旭化成 ライオンなどと再生プラスチック技術を開発

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2019年10月17日

 旭化成とライオンは16日、両社が参加する「プラスチックの高度資源循環を実現するマテリアルリサイクルプロセスの研究開発」をテーマとしたプロジェクトが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募する事業に採択されたと発表した。

 2019年度「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」(課題番号:I‐D3)に関する委託事業。

 地球環境の保全が重要視される中、環境に配慮しつつ利便性の高い製品を供給するため、使用済みプラスチックを資源として再利用するマテリアルリサイクルの技術開発が求められている。両社は同研究開発プロジェクトを通じ、再生プラスチック素材の製品に適用する革新的な技術開発を開始する。

 同プロジェクトは、福岡大学工学部化学システム工学科の八尾教授が主導し、計18の企業や大学・研究機関が参画するもの。再生ポリエチレンをベースとした環境製品生産と資源循環社会システムの研究を行う。

 具体的には、旭化成は福岡大学・神戸大学と共同し、一般家庭などから廃棄・回収される容器・包装プラスチックなどのリサイクル原料を使用した配合技術の開発と、ペレット製品の設計・開発を行う。また、ライオンは当該ペレットなどリサイクルプラスチックを含む容器に内容物を充填し、最終製品としての品質評価を行う。

 他の主な研究内容は、富山環境整備が容器・包装プラスチックなどの回収と選別を担い、メビウスパッケージングが配合ペレットから容器を製造する、リサイクルプラスチック成形加工技術を開発していく。

 これらのリサイクル素材を活用した技術開発により、バージン(未使用)素材と同等の物性を示す材料に再生する革新的な技術開発を行うとともに、当該技術を社会実装して再生材料の利用拡大を図り、新産業の創出を目指す。実施期間は来年7月31日まで。

 NEDOは省エネルギーや新エネルギー、CO2削減などのエネルギー・環境分野と、新産業創出に結びつく産業技術分野の中長期的な課題解決を目指している。そのために必要となる技術シーズ、特に既存技術の延長とは異なる、2030年をめどとした持続可能なエネルギー供給の実現や、新産業創出による産業競争力の向上に有望な技術の原石を発掘し、将来の国家プロジェクトなどに繋げていくことを目的に委託事業を推進している。

ダウ 再生プラプロジェクトで「チェンジ・ザ・ワールド」に選出

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2019年8月27日

 ダウは26日、フォーチュン誌の2019年度「チェンジ・ザ・ワールド」リストに選出されたと発表した。

 同リストは利益を生む戦略や事業を通じて、社会または環境に重要なインパクトを与えた52社を選出するもの。同社の持続可能なソリューションを推進する長年の取り組みの一環として実施した、プラスチックごみを削減するための再生プラスチックを用いた道路舗装の試験プログラムが評価され、26位に選出された。

 同社はバリューチェーンパートナーと協働し、アジア・欧州・北米・南米で再生プラスチックを使い、約100kmのアスファルト製道路を舗装。このプロジェクトでは、同社の「ELVALOY RET」アスファルト改質技術も一部使用され、廃棄する代わりに約200t(5000万個の軟包装パウチに相当)のプラスチックが活用されている。

 多くの場合、ポリマーが改質された道路は、通常のアスファルトと比較し天候や車両による腐食に強く、危険な道路のくぼみを防ぎ、交通渋滞も防ぐことができる。ダウは、「プラスチックごみには価値があり、新しい製品やエネルギーに転換することができる」と考えている。

 プラスチック道路に加え、南アメリカでは主要なパートナーと共に、再生プラスチックを用いて建築材料を開発し、コロンビアで学校を建設するプロジェクトを推進。また、ケミカルリサイクル技術をスケールアップし、再生プラスチックごみを原料に戻し、新製品を作る技術開発の最先端にいる。

 プラスチックごみをリユース、リサイクル、リパーパス(別のものに再利用)する新しいアイデアを創造することで、ダウとダウのパートナーは、革新的な循環型経済のソリューションの開発を先導している。

ダウ 埋め立てゴミ転用し自社施設の道路を整備

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2019年3月12日

 ダウ・ケミカルはこのほど、米国テキサス州フリーポートの自社施設内に、消費者使用後の再生プラスチック(PCR)で改良を加えた、新たなポリマー改質アスファルト(PMA)道路を2本建設したと発表した。

 世界で消費されるプラスチックを削減し、イノベーションを通じた循環型経済の実現を目的とした取り組みの一環として行われたもの。2本の道路は、それぞれ「プラスチックロード」「ガルフストリームロード」と名付けられ利用されている。

 今回のプロジェクトには、デュポン社のアスファルト改質剤「エルバロイ」が用いられた。また、使用した再生直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)は760キロ以上で、レジ袋約12万枚分の重量に相当し、2本あわせて総延長800メートルに及ぶPMA舗装道路を建設した。

 グローバル建築分野サステナビリティリーダー兼パッケージング&スペシャルティ・プラスチック事業部インフラ・建設分野マーケティングマネジャーを務めるジェニファー・リー氏は、「現在、多くの人にとって循環経済という概念は非現実的なものかもしれない。しかし、性能向上やコスト節減によって、持続可能な社会への取り組みをいかに実現していけるかが知れ渡れば、循環型経済の実現可能性は一段と高まっていく」との見解を語った。

 同社がPMAプロジェクトとして、これまでに整備してきたPMA舗装道路の距離を合計すると42キロメートル以上になるという。その結果、ゴミとして埋め立てられる100トンにのぼる廃棄物が、道路建設に転用されたことになる。

 ダウの研究者は、今回のプロジェクトでのPMA道路の寿命や性能をモニタリングし、さまざまな気象や条件の下でも使用に耐え得るよう、さらなる改良を行っていく考え。また現在、米国ミシガン州ミッドランドにある本社施設の駐車場でも、次世代型の再生プラスチック混合物を使用したアスファルト改修工事を計画している。