三菱ケミカル 伊・CPC社で炭素繊維設備の投資を決定

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2021年4月7日

 三菱ケミカルは6日、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)自動車部品製造販売会社である、関係会社CPC社(イタリア)での、世界最大級となる5000t容量大型プレス成形機の増設を含む設備投資を決定したと発表した。グループ会社の三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ(スイス)がCPC社に投資を行い、2023年中の設備稼働を目指す。

CPC 社 CFRP 成形用プレス機
CPC 社 CFRP 成形用プレス機

 航空機や自動車などのモビリティ用途では、CASE対応・環境規制などを背景に、従来にも増して機体/車体の軽量化への要求が高まっており、軽さと強度を兼ね備えるCFRPの利用が加速すると見込まれている。また、自動運転車や空飛ぶ車などの次世代モビリティ分野では、従来の思想にとらわれない新しいコンセプトによる車体設計が進められており、軽量かつ成形性に優れたCFRPへの注目がより一層高まっている。

 CFRPの成形・加工・塗装・組み立てにわたる一貫生産能力をもつCPC社は、設計・シミュレーション技術を活用した部品・車両の軽量化ノウハウを合わせもち、主に高級自動車向けのCFRP成形品メーカーとして事業を拡大してきた。

 同社グループは、ドイツのプリプレグメーカーc‐m‐p社や炭素繊維リサイクル企業CarboNXT社の買収、CPC社隣接地へのCF-SMC製造設備の建設など、自動車技術の最先端を行く欧州で、サステナビリティにも配慮した材料のサプライチェーン確立を進めている。

 今回の投資では、大型プレス成形機を増強し、複雑形状のシャーシーなど成形の難しい大型構造体の成形能力を約3倍に引き上げるほか、最新鋭のCFRP加工機、自動塗装ラインをもつ塗装工場や組み立てラインの増強を行う。これにより欧州でのサプライチェーンを強化し、EVや次世代モビリティ用途でさらに高まるCFRP製品に対する需要に対応していく。

 同社グループは今後も、日・米・欧の炭素繊維・中間材の材料開発・生産拠点と、高い設計提案力と成形加工能力をもつCPC社など、グループの総合力を発揮して技術革新の著しいモビリティ分野に対して最適なソリューションをタイムリーに提供するため、積極的に事業を展開していく考えだ。

 

三菱ケミカル 高温多湿地域の植物工場システム開発を報告

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2021年4月5日

 三菱ケミカルはこのほど、同社が代表機関を務める「アジアモンスーンPFS(植物工場システム)コンソーシアム」が取り組んできた「植物工場システム開発プロジェクト」について、当初の目標を達成し、今年3月末をもって終了するのに際し、これまでの成果や今後の取り組みについて報告した。

 PFSコンソーシアムは、3つの国立研究開発法人(農業・食品産業技術総合研究機構、国際農林水産業研究センター、産業技術総合研究所)、4つの大学(名古屋大学、大阪大学、東京大学、北海道大学)、6つの民間企業(三菱ケミカル、パナソニック、富士フイルム、シチズン電子、タキイ種苗、堀場製作所)によって構成され、2016年から、生物系特定産業技術研究支援センターに採択されたプロジェクト「農林水産・食品産業の情報化と生産システムの革新を推進するアジアモンスーンモデル植物工場システムの開発」に取り組んできた。

 同プロジェクトは、日本の農業と工業のコア技術を融合することで、高温多湿地域でも、日本国内の温帯地域と同様に、安全・安心で美味しい日本品種野菜を安定的かつ低価格で生産する技術の開発を目指した。高温多湿地域向け太陽光型植物工場の代表的な成果として、①植物工場および温湿度制御技術の開発と実証、②ランニングコスト低減のための素材開発と実証、③栽培技術の開発と評価、④ジャパンプレミアム野菜のブランド化を支える認証指標、育苗装置の開発、⑤ICTを活用した植物工場管理システムと農業経営の育成システムの開発、などが挙げられる。 

