昭和シェル 医療品など視野にクラゲ事業へ出資

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2019年3月11日

 昭和シェル石油はこのほど、海月研究所(神奈川県川崎市)と丸和油脂(東京都品川区)の3社で、クラゲビジネスの共同事業化を行うことで合意し、海月研究所に対して出資(出資比率:51.72%)を完了したと発表した。

 合意に至ったのは、クラゲの採取と、クラゲコラーゲンやムチンなどの化粧品・医療品・食料品の原料成分の生産・販売に関する事業化。同事業は、昭和シェルが昨年9月に発表した海月研究所とのクラゲコラーゲン・ムチン供給の事業化検討を踏まえたもの。

 今後は、昭和シェル石油グループの発電所を原料となるクラゲの供給元として活用し、丸和油脂の工場内の製造設備を使い、海月研究所の所有する技術をもとに化粧品・医療品・食料品などの原料となるクラゲコラーゲンとムチンの生産を行う。

 海月研究所は、理化学研究所発のベンチャー企業として2009年に設立。エチゼンクラゲやミズクラゲなどの生物からコラーゲンやムチンといった生物に必要な有効成分を抽出する技術とその特許を所有し、クラゲコラーゲンを添加した美容液なども販売している。

 一方、海月研究所の株主でもある丸和油脂は、マーガリンメーカーとしてスタートし、永年培った技術をベースに、種々の開発やアイデアに加え、独創的な製品を作りだす企業として発展。現在、マーガリン類・マヨネーズ類・ドレッシング類の製造・販売を手掛けている。 

 クラゲから得られるコラーゲンは他生物からのコラーゲンにはない特性をもち、化粧品や人工皮膚の材料として、世界中の化粧品原料メーカーや食品関連企業から注目を集めている。また、クラゲ由来のムチンはムチンと呼ばれるものの中で唯一構造の同定がされたものであり、変形性関節症治療薬やドライアイ治療薬など医療品としての活用が期待されている。

 クラゲの大量発生は、海水を利用する工場を所有する事業者や漁業事業者の間でも課題となっている。3社は今回の事業を通じ、迷惑なものとして扱われていたクラゲを有効利用することで、社会問題の解決に寄与するとともに新たな価値を創造していく考え。

NEDO バイオジェット燃料製品化で昭和シェルと連携

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2018年12月7日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、純バイオジェット燃料をバイオジェット燃料として最終製品にするために、NEDO事業実施者と昭和シェル石油が連携を開始したと発表した。

 同事業は、純バイオジェット燃料製造の技術開発を進めるもので、三菱日立パワーシステムズ、中部電力、東洋エンジニアリング、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、IHIの5者が参画。今回の連携により、2030年頃のバイオジェット燃料商用化に向けた技術開発を目指す。昭和シェルは今後、純バイオジェット燃料と従来燃料の混合設備の仕様や運転方法、出荷体制などについて検討を行っていく。

 地球温暖化問題などを踏まえ、石油に代わる新しい燃料として、バイオジェット燃料の市場規模拡大が予測され、CO2排出削減効果などが期待できるバイオジェット燃料の製造技術開発が必須となっている。

 そこでNEDOは、2つのテーマで、バイオマスから純バイオジェット燃料生産までの安定的な一貫製造技術開発を行っている。一つは、微細藻類由来による技術開発。現在タイで大規模な培養池を設置し、高速で増殖する微細藻類が生成する藻油からの燃料製造プロセスの技術開発を進めている。

 もう一方は、セルロース系バイオマスを原料とする技術開発で、本年内に国内でガス化・液化技術を用いた実証設備の建設を開始する。両テーマとも、2019年度には純バイオジェット燃料の製造を開始する予定だ。 

 純バイオジェット燃料を航空機に搭載するためには、国際品質規格(ASTM International)などに適合することが必須となる。純バイオジェット燃料の品質が規格(ASTM D7566)に適合していることを検証し、さらに同規格に従って従来の燃料である石油系ジェット燃料と混合後、改めて従来燃料の規格(ASTM D1655)との適合性を検証する。これらの過程を経て、初めて搭載可能なバイオジェット燃料となる。

 また、バイオジェット燃料の製品化のためには、様々な課題の抽出とその解決が必要となる。具体的には、純バイオジェット燃料と従来燃料の混合設備の仕様とその運転方法、混合後の品質検査体制、出荷体制などの実現が不可欠となる。

 

昭和シェル 大型LNGトラックへの燃料供給事業を開始

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2018年9月19日

 昭和シェル石油はこのほど、京浜トラックターミナルL(LNG)+CNG(圧縮天然ガス)ステーションで、9月から関東初となる大型LNGトラックへの燃料供給を開始したと発表した。

 二酸化炭素や窒素酸化物の排出が少ないLNGトラックは、運輸業界が直面する環境課題解決への貢献が期待されている。加えて、超低温で液化されるLNGはエネルギー密度が高く、従来のCNGトラックでは実現できなかった1回の充填で約1000km超の長距離走行が可能になると言われており、充填時間も短縮できることから持続可能な次世代車両として注目されている。

 同社は当該ステーションの運営者として、環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の1つである「大型LNGトラックおよび最適燃料充填インフラの開発・実証事業」の実証走行試験に使用される大型LNGトラックへ燃料供給を行い、供給実績データなどを提供することで東京~大阪間の実証走行試験に協力する。

 近年、LNGを含む低炭素エネルギーに対する社会的需要が高まる中、さらなる需要拡大においては多大な初期投資やインフラの未整備などが課題。同社は中長期戦略として、インフラ整備と利用普及を視野に入れたLNG事業拡大を推し進め、低炭素社会の実現に貢献していく考えだ。