帝人など 心・血管修復材の臨床試験、被験者登録を完了

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2021年1月28日

 帝人、大阪医科大学、福井経編興業の3者は27日、共同で開発を進める「心・血管修復パッチ OFT-G1(仮称)」の臨床試験について、目標としていた症例数の被験者登録を完了したと発表した。今回登録された被験者は、0歳児から成人までの幅広い年齢層の患者で、様々な先天性心疾患をもつ。今後、手術後1年間の安全性や有効性のデータについて評価を行った後、製造販売承認の申請に向けて準備を進めていく。

埋植された「心・血管修復パッチ」 (イメージ)

 「心・血管修復パッチ」は、大阪医大の心臓血管手術に関する豊富な知見、福井経編興業の優れた経編技術、帝人のポリマー解析技術を組み合わせて創出された医療材料。世界最先端の治療を早期に提供できるよう、これまで日本医療研究開発機構(AMED)や厚生労働省など様々な支援を受け、開発を推進している。

 現在、組織欠損部の補填や狭窄部の拡大などの修復を要する心臓血管手術を受ける患者は、治療の進歩により、生存期間の長期化が可能になった。そのため、患者の成長に伴って修復パッチが伸長することにより、パッチを埋植した部分に狭窄が起こりにくい治療法や、長期間の留置によるパッチの劣化や石灰化に起因する再手術を低減できる治療法に対する期待が高まっている。「心・血管修復パッチ」は、体内に埋め込んだ材料の一部が自己組織と一体化し、身体の成長に合わせて伸長可能な構造をもつ。実用化すれば、先天性心疾患患者の再手術のリスク低減につながり、患者や家族の肉体的・経済的な負担を軽減することが期待される。

 3者は、国内での「心・血管修復パッチ」の1日も早い承認申請と上市を目指し、将来的には適応拡大や、海外での事業化も検討していく。そして、今後も医療機器開発を通じて、先天性心疾患患者の治療とQOL向上に貢献していく考えだ。

帝人 欧州サステナブル先端技術開発センターを新設

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2021年1月22日

 帝人は21日、「環境価値ソリューション」に関するハブ機能として、オランダのアーネム市に「欧州サステナブル先端技術開発センター」(ESTIC)を開設したと発表した。

 近年、各国でカーボンニュートラルの目標が宣言されるなど、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが世界的に加速。こうした中、帝人グループでは、中期経営計画の中で、世界的な地球環境の目標達成に貢献する製品やサービスを「環境価値ソリューション」として提供することや、環境負荷低減に関する長期目標を掲げ、事業や活動を展開している。今回、世界の中で環境意識が高い欧州に新たに開発拠点を設けることで、「環境価値ソリューション」に関わる取り組みを強化していくことを目的としている。

 また、中計の重点施策の1つに、「イノベーション創出基盤の強化による継続的かつ的確な事業機会の創出および市場開拓の加速」を掲げている。ESTICの設立により、イノベーション推進体制の強化、グループ内外の協創強化による革新的製品とサービスの拡充、ダイバーシティ&インクルージョンの推進による組織の活性化やイノベーション創出の加速などの取り組みを一層強化していく。

 今後、ESTICは「環境価値ソリューション」のハブ機能として、グローバル視点でビジネスをつなぎ、環境負荷低減に取り組むとともに、サーキュラーエコノミーに関する新たな事業分野の創出にも挑戦する。また、グループ外のハブや研究機関などとの協創関係を構築するため、オランダのリンブルグ州にある国際的なオープンイノベーションコミュニティにも拠点を設けるなど、外部とのコミュニケーションを積極的に行う。

 帝人グループは、ESTICの機能を活用してサステナブルな製品や技術の開発を行い、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指すとともに、SDGsの目標達成に貢献していく。

 

 

帝人 インターナルカーボンプライシング制度を導入

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2021年1月15日

 帝人は14日、同社グループの設備投資を対象として、インターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入したと発表した。今後、CO2の排出増減を伴う設備投資計画については、今回設定した社内炭素価格(同社グループ内グローバル共通価格)、50ユーロ(6000円)/t-CO2を適用し、仮想的な費用に換算して投資の判断基準の1つとして運用していく。