 同システムは、日本国内のほか、東南アジアをはじめとした国外の高温多湿地域に社会実装されることで、農業生産者の収益力向上やSDGsへの貢献が期待される。

 今後は、国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点の研究設備を継続使用する新しいコンソーシアムを形成し、熱帯・亜熱帯地域での栽培を前提に、トマトの環境制御最適化(裂果等品質安定化)、イチゴ栽培技術最適化(LED補光による収量アップ)に取り組み、同システムのさらなる発展を目指す。

 また、新しいコンソーシアムでは同システムの国内外の普及を推進するため、農林水産省や各国大使館と連携をとりながら、海外を含む遠隔栽培指導サービスを視野に入れた社会実装を推進し、国内外の生産者の収益力向上とSDGsへの貢献に取り組んでいく。

 

【化学企業 入社式訓示①】三菱ケミカル 和賀昌之社長

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2021年4月2日

 21世紀はまさに「化学の時代」だ。人工知能、IoT、自動運転といったデジタル技術を作り出すに至った社会、そしてデジタル技術そのものも、化学産業なしでは存在しえない。一方で、気候変動、環境汚染などにより、地球は悲鳴を上げているが、こうした地球規模の課題を解決できるのも化学産業であり、当社だ。

 当社は社会インフラを支える汎用プラスチックや化学品、繊維を提供してきたが、生分解性プラや植物由来プラ、炭素繊維といった軽量素材によるエネルギー浪費抑制、人工光合成などにより、これまで途中で止まっていた資源の循環を完結させ、サステナビリティを推進する製品群の開発、商品化を進めている。

 当社は三菱ケミカルホールディングスグループの一員として、「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」すなわち「KAITEKI」を実現するというビジョンを共有し、技術、営業、R&Dなど様々な機能、レベルで積極的な交流を行い「協奏」の実現を目指していく。皆さんも三菱ケミカルホールディングスグループの一員なのだという意識を常に忘れず、同じ理念を共有する仲間と積極的に協奏して、仕事に取り組んでほしい。

 入社にあたって3つのことをお願いしたい。まず、「安全第一」だ。「安全・安定操業」こそが、最大の目標だ。「第一」の言葉通り、安全はすべてに優先するので、研修や実習を通してしっかり学んでほしい。

 次に「学ぶ根気、発言する勇気」だ。自分の意志をもって調べ、習い、貪欲に視野を広げてほしい。根気よく学び、勇気をもって発言することで組織は動く。鋭い感性を生かすために、意見を言う勇気を鍛えてほしい。

 最後に、「大人としての自覚」だ。良識と常識をもつ大人として、挨拶、感謝、謝罪ができて、他人を敬うことができる社会人になってほしい。皆さんの持てる力を思う存分に発揮して、三菱ケミカルの変革を進め、世界のエクセレントカンパニーにしていこう。

 

MTAP 高分子凝集剤の販売事業、三菱ケミカルから承継

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2021年4月1日

 東亞合成の連結対象会社であるMTアクアポリマー(MTAP:東亞合成51%、三井化学49%)は31日、関係当局の承認が得られたことから、三菱ケミカルの高分子凝集剤の販売事業を会社分割により同日に承継すると発表した。

 なお対象製品は、アニオン系、カチオン系および両性系高分子凝集剤ならびにそれらのブレンド品となっている。

三菱ケミカル グローバル・コモンズ保全、東大と研究を開始

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2021年4月1日

 三菱ケミカルと東京大学は31日、グローバル・コモンズ(人類の持続的発展の共通基盤である地球環境システム)を守るための化学産業の役割に関する共同研究を4月1日から開始することで合意したと発表した。

 直面している地球環境危機を乗り越え、持続可能な未来を創っていくためには、経済社会の在り方や生活様式を大きく変えていく必要がある。こうした大きな変革に、素材産業である化学産業の果たすべき役割は極めて大きい。さらに、民間企業のみならず、中立的な立場にある大学がその知を結集して、共に取り組んでいくことが重要になる。今回の共同研究で、東京大学が昨年開設したグローバル・コモンズ・ センターと三菱ケミカルは、持続可能な経済社会を築くための化学産業の役割について2年間の予定で研究を行う。

