住友ベークライトの3月期 QOL関連が伸びるも24%の減益

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2020年5月19日

 住友ベークライトは18日、2020年3月期の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前期比3%減の2066億円、事業利益は17%減の143億円、営業利益は24%減の103億円親会社所有者帰属の当期利益は40%減の90億円の、減収減益となった。期初からの製造業全般にわたる景況感の低迷、円高ドル安ユーロ安為替、2月以降の新型コロナウイルス感染症拡大などが影響した。

 セグメント別に見ると、半導体関連は売上収益2%増の498億円、事業利益4%減の77億円。車載用モータやECU一括封止用途の実績化に加え、5G通信用途の需要が増加し、主力の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料の販売が伸長した。感光性ウェハーコート用液状樹脂も年度前半が好調だった。一方で、半導体用ダイボンディングペーストは前半の不調をカバーできなかった。半導体パッケージ基板用材料はスマートフォンの新機種採用などが増えたが、一部原材料の価格高騰により収益率が悪化した。

 高機能プラスチック関連は売上収益10%減の849億円、事業利益39%減の41億円。世界的な自動車市場の低迷、中国の米国向け電機製品の輸出減、米国子会社のシェールガス・オイル向けの販売不振に加えて、新型コロナの影響による中国での自動車生産・販売の急落により、工業用フェノール樹脂、フェノール樹脂成形材料および銅張積層板は売上が減少した。航空機内装部品は、米国航空機メーカーの一部生産停止の影響を受けた。自動車用成形品は、環境規制関連用途で中国大口顧客を獲得した。

 クオリティオブライフ関連は、売上収益2%増の712億円、事業利益3%増の56億円。医療機器製品は、国内は償還価格改定の影響と企業向け製品が低調だったが、米国市場では販売が好調だった。バイオ関連製品は、既存の糖鎖キットの米国向け輸出や診断用マイクロフルイディクスの販売が好調。また、体外診断用医薬品事業会社SBバイオサイエンスが寄与し売上が倍増した。

 ビニル樹脂シートと複合シートは、医薬品包装用途はジェネリック医薬品メーカー向けが好調だった。電子部品搬送用カバーテープは、中国南通工場が順調に立ち上がった。ポリカーボネート樹脂板と塩化ビニル樹脂板は、サングラス用などの偏光板が欧州市場をメインに拡販したが、建装材・工業設備用は、暖冬と顧客の在庫調整の影響で後半低調。防水関連は、住宅(新築・リフォーム)、マンション向けで堅調に推移した。

 今年度の連結業績見通しについては、新型コロナウイルスの影響など、現段階での合理的算定が困難であることから未定としている。

住友ベークライト 飛沫感染防護マスクの生産を開始

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2020年5月8日

 住友ベークライトはこのほど、これまで培ってきたプラスチック加工技術を生かした飛沫感染防護マスク「フェイスシールド」を生産することを決定したと発表した。フェイスシールドは、感染者治療に従事する医療関係者の二次感染を防ぐ防護具。プラスチック板などで顔面を覆い、飛沫によるウイルス感染を防ぐ機能がある。

装着イメージ 正面
装着イメージ 正面

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、国内の医療現場のひっ迫した状況の改善を支援するため、同社グループでの生産を決定した。同社は、プラスチック配合技術とシート化技術を生かし、医療用ゴーグルやサングラス用のポリカーボネート(PC)樹脂シートを生産している。

 今回、透明性などの光学特性に優れ、ゆがみ無く軽量で高強度のPC樹脂を用いたフェイスシールドの生産・供給体制を整えた。また、同製品は、消毒用アルコールなどによる曇りや強度低下を起こしにくく繰り返し使用することも可能。頭部への装着部分には工業用ヘルメットの内部に採用しているホルダーの技術を応用し、細やかなサイズの調整、ボタンをワンプッシュすることでホルダーを緩めることができる。

装着イメージ 斜面
装着イメージ 斜面

 供給計画として、まずは①試供品100セット(1セット:ホルダー1個+交換用面体10枚入り)を東京都および神奈川県内の病院に無償提供。続けて同数を所管省庁に無償提供する。さらに、②5月中に月産1万セット(ホルダー1万個+交換用面体10万枚)の生産体制を整え順次販売を開始する予定。当面、医療機関向けの供給を最優先に行い、コンビニ・スーパーマーケットなどの民生用についても今後販売していく考えだ。

住友ベークライト 4-6月期決算(5日)

2019年8月6日

[住友ベークライト/4-6月期決算](5日)単位100万円、カッコ内は対前年同四半期増減率。▽連結(国際会計基準:IFRS)=売上収益52,320(▲3.9%)、事業利益4,380(▲17.2%)、営業利益4,397(▲16.0%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益3,935(▲3.6%)。

住友ベークライト 3月期決算(13日)

2019年5月14日

[住友ベークライト/3月期決算](13日)単位100万円、カッコ内は対前期増減率。▽連結(国際会計基準:IFRS)=売上収益212,952(0.5%)、事業利益17,293(▲10.2%)、営業利益13,587(▲26.9%)、親会社の所有者に帰属する当期利益15,084(0.0%)。

住友ベークライト 4-12月期決算(8日)