 同社は中期経営計画の中で、環境負荷低減の長期目標として、CO2排出量を2030年度までに2018年度比20%削減、2050年度までに実質ゼロの達成を掲げている。また、サプライチェーン全体でCO2の排出削減を促進し、2030年度までに、削減貢献量をグループ全体およびサプライチェーンの川上での総排出量以上とすることを目標としている。

 同社は今回、ICP制度を導入することにより、CO2排出削減に資する設備投資計画を後押しし、CO2排出削減に関する長期目標の達成を目指すとともに、将来予想されるグローバルでの炭素価格の上昇に備えた対策とする考えだ。

 

《化学企業トップ年頭所感》帝人 鈴木純CEO

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2021年1月8日

 新型コロナウイルスは社会の様相を大きく変え、帝人グループの事業も大きな影響を受けた。2021年を迎えたが大きな改善は見られず、ウイズコロナの環境をニューノーマルと捉え、感染予防を前提とした生活や業務を続けることが必要だ。負の影響だけではなく、遠隔医療などデジタル化で急速に進展する可能性が高まった事業もある。こうしたチャンスを確実に捉えるために、できることを可能な限り前倒しで進めたい。

 グローバル展開のため、各国の行動制限などの影響を受けやすい事業もある。特にマテリアル事業は大きな影響を受けたが、繊維・製品事業は医療用防護具など社会と事業業績に大きく貢献した。ヘルスケア事業やIT事業の下支え、北米自動車産業の想定以上の回復など、通期業績見通しは新型コロナ発生前の想定に近づきつつある。

 中期経営計画の取り組むべき社会課題は長期的視点で選択しており、長期ビジョンや戦略に大きな変更はない。各施策は、足元の状況を把握し最善な方法を検討して俊敏に行動に移す、変化への対応力が求められる。未来の社会から見て正しいと思える価値を提供する方法やタイミングは、再確認してほしい。

 社員に意識してほしいことは、まず「安全の確保」だ。安全に対する意識向上を徹底し、事故につながる要因を排除する。次は「認知力と俊敏性」で、変化の速い社会で状況を正しく認知し素早く対応する俊敏性だ。異なる視点や認知力をもつ人たちと話し、異なる意見に耳を傾け、正しいと思える認知を得たら速やかに行動に移し、変化する社会に合ったイノベーティブな価値の創造や提供につなげる。そして「リスクの捉え方とリスクテイク」だ。不確実な世界では、リスクを取らずに今までの事業環境に留まるという考え方では適応できない。イノベーティブな価値提供のためにきちんとリスクテイクした試みは、失敗とはしない形にしたい。

 我々は「未来の社会を支える会社になる」ため、持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。社員が一丸となりたゆまぬ変革と挑戦を続け、社会とともに歩んでいくこと、さらには社会に先鞭をつけていくような会社になるということを新年の抱負としたい。

帝人 全国高校サッカー選手権大会に高機能マスクを提供

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2020年12月25日

 帝人は24日、今月31日から開催される「第99回全国高校サッカー選手権大会」に高機能マスク6000枚を提供すると発表した。同社は企業理念に基づき、「アマチュアスポーツ支援」「青少年のスポーツ支援」といった社会貢献の一環として、1991年から同大会に協賛。今年で30周年を迎えるのを機に、コロナ禍の開催に貢献する。

高校サッカーに提供する高機能マスク
高校サッカーに提供する高機能マスク

 今回提供する高機能マスクは、繊維・製品事業を展開する帝人フロンティアの「洗える!抗ウイルス加工マスク」。特殊セラミックなどを使用して抗ウイルス・抗菌防臭効果を発揮するとともに、ストレッチ性、吸水速乾やUVカット機能などを併せもち、スポーツシーンにも適している。

 

帝人 中国社とセパレータの包括的ライセンス契約を締結

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2020年12月23日

 帝人は22日、中国・上海エナジー社との間で、LiBに使用される溶剤系コーティングセパレータの製造に関する包括的な技術ライセンス契約を締結したと発表した。

 帝人は昨年11月、世界トップクラスの基材生産能力とコスト競争力を持つ上海エナジー社との間で、車載用LiBに使用されるフッ素系化合物による溶剤系コーティングセパレータの製造に関する技術ライセンス契約を締結。帝人のコーティング技術と、上海エナジー社の基材生産能力、コスト競争力とを融合して生産するセパレータは、顧客から高い評価を得るなど市場ニーズの高さが確認されている。こうした状況を受けて帝人は、同社とのライセンス契約をさらに充実させ、対象用途を広げることでさらに幅広い需要に応えられると考え、今回の契約締結に至った。

