コロナで78億円減、今年度も800億円見込む
三菱ケミカルホールディングスは13日、2020年3月期の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年比7%減の3兆5805億円、コア営業利益38%減の1948億円、親会社所有者帰属の当期利益68%減の541億円。
決算会見において伊達英文執行役常務最高財務責任者は、「米中貿易摩擦の長期化などの影響により半導体や自動車用途を中心に需要が低迷した。さらに第4四半期以降はコロナ感染拡大の影響を受けた。
2020年5月14日
2020年5月13日
三菱ケミカルは12日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う医療現場での深刻な物資不足に対する支援を目的に、同社グループ保有の生産技術やノウハウを応用することでプラスチックガウンおよびフェイスシールドを開発し、子会社のジェイフィルムにて供給する体制を整えたと発表した。
ガウンは、厚生労働省の指導の下、ポリエチレン製の雨合羽を改良して開発したもので、袖口に親指を通す穴をあけ袖めくれを防止する機能を付与したほか、使用後にガウンを脱ぐ際の接触感染リスクを低減するため、背面にミシン目加工を施し容易に脱ぐことができる仕様としている。加えて、1枚当たり100グラム以下と使用後の廃棄物削減にも配慮した。
また、フェイスシールドは、食品包装トレーに用いるポリエステルシート製造技術と、化粧品ケース加工で培った折り曲げ罫線付与技術を応用したもので、透明性が高く、曇り防止機能を付与した製品。使用者自身で容易に切り抜き・組み立てでき、輪ゴムにより簡単にサイズ調整が可能だ。
なお、月間生産能力はプラスチックガウンが2万枚、フェイスシールドが40万枚。5月初旬より一部の医療機関への寄付を行い、中旬からは厚労省をはじめ、一般の医療機関へも供給する。
一方、同社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大防止に貢献する製品として、透明度が高く受付や窓口・レジなどで飛沫拡散防止に活用できるアクリル樹脂板「アクリライト」や、液体バリア性を保ちつつ水蒸気を透過するため高機能化学防護服の外装に使用される透湿性フィルム「KTF」などの製品も保有。これらの製品を必要とするユーザーに迅速かつ確実に提供できるよう、十分な供給体制を整えていく。
同社は今後も、政府の策定する行動計画に基づき必要な対策を実行するとともに、政府や業界団体をはじめとする関係者と連携を図りながら、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めていく考えだ。
2020年5月12日
三菱ケミカルはこのほど、ケイ素化合物・金属化合物メーカーGelest(米国・ペンシルバニア州)を買収すると発表した。今秋をめどに、米国子会社のMitsubishi Chemical America(MCA)を通じて、Gelestの支配権を持つGelest Intermediate Holdingsの全株式をNew Mountain Capitalより取得する予定。
Gelestは、コンタクトレンズ原料や抗菌剤などの有機ケイ素材料、特殊アクリレート、半導体プリカーサーなどに用いられる金属化合物、樹脂添加剤用途の有機化合物およびそれらを組み合わせた複合化合物の領域について、高度な分子設計と合成技術を持つ。ヘルスケア、エレクトロニクスといった幅広い市場向けに事業展開しており、顧客の要望に対して他社と差異化された的確なソリューションを提供することを得意としている。
MCAのYurich社長は「Gelestの高度な研究開発力、卓越した製品化力と顧客から厚い信頼に、三菱ケミカルグループの経営資源や顧客ネットワークを活用することで、Gelestの技術力の市場展開を加速し、顧客に新たなソリューションや価値を提供できる」と述べている。
三菱ケミカルが蓄積してきた主として炭素化学分野の高度な技術と、Gelestの広範囲なケイ素化学・金属化合物などの研究開発力、製品化力を組み合わせることで、両社の素材の設計力、提供可能なソリューションの幅を拡充する。加えて、Gelestが培った技術力と三菱ケミカルの経営資源や顧客ネットワークを組み合わせることにより、デジタル社会基盤の発展や医療進化など将来の社会課題を起点とする市場ニーズに対して、これまで以上に貢献していく。
