東洋紡 尿検体分析装置の新製品を開発 撮影画質を向上

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2019年10月15日

 東洋紡はこのほど、尿中の有形成分を調べる尿沈渣(にょうちんさ)検査の工程を自動化した、尿中有形成分分析装置の新製品「USCANNER premio」を開発した。今年度内に製造・販売を開始する。

USCANNER premio
USCANNER premio

開発品は、撮影画像の解像度を従来機種よりも向上させて、尿中の赤血球や白血球といった有形成分の、より鮮明な表示を実現した。また、オプションの「操作用増設端末」を使用することで、複数の検査技師により異なる検体の画像を同時に観察することが可能になる。異常が認められた大量の検体を効率的に分析できるため、患者が診断結果を受け取るまでの待ち時間の短縮に貢献する。

 尿沈渣検査は、腎臓や泌尿器の疾患を診断する際などに、尿中有形成分の種類や量を検査技師が顕微鏡で観察・分類・計測するもの。検査技師による手作業を多く必要とするため、特に大量の検体を扱う大規模病院などでは、自動化による検査の効率化が求められていた。

 同社は2001年に、検査技師が実施する、染色、標本作成、カラー染色画像の撮像、成分の分類・計測という一連の作業を全て自動化した、尿中有形成分分析装置「USCANNER」を上市。以来、製品の改良を重ね、これまでに、全国の大学病院や医療機関などで幅広く導入されている。検査技師の作業の負担を軽減するだけでなく、解析プログラムを活用した画像判定機能により、ばらつきのない安定した測定結果の取得を可能にした。

東洋紡 フィルム製造2社の子会社化を完了、商号も変更へ

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2019年10月8日

 東洋紡は帝人との株式譲渡契約に基づき、帝人が保有する帝人フィルムソリューション(TFS社)とインドネシア帝人フィルムソリューション(インドネシア:ITFS社)両社の株式を、10月1日付で取得し子会社化した。

 両社は共に、ポリエステルフィルム事業を展開してきた。工業用途では、車両の電装化の進展により需要が拡大するセラミックコンデンサ用離型フィルムなどの各種離型フィルム、包装用途では食缶用ラミネーションフィルムと、高品位のフィルム製品を供給。

 PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムでは、主に自動車向けの絶縁フィルム、フレキシブルプリント基板(FPC)用途といった、高機能で特徴のある製品を提供している。

 東洋紡はTFS社のもつ高い開発・生産技術と幅広い製品ラインアップを加えることで、高機能フィルム製品の開発・生産能力を強化し、フィルム事業基盤をさらに強固なものにしていく。また、ITFS社を傘下に置くことで海外生産体制を強化し、フィルム事業のさらなるグローバル化を図っていく。

 同日開催のTFS社とITFS社それぞれの臨時株主総会では、商号変更を決議した。TFS社は同日付で「東洋紡フィルムソリューション」に変更し、ITFS社は今月中旬に「インドネシア東洋紡フィルムソリューション」へと変更される予定。グループ企業であることを対外的に明確化するとともに、グループとしての一体感を醸成していく。

 東洋紡は今年5月22日付で、帝人との「株式の取得(子会社化)に関する株式譲渡契約締結」を開示していた。

 

東洋紡 「ホワイト物流」推進運動の自主行動宣言を提出

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2019年10月7日

 東洋紡は4日、国土交通省・経済産業省・農林水産省が提唱する「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同し、先月30日に自主行動宣言を提出したと発表した。

 同推進運動は深刻化が続くトラック運転者の不足に対応し、トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化や、女性などが働きやすい労働環境の実現を目指すもの。4月から国交省・経産省・農水省が上場企業などに参加を呼びかけている。

 東洋紡は今回、「物流の改善提案と協力」「パレット等の活用」「船舶や鉄道へのモーダルシフト」「契約の相手方を選定する際の法令遵守状況の考慮」「荷役作業時の安全対策」の5項目について自主行動を宣言した。

 各項目の中で、パレットを活用した荷下ろし時間の削減や、CO2排出量の少ない船舶輸送・鉄道輸送の積極的な利用といった取り組みをさらに推進し、持続可能な物流の実現を目指す。