 今回の契約で対象となるのは、フッ素系化合物のコーティングセパレータに、アラミドのコーティングセパレータを加えた、帝人保有の溶剤系セパレータ関連の特許。耐熱性に優れるアラミドのコーティングセパレータを追加することで、より安全性に優れるセパレータを実現できる。対象となる用途は、従来の車載用に加え、スマートフォン、タブレット、モバイルパソコンなどの電子機器用や、電力貯蔵システム用など。また、今回のライセンス契約とともに締結した開発受託契約により、帝人は、上海エナジー社からコーティングセパレータに関する開発業務の一部を受託し、さらに高容量で安全性に優れるLiBの実現に向けてセパレータを開発していくことになる。

 帝人は今後、今回の契約締結を足掛かりに、EV、電子機器、電力貯蔵システムなどの用途に求められるLIBの実現に向けてセパレータの開発を積み重ね、市場におけるプレゼンスの向上を目指す。また、顧客が上海エナジー社に求める機能性や安全性を満たすためコーティング技術を提供し続けることで、溶剤系コーティングセパレータの市場においてシェア向上を図っていく。

帝人 中国・複合成形材料合弁会社を完全子会社化へ

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2020年12月17日

 帝人はこのほど、子会社CSPが持分法適用関連会社としている中国のCSP‐Victallを完全子会社化すると発表した。投資金額は約49億円。

 近年、環境負荷低減を目的に自動車のEV化が求められ、近未来のモビリティ像として「CASE」が示されている。自動車産業では、今後予想される様々な変化にいち早く対応し、次世代型自動車に必要な軽量化や多機能化を実現するため、ビジネスモデルの変革が喫緊の課題だ。

 こうした課題に対応するため、帝人グループは自動車向け複合成形材料事業を〝ストラテジック・フォーカス〟と位置づけ、マルチマテリアルによる自動車メーカーの部品供給パートナーとなることを目指しており、2017年のCSP買収以来、北米、欧州、アジアの三極をベースとしたグローバルティア1サプライヤーとして、軽量・高強度な自動車向け複合成形材料事業展開を強化している。

 中国では、CSPと中国の鉄道向け部品およびモジュールメーカーであるVictallとの合弁であるCSP‐Victallが事業を展開してきたが、今回、帝人グループでの効率的な事業運営を行うとともに、技術の積極的な導入による事業拡大や生産性の向上を図るため、CSP‐Victallの完全子会社化を決定した。今後、CSP‐Victallの事業で需要拡大が想定されるEVバッテリーボックス用途の供給拡大を図るなど、さらなる事業強化を進めていく。

 

帝人 マルチマテリアルによるバッテリーボックスを開発

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2020年12月15日

 帝人はこのほど、電動車に求められるバッテリーの環境効率や安全性の向上に貢献することを目指し、マルチマテリアルによるコンポジット製バッテリーボックスを開発したと発表した。

マルチマテリアルによるバッテリーボックス
マルチマテリアルによるバッテリーボックス

 従来、バッテリーを格納するバッテリーボックスは、主に鉄やアルミニウムなどの金属材料を用いることで強度や剛性を担保しているが、軽量性や、バッテリーおよび乗員の保護に必要な耐火性や耐熱性、複雑な車両レイアウトに適応する形状自由度などでは課題があった。

 こうした中、帝人グループは、独自の高機能素材やエンジニアリング技術、成形技術を駆使して、複合材料(FRP)と金属材料を最適条件で組み合わせてマルチマテリアルのバッテリーボックスを開発。特徴として、①FRPには炭素繊維またはガラス繊維を使用することが可能、②FRPをプレス成形することで複雑な形状を一体成形できるため、容易にシール性を確保して安全性を担保でき、製造コストの最適化も実現、③車種ごとに異なるサイズに適切に対応しながら従来と同等の剛性や耐衝撃性を確保するためフレームには金属を使用、④アルミニウム製の従来品と同等の軽量化に加え、耐火性や寸法安定性、耐腐食性にも優れ、FRP製のトレイやカバーには電磁波シールド性を付与することも可能、といったことが挙げられる。