三菱ケミカルは、今後もテクノロジープラットフォームの強化を図り、成長市場での積極的な研究開発と事業展開をすることにより、一層の成長を目指す考えだ。
2020年5月8日
2020年4月28日
三菱ケミカルは27日、障がい者の活躍推進に取り組む国際イニシアチブ「The Valuable 500」の考えと取り組みに賛同し加盟文書に署名したと発表した。
「The Valuable 500」は昨年1月、世界経済フォーラム年次総会で発足し、「障がい者インクルーシブなビジネスはインクルーシブな社会を創る」という考えの下に立ち上げられた。障がい者がビジネス、社会、経済にもたらす潜在的な価値を発揮できるように、ビジネスリーダーが自社のビジネスをインクルーシブにする改革を起こすことを目的としている。
同社はこの考えと取り組みに賛同。障がいのあるなしにかかわらず1人ひとりの個性が尊重され全従業員が活躍できる企業を目指し、①障がい者雇用の社内の理解をはかり、働く仲間としての一体感を醸成します、②障がい者の職域拡大、職場環境整備をはかり、雇用促進を全社的に進めます、というコミットメントを定めた。
同社は「KAITEKI 健康経営」を掲げ、健康支援と働き方改革を両輪として、多様な人材がいきいきと活力高く働ける職場づくりに取り組んできた。その中で、障がい者雇用促進を含めた30の施策を「三菱ケミカルは決めました」と宣言し、積極的に推進。
また、全ての人がスポーツの価値を享受し、1人ひとりの個性が尊重され、心身ともに健康的な社会づくりに貢献したいとの想いから、ボランティア活動などを通じて障がい者スポーツの一層の普及・発展に尽力するとともに活力ある共生社会の実現に貢献するよう取り組んでいる。
今回の加盟を踏まえ、三菱ケミカルでは障がい者雇用の取り組みをさらに強化させ、多様化が一層進む社会の期待と要請に応えられる企業づくりを推進していく。
2020年4月15日
2020年4月14日
三菱ケミカルは13日、同社が開発したモスアイ型反射防止フィルム「モスマイト」が、カシオ計算機が今月24日に発売する耐衝撃ウオッチ「G‐SHOCK GBD‐H1000」に採用されたと発表した。
太陽光発電素子と液晶モジュールにモスマイトを貼合することで光の反射を抑制し、ディスプレイの高精細化・高コントラスト化を実現している。
同社が開発した「モスマイト」は、蛾の眼(モスアイ)が持つ微細な突起構造を模倣した反射防止フィルム。「モスマイト」の表面には高さ200㎚の突起が100㎚の間隔でフィルム上に並んでいる。この突起の幅が可視光線の波長よりも狭いことで、光の屈折率の変化が緩やかになり、光の反射を抑制する。
一般的なガラスやプラスチックの表面は光の反射率が通常4~5%程度あるが、それらの表面に「モスマイト」を貼付すると反射率を0.1~0.3%にまで抑えることができる。その優れた光透過性から、これまでに車載ディスプレイや医療用モニター、サイネージ、額装などに幅広い分野に採用された実績があり、今後も用途が拡大することが見込まれている。
三菱ケミカルは、引き続き同製品の新たな用途開発・市場開拓に向けて、国内のみならず、グローバルに事業を展開させ、さらなる拡販に努めていく考えだ。
2020年4月3日
21世紀はまさに「化学の時代」だ。化学産業を含めた技術の発展は社会の繁栄に大きく貢献してきたが、その素晴らしい作用に対して、地球温暖化や海洋プラスチック問題のような反作用が実体化している。こうした地球規模の問題を解決できるのは化学産業だと考えている。
当社は、社会インフラを支える素材、機能性の高い製品群に加えて、生分解性プラスチックや人工光合成などのサステナビリティを推進する製品・技術の開発を進めている。また、本日から「サーキュラーエコノミー(循環型経済)推進部」を新設し、自らの環境負荷低減にとどまらず、これまでの取り組みをソリューションとして加速していく。この活動を進めていくことは当社の使命であり、誇りであると私は考えている。