 具体的には、プラネタリー・バウンダリーズ(地球上で人類が生存するための九つの限界値)の範囲内で活動するサステナブルな社会・経済の実現を目指して、化学産業自らの環境負荷低減に加えて、他の産業や消費者のために化学産業が果たすべき役割、解決すべき課題を検討し、ビジョンを描く。特に生産・消費(サーキュラーエコノミー)、エネルギー、食料、都市などの主要経済システムの転換に対して化学産業が貢献できることを研究する。

 今回の研究の特長は、専門性をもつ外部の知も結集して取り組むことにより、欧州をはじめとする海外での最新の取り組みも参考にしながら、主要化学品の原料からリサイクル・廃棄までの定量的なモデルを構築・活用して、日本の化学産業の取るべき道筋を明らかにするところにある。化学からのグローバル・コモンズ保全への貢献、そして社会・経済システム転換の道筋に関する今回の研究成果を、変革を起こすために残された時間があと10年しかないと警告されている中で、サステナブルな社会・経済の実現加速のために社会へ広く共有、発信し、社会変革を駆動していく考えだ。

(左から)藤井輝夫東京大学次期総長 、石井菜穂子ダイレクター、和賀昌之社長 、 五神真総長
(左から)藤井輝夫東京大学次期総長 、石井菜穂子ダイレクター、和賀昌之社長 、 五神真総長

三菱ケミカル フィルム製品を値上げ、コスト上昇に対応

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2021年4月1日

 三菱ケミカルは31日、フィルム製品について5月1日納入分から値上げすると発表した。対象製品は、二軸延伸ポリスチレンシート(OPS)「サントクリア」「ソフトクリア」で、改定幅は「28円/kg以上」となっている。

 原油およびナフサ価格の上昇などに伴い、原料樹脂価格が上昇し、同製品の製造コストを押し上げ、事業採算を圧迫している。同社は、継続的なコスト削減に努めてきたが、これらのコスト上昇分を自助努力で吸収することは極めて困難と判断し、今回の値上げを決定した。

三菱ケミカル ラベルリサイクル、共同実証プロジェクト開始

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2021年3月31日

 三菱ケミカルはこのほど、サーキュラ―エコノミー(循環型経済)推進に向けた取り組みの一環として、フジシールグループと共同で、ペットボトルの使用済みシュリンクラベルの再利用に向けた実証プロジェクトを開始すると発表した。

 シュリンクラベルは、ペットボトル容器自体に顔料などを付着させることなく、必要な表示や遮光機能などを保持させることができるため、ペットボトルのリサイクル率向上に貢献している。一方で、ラベル自体についてはリサイクルの仕組みが確立されておらず、資源循環の観点から対応が求められている。

 三菱ケミカルは今回、この社会課題を解決するため、長年の顧客であり高いシュリンクラベル設計技術をもつフジシールと共に、使用後のシュリンクラベルを新たなシュリンクラベルに再利用する仕組みの共同実証プロジェクトを開始する。今春には実証プラントを設置して検証を進め、2022年の社会実装を目指す。

 同プロジェクトでは、ラベルが装着されたままのペットボトルから回収されるラベルを対象とする。フジシールのシュリンクラベル設計技術や三菱ケミカルのフィルム設計・製膜技術などを融合することで、使用後のシュリンクラベルから印刷インキを取り除き、新たなシュリンクラベルに再利用するとともに、脱離されたインキの有効活用についても実証検証を行う。

 同社は三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる中長期経営基本戦略の下、サーキュラーエコノミーの推進をKAITEKI実現のキーエレメントと位置づけており、使用済み製品などのリサイクルはその重要な取り組みの一つと考えている。同社は今後も、取引先などとの連携を積極的に進めながら、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。

