大陽日酸 中国現地法人に空気分離装置を増設 来年10月に稼働

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2019年8月6日

 大陽日酸はこのほど、上海大陽日酸気体(上海気体)の上海市内にある既存工場内に空気分離装置を増設すると発表した。2020年10月の稼働開始を予定している。

 空気分離装置は、空気を圧縮・冷却液化したのち、蒸留により酸素・窒素・アルゴンに分離する装置。大陽日酸は、同装置のトップメーカーとして、多くの実績を持つ。

 同社グループは、大連を中心とする東北地区と、上海を中心とする華東地区でバルクガス事業を展開している。華東地区では、2004年に上海気体が空気分離装置を稼動させ、周辺地域へ産業ガスを供給してきた。

 今回、華東地区での中長期のガス需要の伸張を見据え、上海市内という需要地に近い戦略的な立地に空気分離装置を増設することで、産業ガスの安定供給体制を強化していく考えだ。

 中国では、従来の「高速成長」から「質の高い発展」への移行が中国政府主導で推進中であり、中長期にわたって底堅く着実な経済成長が見込まれている。

 特に華東地区はこれまで高度成長地域として発展を遂げてきた。幅広い産業が集積されており、さらに最先端の製造業を重点的に集積させていく長江デルタ都市群発展計画が発表される中、産業ガス需要の持続的増加が期待されている。

大陽日酸 中国・水素製造装置メーカーと事業提携

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2019年5月22日

 大陽日酸はこのほど、中国・四川省の水素製造装置メーカーAlly Hi―Techと、資本・事業提携契約を締結したと発表した。

 Ally社は、2000年に設立され、水素製造装置の設計、製造、販売を行っている。小型・中型水素プラントの製造能力とコスト競争力に優れ、大手国有企業を含む多数の顧客から信頼を得てきた。

 また、北京五輪では燃料電池車向け水素設備の納入など、複数の国家プロジェクトも受注しており、タイ、フィリピン、台湾、韓国、インドなど、アジア諸国を中心に販売実績を伸ばしている。

 大陽日酸は、中期経営計画「Ortus Stage 2」のオープンイノベーション戦略に基づき、提携・出資によるガステクノロジーの領域拡大の取り組みを推進。水素を主要なガス商材の1つと位置づけ、近年は積極的な事業展開を図っている。

 今回、Ally社と戦略的なパートナー関係を構築し、水素製造装置を事業ポートフォリオに加えたことで、今後は世界各国に拡大しているグループの販売網を通じ、水素需要の取り込みを強化していく考えだ。特に鉄鋼、化学、ガラスなどの基幹産業に向けたオンサイト供給での存在感を高め、安定的な収益基盤の確立に向け取り組んでいく。

 また、同社が培ってきたガス制御、燃焼などの関連技術とのシナジーで、さらに高付加価値なソリューションの提供を目指す。

大陽日酸 3月期決算(13日)

2019年5月14日

[大陽日酸/3月期決算](13日)単位100万円、カッコ内は対前期増減率。▽連結(国際会計基準:IFRS)=売上収益740,341(14.6%)、コア営業利益65,819(9.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益41,291(▲15.6%)。

大陽日酸 導電性フッ素樹脂のコーティング材を開発

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2019年4月1日

 大陽日酸はこのほど、ステンレスタンクなどの基材表面に導電性のあるフッ素樹脂コーティング膜を形成する、導電性フッ素樹脂コーティング材を開発した。

 樹脂にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、溶媒には水を使用、コーティング膜の表面抵抗率は100~1万オーム毎スクウェア。同社の山梨研究所ではサンプル試作体制を整えており、今後は顧客への訴求とサンプル提供を進め、本格的な商品化を目指す。

 同社は、高い導電性を備えた長尺カーボンナノチューブ(CNT)の製造を行っており、極少量のCNTをフッ素樹脂粉末に均一に複合化することでフッ素樹脂に導電性を付与する、高機能フッ素樹脂の製造技術をもつ。今回、フッ素樹脂ディスパージョンにCNTを極少量複合化した、導電性フッ素樹脂コーティング材の開発に成功した。