三菱ケミカルホールディングスは、「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」すなわち「KAITEKI」を実現するというビジョンを掲げており、当社も三菱ケミカルHDグループの事業会社として、グループ内の相乗効果を追求し、技術・営業・RDなど、様々な切り口で積極的な交流を図っている。皆さんも、三菱ケミカルHDグループの一員という意識も持って仕事に取り組んでほしい。
入社にあたって次の3つをお願いしたい。まず、「安全第一」だ。「安全・安定操業」こそが、最大の目標だ。「第一」の言葉通り、安全はすべてに優先する。研修や実習を通してしっかり学んでほしい。
次に「学ぶ根気、発言する勇気」だ。学ぶということは、自分の意思を持って調べ、習うことであり、若いうちに貪欲に視野を広げてもらいたい。若い感性を生かし、勇気をもって発言することで組織を動かしていってほしいと思う。
最後に、「大人としての自覚」だ。「コンプライアンス」という言葉は難しいことではない。法律や秩序、ルールを守り、良識と常識がある大人として、挨拶・感謝・謝罪をきちんと表現できる社会人になってもらいたい。
三菱ケミカルは若い力を必要としており、皆さんによって変えていける点がいくつもある。皆さんの持てる力を思う存分に発揮して、三菱ケミカルを化学の力によって世の中にソリューションを提供する世界のエクセレントカンパニーにしていこう。
2020年4月1日
三菱ケミカルは31日、ファインケミカル事業の一部、および関連事業を行うグループ会社2社を、今年10月1日付で同社グループ会社「新菱」(福岡県北九州市)に統合すると発表した。
統合するのはファインケミカル事業の一部(高純度中間体、精密素材など)と、グループ会社である小名浜蒸溜とMCCユニテックの2社。これにより新菱は、ファインケミカル事業(各種精密化学製品の製造販売および受託品製造など)、エレクトロニクス事業(精密洗浄、ウェハ再生など)、リサイクル事業(ケミカルリサイクル、マテリアルリサイクルなど)を手掛けることになり、売上高は各事業の合算値(2018年度)で約230億円となる。
三菱ケミカルは今回の統合を通じ、それぞれが培った有機合成をベースとするファインケミカルに関する幅広い開発・製造技術を集約してプラットフォームを構築。これにより、顧客対応力を強化して付加価値の高いソリューションを提供し、ファインケミカル事業の成長を目指していく考えだ。
2020年3月31日
三菱ケミカルは30日、生分解性プラスチック「BioPBS」を用いたごみ袋が、京浜急行電鉄とそのグループ会社が主催するビーチクリーンなどの清掃活動用途に採用され、今月27日より使用されたと発表した。採用されたごみ袋の素材は一定の海洋生分解性があり(現在実証実験中)、製品として使用されるのは初めてとなる。
「BioPBS」は、同社が開発、基本特許を持ち、同社とタイのPTTグローバルケミカル社が折半出資するPTT・MCCバイオケム社が製造する植物由来の生分解性プラスチック。自然界の微生物によって水とCO2に分解されるため、自然環境への負荷が少ないという特徴がある。今年7月から開始されるレジ袋有料化をはじめ、プラスチックに対する環境配慮への要求の高まりとともに、採用も増加中だ。
こうした中、三菱ケミカルは「BioPBS」について、従来の土壌中での生分解性に加え、海洋生分解性を高めた製品の開発を進めており、今回、実証実験中の素材がごみ袋に採用された。これを契機に海洋生分解性レジ袋などのニーズにも対応し、市場の拡大を促進していく。
京急電鉄は、神奈川県と締結した「SDGs推進に係る連携と協力に関する協定」の一環として、同県の推進する「かながわプラごみゼロ宣言」の賛同企業。生分解性のごみ袋の一部を「かながわ海岸美化財団」へ寄贈し、同県内の各所で実施されるビーチクリーンで活用されることで、沿線地域と県内のプラスチックごみ削減に取り組んでいく。
三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、今後も「BioPBS」をはじめとする生分解性プラスチックや植物由来プラスチックの研究開発・用途展開を加速させ、循環型社会の構築やSDGsの達成に貢献していく考えだ。