 同社は昨年度には、犬山工場(愛知県)宛の海外からの荷材について、従来の神戸港ではなく、最寄りの名古屋港より配送するように変更し、輸送距離の短縮による温室効果ガス排出量の削減を図るなど、これまでにも、継続的な環境負荷低減や働き方改革の取り組みを進めてきている。

東洋紡 RNA解析キット販売、理研の技術を製品化

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2019年9月20日

 東洋紡はこのほど、理化学研究所(理研)の生命機能科学研究センター・バイオインフォマティクス研究開発チームが開発した「一細胞完全長トータルRNAシーケンス法「RamDA‐seq」を簡便に活用できる「RNA解析キット」を製品化したと発表した。

RNA解析キット
RNA解析キット

 理研の技術指導のもとに製品化した「RNA解析キット」は、様々な試薬や取り扱いマニュアルなど、「RamDA‐seq」を用いたRNA解析に必要なコンポーネントをキット化したもの。

 理研が発表した論文や実験手順書で指定される試薬が予めキットとして調整されているため、マニュアル通りの手順を踏むことで解析用のサンプル調製をスムーズかつ安定して行うことが可能になる。

 今月30日から、がんなどの治療薬を開発する製薬会社や研究機関向けに販売を開始。2022年度に年間10億円の売上を目指す。

 日本国内では今年6月からゲノム医療の保険適用が開始され、個々の患者の遺伝子を解析することで、適切な治療法や薬剤を選択する個別化医療が進展している。

 近年、遺伝子配列に変異が起きるような、がんなどの疾患については、個々の細胞で性質が異なるため、1つ1つの細胞に含まれるすべての遺伝子を解析することの有効性が示されてきた。しかし、従来の方法では、1つの細胞に含まれる微量なRNAから、疾患の原因となる変異をもれなく計測することが困難だった。

 理研は昨年2月、対象となるRNAを偏りなく増幅し、RNAの発現量と完全長を一細胞で計測できる「RamDA‐seq」を開発。1つの細胞の中に存在するRNAの種類と量を網羅的に計測する方法を実現した。

 これにより、これまで検出が難しいため機能がよく分かっていなかった、非ポリA型RNAをはじめとする多様なRNAをもれなく計測することができ、疾患の原因となる遺伝子情報の異常について、解析の精度を飛躍的に高めることに成功した。

 東洋紡が販売する「RNA解析キット」により、一細胞レベルの多種・多量なRNAの変異の解析を容易にする「RamDA‐seq」の普及が拡大し、基礎研究から再生医療・ゲノム医療まで多くの分野の発展に貢献することが期待されている。

東洋紡 名古屋で開催の「クルマの軽量化技術展」に出展

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2019年9月17日

 東洋紡グループは、今月18~20日にポートメッセなごや(名古屋市港区)で開催される「第2回[名古屋]クルマの軽量化 技術展」に出展する。

ブースイメージ
ブースイメージ

 同展示会は「オートモーティブワールド」の構成展の1つで、クルマの軽量化を実現する素材・材料や加工技術などを紹介する。同社グループは「未来への挑戦」をテーマに、次世代の自動車関連部材に適した機能樹脂製品を提案するとともに、内装・外装にグループが持つさまざまな素材・技術を活用した「TOYOBO コンセプトカー」を展示する。

 コンセプトカーには47点の素材・技術を結集。軽量化をはじめとする次世代のクルマの高機能化を、内装での〝快適空間の演出〟と、外装での〝安心・安全の提供〟の両立で提案する。

 また、EVバッテリーについても、モックアップを出展することで素材の可能性を追求。EV・FCV(燃料電池車)化が進むなど、「100年に1度」と言われる変革期を迎えている自動車業界に貢献するため、高剛性・高強度、新工法、難燃性、放熱性をキーワードに、次世代EVバッテリーに使用可能な20点の機能樹脂製品を提案する。ブース番号は11‐26。

東洋紡 初の統合報告書「TOYOBO REPORT 2019」発行

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2019年9月3日

 東洋紡はこのほど、グループ初となる統合報告書「TOYOBO REPORT 2019」を発行した。

 従来から行ってきた、財務情報を中心とした「アニュアルレポート」と、同社グループ企業行動憲章に基づく活動全般を紹介する「CSR報告書」を1冊にまとめた。財務情報とESG関連などの非財務情報を統合することで、ステークホルダーに対する理解を深めてもらうのが狙い。

