日本触媒 抗菌効果のある化粧品素材をファンケルと共同で開発

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2020年9月15日

 日本触媒は14日、ファンケルと、大気中の花粉やPM2.5など微粒子が肌や毛髪に付着することを防ぎ、かつ抗菌、抗ウイルス効果をもつ新規ポリマーの共同開発に成功したと発表した。この新規ポリマーは保湿効果もあり、様々な外的刺激因子から肌や毛髪を守ることを目的とした商品への応用が期待できる。

 肌の角層中に含まれる細胞間脂質は、水分保持機能とバリア機能をもつことが知られている。両社は、細胞間脂質が親水基と疎水基の両方から構成されていることに着目し、親水性モノマーと疎水性モノマーで構成される新規ポリマーを分子設計した。これに基づき日本触媒のポリマー合成技術を活用し、水分保持機能と被膜形成能を両立した新しいポリマーの開発に至った。

 開発した新規ポリマーは、①微粒子付着防止効果②保湿効果③抗菌・抗ウイルス作用の3つの効果を発揮する。同ポリマーを配合した化粧品は、肌や毛髪への微粒子の付着を防ぎ、様々な外的因子によるダメージから守るとともに、潤いを与えることが期待される。

 なお、今回の成果の一部は、今年3月に京都で開催された「日本薬学会第140年会」で発表。さらにオンラインで開催される「第31回IFSCC学術大会2020横浜大会」(10月21~30日)でも発表される予定だ。

花粉付着抑制効果(人工皮膚)
花粉付着抑制効果(人工皮膚)
PM2.5付着抑制効果(人工皮膚)
PM2.5付着抑制効果(人工皮膚)

日本触媒 三次元細胞培養容器を変形性膝関節症の研究へ提供

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2020年9月4日

 日本触媒はこのほど、独自開発した3次元細胞培養容器「ミコセル」を、そばじまクリニック(大阪府東大阪市)で開始する脂肪幹細胞凝集塊による臨床研究に提供すると発表した。今回の臨床研究は、患者自身の脂肪由来幹細胞を用いた変形性関節症に対する臨床研究で、「第2種再生医療等計画」を再生医療等委員会へ申請し承認された。

 「ミコセル」は、培養基材表面に細胞が適度に接着する非生物由来の材料で作られており、粒子径の揃った細胞凝集塊を多量に作製できることが特徴。細胞凝集塊では、従来の2次元で培養された細胞とは異なり、体内の状態に近い細胞が得られることが知られており、細胞凝集塊の作製技術は近年注目されている。

 市販されている細胞凝集塊形成を目的とした培養容器は、容器内部に細胞接着性の低い処理を施したものが一般的で、得られる細胞凝集塊は基材との相互作用をしない状態(浮遊状態)。これに対して、「ミコセル」は培養基材表面に細胞が適度に接着した細胞凝集塊が形成するため、他の培養容器で形成される浮遊の細胞凝集塊にはないさらなる高機能化と、投与疾患部で有効に働く効果が期待されている。

 また、「ミコセル」で作製した細胞凝集塊は、今回の臨床研究開始にあたり、2次元で培養された細胞や他の3次元培養容器で作製した浮遊の細胞凝集塊と比較して高い機能と安全性をもつことを非臨床で確認している。

 さらに、ミコセルは①培養時の培地交換が容易で操作性に優れる、②容器内部に設置した区画分けで均一な大きさの細胞凝集塊が多量に形成する、③細胞凝集塊の形成後に、薬剤を用いることなく凝集塊の剥離・回収が可能、といった特徴があり、効率的な細胞凝集塊の作製を実現する。

 日本触媒は、今回の臨床研究を通じ、「ミコセル」を使い作製した細胞凝集塊の安全性が実証されることにより、細胞凝集塊を用いた治療の実用化と再生医療のさらなる発展に向けて大きく貢献ができると考えている。

「ミコセル」の特徴
「ミコセル」の特徴

 

日本触媒 有機電子デバイス高機能化に貢献、新技術を開発

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2020年9月1日

 日本触媒は31日、NHKと共同で有機ELの低消費電力化と長寿命化に寄与し、様々な有機エレクトロニクスデバイスの高性能化にも用いることのできる新しい電子注入技術を開発したと発表した。