 半導体分野や化学分野では、酸塩基液体や有機溶剤のような腐食性が高い液体が使用されるため、液体が接触するタンクや金属配管・バルブなどの流路にフッ素樹脂コーティング膜を施している。 

 従来のフッ素樹脂コーティング膜は、耐薬品性と耐熱性に優れるものの、その絶縁性のために生じる課題を抱えていた。絶縁体のコーティング膜を施した配管などに液体が流れると静電気を帯び、放電によるコーティング膜の破壊で、液体に基材の金属成分が混入するなどの問題が発生するもの。そのため、静電気の発生が抑えられる導電性があるフッ素樹脂コーティング膜が望まれていた。

 開発品を基材にコーティングすると、帯電防止レベル(100~1万オーム毎スクウェア)の導電性をもったコーティング膜が形成される。同コーティング膜は厚み方向にも導電性があるため、膜の表面と基材外表面で導通をとることも可能。

 さらに、極微量のCNTを複合化させているため、カーボンの脱落リスクも極めて低い。半導体分野や化学分野で使用されている装置、タンク・テーブル・バルブといった設備、配管や継手など部品への利用が期待されている。

大陽日酸 川崎にCO2フリー水素充填システムを設置

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2019年3月14日

 大陽日酸はこのほど、川崎水江事業所に再生可能エネルギーを利用したオンサイト型CO2フリー水素充填システムの設置を決定したと発表した。

 同プロジェクトは、環境省が公募した「平成30年度 二酸化炭素排出抑制対策事業等補助金(再エネ水素を利用した社会インフラの低炭素化促進事業『地域再エネ水素ステーション導入事業』)」の採択を受けて行うもの。

 同社は、川崎市が推進する「水素社会の実現に向けた川崎水素戦略」のもと、中規模オンサイト型充填基地のモデルとして、川崎市臨海部工場エリアに位置する川崎水江事業所内に施設の建設・設置を行い、今年12月の完成を予定。太陽光発電による再生可能エネルギーを活用し、燃料電池フォークリフト(FCFL)運用までの一貫したシステムを構築する。

 具体的には、同事業所内の社屋屋上に設置する太陽光パネルから得られる電力を利用し、水電解式水素発生装置で発生させた水素ガスを、事業所内のFCFL動力源として使用する。

 設備仕様については、太陽光パネル出力は60Kw、水電解水素発生装置能力6N㎥/h、水素圧縮機能力6N㎥/h、FCFL連続充填台数5台。運用するFCFLは、トヨタエルアンドエフ神奈川が環境省の「水素社会実現に向けた産業車両等における燃料電池化促進事業」および神奈川県からの助成を受けたFCFLをリース契約し、事業所内で運用する。

 同社は再生可能エネルギーによるCO2フリー水素の発生からFCFLへの充填・運用までを行うことで、エネルギー起源二酸化炭素の抑制に貢献するとともに、地域社会への水素の普及拡大、社会受容性向上の一環として、同事業を活用していく。

大陽日酸 米国でのHyCO事業と関連資産の買収を完了

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2019年3月4日

 大陽日酸は1日、100%子会社のMatheson Tri-Gas(米国テキサス州)を通じて、ドイツのLinde Aktiengesellschaftの子会社であるLinde Gas North Americaが米国で行うHyCO事業の1部と関連資産の買収を完了したと発表した。

 同事業は、天然ガスなどから水蒸気改質装置(SMR)などで分離される水素(H2)・一酸化炭素(CO)を、石油精製・石油化学産業などにパイプラインを通じて大規模供給するもの。

 買収による取得対象資産は、SMR式HyCOプラント(5カ所8基)とパイプライン、遠隔監視システム。取得価額は4億1307万ドル(約456億円)。取得事業売上収益(2017年12月期)は、約9100万ドル(約100億円)。

 大陽日酸グループは今回の買収を通じ、①H2・COのオンサイト供給による中長期での安定的な収益と、②HyCO事業の効率的な運営を可能とするリソース(人・技術)を獲得したのを機に、③米国での新規オンサイト需要(石油精製、石油化学など)での提案力を強化していく。