シュリンクラベルのリサイクル 共同実証プロジェクト
シュリンクラベルのリサイクル 共同実証プロジェクト

 

JNC 肥料事業の合弁子会社、持ち株出資比率を向上

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2021年3月30日

 JNCはこのほど、連結子会社であるジェイカムアグリ(JCAM)の株式の一部を譲り受けると発表した。株式譲り受け予定日は今年7月1日を予定。これにより持ち株比率は、JNC64.00%(取得前39.00%)、旭化成22.75%、三菱ケミカル10.00%(同35.00%)、九州化学工業3.25%に変更となる。

 JCAMは2009年にチッソ旭肥料と三菱化学アグリが事業統合して以来、JNCグループ(JNCと九州化学)、三菱ケミカル、旭化成による合弁会社として国内外の農業および農業関連分野に貢献することを目指し、肥料の開発や製造・販売といった事業を展開してきた。この間、3社合弁のシナジーにより、JCAMとしてのブランドの浸透や、収益の計上が果たされるようになった。

 こうした中、JNCは、合弁先である三菱ケミカルの所有するJCAM株式の一部を譲受け、肥料事業の収益向上を目的にJCAMに対する主導権の強化を図る。JNCは今後も、肥料事業による収益の向上を目指していく考えだ。

三菱ケミカル 合成エタノールの生産と販売終了、来年2月

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2021年3月30日

 三菱ケミカルはこのほど、三重事業所(三重県四日市市)の合成エタノール製造設備について、来年2月をめどに停止し同製品の生産・販売を終了すると発表した。併せて、日本アルコール販売(アル販社)から発酵エタノールの蒸留業務を来年4月から受託することも発表している。

 合成エタノール事業を取り巻く環境は、生産設備の老朽化による修繕費の増加などにより厳しい状況が継続。こうした中、三菱ケミカルは、合理化によるコスト削減などにより競争力の維持に努めてきたが、同設備による生産を継続していくことは難しいとの判断に至った。同設備の停止により、合成エタノールの生産・販売を終了し、同社は工業用エタノール事業から撤退することになる。

 一方で、感染症対策として消毒の用途に使用されるなど工業用エタノールの需要が堅調に推移していることを踏まえ、三重事業所に備わる既存の蒸留設備を使用し、発酵エタノールを販売するアル販社から蒸留業務を受託することを決定した。

 三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループの中期経営計画に基づきポートフォリオマネジメントの強化に取り組む。今回、合成エタノール事業の撤退もその一環として捉え、全体の生産性のさらなる最適化を進めるとともに、総合化学メーカーとして、感染症対策に関連する製品の供給を通して、社会に貢献していく考えだ。

 

三菱ケミカル 知財戦略活動に注力、中国訴訟で勝訴

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2021年3月26日

 柔軟な知財施策、事業戦略の一部として組み込む

知的財産部 阿部仁部長

 三菱ケミカルは24日、中国における赤色蛍光体の特許侵害訴訟で全面勝訴が確定したことを踏まえ、知的財産戦略の強化について記者会見を開催し、知的財産部の阿部仁部長(4月から経営執行職知的財産本部長)が説明を行った。

 近年、経営上で知財の重要性が高まっている。ただ知財戦略については、知財部門の活動方針や具体的な重要施策などを指す場合があり、定義が曖昧だ。阿部部長は「各社の知財戦略を見る場合、1つの側面からではなく、全体で捉えることが重要になる」と指摘した。

 同社は、知財戦略の基本方針として、①重要資産である知的財産を有効活用し企業価値を高める、②知的財産権を保護し第3者から侵害された場合には適切な措置を取る、③第3者の有効な知的財産権を尊重する、を掲げている。この方針の下、知財戦略については、事業ごとに知財上の施策を定め実行する「知財戦略活動」に注力。阿部部長は「日本の機能性材料の特徴は、規模が小さい市場で、高いシェアをもっていることだ。つまり、 “三菱ケミカル 知財戦略活動に注力、中国訴訟で勝訴” の続きを読む