 同社は今後、開発したバッテリーボックスについて、国内の複合材料技術開発センターや、米CSP社、独テクニカルセンター(TACE)などの設備や人財を活用し、顧客ニーズに沿った最適な設計や改良を行い、2025年からの量産開始を目指していく。同社は、マルチマテリアルでの部品供給メーカーとして、ソリューション提案力の強化を進め、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業で売上20億ドル規模を目指す考えだ。

帝人 自動車向け複合成形材料、米に先端技術の開発拠点

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2020年12月15日

 帝人は14日、軽量複合材料製品の生産・販売・技術開発を手がける米CSP社が、ミシガン州に「アドバンスド・テクノロジー・センター」(ATC)を開設したと発表した。

CSPの米アドバンスド・テクノロジー・センター(ATC)
CSPの米アドバンスド・テクノロジー・センター(ATC)

 2017年に帝人グループに加わったCSP社は、主力材料である「GF-SMC」と、帝人がもつ複合成形材料や炭素繊維に関する知見を融合し、EVやハイブリッド車など次世代の環境配慮型の自動車に求められる、軽量で高強度な部品開発を強力に推進している。こうした中、自動車向け複合成形材料事業の日本・欧州にある各研究開発拠点との共同開発強化に向けATCを開設し、マルチマテリアルでのグローバル・ソリューション・プロバイダーとしての地位をより強固なものにする。

CSPが開発したハニカム構造パネル
CSPが開発したハニカム構造パネル

 今回、ATC初のプロジェクトとして、CSP社がこれまで進めてきた画期的な軽量ハニカムパネルの開発に成功。同パネルは、軽量なハニカムコア材料を、繊維にポリウレタン樹脂を含浸させた外板で覆ったサンドイッチ構造をしており、超軽量で強度に優れ、深絞り、鋭角といった複雑な形状の成形が可能となっている。また、自動車業界で「クラスA」と称される美麗な外観をもつ外板パネルにも適用することができ、幅広い用途展開が期待される。

 帝人グループは、マルチマテリアルでのティア1サプライヤーとして、使用材料の拡充から部品設計にまで踏み込んだソリューション提案力の強化や、グローバルでの安定供給体制の確立を進めていく。そして、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業の売上を20億ドル規模へと拡大していく考えだ。

帝人 高機能繊維と木材とのハイブリッド素材を展開開始

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2020年12月7日

 帝人はこのほど、2015年からAFRWとして展開してきた高機能繊維を用いた複合材料集成材を、新たに「LIVELY WOOD」ブランドとして展開していくと発表した。ブランド名には、「空間に美しさを、人に活力を」という意味を込め、ロゴには日本伝統の建築技術である組み木と、活力の象徴である太陽を織り交ぜて表現している。

 「LIVELY WOOD」は剛性が木材の2倍以上で、建築材の梁に使用すると設計の自由度が向上する。幅広い用途への活用が期待されることから、これまで木材を採用できなかった建築物への使用を推進。梁や柱のない広いオープンスペースの実現により、人々の生活により快適性の高い空間を提供していく。

 そして今回、第1弾の展開として、JR名古屋駅南側で、新幹線の高架下を利用して建設される地上2階建ての「笹島高架下オフィス」へ、社外の建築施設として初採用が決定。同オフィスの建築には、炭素繊維と木材のハイブリッドである「LIVELY WOOD」の特徴を生かし、6m超の柱間隔、3mを超えるオーバーハング設計によるダイナミックな空間と、従来の木造建築物と同等の軽量性による簡易的な基礎の両立を実現した。

 また、建築に使用する「LIVELY WOOD」の木材には、愛知県産のスギを使用する予定。スギを建築物の構造材に使用する場合、断面を大きくする必要や、長いスパンが取れないなどの制約がある。さらに今回は、鉄道高架下での建築であるため高さや施工条件にも制限がある。しかし、スギを補強して剛性を高めた「LIVELY WOOD」は、それらを解消することができ、地産地消にもつながる。

 帝人は、グランピング施設や、世間で注目を集めているワーケーション施設、中低層のオフィスビルなど、多岐にわたる建築物に向けて

「LIVELY WOOD」の採用を推進。今回の採用を契機にさらなる普及を図り、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していく考えだ。

LIVELY WOOD ロゴ
LIVELY WOOD ロゴ