 

大陽日酸 国際二次電池展に新規導電性ペーストなど出展

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2019年2月26日

 大陽日酸は、東京ビッグサイトで2月27日~3月1日に開催される「第10回 国際二次電池展」に、先月発表した銅ナノ粒子を用いる導電性ペーストなどを出展する(ブース番号:W3‐13)。

 同開発品は、フィルム基材上に印刷・低温焼成し導電配線を形成させるもの。銅ナノ粒子を用い、バインダーと溶媒の配合の最適化により、基材への密着性が良好な導電性ペーストの開発に成功した。

 同ペーストを用いて、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの基材にスクリーン印刷し光焼成することで、比抵抗十μΩ・cmオーダー前半レベルの導電性を確保しながら、屈曲耐性やテープ剥離耐性を併せもつ。プリンテッド分野でのRFタグ(電子タグ)用途や感圧センサー用途での利用が期待されている。

 同社には、独自開発した酸素燃焼による金属ナノ粒子の合成技術があり、同プロセスで合成した銅ナノ粒子は、粒子径100㎚程度の表層が亜酸化銅で被膜された粒子(乾粉)になる。従来の湿式プロセスで合成したものとは異なり有機保護膜が無いため、焼結時のアウトガスが少なく極めて焼結性が高い。また、ひび割れの少ない焼結膜が得られるという。

 PETなどのフィルム基材上に導電配線を形成する手法としては、エッチングが一般的だが、工程が煩雑な上に真空蒸着装置などの高価な設備が必要なため、安価で簡便なプロセスが求められていた。

 今回の展示会では、同新規開発品のほか、負極材向け導電助剤(カーボンナノチューブ〈CNT〉分散液)、高性能正極材(マンガン酸リチウム)、導電助剤(CNT粉末、ドローワブル)、電極用カーボン材料(CNTマット)などを紹介する予定。

 

大陽日酸 4-12月期決算(5日)

2019年2月6日

[大陽日酸/4-12月期決算](5日)単位100万円、カッコ内は対前年同四半期増減率。▽連結(国際会計基準:IFRS)=売上収益518,030(9.9%)、コア営業利益43,871(▲4.0%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益27,234(▲31.9%)。

大陽日酸 米子会社がHyCO事業と関連資産を買収

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2018年12月14日

 大陽日酸は13日、100%子会社のMatheson Tri‐Gas(Matheson、米国テキサス州)を通じて、ドイツのLinde Aktiengesellschaft(Linde AG)の子会社であるLinde Gas North America(Linde America)が米国で行っている、HyCO事業の一部と関連資産を買収する契約を同日締結したと発表した。

 同事業は、天然ガスなどから水蒸気改質装置(SMR)などで分離される水素(H2)・一酸化炭素(CO)を、石油精製・石油化学産業などにパイプラインを通じて大規模供給するもの。

 取得対象資産はSMR式HyCOプラント5カ所とパイプライン、遠隔監視システム。取得価額は約468億円。取得完了日に取得価額を現金で支払う。支払い時点では短期のブリッジローンで調達し、取得完了後、速やかに長期借入に借り換える。米国連邦取引委員会の承認が得られれば取得完了となる。

 大陽日酸は中期経営計画「Ortus Stage 2」での戦略として、M&Aを活用したガステクノロジーの領域拡大を目指しており、製品ラインアップ拡充による提案力強化の観点から、HyCO事業への本格的参入を検討していた。

 今回の買収によりこれが実現し、同社グループとして、①H2・COのオンサイト供給による中長期での安定的な収益の獲得②HyCO事業の効率的な運営を可能とするリソース(人・技術)の獲得③米国での新規オンサイト需要(石油精製や石油化学など)での提案力強化が期待できる。

 今回の買収は、昨年6月1日付で、Linde Americaの親会社であるLinde AGが、Praxairと合併することで合意したことに始まる。今年10月22日に、米国連邦取引委員会が、Linde AGが同社の米国事業の一部(HyCO事業の一部を含む)を第三者に譲渡することを条件に、合併を承認した。これを受けてMathesonは、今回の買収契約をLinde Americaと締結した。