 これまで、有機ELをはじめとする有機エレクトロニクスデバイスでは、電極金属と有機材料の間での電子のやり取りをスムーズに行うことを目的にアルカリ金属などの材料が用いられてきたが、これらは有機材料との反応性が高いことからデバイスの劣化の要因とされている。またアルカリ金属は空気中の酸素や水分に弱く厳重な封止を必要とするため有機薄膜デバイスのフレキシブル化に対し課題となっていた。

 こうした中、両社は、電極金属と有機材料との間に大きな分極を生じさせる配位結合を用いた電子注入技術により、アルカリ金属のような反応性の高い材料を用いることなく有機ELの低消費電力化と長寿命化を実現できることを見出だした。

 この配位結合による新たな分極型電子注入技術は、有機ELの低消費電力化や長寿命化へ資することはもちろん、電子の取り出し技術へも応用することで、有機太陽電池のエネルギー変換効率の向上や有機センサーデバイスなどの高感度化などへも寄与できると見られ、フレキシブルデバイスの早期実現への貢献が期待される。

 また、日本触媒が開発中の「iOLED」フィルム光源に対しても、既存製造設備への適用が可能となり製造プロセスの簡略化による大幅なコスト削減が期待できる。同技術に用いた材料は塩基性の有機化合物で、種々の金属元素への配位によって安定な錯体を形成し、その配位力の強さに応じて金属原子との間で電荷の偏り(分極)が発生する。

 同社はこの有機化合物について数種類の誘導体を設計・比較することで、配位力の強さと電子注入性の間に相関があることを見出だし、有機化合物と金属を含む陰極との界面で生じる分極が電子注入を促進していることを明らかにした。

 なお、今回の研究成果は、7月24日に「Nature Communications」誌に掲載された。

有機エレクトロニクスデバイス 分極型電子注入技術
有機エレクトロニクスデバイス 分極型電子注入技術

日本触媒 人事(10日)

2020年8月19日

[日本触媒・人事](10日)▽解兼シラス,Inc.社長、執行役員、事業創出部門管掌補佐、健康・医療事業開発室担当、マロネート事業室担当、化粧品事業室担当金井田健太▽シラス,Inc.社長Robert Goodnight。

日本触媒と三洋化成 統合会社の大阪と東京のオフィスを選定

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2020年8月17日

 日本触媒および三洋化成はこのほど、2021年4月に設立予定の統合持株会社「Synfomix」の大阪本社および東京本社の新オフィスを選定したと発表した。

 新会社設立当初は、日本触媒の大阪・東京の本社に本社機能を持たせるほか、両社の既存オフィスを継続使用するが、「働く場」の融合による統合シナジーの最大化と統合新社のさらなる発展を企図して、大阪・東京本社の機能を2021~2022年に新オフィスへ移転する予定。

 新オフィスは、大阪本社が大阪梅田ツインタワーズ・サウス(建設中)27・28階で、2022年冬に移転を予定。一方、東京本社は、新橋田村町地区市街地再開発事業(仮称:建設中)24・25階で、移転時期は2021年10月~2022年3月を予定している。

ジャパンコンポジット DIC化工のSMC事業など買収

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2020年8月7日

 ジャパンコンポジット(三井化学65%、日本触媒35%)は6日、DIC化工のSMC(シートモールディングコンパウンド)および成型加工事業を買収することで合意し、今月3日に譲受契約を締結したと発表した。なお、買収した事業は「JC化工」となり、今年12月1日から営業開始する予定。

 不飽和ポリエステル樹脂(UP)に充填剤やガラス繊維などを混合したコンパウンドをシート状にしたSMCは、耐水性や耐熱水性、高い強度から、キッチン・トイレ・バスなどの住宅設備、自動車など幅広い用途で使われている。

 近年、住設関係ではリフォーム需要の拡大により、ジャパンコンポジットが得意とする高機能・高意匠性SMCへのニーズが拡大。また、自動車用途では、EV化、軽量化ニーズの拡大により、構造部品や外装に耐熱・強度・寸法安定性に優れたSMCの需要拡大が進む。

 今回、ジャパンコンポジットはDIC化工のSMC事業を取り込むことで、SMC生産能力が1.7倍の3万3000tに増強。2拠点体制(清水、成田)となり、より安定・強固な供給体制が整う。また、原料であるUPからSMC、そして成型加工までの一貫したサプライチェーンが構築されることとなり、顧客へのソリューション提案力をより一層強化することが可能となる。

