産総研 可視光水分解・水素生成の効率改良指針を明確化

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2022年1月24日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、人工光合成化学プロセス技術研究組合、徳島大学、京都大学、信州大学と共同で、可視光で水を水素と酸素に分解する酸硫化物光触媒のエネルギー変換効率の改良指針を明確化した。

 光触媒による水分解反応は太陽エネルギーで水素を生成できるため、世界中で研究開発が進められている。粉末光触媒の

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NEDOなど 光触媒で世界最高の水素生成エネルギー変換効率を達成

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2018年10月23日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem:アープケム)はこのほど、東京大学と太陽電池材料として知られるCu(In,Ga)Se2(略称:CIGS)をベースとした光触媒で、非単結晶光触媒の中で世界最高の水素生成エネルギー変換効率12.5%を達成したと発表した。

 今回開発した水素生成光触媒と、従来のBiVO4からなる酸素生成光触媒で二段型セルを組み立て、疑似太陽光照射下での水の全分解反応を試みたところ、太陽光エネルギー変換効率は3.7%を達成。この値は、2016年に公表された太陽光エネルギー変換効率の23%増に相当する。

 光触媒は太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換する機能性材料。太陽光の強度のピークは主に可視光領域(400~800㎚)にあるため、この波長域の光を吸収する光触媒ができれば、効率よく太陽光のエネルギーを利用できる。

 しかし、従来の光触媒は、吸収波長が主として紫外光領域(~400㎚)に限られるものが多く、可視光から赤外光領域にかけての光を利用できるように、光触媒の吸収波長の長波長化が課題の1つだった。

 このため、従来よりも長波長の光を吸収する光触媒材料として、硫化物やセレン化物といったカルコゲナイド系材料の開発を進め、CIGSベースの光触媒開発に至った。

 NEDOなどは今後、高性能な酸素生成光触媒を開発し、今回の研究で得られた水素生成光触媒と組み合わせることで、2021年度末までに太陽光エネルギー変換効率10%の達成を目指す。

 なお、アープケムは国際石油開発帝石、TOTO、ファインセラミックスセンター、富士フイルム、三井化学、三菱ケミカルの5社1団体が参画する研究組合。太陽光の下、①光触媒による水の分解で水素/酸素を製造し②分離膜を用いて水素を安全に分離し③合成触媒を用いて水素と二酸化炭素から化学品原料である低級オレフィンを製造する人工光合成型の化学プロセスを確立し、化石資源からの脱却や資源問題・環境問題の解決を目指す目的で、2012年に設立された。

 NEDOなどとともに、環境に優しいモノづくりを実現するため、太陽光のエネルギーで水から生成した水素と、工場などから排出される二酸化炭素を合成して、プラスチック原料などの基幹化学品(C2~C4オレフィン)を製造する人工光合成の研究開発を進めている。