 同報告書では、創業者・渋沢栄一の精神を受け継いだ同社グループの企業理念「順理則裕」(じゅんりそくゆう)=なすべきことをなし、ゆたかにする=に基づき、CSV(共有価値)創造の推進を挙げる。なすべきことをなす、という攻めの姿勢の中で、世の中を豊かにし自らの事業も成長させていく。

 そんな中長期的な価値創造ストーリーとともに、経営戦略に関する楢原社長のメッセージなどを掲載している。日本語版と英語版を作成。専用ウェブサイトからのダウンロードができる。同社は今後、同報告書を株主や投資家をはじめとするステークホルダーとの対話に積極活用し、コミュニケーションを促進していく。

東洋紡 欧州のコンソーシアムに参加、軟包装で循環型経済実現へ

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2019年8月20日

 東洋紡は19日、欧州の軟包装分野の循環型経済の実現を推進するコンソーシアム「CEFLEX(Circular Economy for Flexible Packaging)」に参加したと発表した。

 CEFLEXは2017年に設立。大手素材メーカー、コンバーター、印刷会社、消費財メーカー、小売業者、リサイクル会社など、軟包装のバリューチェーン全体に関わる130以上の企業や団体が参加している。

 同社は、食品の消費期限の延長に貢献する高いバリア性能を誇る高機能なフィルムから、包材の薄肉化が可能で廃棄物の減量に貢献する、環境に配慮したフィルムまで、多様な包装用途のフィルム製品を手掛けている。

 回収されたペットボトルから作られるリサイクル樹脂をフィルムの原料として活用することにも早くから取り組んでおり、2012年には、当時世界最高レベルとなる、リサイクル樹脂の使用比率80%のフィルム「サイクルクリーン」を上市。ペットボトル用ラベルとして飲料メーカーに幅広く採用されている。

 CEFLEXは、欧州の軟包装分野の循環型経済の実現を推進するためのロードマップを2020年までに確立するとともに、2025年までに、使用済み軟包装を回収・分別・リサイクルするためのインフラを構築することなどを目標に掲げている。

 東洋紡は、欧州の軟包装業界全体を網羅するCEFLEXへの参加を通じて、今後ますます議論が進展していく、回収システムやレギュレーションに関する様々な情報や動向を把握しながら、環境にやさしい技術や製品の開発・提供に注力し、循環型経済の実現に貢献していく。

東洋紡の4-6月期 工業用フィルム堅調も減益に

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2019年8月6日

 東洋紡が5日に発表した、2019年4-6月期の連結業績によると、売上高は前年同期比微増の808億円、営業利益2%減の52億円、経常利益10%減の43億円、純利益46%減の17億円だった。

 販売が好調だった工業用フィルム、液晶偏光子保護フィルム「コスモシャインSRF」やセラミックコンデンサ用離型フィルムの一方で、昨年秋の火災事故により製造設備が焼失したエアバッグ用原糸や機能性クッション材「ブレスエアー」は、代替品調達の影響が出て、全体では微増収減益となった。

 セグメント別に見ると、フィルム・機能樹脂事業は減収増益で、売上高2%減の381億円、営業利益5%増の38億円。工業用フィルムは、「コスモシャインSRF」は大手偏光板メーカー向けに、セラコン用離型フィルムは車載用途でそれぞれ販売を伸ばした。機能樹脂事業では、エンジニアリングプラスチックは、自動車用途で販売が堅調だったものの、中国向けの非自動車用途が伸び悩んだ。

 産業マテリアル事業は減収減益で、売上高1%減の160億円、営業利益は44%減の5億円。エアバッグ用基布は、火災の影響を受け苦戦。スーパー繊維事業では、「イザナス」はロープ用途を中心に、「ザイロン」は自転車タイヤ用途などで堅調だった。生活・産業資材事業では「ブレスエアー」は火災の影響を、衛材用途のポリエステル短繊維は中国市場での需要減少が響いた。

