力、データやノウハウを建築や製造のバリューチェーンに生かすものだ。当社グループは、今後も設計からリサイクルまで含めた製品ライフサイクル全体のサステナビリティに貢献する、新規ビジネスモデル開発を続け、社会に価値を提供していく」とコメントしている。

三菱ケミカルホールディングス 来年4月社長交代、ギルソン氏に

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2020年10月29日

越智社長「新中計を実行するのは次期社長の役目」

 三菱ケミカルホールディングスは23日、来年4月1日付で仏ロケット社CEOのジョンマーク・ギルソン氏が代表執行役社長に就任する人事を発表した。越智仁社長は3月31日で社長を、6月の株主総会で取締役を退任し顧問に就任する予定。

三菱ケミHD:越智仁社長 社長交代会見
越智仁社長 社長交代会見

 同日開催した記者会見で、越智仁社長は、「ホールディングスの社長に就任してから、構造改革やM&Aを実行し、事業を成長拡大させるためポートフォリオ改革を行ってきた」と振り返った上で、「昨今の環境問題や社会問題は深刻だ。当社も2050年のありたい姿からバックキャストして2030年の目指す姿として基本戦略『KV30』にまとめ上げた。この『KV30』は

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