信越化学工業 カセイソーダを値上げ、採算是正を図る

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2021年10月15日

 信越化学工業は14日、カセイソーダの国内向け販売価格について、11月15日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は「20円/kg」。

 昨今の燃料価格の急騰による電力価格や物流費の上昇に加え、製造設備の修繕および更新費用の増加により、国内カセイソーダ事業の採算が急激に悪化している。

 一方、海外では、年初来北米で発生した大寒波、洪水、ハリケーンなどの自然災害や、直近で発生した中国の燃料不足や環境規制に伴う電力抑制の影響を受け、カセイソーダの供給量が急激に落ち込んでいる。この結果、海外市況は急騰し、アジアにおけるスポット価格はこの半年間で「300ドル/t以上」の上げ幅をつけ、国内価格との乖離が鮮明になってきている。

 こうした中、同社は、あらゆるコスト低減に努めているものの、自社努力だけでは現状の価格水準で採算を確保することは困難な状況にあることから、今回の値上げを決定した。

信越化学工業 合成塩酸を値上げ、事業継続と安定供給を図る

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2021年9月30日

 信越化学工業は29日、合成塩酸について10月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は「6円/kg以上」。

 合成塩酸事業は、製造設備の修繕費や更新費用の増加、物流費の高騰に加え、昨今の電力価格の急激な上昇により事業採算が著しく悪化している。同社は、継続的にあらゆるコスト削減に努めているが、現在の価格水準では採算を確保することは困難な状況にあることから、事業継続と安定的な製品供給を図るため、今回の値上げを決定した。

【夏季特集】信越化学工業代表取締役会長 金川千尋氏

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2021年8月10日

変化を成長の機会に、製品と技術で社会の課題解決に貢献

 ━2020年度の総括と、経常利益4000億円を達成した要因をお聞かせください。

  当社は昨年の1-3月期から四半期ごとに利益を連続して伸ばすことができました。これを牽引しているのがシンテックです。半導体シリコンも引き続き大きな収益を上げました。コロナ禍の中にあっても、このような実績を上げることができました。国内外の当社グループの皆さんがウイルスの感染防止に努め、業務に邁進してくれたことを誇りに思い、皆さんの取り組みに感謝しています。

 ━コロナ禍や米中関係などの地政学リスクが事業環境に与えるインパクトと今後の見通しは。

 コロナ禍がいつ収束するかはわかりません。各国でワクチンの接種が進むなど、人類の英知が必ずや新型コロナウイルス感染症を克服するものと確信しています。一方、

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信越化学工業の4-6月期 全セグメントが増収増益と好調

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2021年7月28日

 信越化学工業は27日、2022年3月期第1四半期(4-6月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比21%増の4342億円、営業利益42%増の1288億円、経常利益37%増の1308億円、純利益38%増の957億円と増収増益となった。なお同社は、今年度からセグメントを変更している。

 セグメント別に見ると、生活環境基盤材料事業(塩化ビニル樹脂、カセイソーダ、メタノールなど)は増収増益。塩化ビニルは、世界の強い需要の伸びに支えられて製品価格が上昇した。米国シンテック社で今年2月に起きた大寒波による生産減や鹿島工場での定修を除けば、全拠点でフル操業を維持した。

 電子材料事業(半導体シリコン、希土類磁石、半導体用封止材など)は増収増益。幅広い分野向けに旺盛な需要が続く半導体デバイス用途に、半導体シリコン、フォトレジスト、マスクブランクスなどの製品が高水準な出荷を継続。希土類磁石は、自動車向け、ファクトリーオートメーション、ハードディスクドライブほか全方位で力強く推移した。

 機能材料事業(シリコーン、セルロース誘導体、金属ケイ素、合成フェロモンなど)は増収増益。前年同期に経済活動制限がパーソナルケア需要にもたらした落ち込みは今年に入り解消。車載用での在庫調整も終了し出荷は順調だった。ヘルスケア用製品は引き続き底堅く推移した。こうした需要増に応える一方で、価格修正に着手した。

 加工・商事・技術サービス事業は増収増益。半導体ウエハー容器の出荷は発送・納入用も工程内用も好調で、自動車用入力デバイスの生産・出荷も需要の回復に即応した。

 なお、未定としていた通期業績予想を発表。売上高は前年比14%増の1兆7000億円、営業利益24%増の4850億円、経常利益23%増の5000億円、純利益24%増の3630億円を見込んでいる。

信越化学工業 GHG削減への取り組み、シリコーン事業に投資

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2021年7月2日

 信越化学工業は1日、シリコーン事業について、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に資する総額200億円の投資を主力工場の群馬事業所で実施すると発表した。

 投資内容については、自社での電力自給率をさらに高め、GHG排出量を現状比14%削減するために100億円を投資する。また、顧客の製造工程でのGHG排出量の削減や環境対応型製品に使用する、変性シリコーンオイルや成形用シリコーンゴム、放熱シリコーン材料の設備増強で100億円を投資する計画だ。

 同社はカーボンニュートラルを経営の重要課題として取り組んでいる。シリコーン事業では、加工工程で二次加硫(加熱)を必要としないミラブル型シリコーンゴムを開発・上市した。同製品を使用することにより、加工時間を従来品より約9割も削減することが可能となり、顧客での省エネルギーと生産性の向上を可能とする。

 また、ゴム成形品の軽量化を実現する低密度タイプのシリコーンゴムの用途は、自動車、航空機などの輸送機やウェアラブル端末など多方面にわたり、軽量化により省エネルギーに貢献する。これら2つの製品のほかにも、GHG排出量削減への貢献など、地球環境に貢献するシリコーン製品を数多く開発し供給している。

 同社は、日本をはじめ主要国が目指すカーボンニュートラルの実現に向け、自社でのGHG排出量削減に加え、顧客をはじめ社会全体の排出量削減に資する製品の強化により一層注力していく。

信越化学工業 塩化ビニル樹脂を値上げ、コスト上昇に対応

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2021年6月3日

 信越化学工業は2日、塩化ビニル樹脂(塩ビ)について、7月1日納入分から国内向け販売価格を値上げする、と発表した。改定幅は「10円/kg以上」。

 同社は、今年4月に塩ビの原料であるエチレン価格の上昇を理由に値上げを実施したが、その後も原油ならびにナフサ価格が上昇している。また、安全・安定操業と品質の維持を継続するための設備メンテナンス費用の上昇も続いている。同社は継続的にあらゆるコスト低減に努めているが、今回の原料価格の上昇および諸コストの上昇は企業努力の限界を超えるものとなっており、塩ビの今後の安定供給を維持するためにも、値上げせざるを得ないと判断した。

 なお、海外ではアジアや米国を中心に需要が伸長する中、欧米の一部メーカーでフォースマジュールが出ており、世界の需給はひっ迫した状況となっている。