出光興産の4-6月期 コロナ影響と在庫評価損で大幅減益に

,

2020年8月7日

 出光興産は6日、2021年3月期第1四半期(4-6月期)連結決算を発表した。売上高は前年同期比33%減の9828億円、営業損失708億円(同1048億円減)、経常損失995億円(同1341億円減)、純損失813億円(同1173億円減)。セグメント利益は、在庫影響による損失などにより大幅減益となった。在庫影響を除いた営業利益+持分利益は、営業損失31億円(同342億円減)、純損失158億円(同507億円減)となる。

 コロナ影響については、燃料油主要4品目の販売は同12%減、JET燃料は同77%減だった。また、基礎化学品市況の軟化、資源価格の下落や、高機能材セグメントでは需要減少の影響が顕在化した。

 セグメント別に見ると、燃料油セグメントは売上高35%減の7574億円、セグメント損失1038億円(同1090億円減)。原油価格の下落および販売数量が減少したことなどで減収となり、在庫評価影響や持分法投資損失の増加が減益要因となった。

 基礎化学品セグメントは売上36%減の728億円、セグメント利益98%減の1億円。ナフサ価格が下落したことなどで減収となり、スチレンモノマーなど製品マージンが縮小し減益となった。

 高機能材セグメントは売上高17%減の810億円、セグメント利益26%減の48億円。潤滑油事業で販売数量が減少した。

 電力・再生可能エネルギーセグメントは売上高微減の292億円、セグメント利益92%減の1億円。ソーラー事業で販売数量が減少し、販売単価が下落した。

 資源セグメントは売上高37%減の418億円、セグメント利益80%減の32億円。その他セグメントは、売上高16%増の6億円、セグメント利益2.2倍の1億円だった。

 なお通期業績予想については、前回発表を据え置いている。

出光興産 中国恵州の潤滑油製造工場が生産を開始

, ,

2020年7月30日

 出光興産は29日、中国で2カ所目の直営潤滑油製造工場となる「恵州出光潤滑油・恵州工場」を稼働し生産を開始したと発表した。

恵州工場生産設備と事務所棟(右上)
恵州工場生産設備と事務所棟(右上)

 恵州工場は、中国での高性能潤滑油の需要増に対応した供給能力増強を目的に建設。年産12万㎘の生産能力をもつ。今回の恵州工場の生産開始により、同社グループの中国での潤滑油供給能力は、合計で年産29万㎘となった。

 華南に位置する今回新設した恵州工場と、華北の天津工場〈年産12万㎘:出光潤滑油(中国)が運営〉、華東の常州工場〈年産5万㎘:関係会社の国宏潤滑油(中国)が運営〉の3カ所の運営を通じて、世界最大の潤滑油需要国である中国全土へ、安定供給体制の確立と供給の最適化に取り組む。

 同社は今後も、中国の販売・供給体制のさらなる充実を図り、潤滑油のグローバルサプライヤーとして事業の強化・拡大を目指す考えだ。

潤滑油工場の中国拠点
潤滑油工場の中国拠点

出光興産など 産廃中CaでCO2削減、NEDO事業に採択

, , , , , ,

2020年7月16日

 出光興産は15日、連名他社・大学と共同で進めてきた「廃コンクリートなど産業廃棄物中のカルシウム等を用いた加速炭酸塩化プロセスの研究開発」が、NEDOの「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/炭酸塩、コンクリート製品・コンクリート構造物へのCO2利用技術開発」プロジェクトにおいて、研究開発委託事業に採択されたと発表した。

 出光興産と5者(宇部興産、日揮グローバル、日揮、成蹊大学、東北大学)は、産業廃棄物を活用し、火力発電所や工場から排出されるCO2を資源へ転換する技術開発を進めてきていた。同事業の委託期間は2020~2024年度の5年間。廃コンクリートなどカルシウムを多く含む産業廃棄物から原料となるカルシウムを抽出し、排ガス中のCO2と反応させて固定化させるプロセスの実用化と普及を目指した技術開発を行う。

 また、カルシウム分の抽出と炭酸塩化の効率を高めるため、加速炭酸塩化技術について試験・評価を実施するとともに、プロセス全体の最適化を図りながら技術を確立させ、CO2削減効果を評価していく。

 今回の事業採択を受け、発電所や工場から排出されるCO2の固定化に係る新たな技術を産学官の協働により開発するとともに、原料調達から用途開発に至るまでの幅広い領域で、社会実装に向けた取り組みを加速する。

 

出光興産 AI技術による配船計画最適化の実証実験を完了

, , ,

2020年7月7日

 出光興産とテクノロジーベンチャー企業のグリッドはこのほど、三井物産と深層強化学習などのAI技術を活用した「内航船による海上輸送(配船)計画の最適化」の第1弾となる実証実験が完了したと発表した。