2019年2月12日

[住友ベークライト/4-12月期決算](8日)単位100万円、カッコ内は対前年同四半期増減率。▽連結(国際会計基準:IFRS)=売上収益163,112(2.8%)、事業利益14,486(▲6.8%)、営業利益14,041(▲7.2%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益10,785(▲8.7%)。

住友ベークライト 抗体医薬品向け全自動糖鎖調製装置を発売

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2018年11月21日

 住友ベークライトはこのほど、抗体医薬品の糖鎖分析のためのサンプル調製を行う全自動糖鎖調製装置「GlycoAutoPrep」=写真=の販売を9月から開始したと発表した。

全自動糖鎖調整装置「GlycoAutoPrep」 同社が参画する次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(MAB組合)の研究テーマとして、同社製品の抗体糖鎖分析キットを用いた抗体糖鎖サンプル調製の自動化の実現に取り組み、同装置を製品化・上市した。

 抗体精製から蛍光標識糖鎖の調製までを完全自動化するため、製薬企業などで行われている抗体の糖鎖分析の時間短縮や効率化が期待される。

 近年活発に開発が行われている抗体医薬品では、抗体に結合した糖鎖が医薬品としての効果や安定性に関与することが知られており、抗体医薬の糖鎖分析は、研究・開発から製造・品質管理に至るまで様々なステージで幅広く必要とされる。

 また、抗体医薬などの後続品であるバイオシミラーの開発でも、先行品との糖鎖の比較試験が品質管理項目の1つになっている。

 抗体は抗体産生細胞の培養液中に含まれるが、培養液には抗体以外のタンパク質や培地由来の物質などの夾雑(きょうざつ)物が多く含まれている。そのため、糖鎖分析をするまでに、①培養液からの抗体精製②抗体からの糖鎖切り出し③糖鎖精製④糖鎖の蛍光ラベル化といった複数の工程が必要となる。

 従来はこれら①~④の工程を単独で行うことが多く、それぞれ数時間~1日程度の時間がかかり、トータルで1~2日程度を要するため、迅速化・簡便化が求められていた。

 これらの課題を解決するため、同社では2016年に「抗体の糖鎖分析キットEZGlyco mAb‐N kit with 2‐AB」を発売。同キットは上記①~④の工程を約2時間半で完了できるもので、国内外の製薬企業などでの活用が進んでいる。

 一方で、同キットはマニュアル操作で使用するもののため、取り扱う抗体サンプル数が多くなると対応が難しくなるという課題があり、自動化の要望を受けていた。

 同社は今後、国内製薬企業などへの販売を行い、海外への準備も進めていく。また、同装置とキットとを組み合わせたシステムを顧客に提供することで、糖鎖分析のトータルソリューションプロバイダーとして事業を拡大していく考え。

住友ベークライトの4-9月期 販売増で増収も原料高などで減益に

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2018年11月13日

 住友ベークライトは12日、2019年3月期第2四半期の連結業績(国際会計基準:IFRS)を発表した。売上収益は前年同期比3%増の1083億円、事業利益は7%減の95億円、営業利益は9%減の91億円、親会社四半期利益は8%減の70億円。売上収益は主に販売数量の増加により増収。事業利益は原料価格の上昇などを受け減益となった。

 セグメント別では、半導体関連材料は売上収益2%増の261億円、事業利益は5%増の48億円。半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は、中国市場での販売数量が増加したものの、民生用の用途で在庫調整の動きがあり、売上収益は横ばい。感光性ウエハーコート用液状樹脂と半導体用液状樹脂も、売上収益は横ばいだった。

 高機能プラスチックは売上収益5%増の477億円、事業利益は13%減の36億円。フェノール樹脂成形材料は、欧米の自動車部品向けや中国の電子部品向けが寄与し、販売数量と売上収益がともに増加した。

 工業用フェノール樹脂は、北米の自動車部品向けでの増加と原料高に伴う売価是正により増収。航空機内装部品は、新規受注の獲得で増収。銅張積層板は売価是正を行ったものの、販売数量が減少し売上収益は横ばいだった。

 クオリティオブライフ関連製品は売上収益3%増の341億円、事業利益12%減の25億円。医療機器製品は、既存分野の増加に加え、品揃えを強化した血管内治療や内視鏡治療の分野の拡販により増収となった。

 ビニル樹脂シートと複合シートは、売上収益は横ばい。医薬品包装用途はジェネリック医薬品向けで受注が増えたが、産業用用途のカバーテープやダイシングフィルムで顧客の在庫調整があり減少した。

 鮮度保持フィルム「P-プラス」は、産地野菜向けなどで新規採用があり増収。ポリカーボネート樹脂板と塩化ビニル樹脂板は、建装材向けの増加により増収となった。防水関連製品は、新築住宅向けが減少したが、マンションや蓄熱槽など建築物向けが増加し、売上収益は横ばいだった。

 なお、通期業績予測については、売上収益は、販売数量の増加もあり5月14日発表の予想を据え置いた。一方、利益面は原料価格の上昇が利益を圧迫する厳しい環境が見込まれるため、事業利益と親会社の所有者に帰属する当期利益を下方修正した。