わが国化学産業、コロナ影響拡大で厳しい局面に
トップの方針が重要、経営力で逆境を乗り越える
わが国化学産業は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の減速により、厳しい局面を迎えている。日本の4-6月期のGDPは年率ではマイナス28.1%となり、過去最大の落ち込みとなった。各国が経済活動を再開したことで、景気は回復に向かっているが、コロナ感染が再拡大する懸念が払拭できず、先行き不透明な状況にある。企業トップは目指すべき方向をしっかり示し、経営力で逆境を乗り越えていかなければならないだろう。
コロナ禍により、事業環境も激変している。コモディティの分野では、原油価格の下落を背景に市況の低迷が続いており、高稼働を維持することが課題となっている。またスペシャリティの分野でも、5GやCASEといった成長市場に各社が参入しており、製品の差別化だけでなく価格競争も激化している。各社は生き残りを図るために、生産体制の最適化やコストダウン、またデジタル化への対応など、早急に手を打っていかなければならない。
一方、環境問題への取り組みも大きなテーマだ。プラスチックごみの削減に社会の関心が集まるなど、サステナブルがキーワードとなっている。各社はプラスチックの有用性やリサイクル性を訴え、社会に対しソリューションを提供していく必要がある。
今回の「新社長インタビュー特集」では、厳しい経済環境の中、いかに収益基盤を安定させ、将来への成長へとつなげていくか、今年度から就任した新社長の方々に抱負と今後の戦略を聞いた。
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積水化学工業 加藤敬太社長
▽業容倍増を目指し、今期は体力強化と経営基盤強化を図る
日鉄ケミカル&マテリアル 榮 敏治社長
▽機能材料を大きな柱に、選択と集中で経営資源を有効活用
ダウ・ケミカル日本 桜井恵理子社長
▽幅広いポートフォリオとネットワーク、イノベーションに貢献
テクノUMG 山脇一公社長
▽統合のシナジー効果を最大化、「飛躍」のステージへ導く
日本ポリエチレン 山田清隆社長
▽高付加価値化を推進、再投資できる収益体制を目指す
PSジャパン 室園康博社長
▽リーディングカンパニーを堅持、安心と価値を提供
新日本理化 三浦芳樹社長
▽マーケットインで、オンリーワンの技術と信用を届ける企業に