 今回の実証実験では、これまで石油元売り業界の喫緊の課題であった熟練担当者の経験や職人技に依存した配船計画策定について、AI最適化技術を用いた最適化と自動化を目指してきた。実証実験では、製油所から油槽所へ製品を海上輸送する現実の配船オペレーションを再現するシミュレーター構築とAI配船最適化モデルの構築を行い、AIによる最適な配船計画策定を実現。過去実績データとAI配船結果との比較検証を行った結果、安定供給を実現しつつ輸送効率を最大約20%改善できる配船計画の作成に成功した。

 これにより輸送コスト削減を図るとともに、属人化しがちであった配船計画業務の標準化ができ、さらには燃料消費量の低減による環境負荷軽減にも貢献できる。また、計画立案速度も格段に上がり、これまで計画立案に要していた時間の約60分の1にまで削減し、約1カ月の計画を数分で立案することが可能となった。この成果は、担当者の業務負担を大幅に軽減し、また複数の配船計画を比較し最良の計画を担当者が選択するという業務プロセスの改善も期待できる。

 構築された配船計画モデルは、船舶の運航効率や製品の積み付けバランス、航海時間や荷役時間を含めた船舶稼働時間など様々な制約条件を考慮しており、計画の実行性という観点からも、配船計画担当者や海運会社にとって違和感のない現実的な配船計画を作成できることを確認している。 

 世界的に見ても類を見ない、深層強化学習の社会課題への応用によるAI配船計画最適化の成功は、サプライチェーン全体の最適化への大きな足掛かりとなることが期待される。今後は実運用に向け、製油所・油槽所・船舶の数をさらに増やしたAI配船計画モデル構築の検証を実施するとともに、システム構築のための仕様検討を開始し、2021年のシステム運用開始を目指す。

出光興産 千葉事業所でRH装置の効率化改造工事を実施

, , ,

2020年7月6日

 出光興産はこのほど、千葉事業所(千葉県市原市)にある重油直接脱硫装置(RH装置)の効率化改造工事を実施し、5月26日から稼働を開始した。この装置効率化により、千葉事業所のHS(高硫黄)C重油生産量を年間60万kl削減すると同時に、LS(低硫黄)C重油を年間50万kl増産することが可能となる。

 今回のRH装置の効率化改造工事は、国際海事機関(IMO)が定める船舶用燃料の硫黄分規制への早期対応を図るもの。IMOは、今年1月からSOx(硫黄酸化物)排出規制を強化しており、世界的に高硫黄船舶用燃料を低硫黄化する取り組みが活発化。石油精製過程で余剰となるHSC重油への対応が必要となっている。

 なお、同社は、増産されるLSC重油の供給余力を活用した競争力強化を図るため、流動接触分解装置(FCC装置)での重油分解能力向上(RFCC化)も実施する予定。また、今回の効率化改造工事は、経済産業省の補助事業「石油供給構造高度化事業費補助金(石油コンビナートの生産性向上及び強じん化推進事業のうち石油コンビナートの立地基盤整備支援事業)に係る補助事業」を活用し実施した。

 出光興産は今後も、IMOが定める船舶用燃料の硫黄分規制への取り組みにより、地球環境負荷低減に努めるとともに、引き続き燃料油事業での競争力強化と石油製品の安定供給に努めていく。

出光興産 人事(6月17日)

2020年7月3日

[出光興産・人事](6月17日)▽三重石商事社長高篠和弘(6月23日)▽若松ガス社長小山征弘(6月25日)▽新潟石油共同備蓄取締役総括部長兼総務部長樋口靖▽同社環境安全部長兼環境安全課長久保靖(6月26日)▽ソーラーフロンティア監査役谷口雅春。

出光興産 SOMPOサステナビリティ・インデックスに選定

, ,

2020年7月3日

 出光興産は2日、SOMPOアセットマネジメントが設定する「SOMPOサステナビリティ・インデックス」で2020年の構成銘柄に選定されたと発表した。これで同社は9年連続での選定となる。

 同インデックスはESGに優れた約300社によって銘柄が構成され、「SOMPOサステナブル運用」に活用されている。選定銘柄は、SOMPOリスクマネジメントが実施する「ぶなの森 環境アンケート」および、インテグレックスが実施する「インテグレックス調査」の結果に基づいて毎年見直しが行われており、出光興産はESGに対する取り組みが評価された。

 同社は今後も、地球環境・社会との調和を目指し、世界的な環境課題、社会課題に対しグループ全体で解決に注力していく。またガバナンス機能の強化を進め、全てのステークホルダーからの信頼を保持していくことで、ESGの強化と持続可能な社会の発展に貢献していく考えだ。

出光興産 コーポレートおよびSSのブランドを刷新

,

2020年6月22日

 出光興産は19日、昨年4月に統合新社が誕生して以来の一連の経営統合プロセスにめどをつけたことを契機として、今年7月からコーポレートブランドを刷新すると発表した。併せて、既存の両ブランドのカードの相互乗り入れが可能となる来年4月よりSSブランドを統一の上、コーポレートブランドと一体感を持った新たなSSブランドを展開していく。

