三菱ケミカルは1日、グループ会社の三菱ポリエステルフィルム(MFE:ドイツ・ヴィスバーデン)で、ポリエステルフィルムの生産能力を増強することを決定したと発表した。投資額は約1億1000万ユーロで、2024年末の完成を予定している。
同社グループにとっては、2018年稼働の米国・サウスカロライナ州、建設中で2022年稼働予定のインドネシア・ジャカルタに続く増産投資となる。
MFEは、工業用途やラベル用途などの高機能ポリエステルフィルムを顧客の要求に合わせてカスタマイズする技術開発力に強みをもち、欧州市場で高いシェアを誇っている。
近年、世界全体のポリエステルフィルムの市場成長率は5%程度で推移しており、MFEでは、顧客の旺盛な需要を満たすためにグループ他拠点からの調達や既存設備の効率的な運用などで対応してきた。
こうした中、三菱ケミカルは、今後も堅調な需要拡大が見込まれると判断し、高機能ポリエステルフィルムとしては世界最大規模となる年産2万7000tの製造ラインをMFEに新設することを決定した。
新設する設備は、最新の省エネ設備を導入することなどにより生産能力を拡大する一方、工場全体としてのCO2排出量削減を目指す。また、顧客や消費者から回収した使用済みのポリエステルフィルムを原料として再利用することが可能な装置も導入することで、循環型経済(サーキュラーエコノミー)実現に向けた取り組みを加速する。
三菱ケミカルは、世界5拠点(日本、中国、インドネシア、米国、ドイツ)でポリエステルフィルムを製造し、ディスプレイ向けを中心とした光学用途、電子部品・自動車・医療などの工業用途、食品などの包装材料用途向けなどに供給している。
今後も、各用途の需要に応じて生産体制を拡充し、高機能ポリエステルフィルムのリーディングカンパニーとして積極的な事業展開を図るとともに、SDGsの達成や循環型経済の実現に貢献していく。