 同社は、モビリティソリューション戦略強化に向け、様々な素材・技術、金型、試作支援機能を活用し、繊維強化複合材であるSMCのモビリティ用途のグローバル展開を強化していく考えだ。

SMCの製造工程
SMCの製造工程

日本触媒の4-6月期 需要減・販売価格低下で減収減益

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2020年8月5日

 日本触媒は4日、2021年3月期第1四半期(4―6月期)の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年同期比18%減の629億円、営業利益60%減の15億円、親会社所有者帰属の四半期利益52%減の16億円となった。新型コロナウイルス感染症や米中貿易摩擦の影響による世界景気の減速などを受け、原料価格や製品海外市況の下落で販売価格が低下したことや、販売数量が減少したことにより減収減益となった。

 セグメント別に見ると、基礎化学品事業は、売上収益23%減の250億円、営業利益89%減の2億円。アクリル酸およびアクリル酸エステル、エチレングリコールは、需要低迷により販売数量が減少し、製品海外市況の下落に伴い販売価格が低下した。酸化エチレンは、エチレンなどの原料価格下落により販売価格が低下し、販売数量も減少した。セカンダリーアルコールエトキシレートは、拡販に努め販売数量を増加させたものの、原料価格下落に伴う販売価格の低下が響いた。

 機能性化学品事業は、売上収益15%減の355億円、営業利益10%減の10億円。高吸水性樹脂は、販売増もプロピレンなどの原料価格や製品海外市況の下落を受け、販売価格が減少した。特殊エステルと無水マレイン酸は、需要低迷により販売数量が減少したほか、販売価格低下の影響を受けた。洗剤原料などの水溶性ポリマーは、拡販による販売増で増収。コンクリート混和剤用ポリマー、電子情報材料、ヨウ素化合物などは販売数量が減少した。

 環境・触媒事業は、売上収益5%減の24億円、営業利益117%増の2億円。プロセス触媒と脱硝触媒は販売数量が減少した。燃料電池材料、リチウム電池材料、湿式酸化触媒および排ガス処理触媒は、拡販により販売数量を伸ばし増収となった。

 なお同日に、コロナ禍による影響を合理的に算出することが困難とし未定としていた通期業績予想を発表した。売上収益は前年度比11%減の2700億円、営業利益は47%減の70億円、親会社所有者帰属の当期利益は46%減の60億円を見込んでいる。

 

日本触媒 DS&I推進室でデータ駆動型の研究開発を強化

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2020年7月27日

 日本触媒はこのほど、事業創出本部の吹田地区研究所内に「データサイエンス&インフォマティクス推進室」(DS&I推進室)を6月1日に新設したと発表した。

 同社は過去10年にわたり、データサイエンス(DS)とマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を独自に運用しており、製法・物性・計測など多角的な研究データをベイズ推定(数値データから過去の経験まで様々な情報を確率的に統一して扱う方法論)により統合的に解析することで、アクリル酸触媒や高吸水性樹脂をはじめとする材料開発を推進してきた。

 近年、製品開発全般で多様化する顧客ニーズへの対応と事業化までのリードタイム短縮への要求が益々高まっていることから、DS&I推進室を新設し、これまでDSやMIで蓄積した技術と知見をさらに発展させ、データ駆動型の研究開発を全社的に強化していく。

 DS&I推進室では将来を見据えた設備投資と技術実証を行うとともに研究開発者のデータリテラシーの醸成を重要視し、当該人材の継続的育成と全研究部門への適切な配置を進めていく。中長期的には組織横断的な情報基盤の構築に取り組むことで、同社のデータ資源を研究開発戦略上のさらなる協みへと変革し、探索研究から事業化までの飛躍的な確度向上と期間短縮を目指す。

 

日本触媒 コロナ対策の医療体制整備を支援、1000万円を寄附

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2020年6月12日

 日本触媒は11日、新型コロナウイルス感染症の再流行や長期化が懸念され、社会や経済に広範かつ甚大な影響が生じていることを受け、医療体制整備支援のため「関西・新型コロナウイルス医療体制支援基金」に1000万円を寄附すると発表した。同社は5月にも、医療従事者などへの支援のため2000万円を寄附している。

 同社グループは、引き続き社会生活を支える製品の安定供給に努めるとともに、新型コロナ感染症拡大の終息に向けて、できる限りの貢献をしていく考えだ。