 ヘルスケア事業は増収増益で、売上高22%増の93億円、営業利益は23%増の12億円。医薬は案件獲得に苦戦したが、バイオや機能膜は販売が拡大した。

 繊維・商事事業は減収減益で、売上高2%減の145億円、営業損失2億円(前年同期は営業利益2億円)。アクリル繊維が伸び悩んだ。

 通期業績予想は据え置き、売上高3500億円(前年比4%増)、営業利益220億円(同1%増)を見込んでいる。

東洋紡 OPV用発電材料開発で仏政府機関と共同研究

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2019年8月5日

 東洋紡は、次世代の太陽電池として注目を集める、有機薄膜太陽電池(OPV)用発電材料の開発を加速する。今回、同材料について、フランス政府機関の原子力・代替エネルギー庁(CEA)との共同研究を開始した。

 OPVは、シリコンなどの無機物を材料とする一般的な太陽電池と異なり、炭素・硫黄・窒素原子などを含む有機物を発電材料に用いる。発電材料は、ガラスや金属だけでなくプラスチックなどの表面にも塗布できるため、薄くて軽いフィルム状の太陽電池も実現可能になる。

 同社は、ファインケミカル事業で長年培った有機合成技術を応用し、材料の化学構造を最適化することで、LEDなど低照度の室内用光源でも高い出力が得られるOPV向けの新しい発電材料の開発を進めてきた。直近の検証では、オフィス環境と同等の照度環境下で、卓上電卓に使用される一般的なアモルファスシリコン太陽電池に比べ、1.4倍の出力を確認した。

 今回、同材料を使用したOPVモジュールの室内環境での高い出力性能や、製造工程での高いハンドリング性能などが評価され、CEAと共同研究を進めていくことになった。OPVの普及がいち早く見込まれる欧州での展開を視野に、同材料を用いたOPVの早期実用化に向け、開発に努めていく考えだ。

 OPVは壁や窓、衣服やカーテンの布地など、従来は使用が困難だった場所にも設置できることから、あらゆるものがインターネットにつながるIoTには欠かせない、無線通信を行うセンサーデバイス用のワイヤレス電源などに適しており、次世代の太陽電池として普及が期待されている。

東洋紡 骨再生誘導材を販売へ、東北大と共同で製品化

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2019年6月10日

 東洋紡は7日、東北大学と共同で製品化を進めてきた骨再生誘導材「ボナーク」について、5月29日に厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表した。

骨再生誘導材「ボナーク」
骨再生誘導材「ボナーク」

 今年度中に販売代理店を選定し、歯科・口腔外科向けの販売を開始するとともに、整形外科や脳外科分野へも展開するなど、適用範囲の拡大を図っていく。

 「ボナーク」は、東北大学が日本ハムと骨再生誘導を目的に共同開発した、リン酸オクタカルシウム(OCP)と医療用コラーゲンから成る複合体を原材料として、スポンジ状のディスクに加工した医療機器。病気やけが、加齢などにより骨が欠損した部位に同製品を埋め込むと、周囲の細胞の再生能力を活性化させ、それが足場となって新生骨の形成を誘導する。

 東洋紡は、2015年に東北大学および日本ハムと「ボナーク」の特許実施許諾契約を締結した後、東北大学病院歯科顎口腔外科を主幹施設とした全国9カ所の医療機関で、多施設共同治験を実施してきた。

 骨再生が必要なインプラント症例や嚢胞腔(のうほうくう)を対象にした治験に加え、唇顎口蓋裂患者の顎裂(がくれつ)部を対象とした初めての治験で、骨再生の有効性と安全性を確認したことにより、このほど製造販売承認を取得した。

 欠損した骨を再生治療する際、歯科・口腔外科の疾患では、患者自身の健常な骨を採取して移植する「自家骨移植」が一般的だが、入院治療が必要で自家骨を採取した部位に痛みが残ることもあるため、患者の負担軽減が求められていた。

 「ボナーク」は、簡便な使用方法により、骨の欠損部に埋入することで、新生骨の形成を誘導する。自家骨移植に必要とされる入院期間を短縮できるほか、術後の運動制限も必要としないため、患者の負担軽減とQOL(生活の質)改善への貢献が期待されている。