旭化成 UVC LEDの新型コロナ不活化効果を確認

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2021年6月16日

 旭化成はこのほど、奈良県立医科大学の2講座と検証を行った結果、226㎚UVC LEDが新型コロナウイルスを速やかに不活化することができ、かつ動物細胞への影響も既存の270㎚UVC LEDに比べて少ないことが世界で初めて確認されたと発表した。

266nmUVC LED検証 UVC光照射時間に対するウイルス感染価の推移
UVC光照射時間に対するウイルス感染価の推移

世界で新型コロナの感染症拡大が進む中、薬剤を使わない 殺菌手段として、紫外線照射による殺菌が注目されている。しかし、従来の水銀ランプ(波長254㎚)やUVC LED(波長260~280㎚)では人体細胞への影響が懸念されるため、人体へ直接照射することは避けられてきた。一方、昨年エキシマランプを採用した波長222㎚の紫外光照射器製品が発表され、人体にほとんど影響がないことから、実用化が進んでいる。ただ、レイアウトの自由度向上、小型軽量化、耐衝撃性向上、ON/OFFの高速性などの観点からエキシマランプはLED化することが強く望まれている。

 旭化成では、すでに事業化しているUVC LED技術を活用し、短波長化の検討を推進。今回、開発中の226㎚UVC LEDによる検証を行った。新型コロナの不活化では、発光波長226㎚UVC LEDを100個使いアレイ状照射器を作製。また、対照用として発光波長270㎚製品も用意した。なお、実験に使用したUVC LEDは、すべて米国クリスタルIS社の窒化アルミニウム基板をもとに作製されている。

 シャーレに新型コロナウイルス液を塗りつけた後に乾燥させUVC LEDを照射。どちらの波長も6秒程度照射することで99.9%まで不活化されることが確認できた。また動物細胞に与える影響については、マウス皮膚細胞への影響を検証。226㎚の照射では100ミリジュール/㎠では影響がほとんどなく、500ミリジュール/㎠でも270㎚に比べて細胞傷害性が低いことが示された。これらの結果、226㎚UVC LEDは、新型コロナを速やかに不活化することができ、動物細胞への影響も既存の270㎚のLEDに比べて少ないことを確認。これは手指や体の周辺殺菌にも安心して使用できる可能性があることを示している。

 同社は今後、製品化のためには、さらに発光出力向上のブレイクスルーが必要であることから、引き続き研究開発を進めていく。

 

JBA 「バイオインダストリー大賞」の受賞者を決定

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2020年7月22日

 バイオインダストリー協会(JBA)はこのほど、第4回「バイオインダストリー大賞」の受賞者を決定した。大賞に輝いたのは、北沢剛久氏(中外製薬研究本部創薬薬理研究部長)が率いる中外製薬と、吉岡章氏(奈良県立医科大学名誉教授)らの同大学のグループ。「血液凝固第Ⅷ因子機能を代替するバイスペシフィック抗体医薬の創製による血友病Aの治療革命」の業績に対して贈られた。

 同研究グループは、血友病Aに対し「バイスペシフィック(二重特異性)抗体」で生体内タンパク質の作用を代替するという独創的発想から創薬研究にチャレンジし、「ヘムライブラ皮下注」を開発した。同新薬は従来製剤と比較し、患者と家族のQOLの劇的な向上や症状の軽症化に加え、医療費のコストダウンが期待される画期的な治療薬。昨年までに世界約100カ国で承認されており、その売上は日本円換算で1500億円を超え、極めて高い社会的インパクトのあるブロックバスターとなった。

 創薬研究から臨床開発を一貫して産学連携で進め、抗体医薬生産技術を確立。世界に先駆けた日本発の創薬であり、今後、新たな機能性抗体医薬の創出など国内外のバイオインダストリーの発展に大きく寄与するものと期待されることから、その業績が高く評価された。

 「バイオインダストリー大賞」は2017年、JBAが30周年を迎えるのを機に、次の30年を見据えて〝最先端の研究が世界を創る―バイオテクノロジーの新時代―〟をスローガンに創設。バイオインダストリーの発展に大きく貢献した、または、今後の発展に大きく貢献すると期待される顕著な業績を表彰している。

 今回、科学技術振興機構の顧問・相澤益男氏を選考委員長とする13人の選考委員会により厳正な審査を経て、受賞者1件を決定した。副賞は300万円。贈呈式・受賞記念講演会は今秋10月14日に、国際的なバイオイベント「BioJapan 2020」の会場(パシフィコ横浜)で開催される予定。