新コーポレートブランド
新コーポレートブランド

 コーポレートブランド、SSブランド共通で用いるアイコンは、「人が中心の経営」を標榜する同社として人を象徴するものであること、同社が持つブランド資産を継承するものであることを基本に、「新しさ」「エネルギッシュ」「カッコよさ」「洗練」といった要素を加味して、今回新たに開発した。モチーフとなったアポロは、ギリシャ・ローマ神話に登場する太陽神で、理想の人の姿の意を持つことから、同社グループが目指す姿に合致すると判断した。

SSブランド
新SSブランド

 コーポレートブランドは、このアポロアイコンと小文字の「idemitsu」、SSブランドはアポロアイコンと「apollostation(アポロステーション)」をそれぞれ組み合わせて表記する。

 新SSブランドは、ガソリン、軽油など燃料油の供給や車関連サービスの提供にとどまらず、地域の人々の移動と暮らしを支えるサービスステーションという未来像を見据えている。SS全体の塗装、キャノピー、制服のデザインなどは現在、今秋に販売店・特約店に説明する予定で開発を推進。同社は、ブランドの統一と共に、カードをはじめとする販売施策を一本化し、さらなる顧客の利便性の向上に努めていく。

SSの未来像
SSの未来像

 

出光興産 環境フォト・コンテスト、作品募集を開始

, , , ,

2020年6月17日

 出光興産は、次世代育成と環境に関わる社会貢献活動の一環として、児童・生徒を対象とする第16回環境フォト・コンテスト「わたしのまちの○(まる)と×(ばつ)」を実施する。対象は小・中・高・高等専門学校の在学生で、募集期間は7月1日から9月30日まで。

 昭和シェル石油が2005年より毎年実施してきた同コンテストには、作品づくりの過程や作品集などを通じて、身近な環境や生活の問題に「気づき、考え、行動につなげてもらいたい」という想いを込めている。昨年は、学校団体応募での参加校の増加などにより、過去最高となる1万を超える作品の応募があった。今年は環境省に加え、新たに文部科学省の後援も決定しており、学校での環境教育、次世代育成に寄与するコンテストとして、一層の社会貢献を目指す。

 環境問題意識の高まりから、多くの学校で「環境教育・環境学習を通して、持続可能な社会を構築できる人材を育成する」取り組みが進められている。同コンテストでは、児童・生徒が普段は見過ごしてしまう、何気ない風景を環境という軸で見つめなおし、自ら判断し、その内容をコメントとして記述することが必要となる。これにより、一人ひとりの環境を大切にする心の育成につながるとともに、主体的に環境保全を実践する次世代の人材を育成する、質の高い環境教育の実現に寄与する。

 今年度は、新たに特別テーマ賞として「だったらこうしよう」賞を新設。児童・生徒が自分の行動を変えることで、環境問題を解決しようとする作品を表彰し、次世代が環境問題へ主体的に行動するきっかけとなることを目指していく。

 なお、応募用紙は、専用サイト(https://www.idss.co.jp/enjoy/kids/photo/index.html)でダウンロード可能。入賞は11月末に発表し、ウェブサイトで公開する。

出光興産 第16回環境フォト・コンテスト「わたしのまちの○と×」ポスター
第16回環境フォト・コンテスト「わたしのまちの○と×」ポスター

 

出光など3社 EVを活用した充放電遠隔制御実証を開始

, , ,

2020年6月10日

 出光興産、関西電力、住友電気工業はこのほど、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)を活用した卸電力市場価格に連動する電気料金に基づく充放電遠隔制御実証を開始したと発表した。なお同実証は、令和2年度需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業費補助金の交付決定を受けたことによるもので、今年5月29日~来年2月17日までを予定している。

 VPP構築実証事業である「関西VPPプロジェクト」では、2016年度からEV/PHEVをエネルギーリソースとして活用する取り組みを推進。今年度は、日本卸電力取引所(JEPX)の卸電力市場価格と連動した時間帯別のダイナミックプライシング(DP)料金メニューに基づき、一般家庭に設置する充電器などを、効果的なエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーターが遠隔制御することで、市場価格の安い時間帯にEV/PHEVの充電時間をシフトする実証に取り組む。

 具体的には、充放電を制御するサーバにより、小売電気事業者が提供するDP料金メニューの情報と、制御機器の情報から把握した充電可能量を組み合わせることで、ユーザーが必要とする充電量を、価格の安い時間帯に充電するようアグリゲーターが最適な制御を行う。また、EV/PHEVユーザーにサーバと連携するスマートフォンアプリを提供し、運行計画を入力することで、より実運用を想定した実証を行う。

 今回の実証を通じて、VPPに関するEV/PHEVの新たな活用に向けた技術的知見を蓄積するとともに、今後のEV/PHEV普及による運輸部門の低炭素化や電力の安定供給、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を目指すことで、エネルギーを効率的に活用する社会の実現に貢献していく考えだ。